経済ニュースゼミ

小笠原誠治の、経済ニュースを通して世の中の動きを考察するブログです。地球温暖化阻止のために石油・石炭産出権取引を提唱します。産出権取引は排出権取引とは違います。みんな勘違いするのです。

カテゴリ: デフレ

 リフレ政策なんて言ったってどれだけの人が正確に理解できているか怪しいのですが‥それでも私は、皆様に質問してみたいのです。

 リフレ政策は機能しているのか、と。どう思いますか?

 まあ、私がそのようなことを言えば、とにかく日本は長い間デフレに苦しんできたのだから、デフレを脱却することが先決であり、だから強力なリフレ政策を採用する以外にないではないか、なんて反論も予想されます。

 では、リフレ政策は機能しているのでしょうか?

 いずれにしても、デフレからの脱却が先決だということで、安倍総理はアベノミクスを打ち出し、そして、それを実践するために黒田総裁率いる新体制の日銀が異次元の緩和策を採用したことは、多くの皆様がご存知のとおりです。

 では、異次元の緩和策は巧く行っているのか?

 確かに、アベノミクスや異次元緩和策によって円安がもたらされ、そして株価が上がったのはそのとおり。そして、一時心配されていた長期金利の上昇も、最近は落ち着いている、と。

 しかし、株価や為替に一服感が出ているでしょう?

 つまり、一頃の勢いが失われ、株価と為替は、新しい立ち位置を見つけ、すっかり落ち着いてしまっているのです。

 その一方で、賃金が少しずつでも上がり始めれば、景気がよくなり始めたという感覚が国民に広く浸透するのでしょうが‥現実はそれほど甘くない。

 もう一度お聞きします。リフレ政策は機能しているのか?

 リフレ政策が、どのようなメカニズムで実体経済の活性化に貢献するかは、論者によって意見が区々である気がするのですが‥クルーグマン教授のような筋金入りのリフレ派の考えは、それに賛同するかどうかは別として、論理は割と明快であるのです。

 つまり、何といっても、マネーの流通量を増大させることが必要である、と。そして、マネーの流通量を増大させることができれば、必ずインフレが起こり始める、と。そして、インフレが起こり始めると、実質金利が低下するので企業の投資活動が刺激されるであろう、と。同時に、インフレによってお金の価値が低下すると人々が予想するようになるので、お金の価値が落ちないうちにモノやサービスの購入を急ごうとするであろう、と。つまり、消費が活性化するであろう、と。

 如何でしょうか? 筋金入りのリフレ派が期待したようなことが今起きていると言えるのでしょうか?

 本日、7月の消費者物価指数が発表になりました。

 何と生鮮食品を除く総合指数が、前年同月比0.7%上昇したと報じられているのです。

 このニュースをみて、ようやく日本もデフレから脱却し始めた、とお感じになっている方がいるかもしれません。

 もし、それが本当であれば、少なくても物価が下がり続ける「デフレ」の状況から脱し始めたということで、リフレ派の目論見は半分成功したと言えるかもしれません。後は、インフレが起き始めたことによって様々なプラスの効果が表れるかどうかが問題である、と。

 では、仮にインフレが起き始めたということが事実であったとして、そのインフレは何を原因に起き始めているのでしょうか?

 日銀が大胆な金融政策を採用しているからでしょうか? つまり、日銀が大量に国債を市場から買い上げ、マネタリーベースを増大させていることが貢献しているのでしょうか?

 確かに、日銀当座預金残高は、計画通りに着実に増えています。今年の初めには44兆円ほどしかなかった日銀当座預金残高が、8月20日には83兆円ほどにまで増えているのです。

 岩田副総裁は、副総裁就任前に国会で次のようなことを言っていました。日銀当座預金残高を70兆円〜80兆円に増やすことができれば、必ず2%のインフレ目標を達成することができる、と。もし、それが実現できなければ自分は辞めてもいい、と。

 まさに思惑どおりに日銀当座預金残高を増やすことができ‥だから、まだ2%の目標値には届かないものの、少しずつインフレが起き始めていると理解していいのでしょうか?

 答えは、ノー。

 というのも、世の中に出回るお金の量が増えたことが原因で物価が上がるというのであれば、大よそどんなものでも同じように価格が上がってしかるべきだと思われるのに、今回発表になった7月の物価統計によれば、前年同月と比べて0.7%消費者物価指数が上がった主な理由は、エネルギー価格の上昇があったからだと言うのです。

 では、エネルギー価格の上昇がなかったら、どうなのか?

 それを知るためには、コア・コア指数を見ればいいのです。つまり、食料やエネルギーを除いた物価指数を見ればいいのです。

 食料及びエネルギーを除く総合ベース、つまりコア・コア指数でみると、7月は、前年同月に比べて0.1%下落しているのだ、と。

 コア・コア指数でみると、まだデフレを脱却できていないのです。つまり、リフレ派の思惑どおりに事が運んでいる訳ではないのです。

 だから、日銀としては、生鮮食品を除いた総合指数で、前年同月比0.7%物価が上昇しているとしても、それに満足してはいけないのです。そうではなく、コア・コア指数でみても、物価が上がるように工夫する必要があるのです(リフレ派的な発想をすれば)。

 但し、そうは言っても、生鮮食品を除いた総合指数で、物価が0.7%上昇していることも事実。では、理由が何であれ物価が上がっているのだから、今後次第に実質金利が下がり始め、企業が設備投資に活発になると期待することができるのか? 或いは、貨幣価値の下落を嫌い消費者が商品の購入を急ぐようになるのか?

 岩田副総裁は、一昨日京都市で講演して、「今年の終わりごろから目に見えて良くなり、来年度にはもっとはっきり良くなる」なんて言っているのですが‥私は、その言葉を当てにすることはできません。

 だって、そもそもコア・コア指数でみたら、まだ物価が下がっている訳ですし、企業が設備投資を増やさないのにも別な理由があるからなのです。決して実質金利が高いから設備投資をしない訳ではないのです。

 それに、来年になって、景気がよくならなかったとしても、「消費税の増税をしたから」なんていう言い訳が既に準備されていることですし‥

 

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 デフレからの脱却が最大の優先課題だと言う安倍政権。そして、デフレからの脱却は、日銀がその気になりさすれば可能なのに、それが実現できないのは日銀の怠慢以外の何物でもない、というリフレ派の人々。

 だからこそ、日銀をこれでもか、これでもかと叩く!

 いいんですよ、彼らを少しくらい叩いても慣れていることだし逆に彼らは、貴方がたのことを何と非論理的なことばかり言う人たちだ、という程度にしか思っていない訳ですから。

 ただ、私は、一国民として思うのです。

 デフレ論議に決着をつけるべきではないか、と。もう、10年以上も、どうしたらデフレから脱却できるか、なんて議論が続いているのです。

 何度も何度も国会で同じような質疑があり‥なんと時間と労力の無駄であることか!

 ただ、私がそのようなことを言っても、アベノミクスを支持する人々は、もう決着がついているではないか、なんて思っているでしょう、多分。円安になり株価が上がり、そして、輸出企業が助かっている訳ですので

 しかし、そうしてムードがよくなっているとしても、それは円安のためであり、デフレ脱却の話とは本来筋が違うのです。

 いずれにしても、私は、デフレの定義くらいこの際はっきりさせたらどうか思うのです。そのことに反対す理由は、どのような人にもない筈です。デフレの定義が人によって区々だからなかなか話がかみ合わない。そして、皆、都合のいいことだけを述べる、と。

 よくこんな意見を聞きます。

 「デフレの状況で消費税を上げるのは何事だ。デフレの状況で消費税を上げるようなことをすればそれこそ消費が弱まり、景気は益々悪くなるではないか」と。

 どう思います、この意見

 多分、9割以上の方が、それはそのとおりだ、と思のではないでしょうか?

 でも、答えは違うのです。その訳は最後に説明させて頂くとして‥のように、「デフレの状況で消費税を上げるのは何事だという場合の「デフレ」にはどんな意味が込められているのでしょう?

 普通、リフレ派の人々、特に学者などは、デフレという用語を、物価が持続的に下がる状況という意味で使うのです。デフレはインフレの反対であるから、物価が下がり続けることだ、と。

 貴方も、そのような説明で納得しますか?

 承知しました。取り敢えずデフレとは、物価が持続的に下がり続ける状況だと致しましょう。

 ただ、そうしたデフレが続いたとしても、ひょっとしたら実質経済成長率がプラスの値を示すこともあるのです。つまり、物価はずっと緩やかに下がりつつも、景気いい状態が続くことだってあるのです。

 例えば、インフレ率がマイナス1%である一方、実質経済成長率が3%、従って、名目経済成長率が2%である状態が続く場合もあるのです。

 こうしたケースも、物価がずっと下がっているから、デフレと呼ぶべきなのですよね?

 しかし、実質経済成長率が仮に3%もあるのであれば、景気が悪いなどと誰が言うことができるでしょう?

 ということは、「デフレの状況で消費税を上げることは何事だと主張する人々は、当然のことながら、「デフレ」に持続的に物価が下がるという意味以外景気が悪いという意味合いを含めているです。そうでしょ?

 つまり、デフレとは、物価が持続的に下がる状況にあって、かつ、景気がよくない状況である、と。

 では、そうしデフレの定義を変えたとしたら、デフレは、日銀が思い切った政策を取るだけで、つまりお札をじゃんじゃん刷るだけで脱却できる、なんてことが言えるのでしょうか?

 例えば、竹中教授は言うのです。デフレは貨幣的な現象であるから、中央銀行がマネーを大量に放出すれば、いつかはインフレが起きデフレから脱却できる、と。

 そうした主張はかなり疑わしいのですが‥それでも日銀が、仮に財政ファイナンスをしていると言われようが、とにかくどれだけでも長期国債を購入し続ければ、いつかはインフレになる可能性があることは否定できません。そして、そのようにしてインフレになれば、物価が持続的に低下するという意味での「デフレ」からは脱却したことになるのですが‥しかしインフレになったとしても、景気がよくなるとは限らないのです。

 もし、インフレにすることによって景気が良くなると主張するのであれば、その理由がなければなりません。一体その理由とは何なのでしょう?

 いずれにしても、リフレ派の言うデフレの意味合いは、状況によって違うのです。つまり、デフレから脱却する必要があるという場合のデフレは、物価が持続的に低下しているだけではなく、景気が悪いことも含まれているのですが、デフレは貨幣的現象だとか、デフレはお札を刷れば必ず脱却できるという場合のデフレは、単に物価が持続的に低下する状況しか意味していないのです。

 ということで、リフレ派人々、そしてアベノミクスを支持する人々に言いたい。

 デフレ脱却を主張するのは結構。しかし、その場合のデフレは何を意味するのかをはっきりとさせて欲しい。

 単にインフレ率がマイナスからプラスの領域に移っただけで、デフレ脱却と言っていいのか? あるいは、インフレ率が1%か2%に達すれば、それでデフレ脱却と言っていいのか?

 否、そうではなくて、インフレ率がプラスになることも必要だが、併せて実質経済成長率がある程度の値を示すことも必要なのだと考えるのか? もし、そうだとすれば、例えば実質経済成長率が1%を達成したら、デフレから脱却したと言っていいのか?

 そこのところをはっきりしてもらわないと議論がかみ合わないのです。

 これまでに何度かお示ししたところですが、物価上昇率がプラスになと何故景気がよくなると考えられるのかということについては物価が上がるような状況になれば、価格が上がる前に商品を購入しておいた方が得だからと消費者が考えるようになって、消費行動に変化こるからということ、さらに、仮に物価が上がりながらも金利が上がらなければ、実質金利が下がることになるので、そうなれば企業の実質的な金利負担が軽くなるので投資活動が促進されるから、という考えがあるのです。

 でも、他にも理由があるのです。

 もし、物価が上がるなかで賃金が上がらなければ、企業経営者からみれば、実質賃金が下がることになるので、雇用を増やそうというインセンティブが働くからだ、と。

 この最後の理由、どう思います?

 政治家の言うこととは逆なのです。政治家は、賃金を上げることによって景気を良くしたいと考え、しかし、学者は、物価が上がっても賃金が上がらなければ、実質賃金が下がるので雇用が増えるだろう、と。

 いずれにしても、日銀の尻を叩くことによってデフレ脱却は可能だと主張する人々の言う「デフレは、単にインフレを起こすだけのことであるので、その意味でデフレから脱却しても、景気がよくなる保証ないのです。

 国会の論戦が始まっていますが、質問する議員の突込みが足りず興味が湧きません。

 議員の方々に言いたい。是非、安倍政権の閣僚たちに質問して欲しい、と。

 何故、日銀叩きをすれば、デフレから脱却できると考えるのか? その場合のデフレの定義は何か? そして、インフレを起こすと何故景気がよくなると考えるのか、と。


 最後に、デフレの状況において消費税を増税すれば益々景気が悪くなるという主張が必ずしも正しくない理由をお示しします。

 私は、むしろバカ景気の状況で増税をすれば、景気にブレーキをかけることが考えられると思います。何故ならば、バカ景気の状況では消費者が見境なく商品を購入するようなこと多いので、増税されると、直ぐに消費を見直すことが可能であるからです。その一方、不況のなかでそもそも生きて行くため最低限度のものしか買わないような状況であれば、幾ら増税になっても、買わないと生きていけないので、消費を減らすことできないのです。

 消費税増税を実施すれば益々景気が悪くなるのではなく、増税が実施される前に駆け込みの需要が発生し、そして、増税が実施された後にその反動がくるので、急にモノが売れないように見えるだけの話です。そして、増税が実施されても暫くすると、消費者は引き上げられた税に慣れざるを得くなるのです

 消費者はただ増税が嫌だから、そうした政治家の主張を支持しているだけの話です。



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 突然ですが、中高年以上の方に質問したいと思います。若い方は、自分が中高年になったつもりで考えて下さい。

 桜の花が咲きそろい‥とは言っても東北以北の方はまだでしょうが、全国の小学校で入学式が開かれたことと思います。我々日本人にとって、桜の花と入学式は切っても切れない関係。

 では、質問なのですが、貴方が卒業した小学校、或いは中学校に今年、何人ほどの新入生が入学したでしょうか。答えて下さい。

 さあ、如何でしょう?

 私の世代はと言えば、「奥様は18歳」で有名な岡崎友紀様とか、今テレビで何かとお騒がせな小林幸子様とかがいらっしゃる世代。小学生のときには、学校の行事としてディズニーのアニメ映画を観につれていかれたり、東京オリンピックを学校のテレビで観た世代です。

 私が小学生のときには、確か同級生の数は180人程度であり(多分)、中学生の頃は8クラスほどで同級生の数は380人程度だったと記憶しています。

 では、今年私が卒業した小学校と中学校には何人の生徒が入学したかと言えば‥小学校は僅か49人であり、中学校は99人なのだとか。

 どう思います? もちろん、学校によっては入学者数が増えているところもあれば、もっと減っているところもあると思うのですが、全国の平均的姿はこんなところでしょう。

 さて、よく日本は、この20年間ほど名目GDPが殆ど増えていないと不満の声が聞こえるのですが‥しかも政治家の口から。

 でもって、このデフレを脱却するために、今の民主党政権は3%の名目成長率という目標を掲げている訳なのですが‥そういった方々は、小学生の数がこれだけ激減している現実をどのように評価しているのか、大変疑問に思うのです。

 もちろん、単にインフレを起こして、その結果名目GDPを増やすだけでいいと言うのであれば、それは可能かもしれません。しかし、民主党政権は同時に実質2%の経済成長率を目標ともしているのです。

 しかし、我が国では小学生の数や中学生の数が、昔の1/3とか1/4になってしまっているのです。つまり、売れるランドセルの数は昔の1/3とか1/4。売れる机の数は昔の1/3とか1/4。

 つまり小学生や中学生にとっての必需品に対する需要は、昔の1/3とか1/4。

 それなのに、どうやったらGDPが減少しないで済むというのでしょう?

 そうです、そうやって小学生や中学生の数が減っている反面、高齢者の数が急増しているのは事実。だから、健康関係の商品がよく売れる。でも、全体を総合してみると、需要は縮小せざるを得ないような状況にあるのです。

 何故、近年我が国においては、自動車の売れ行きがじり貧になっているのか?

 それは、格差の拡大でお金にゆとりのない若者が増えていることのほか、そもそも自動車の最大の購入者層である若者の数が激減しているからであるのです。 

 ということで、私は、日本がデフレに陥った原因の一つは、少子高齢化が進行していることにあると信じているのです。否、これこそが最大の原因だ、と。

 しかし、私のこのような意見に対しては、少子高齢化はデフレとは関係がなく、幾ら人口が減っても日銀が金融を緩和し続ければ必ずインフレが起き、デフレは脱却できるのだ‥なんていう人がいるのです。

 そのような考えを支持する人に一言。私が言うデフレとは、単に物価が下がるだけではなく、需要が落ち込み経済が縮小するようなことを指しているのです。

 つまり、真の意味でのデフレに対処するためには、人口構造の問題に手を付けない限り解決は難しいだろうということであるのです。

 もっとも、幾ら人口が減ったところで、1人当たりの実質GDPが減ることがなければそれでよし、というのであれば、それはそれで一つの考え方であるのでしょうが、日本の人口が今後もずっと減り続けることを受け入れるのは大変難しいことだと思うのです。

 どうやって、そして何時人口を反転させることができるのか? その将来像を示した政治家はまだいないのです。

 私も偉そうなことは言えないのですが。だってシングルですから。


 
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 本日、日経新聞を読んでいると刺激的な文字が飛び込んできました。但し、刺激的と感じる
のは私だけで、リフレ派の人々にとっては心地よいものかもしれません。

 一体、何という文字なのか?

 「『デフレは悪』の合意を」と書いていあるのです。書いた人は、マネックス証券の松本大社
長。松本大氏が「経済教室」に寄稿しているのです。

 こんな言葉でその小論文は始まります。

 「日本の最大の問題は競争力を大幅に落としてきたことである。1人当たりの国内総生産
(GDP)、こどもの学力、国際競争力比較などにおける日本の凋落ぶりは目を疑うほどであ
る」

 まあ、確かに言われてみたらそういう面はあるでしょう。

 で、松本大氏は、競争力低下の原因を3つ挙げる訳です。

 (1)個人の競争力が落ちている。
 (2)リスクマネーが回らなくなっている。
 (3)あらゆる変化に対する対応の遅さ。

 で、ここから松本大氏は持論を述べ、最後に次のようなことも言う訳です。

「今回ここで述べた論点のあら探しは簡単であるし、単純化し過ぎている側面もあろう。即効
力もないかもしれない」

 松本大氏がそこまで言うと、私が何かコメントしても「あら探し」に見えてしまい、私としては
本意ではないわけですが‥、それでも私としては反論をしたい!

 そうしないと、益々誤解をする人が増えてしまうからなのです。

 松本大氏は言います。「日本の学生は甘い」と。何故甘いのか? それは誰でもが大学に
入学できるようになってしまっているからだ、と。若年世代の人口は減る中で大学の数が減ら
ないからそうなっているのだ、と。

 では、どうするのか?

 大学の数を減らせばいいのか? それとも大学に対する補助金を減らせばいいのか?

 松本大氏は、外国人留学生の数を増やし、競争を厳しくさせればいいというのです。まあ、
この点については、私は何も言いません。そういう考え方もあるでしょう。

 第二に、松本大氏は、「リスクマネーの元手となり得る資金がこのようにブラックホールの中
に吸い込まれていては、経済の血液が回らないはずである」と言います。

 ブラックホールとは何のことなのか?

 1500兆円とも言われる個人金融資産の多くが、預貯金を通して国債に投資されている日
本経済のことを指している訳です。

 そうやって国家が多額の国債を発行しお金を吸いつくすから、成長分野へ金が回ることを
妨げているとでも言いたいようです。

 国が多額の借金を積み重ねていることの是非はこの際議論することしません。ただ、松本
大氏のそうしたモノの見方には疑問を感じずにはいられません。

 政府が大量に国債を発行するからお金が回らない?

 それはおかしい! 少なくても金融関係者の多くはそうは考えない。貸そうにも有力な貸出
先が限られているから、やむを得ず国債にお金を回しているだけだ、と。だから、仮に政府が
国債の発行額を縮小することになれば、益々金余りになるばかりである、と。

 最後に、そして、これこそ私が反論したことですが、松本大氏は、デフレについて自説を述
べる訳なのです。

 「先日あるフォーラムで会場に対して『デフレはいいか悪いか』を尋ねてみた。実に7〜8割
の方が『デフレはいい』と挙手された。これにはさすがにびっくりした。

 私は『デフレは社会の病気である』だと考えている。デフレの中では、モノを今日買うよりも
明日買う方が得である。だから今日判断しないで明日判断することに慣れ、何事にも対応
のスピードが遅れていく」

 そう、松本大氏は言う訳ですが、彼は「デフレ」をどう定義しているのでしょう?

 もちろん、『デフレ』が旧来意味していたようなもの、つまり、経済が後退するなかで物価が
下落するような状況を意味するのであれば、デフレは社会の病気だというのも納得ができる
訳なのですが、では、聴衆はそのように理解した上で挙手をしたのか? 或いはまた、松本
大氏もそのような前提で聴衆に質問したのか?

 どうもそうではないような気がするのです。

 少なくても聴衆は、デフレを単なる物価の低下現象だと受け取った上で、物価が下がること
が悪いのか、と問われたので、物価が下がることは良いことだ、と答えただけなのではない
でしょうか。

 私としては、もし、「デフレ」が単なる物価の低下現象を意味するものであれば、私も、その
多くの聴衆と同じように、デフレは必ずしも悪い現象ではない、と答えると思う訳です。

 もし、実質GDPが高い成長を示すのであれば、物価が上がろうと下がろうとそれほどの意
味はない、と。その反対に、物価が上がっても、実質GDPが増加しないのであれば、何の意
味があるのか?と。

 そもそも、この10年間ほど我が国では、エコノミストとの世界と政治家の世界のなかにおい
て「デフレが悪である」という刷り込みが行われてきたのではないか、と。そして、その上で何
が何でもマイルドなインフレを起こすのだということで、ゼロ金利政策や量的緩和策が採用さ
れ、そして今またゼロ金利政策が復活になっている訳なのです。でも、なかなかマイルドなイ
ンフレは起こりそうにない。

 私は、インフレを人為的に起こすことはできないとは考えません。無茶苦茶な財政運営をす
ればインフレも起きるでしょう。

 ただ、問題は、そうやってマイルドなインフレを起こしたからといって、経済が良い方に向か
うかという保証があるかと言えば、それはそうではないという風に感じているということなの
です。

 幸いなことに、松本大氏自身が基礎的財政収支を均衡化させることが必要だと言っている
のです。つまり、政府は借金を大胆に減らすべきだ、と。

 そうやって健全財政を目指しながら、どのようにしてインフレが起こせるというのでしょう
か?

 松本大氏の考えは、インフレになればお金の購買力が減少することによって自然に富の移
転が起こるようになり、そのためお金持ちがお金を使うようになるだろうということのようです
が、インフレになることによって困るのはお金持ちではなく貧乏人であることを忘れてしまって
いるかのようです。何故ならば、お金持ちというのは、インフレになればなったで幾らでも運用
手段を多様化させてインフレヘッジを行うことが可能であるのですが、貧乏な人は何もなす術
がないからなのです。


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 突然ですが、私、リフレ派が何を言いたいのかやっと理解できたような気がします。長かっ
た、約10年間の年月を要しました。もちろん、リフレ派がマイルドなインフレを起爆剤として経
済を活性化させるべきであると主張していることはよく理解しているつもりでした。でも、イマ
イチ理解が不十分な点もあったわけです。例えば、何故、竹中教授は、日銀の量的緩和の解
除時期が早すぎたなどといって批判するのか、と。何故、インフレが起きても金利が上がらな
いなんて言うのか、と。

 では、自称リフレ派の人々は、今挙げたような疑問を抱くことはないのでしょうか? 本当に
全て理解している人は少ないのではないでしょうか。否、よくわからないけどインフレを起こす
しかない、と思っているだけではないでしょうか。

 ここまで読んで、正統派の方々は、がっくりきているかもしれません。何だよ、リフレ派に洗
脳されたのか、と。その答えは、最後に分かります。でも、いずれにしても、正統派の方々も、
リフレ派が何を言いたいのかよく理解することが必要ではないのでしょうか。そう思って、本日
の記事を書くことに致します。

 デフレ論議の大きな論点は二つ。

(1)中央銀行はインフレを起こすことができるのか?

(2)インフレになったら金利が上昇するのではないのか。


 正統派は、中央銀行はインフレを鎮めることはできても、インフレを起こすのは大変難しいと
考えるのに対し、リフレ派は、その気になればインフレは起こせると主張するわけです。

 で、正統派は、インフレを起こすのは難しいとは思いつつも、仮にインフレを起こすことがで
きても、インフレになれば金利が上がるから景気を刺激することはできないと考えるのに対し
て、リフレ派は、インフレになっても超緩和策を継続すれば、金利は上がらないと主張するわ
けです。

 私としては、インフレになっても金利が上がらないという理屈がどうしても理解困難だったわ
けなのです。実は、今でも理解は難しい。ただ、リフレ派が何を言おうとしているかは分かりま
した。

 
 先ず、中央銀行は、インフレを起こすことが可能であるのか?

 私は、今でも中央銀行の本来の使命とか、中央銀行に与えられた手段を考えれば、インフ
レを起こすことは大変に難しいと考えます。しかし、例えば、法律で禁止された日銀の国債引
き受けを認めるような大胆な措置をとれば、インフレを起こすことは可能であるとは思いま
す。これ、私がこれまでも言ってきたことです。例えば、政府が、国民1人当たり毎年100万円
の手当を支給することにし、その財源は日銀に国債を引き受けさせて賄う、と。

 では、そうやってインフレを起こしたとして、金利は上がらないのか? でも、その前に何故
インフレを起こせば景気を刺激することになると、リフレ派は考えるのか?

 それは理解するには、今回日銀が決定した包括緩和の中身を思い出せばわかることで
す。
日銀は言いました。物価の上昇率が年率1%以上で推移するようになるまでは、ゼロ金
利政策を解除することはしない、と。

 まあ、一般の国民は、そんなことを言われても何のこっちゃいな、と。ですが、内容をもう少
し過激にすると、日銀の言わんとするところがよく分かります。例えば、次のように変更したと
しましょう。

 物価の上昇率が年率5%以上になるまで、日銀はどんどん国債を引き受けインフレを起こ
すことに努める。そして、そうしてインフレが起きた後も、インフレ率が5%程度にとどまる限
り、ゼロ金利は2−3年間は継続する。

 さあ、そんなことを日銀に言われたら、人々はどんな行動に出るでしょうか?

 名目金利はゼロの状態で、5%以上のインフレが起きる? しかも、インフレが起きても当
分ゼロ金利は継続する、と。ということは、実質金利はマイナス5%程度となり、お金を借りな
いと損である、と。お金を借りて、土地でもいいし、株でもいいし、穀物相場でもいいし、そうや
ってお金を投資に回せば、キャピタルゲインが稼げるはずである、と。しかも、すぐにはゼロ
金利は止めないといっているから、大儲けは確実である、と。

 こんなことをクルーグマン教授やリフレ派は考えているということなのです。竹中教授が量
的緩和の時期が早すぎたというのも、すぐに緩和策を止めれば、そうした投資というか投機
を呼び起こすことができないということを言いたかったのでしょう。

 まあ、確かに、中央銀行がリフレ派の考えているようなストーリーに沿って行動するのであ
れば、そして、そうやって実質金利をマイナスにするようなことが実現できれば、確かにお金
を借りて何かに投資をしないと損であるという人々が出現することが想像できるわけです。つ
まり、リフレ派は、マイナスの実質金利を実現してバブルを起こせばいいと言っているのに等
しいことになるのです。

 で、結局、インフレを起こしても金利が上がるのではないのか、という論点に行きつくわけで
す。一時的にマイナスの実質金利を実現できても、金利が上昇するならばマイナスの実質金
利は直ぐに解消してしまい、人々を投機に走らせる効果も限定的だ、と。

 そして、そうした正統派の主張に対し、リフレ派は、そんなことはない、と。高橋洋一教授は
言う訳です。流動性の罠に陥ったような状態にあるわけであるから、貨幣の供給曲線は水平
な状態にあり、金利が上がる筈がない、と。
 正統派には納得がいかない主張ですが、彼が
言いたいのは、インフレになっても中央銀行がゼロ金利政策を続ければ金利は上がる筈が
ないということなのでしょう。

 確かに理屈の上ではそうかもしれません。しかし、高橋教授の言い分を認めるということ
は、中央銀行が事実上市中銀行にとって代わって、世の中に資金を供給し続けることを意味
するわけなのです。例えば、市中銀行は、一般企業と中央銀行の仲介機関になり下がってし
まい、事実上、中央銀行の計算で一般企業に融資をすることになる、と。まあ、そんなことを
認めればというのが、貨幣の供給曲線が水平のままで変わらないということの意味であるの
です。で、中央銀行としては、5%程度のインフレが起きているにもかかわらずゼロ金利を続
けるわけですから、中央銀行としては、資金を供給すればするほど実質的に損をすることに
なる、と。

 正統派は、そこまでの事態を考えることはない訳です。あくまでも、インフレになれば、イン
フレを抑えるように中央銀行は行動するようになるであろう、と。5%のインフレが続いている
なかで、それでもゼロ金利を続けるのであれば、なお一層酷いインフレが起きてしまうことは
明らかであるからです。また、中央銀行が市中銀行に取って替わって行動するようなことも
認めることはできないということです。

 ということで、リフレ派の言いたいことの意味がお分かりになったかと思う訳ですが、要する
に、リフレ派は、マイナスの実質金利を実現すれば、人々は投機に走るであろうから、景気が
回復すると言っているのに等しいのです。景気への刺激効果を高めるためには、物価の上
昇率は高ければ高いほどいいわけで、また、金融緩和の期間は長ければ長いほどいいとい
ことになるのですが、結局、バブルを起こすだけではないかという気がするのです。確かにバ
ブルが起きれば、そのことによって実体経済にも影響を与えることは期待できるわけですが、
世界経済がこのようになってしまったのはバブルが弾けたためだということを考えると‥

 私は、リフレ派の考え方を支持することはありません。


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 チリの鉱山に閉じ込められていた人々が地上に帰還しています。本当によかったですね。

 ところで、今アメリカでは、追加緩和策の中身に関心が集まっています。11月2日、3日に開
かれるFOMCで追加の緩和策が採択されるであろうが、では、どんな中身になるのか、と。
ねえ、どんな中身になるのでしょうか?

 アメリカは2008年12月からゼロ金利政策を実施しています。そして、日本の場合には、今
月ゼロ金利政策を再開しました。

 さあ、ゼロ金利政策の先には何が待っているというのでしょうか?

 「量的緩和政策」

 そういう答えが予想されます。事実、米国の追加緩和策は、中長期国債の買い入れではな
いかということが言われているわけです。

 つまり、金利はもうこれ以上下げることができないから、と。皆さんも、そう思われるでしょ
う? でも、それは必ずしも正しくはないのです。実は、まだ金利を引き下げる余地はあるの
です。しかし、それは行わないというのが、連銀や日銀の考え方のようなのです。

 
 ところで、本日の日経新聞の「経済教室」をお読みになったでしょうか?

 「ゼロ金利復活 その効果は  上」 となっています。

 慶応大学の櫻川昌哉教授が書いています。

 ポイントは、

 ・99年以来ほぼゼロ金利が続くも効果見えず

 ・ゼロ金利時の貨幣需要の予測は非常に困難

 ・海外に円を供給すれば円高圧力に歯止めも


 となっています。

  ということで、本日は、その小論文も題材にして、ゼロ金利政策とその先にあるものを考
えてみたいと思います。

 先ず、米国や日本では、ゼロ金利政策を採用していて、これ以上金利を引き下げることは
できないという見方が一般的であるのですが、これ正確に、言えば本当ではありません。

 米国も日本も確かにゼロ金利政策を採用していると言われています。米国では政策金利の
誘導目標は0%〜0.25%の範囲とされており、日本は0%〜0.1%の範囲とされているわけ
です。

 では、実際に政策金利は、どれほどの水準で推移しているのか?

 先ず、米国。米国のフェデラルファンズレートは、最近では0.2%前後で毎日推移している
のです。0.18%だったり、0.22%だったり、0.15%だったり、と。決して0.01%とか0.02%
とかという水準ではないのです。0%〜0.25%の範囲とはいっても、現実には0.2%程度とい
うことなのです。

 では、日本の方はどうなのでしょうか?

 日本の場合には、つい先日までは、0.1%だったのが0.1%〜0%の範囲に改められ、そし
てゼロ金利が再開したとされているわけですが、現実には、変更後も変更前と殆ど変わらな
い水準で推移しているのです。敢えて言えば0.09%程度だったのが0.088%程度に僅かに
低下しただけだ、と。

 皆さん、かつてゼロ金利政策を採用していた頃の、無担保コール翌日物のレートはどの程
度であったが憶えているでしょうか?

 そうです。0.001%。来る日も来る日も0.001%。そういう水準だったら、ゼロ金利と呼んで
いいでしょう。しかし、今言ったように、我が国の無担保コール翌日物のレートは0.088%程
度で推移しており、0.01%と比較すればまだ本当は下げる余地があるといってもいい訳で
す。

 皆さん、先ず、この事実について、どのようにお感じになられるでしょうか?

 日本銀行に騙された?

 まあ、だからこそ日銀の白川総裁も先日の記者会見で、「実質ゼロ金利」と敢えて実質とい
う言葉を付け足して説明していたわけですが、どういうわけか、マスコミや政治家は、その意
味の重要性に気がついていないわけです。というよりも、日銀がゼロ金利政策に復帰してく
れて、それで満足だ、と。

 単純なものですね。

 ということで、中長期の金利のみならず政策金利についても、本当はもう少しだけまだ下げ
る余地があるわけですが、両国の金融当局はそれを行おうとはしない、と。何故なのでしょ
う?

 つまり、彼らは、そんなことをしても殆ど意味がないと感じているからであるのです。それど
ころか弊害さえあるのだ、と。だから、ゼロ金利政策を採用するとはいっても、かつてのように
0.001%まで下げる必要はないというか、下げるべきではないと考えているということなので
す。

 では、何故、正真正銘のゼロ金利政策を採用しないのか? インフレが怖いからか?

 そうではないのです。よく日銀はインフレを怖がるために金融緩和に及び腰になっていると
いうことが言われますが、それは都市伝説の一つと言っていいでしょう。日銀だって、マイル
ドなインフレに留まるのであれば、今や大歓迎するでしょう。そうなれば、もはや日銀バッシン
グに苦しむ必要もないからです。

 日銀が正真正銘のゼロ金利政策をやりたくない理由とは、それをやると短期金融市場、つ
まりコール市場が機能しなくなってしまうからなのです。それはそうです。幾ら市中銀行が、資
金繰りの管理をしっかりとし、そして余裕資金をコール市場で運用しようとしても、それによっ
て得られる利回りが0.001%であれば、人件費も賄うことができないからなのです。つまり、コ
ール市場が死んでしまう、と。で、コール市場が死んでしまえば、金融機関の間での資金の
やり取りがストップしてしまうことになり金融システムに悪影響を及ぼすから、それはどうして
も避けるべきだと考えているということなのです。

 まあ、いずれにしても、連銀も日銀も、市中銀行が自分たちに預ける当座預金に対し今や
金利を付しているわけですから、短期金融市場の金利が、理屈としてはそれを下回ることは
なく、従って、そうやって当座預金に金利を付しておきながらゼロ金利政策を採用していると
いうのはあり得ない訳です。


 ここまでのお話はお分かりになったでしょうか? では、経済教室の小論文に移ります。

 櫻川教授は、こんなことを言っています。

 「では、ゼロ金利がデフレ解消に及ぼす効果についてはどうか。貨幣供給を増やして名目
金利を下げていけば、経済は必ずインフレ傾向になるはずだと思いがちであるが、日本の過
去のデータはこの予測を見事に裏切っている。図示されるように、金利が初めてゼロになっ
た99年以来、インフレ率はマイナス、つまりデフレが定着している。
 ゼロ金利とデフレの間に関係があるのか、あるとすればどのような関係なのかは経済理論
上、いまだ定説はない」

 さあ、如何でしょうか?

 もし、貴方が私の意見の賛同者であれば、ゼロ金利とデフレの関係を説明できると言うかも
しれませんね。そうです、10月9日の「米国が『日本化』する理由」で書きました。ゼロ金利政
策を長い間採用し続けると、超低金利が投資や消費を刺激する効果よりも、超低金利のた
めに預金者の利子収入が減ることによる消費の減少効果の方が大きくなり、デフレを促進さ
せる可能性があるのだという指摘です。

 いずれにしても、櫻川教授は、ゼロ金利とデフレの関係が分からないという考え方のようで
す。「名目金利がプラスの間は、人々は取引動機以外の理由で貨幣を持とうとしないが、ゼ
ロになった瞬間、どういう目的で人々は貨幣を保有しようとするのか、実はよくわかっていな
いのである」と。

 櫻川教授は、何を言いたいのか? 意味がよく分からないと今思っている人も多いでしょ
う。実は、言いたいことはこういうことではないのでしょうか。もし、名目金利をゼロにすること
によってお金を借りたいという人が急増するのであれば、世の中に出回るお金の量が増え、
インフレが起きやすくなるであろう、と。しかし、実際に人々は、金利をゼロにしてやるといっ
ても、本当に喜んでお金を借りるものであるのか、と。

 で、櫻川教授はこんなことを言うわけです。

 「行動経済学が、タダの商品に対して人々はどのように反応するのか面白い示唆を与えて
いる。1個270円の高級チョコと20円の定番チョコのうち、どちらか好きなほうを選択してくだ
さいというある実験で、被験者の学生のうち、ほぼ半分が高級チョコを、残りの半分が定番チ
ョコを選んだ。次に高級チョコを260円、定番チョコを10円に、それぞれ10円ずつ下げて再び
実験をすると、やはり半々に分かれる。さらに10円下げて高級チョコを250円、定番チョコを
タダにすると、なんと学生は定番チョコに殺到したという。つまり人々は価格差だけでなく、タ
ダかどうかという点に反応している

 この例からもわかるように、ゼロ金利の時の貨幣の需要行動を予測することは実は難しい
のである。もし、日銀がゼロ金利下での人々の貨幣需要行動をきちんと把握していないので
あれば、金融緩和の効果を予測できないことになり、当然のことながら物価をコントロールで
きない。ゼロ金利下では『通貨の番人』の重責を担えないのである」

 私は、この教授の意見には反対です。

 日本銀行には、ゼロ金利下での人々のお金に対する需要がどうなるかは分かっているの
です。そもそも、この教授の例え話もおかしいのです。定番のチョコをタダにすると学生はタダ
のチョコに殺到するのは当然の話でしょう。

 金利がゼロになるのとチョコがタダになるのは全く別の話であるのです。何故ならば、タダ
のチョコは正真正銘にタダで、有難くもらうことができるわけですが、お金を借りる場合には、
幾ら金利がタダであるとはいっても、期限が来たら元本を返さなければいけないからなので
す。つまり、例えが良くない。もし、例え話をするのであれば、家賃20万円の賃貸マンション
があるが、借り手がみつからないために、どんどん賃料を下げていき最終的にゼロにした場
合にどうなるのか、と。但し、賃料は取らないが、部屋を汚したり傷つけたりした場合の修繕
費は支払ってもらうぞ、と。そんな例を出すべきなのです。

 で、私は思う訳です。景気のいい時には、ゼロ金利にするまでもなく、金利を少し下げれ
ば、借り手は幾らでも出てくると、と。しかし、景気の先行きが不透明である場合には、幾ら金
利がゼロでも借りるのを躊躇するであろう、ということです。

 金利の引き下げに応じて実際に資金の供給量がどう変化するかは、通常のモノの需要と
供給の関係のように、グラフに書いてみると分かりやすいと思います。

 つまり、縦軸に金利水準を取り、そして横軸に資金量を取ると。で、右下がりの線が資金に
対する需要曲線となり、右上がりの線が資金の供給曲線となるわけです。

 そして、ご承知のとおり、その二つの曲線はどこかで交わり、その交わった線が示す地点の
金利と資金量が現実の資金の供給(需要)量になるわけです。

 ここまではお分かり頂けると思いますが、この先が問題です。

 まあ、そうやって資金量の均衡点が実現している時に、中央銀行が資金供給量を増やした
いと考えたとします。どうしたらいいでしょうか?

 そうです、右上がりの供給曲線を右側にシフトさせればいい訳です。そうするとその交点が
左上から右下の方にスライドしてくるわけです。

 どこまで下がってくるのでしょう?

 そうです、金利がゼロの水準でストップしてしまうわけです。だから、もうそれ以上は金利を
引き下げることもできないし、資金の供給量を増やすこともできないということなのです。

 ここで、皆さんは、おやっと思ったかもしれません。金利をゼロ以下にすることができないか
ら、だから、その次は量的緩和に移るのではないのか、と。

 資金の需要と供給に関するグラフからは、もうこれ以上下がることができない金利水準と資
金供給(需要)量というのがあるのが分かるのですが‥、
では、どうやって金利がゼロの底に
ぶつかった後も、資金の供給量を増やすことが可能であるのか?

 そうすると、日銀バッシングが好きな人は言う訳です。「日銀がいろんな資産を買い取れば
いい」と。確かに、幾ら金利がゼロにぶつかっても、日銀が国債やREITなどの限らず、何でも
かんでも買いまくれば、資金の供給量は増えそうな気もするのですが‥

 まあ、そうなれば、日銀がゼロ金利でどれだけでもお金を供給するということですから、先
ほどの資金の供給曲線は水平線になってしまう、でしょう。
つまり、その水平線の供給曲線
は、どれだけでもお金を供給しますよと言っているわけです。

 では、そうした日銀の姿勢に応じてどれだけでも実際に資金が供給されるのか?

 問題は、右下がりの需要曲線にあるのです。需要曲線もそうした日銀の気持ちを察して右
側にシフトすれば、どれだけでも交点は右の方に移動するわけです。では、実際に資金の需
要曲線は右側に移動するのか?

 円高や新興国の追い上げに苦しんでいる我が国の企業は、需要曲線を右側に移動させる
ような行動に出るのか? つまり、お金を借りたいと思うのか? 
或いはまた、失業率が高止
まりしていて経済の先行き見通しが不透明になっているアメリカの企業が、需要曲線を右側
に移動させるような行動に出ると期待できるのか?

 どちらも、そう簡単にはいかないのです。つまり、幾ら中央銀行側がどれだけでもお金を供
給することとしても、また、あり得ない話ですが、ゼロ金利で一般企業が市中銀行からお金を
借りることができても、景気が悪ければ一般企業はお金を借りようと思わないかもしれないと
いうことなのです。
まあ、資金需要が出るのは、投機のために資金を必要としている人たち
に限られるということなのです。

 しかし、私が、こう言っても、まだ中央銀行としてやるべきことがあるという人々がいるので
す。

 一般企業が名目金利ゼロでもお金を借りようとしないのは、デフレによって実質金利が上
がっているからであるので、もし、インフレを起こすことによって実質金利をマイナスにするよ
うなことが可能であれば、一般企業と言えども、そして、どんなに景気が悪くても、お金を借り
たがるのではないのか、と。

 私は、仮にインフレが起き実質金利がマイナスになるようなことが起きても、そうした状態が
長く続くことはあり得ないと考えます。何故かといえば、現実にインフレが起きているときに市
中銀行が金利を何時までも上げない訳はないからなのです。何故ならば、もし金利を上げな
ければ銀行は赤字になってしまうのが分かっているからです。

 ただ、議論を進めるために、それでも、仮にそうした状態が発生したとしましょう。

 金利はほぼゼロの水準にあって、その一方で、4〜5%のインフレが起きた、と。そうなれ
ば、確かに実質金利はマイナスになり、銀行からお金を借りれば得になるということは言える
わけです。では、そうやって銀行から借りたお金をどのように使うというのでしょうか? 設備
投資に回すのでしょうか?

 しかし、景気の先行き見通しが不透明であれば、依然としてリスクが伴うわけでそうした行
動には出ない可能性が強いのです。そんなことをするのではなく、もし、インフレが起き、そし
て、それに伴い名目金利が上がることがないというような起こり得ない事態が起こったとすれ
ば、その時には、資産価値の値上がりに目を付けた行動に走るだけなのです。つまり、バブ
ルがまた起きると。それだけの話であるのです。

 ということで、幾ら量的緩和策を中央銀行が採用したとしても、企業や家計の側の行動に変
化が生じない限り、なかなか現実の資金供給(需要)量が増えることはなく、その結果、インフ
レに向かう可能性も小さいと言うべきなのです。

 問題は、資金に対する需要曲線を右側にシフトさせる政策が必要なのであって、それは、
中央銀行の仕事というよりも、政府や企業自身の仕事と言うべきなのです。


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 アメリカが「日本化」するのではないか、と懸念されています。

 日本化? 何のことかお分かりでしょうか。そうです、米国も物価が下落するデフレに突入
するかもしれないということなのです。で、そうした懸念が強まっているからこそ、バーナンキ
議長は、追加の緩和策を実施する準備があると言っているわけなのです。


 本日も、デフレネタで恐縮です。

 ところで、皆さん、デフレと言うか、物価の下落は何故起こっているのでしょうか?

 大別すると2つの考え方があるようです。

 1つは、世の中に出回っているお金の量が少ないから、というもの。世の中に出回るお金の
量が増えればインフレが起きる筈であるから、お金の量を増やそうとしない日本銀行が悪い
のだ、という考え方です。これ、リフレ派の考え方で、だからこそ日銀悪玉論を展開するわけ
です。

 で、もう1つの考え方はといえば、実体経済の状況に原因を求める考え方で、中国などの
新興国から安い輸入品が国内に流入していること、そして、日本の企業はそうした安い海外
製品と競争をする必要があるため、価格を抑える圧力が絶えずかかるから、というような考
え方です。


 で、リフレ派の人々は、金融的な要因以外にはデフレの原因を認めないわけなのです。何
故ならば、もし、海外からの安い製品の流入がデフレの原因になり得るのであれば、欧米で
もデフレが起きてしかるべきなのに、デフレは日本でしか起きなかったからだ、と。


 私は、そのようなリフレ派の考え方はおかしいと考えています。

 では、何故日本だけがデフレに陥ったのか?

 それは、日本だけが長い間、ゼロ金利政策や量的緩和政策を採用し続けたからなのです。
つまり、短期金利がほぼゼロの状態が何年も何年も続いたことが原因の一つである、と。

 こんなことを私が言うと、へーっという顔をする方もいらっしゃると思います。何故ならば、リ
フレ派が勢いを増すにつれ、デフレの原因は日銀が本気で金融を緩和しなかったからだとい
うような考え方に洗脳されている人が増えているからです。

 あの高橋洋一教授は、日銀はデフレ目標政策を採用したといって揶揄します。いいです
か?インフレ目標値ではなく、デフレ目標値と言っているのですよ。


 皆さん、よーく考えてみて下さい。

 確かに、日本だけがデフレに陥ったのは事実だと。では、何故日本だけが? 日本の金融
緩和策は生ぬるかったのか? そんなことはないのです。短期金利がほぼゼロというのが何
年も続いたわけですから。そんな超緩和策を採用していたのは、日本だけしかなかったから
日本だけがデフレに陥ったのです。

 専門家は、景気をよくしたいから金利を引き下げるべきだと主張します。そして、そのように
経済学の教科書にも書いてある訳ですし、世界中の中央銀行も、そうした教えに従って金融
政策を決定しているわけです。

 しかし、金利を低くすることは、必ずしも景気を刺激するだけではないのです。そうではな
く、むしろ景気を冷やす効果もあるのです。では、景気を冷やす効果とは何か? 

 金利を低くすれば、お金を借りている人の負担は軽くなります。だから、銀行からお金を借り
る立場にある企業などは、金利を引き下げてもらえば有難いわけですが、その反対に、お金
を銀行に預けている人や投資家の立場からすれば、金利が下がれば利子所得が減少して、
その分消費を減らす効果があるというわけなのです。

 つまりこういうことなのです。日本経済を回復させようとして採用したゼロ金利政策や量的
緩和政策の結果、超低金利がもたらされることになったが、そのことによって企業の投資を
支援する効果よりも、家計の消費を冷やす効果の方が大きかったのであろう、と。それに企
業からすれば、借入金利が引き下げになれば、その分、また自社製品の価格を引き下げる
余力が発生するために、益々デフレを加速させたということなのです。

 今回の包括緩和策によってまた長期金利が低下しています。社債のクーポンレートも1%を
下回っているなどと報じられています。折角そうやって長期金利の引き下げをもたらしたとし
ても、それが設備投資の増加に結びつかず、単に自社製品の値引きに結びつくだけであれ
ば、それは益々デフレを加速化させてしまうことも考えられるというわけなのです。

 バーナンキ議長には、デフレに陥ることは何としても回避するという決意が見受けられま
す。失業率も高止まりしていることですし、まだまだ米国の長期金利が低下することも考えら
れるわけですが、今言った理由によって、却って本当にデフレに陥ってしまうことも考えられる
ということなのです。


 

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 しかし、国会の議論もつまらないですね。

 あんなに鋭い質問をしていた菅さんも、答弁はお世辞にも上手とは言えません。それに、
脱官僚と言っていたのに、結局官僚が準備した答弁書を読んでいるだけにしか思えません。
ああ、つまらない。

 ところで、みんなの党の渡辺代表は、また言っています。3〜4%のインフレを起こさせるよ
うな目標を日銀に掲げさせろ、と。

 本当に、そんなことで景気が良くなるとでも考えているのでしょうか?

 でも、多いのですよね。そういう風に考える人が。


 で、私は思う訳です。そんなにインフレを起こしたいのであれば、消費税を上げればいいで
はないか、と。毎年、例えば2〜3%ずつ消費税を上乗せしていく訳です。そうすると、恐らく
物価は上昇しだすことでしょう。

 どうしてもデフレを脱却させるべきだというのであれば、何故消費税の増税を断行すべき
だ、と言わないのでしょうか?

 しかし、インフレを起こすのには賛成であっても、消費税の増税には反対する人が多いので
すよね。何故?

 それは、消費税が上がるということは、消費者に負担がかかるからです。消費税が増税さ
れる分、財布に入っているお札の価値が下がったと同じことになるからです。
そうですよね?

 で、インフレを起こすことには賛成でも消費税の増税に反対の人は言うわけです。そうでな
くても不景気なのに、消費税を増税すれば、益々消費が冷え込むではないか、と。まあ、そう
言われれば、そんな気も‥

 しかし、だったらおかしくはありませんか?

 確かに、消費税が増税されれば消費は冷え込むでしょうが、インフレは起きるわけです。
で、インフレが起きれば、消費が活性化するというのがリフレ派の考え方であったのではない
のでしょうか。
 そうなのです。リフレ派の考え方には矛盾があるのです。

 リフレ派の親分とでもいうべきクルーグマン教授は言う訳です。インフレが起きれば、お金の
価値が少しずつ低下することになるので、お金を手にしたらなるだけ早く遣った方が得にな
る。つまり、少しでも早く買い物をした方が得だから、消費が活性化するのだ、と。
で、デフレ
の場合には、その反対に、時間が経てば経つほどお金の価値が増加していくので、買いた
いものがあっても、購入を先延ばしにすればするほど安く買うことができ得になるので、消費
が冷え込むことになってしまう、と。

 いいですか? クルーグマン教授は、インフレが起きれば人々は急いでショッピングをする
ようになると説いているわけです。

 

 では、何故、消費税を増税した結果インフレが起きた場合には、消費が冷え込むと考える
のか? クルーグマン教授の主張を否定するのか?

 しかし、多くの人は言うわけです。不景気のときに消費税を増税するようなことをすれば、
益々消費は冷え込む、と。
クルーグマン教授の教えに従えば、インフレが起きるのであれば、
人々はショッピングを急ぐようにならないのですか?

 ならないというのであれば、仮に、政府や日銀が大量に紙幣を流通させることに成功させ、
そしてインフレを起こすことに成功しても、人々は消費を活性化させることになるとは限らない
と言うことなのです。

  一方、インフレを起こした結果、人々は消費を活性化させるはずだと言うのであれば、消
費税を引き上げた結果インフレが起きる場合にも、人々は消費を活性化させることになると
言わなければなりません。

 さあ、どちらの考え方が正しいのでしょうか。私は、インフレが起きれば人々が消費を活性
化させるというクルーグマン教授の主張は説得力を持っていないと考えます。

 インフレを起こすことが先にくるべきではないのです。インフレが起きるかどうかは結果であ
って、原因ではないのです。景気が良くなったからインフレになるわけです。物価が下がって
いるから不況になるのではなく、不況だから物価が下がるかもしれないというべきなのです。
更に言えば、不況でなくても、海外の安い製品が流入してくることや生産性の向上によっても
価格が下がることを忘れてはいけないのです。


 いずれにしても、消費税増税の結果インフレになったとしても、消費が活性化する筈がない
と考えるのであれば、クルーグマン教授の考えを否定することになるわけです。


 
 物価が少々上がる状態になったからといって、消費が活性化すると考えるのは甘いと思う
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 昨日、メルマガの方でご紹介しましたが、米公開市場委員会は今回の会合後、必要に応じ
て追加の金融緩和策を講じることを明らかにしました。

 The Committee will continue to monitor the economic outlook and financial
developments and is prepared to provide additional
accommodation if
needed to support the economic recovery and to
return inflation, over time,
to levels consistent with its mandate.

「当委員会は、引き続き経済見通しと金融の進展状況を監視し、そして、経済回復を支援す
るために、また、インフレ率を委員会の使命に沿ったレベルに戻すために必要があれば、追
加的緩和策を供与する用意がある」

 The Committee というのは、公開市場委員会のことで、continue to monitor とは、
引き続き監視する、引き続きよく注視していくということです。で、何を注視するかといえば、
economic outlook、つまり、景気見通しと、financial developments、つまり、金融情
勢、もう少し具体的に言えば、市中銀行が実体経済にお金を貸すようになるかどうかというこ
とです。

 そして、その委員会は、prepared to provide additional accommodationということ
で、追加の金融緩和策を講ずる用意がある、と。但し、if neededという条件が付きます。つ
まり、to support the economic recovery、景気回復を支援するために、そして、to
return inflation to levels consistent with its mandate、FOMCの使命に相応しいレ
ベルにインフレ率を戻すために、必要とあらば‥、という条件がつく、と。

 で、levels consistent with its mandate が少々分かりにくい訳です。そのマンデート
に一致したレベルとは一体何のことなのか?

 連銀の使命というのは、雇用の最大化と物価の安定です。雇用の最大化とは、経済の成
長と同じと考えていいかと思います。つまり、経済成長と物価の安定という二つの相反する
かのような目標を追求すべきだということになるのですが、経済成長を優先すれば、金利は
低ければ低いほどいいということになり、他方、物価の安定を優先すれば、金利は高ければ
高いほどいいということになりそうなのですが、その2つの目標を同時に達成しようとすれば、
自ずから相応しい金利水準が見つけ出せるということになります。

 しかし、よーく考えたら、米国は既にゼロ金利政策を取っているわけです。つまり、米国は、
これ以上金利を下げることはできないではないか、と。ただ、それにもかかわらずFOMCは、
追加の金融緩和策を講ずるというわけです。では、何故そう考えるかといえば、今のインフレ
率が低過ぎるからだ、と。

 私は、ここで大きな疑問を感じる訳です。

 FOMCの使命に一致する、或いは相応しいインフレ率などがあるものか、と。

 FOMCは、理想的なインフレ率があるという風に考えているわけです。つまり、インフレ率は
1〜2%程度が望ましい、と。では、現状はどうかといえば、1%を切っている、と。8月の食料
とエネルギーを除いた物価指数は、前年同月比0.9%の上昇にとどまっている、と。何やら
日本に近づきつつあるのではないか、と。デフレは絶対に回避すべきなのだ、と。

 しかし‥、と私は言いたい。

 インフレ率が0.9%だと何故いけないのか?

 本当はそうではなく、失業率が9%台にとどまっているから、先行きが懸念されるのではな
いのか? そして、幾らお金を借りたいと言う人がいても、市中銀行が、不良債権を抱えてい
るために、なかなか融資に応じることができないために問題が生じているのではないか、と。

 そうした結果、物価の伸びが落ち着いているというだけの話だ、と。

 だとしたら、米国が行うべきことは、市中銀行が抱えている不良債権を早期に処分させるこ
となどではないでしょうか。しかし、米国は昨年の5月、ストレステストの結果を公表して、金
融危機に早期に幕引きをしてしまった、と。つまり、問題の解決を先送りしているとも言えるの
です。ですが、不良債権の問題を指摘すると、また金融不安が起こらないとも限らないので、
その点には触れたくないのだ、と。

 では、マネーを市場にじゃぶじゃぶ放出することによって仮にインフレ率を引き上げることに
成功すれば、失業率を引き下げることが可能であるのか、或いはまた、市中銀行は実体経
済にお金を回すようになるのか?

 そうなる確証は何もないのです。

 私には、FRBのバーナンキ議長は、何も手段が残っていないなどとは言えないために、た
だ、追加の緩和策を講ずる準備があると言っているようにしか聞こえないのです。

 一方、我が国では、どういう意見が聞かれるかといえば、米国が追加の金融緩和策を講じ
るのであれば、我が国もそれに同調して更に緩和策を講じるべきだ、と本日、日経は社説で
そう主張しているのです。

 でも、何をしろというのでしょうか?

 米国にしても日本にしても、どうしてもマイルドなインフレを起こすべきであるというのであれ
ば、できないこともないのです。税金をドーンと安くして、そして、国債を大量に発行し、それを
財源として、国民に多額の給付金を支給したり大型の公共事業を実施すればいいだけの話
です。但し、規模はかつてと比べものにならないほど超大型にする必要はあるでしょう。

 インフレは起きるでしょうが、それで全てが解決するというのでしょうか?

 米国が大量の国債を発行し続ければ、むしろ、米国はギリシャのようになってしまうことが
懸念されるのです。そして、日本もこれから先もどんどん国債を発行し続ければ、日本を懲ら
しめろとばかり中国は、円高にするために日本の国債を中大量に買い込むことになるかもし
れませんが、そうなれば我が国経済の命運は中国に握られてしまうということにもなりかねな
いのです。

 米国が、景気回復を支援するために、必要に応じて追加緩和策を講じる用意があるという
のであれば、それは理解できなくもないのですが、インフレ率がひょっとしたらマイナスになっ
てしまうかもしれないということに余りにも神経を使い過ぎると、それは判断を誤る元となるで
しょう。再びバブルが発生する温床を醸成しているだけなのかもしれません。

 低価格の航空運賃が注目を浴びています。これは国内の出来事というよりも、国際的な出
来事であるわけですが、こうしたことが起こる訳ですから、世界中で物価が上がりにくくなるこ
とは当然であるわけです。それなのに、物価が上がりにくくなっていることが、全て不景気が
原因だと考えるのは如何なものなのでしょうか。物価が上がりにくくなっているのは、不景気
が原因というよりも、企業の競争が厳しくなっている結果であるのです。

 米国では中間選挙も近づいているし、FRBも対応に困っているのだろうな、と思う方、クリッ
クをお願いします。
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 本日の日経「大機小機」には、リフレ派が涙を流して喜ぶような意見が掲載されています。
ご覧になられましたか?

 その前に貴方は、リフレ派 or  反リフレ派?

 で、その意見を主張しているのは「桃李」という名の人なのですが、何と言っているかといえ
ば‥


 「現在の諸課題を解決する根本はデフレ脱却である」

 「日本だけがデフレでは円高の進行は避けられないし、デフレが進むと思えば消費も先延
ばしされ、不況となり投資活動も停滞する。税収も伸びず財政危機となり、企業は海外脱出
して失業は一層深刻になる」

 「いったん一定程度のインフレになると国民が信じれば、消費は促進され、地価も回復し投
資活動が活発化し、結果的に財政再建も容易になる」

 「民主党政権にとって最も有効な政策は、断固たる措置をとってデフレ脱却を実現すること
である」

 「デフレ脱却とは平たく言えば、穏やかなインフレを起こすことである」

 「インフレ下では年金生活者などが困るとされるが、緩やかなら金利や名目国内総生産
(GDP)も上昇して税収が回復し、結局は全国民が豊かになる」

 「日銀が自らの財務悪化を理由に国債購入による大胆な緩和策を渋るのは、船が沈没して
いる時に救命ボートの浸水を心配してそれを使うな、と言うに等しい」

 

 さあ、如何でしょうか?

 これを読んで、レフレ派の人々は、我が意を得たりと小躍りしたい気持ちになっているか
も‥、否、踊りたしている人もいたりして‥。

 その一方で、困ったものだ、と渋い顔をしている人も‥。

 本日は、デフレについて考えてみたいと思います。

 先ず、この記事は大胆にも「デフレ脱却はすべてを癒す」と言いきっています。ここまで言い
切れば、さぞかし気分もいいはず。リフレ派の人も大喜びの筈です。しかし、リフレ派といって
も、そんなに楽観的な人ばかりではないのではないでしょうか。つまり、インフレになったから
といって全ての経済問題が解決されるわけではないが、それでも物価が下がる状態でいるよ
りはいい筈だ、と。或いは、インフレになったからといって、全てが巧くいくはどうかは断言でき
ないが、いずれにしてもデフレの脱却が先決ではないのか、と。

 そんな意見の持ち主が太宗ではないのでしょうか?

 その意味で、全てを癒すなどといわれると、リフレ派の人でも、それは少しリップサービスが
過ぎると思っているかもしれません。

 私は、いつも言っているように、この手の意見には大変に懐疑的です。そんな、魔法の杖の
一振りで経済問題が解決するなどと、夢みたいなことを思わない方がいい、と。それよりも、ミ
クロレベルで、各自がそれぞれ努力しましょうよ、と。

 でも、取り敢えず、そのことは置いておきましょう。

 全くの仮定ですが、仮に、この人の言っている意見が正しいとしましょう。まあ、デフレ脱却
が全てを癒すかどうかは別として、デフレ脱却によりかなりの経済問題が解決できる、と。

 もし、それが正しいのであれば、その場合には、何が何でもマイルドなインフレを起こせとい
う意見は大いに納得ができます。

 では、どうしたらインフレを起こせるのか? そして、何故これまでリフレ派の人は、日本銀
行ばかりをバッシングしてきたのか?

 確かに、日本銀行にもっともっと国債を購入させるという手はあるにはあります。でも、そん
なことをしなくても、もっと手っ取り早く政府自身の手によって、インフレを起こす方法があるの
です。

 そうです、先日も言いました。例えば、国民全員に国民手当を支給したらいいのです。

 何ですって、国民手当を支給しても、貯蓄に回してしまえば消費は増えない?

 それはそうかもしれませんが、例えば、国民1人当たり100万円の手当てを支給したら如何
でしょうか? 
幾ら貯蓄に回すといっても、それだけもらえば、どんな人でも半分くらいは消費
に回すのではないでしょうか。

 でも、そんな手当を配ることをするくらいなら、何故税金を当面の間ゼロにすることを考えな
いのか、ということです。消費税もゼロ、法人税もゼロ、所得税もゼロにしてみては如何でしょ
う? 
そうなれば、少しはインフレが起きるというものでしょう。それに、それでも不十分だとい
うのであれば、政府が経済界に声をかけて、工場の操業を一時的に停止してもらったらどう
でしょうか。そうすれば、確実にモノ不足が発生し、インフレに拍車をかけるはずです。で、余
りにも急激なインフレが起きそうであれば、国民に支給する手当の額を絞ればよい、と。

 さあ、どうでしょうか?

 国民手当を支給し、そして、全ての税金もゼロにして‥、そんなことをすれば巨額の財政赤
字が発生してしまいそうなのは誰でも分かることです。で、そうなれば、国債を発行する必要
があるが、その時に、国債の買い取り増額を日本銀行が拒否をすれば‥

 でも、政府には手があるのです。

 国民に支給する国民手当も、全部、500円硬貨で行えばいいのです。これ、一種の政府紙
幣であるわけですから、政府の一存で発行ができるわけです。だから、財源に困る必要など
ないのです。国民が500円硬貨では使い勝手が悪いというのであれば、1万円硬貨なんても
のを発行してもいいでしょう。

 つまり、政府は、中央銀行に頼ることなどなく、容易にインフレを起こす手段を有していると
いうことなのです。何故、そうしたことを政府がやれとリフレ派は主張しないのでしょうか?

 失礼、一部、そんなことを言っている学者もいます。

 でも、大方のリフレ派は、そういうことは言わずにただ日銀をバッシングして欲求不満を晴ら
しているような‥。

 さあ、如何でしょうか? 我が国の政府は、そうしたインフレ政策を実行すべきなのでしょう
か?

 この大機小機に書いてあることが正しいとすれば、そうすべきなのです。でも、実際に、そこ
までしようと思う者は殆どいない。つまり、多くの人々は、この大機小機の主張は眉唾である
と思っているということなのです。

 「いったん一定程度のインフレになると国民が信じれば、消費は促進され、地価も回復し投
資活動が活発化し、結果的に財政再建も容易になる」と言います。

 例えば、年率5%程度のインフレが起きたとして、そして、その後も年率5%程度のインフレ
が起こると国民の多くが予想するようになれば、本当に消費は促進されるのか?

 確かに、インフレ率が5%のときに、家計の実質的な消費活動に変化がなければ、消費額
は5%増えることが予想され、そうなれば名目GDPも5%増加することが予想され、また、そ
うなれば、税収も5%程度増加するかもしれません。

 でも、どうしてそれで財政再建が容易になるのでしょうか?

 幾ら税収が5%増加しても、インフレ率が5%であれば政府の予算規模も名目で5%増加す
ることが予想され、そうなれば、税収不足も5%増えることになるのではないでしょうか。

 結局、インフレによって財政再建ができることがあるとすれば、マイルドなインフレではなく
過激なインフレが起こり、そうして価値が大きく喪失した貨幣で国の借金を返すことによって
でしかあり得ないのです。しかし、仮に、そうして過去の巨額の国の借金が形式的にでも返
済できたとしても、その後は、どうなるというのでしょう。恐らく、その後も、我が国が真面目に
財政再建に取り組まない限り、引き続き借金を続ける必要があり、政府は借金地獄から抜け
出ることはできないのです。ハイパーインフレが起こり、一時的に政府は借金から抜け出るこ
とができても、あくまでもそれは一時的な現象なのです。一方、そうやって国債の価値がゼロ
近くになって大損した投資家は、2度と国債を保有しようとは思わないでしょうから、その時に
本当の財政危機が訪れるというわけなのです。

 「インフレ下では年金生活者などが困るとされるが、緩やかなら金利や名目国内総生産
(GDP)も上昇して税収が回復し、結局は全国民が豊かになる」とも言っていました。

 確かに、インフレが起きれば名目GDPが増加する可能性は大です。しかし、その時に実質
GDPは、どうなっているのでしょうか? 実質GDPも今以上に高い成長率を達成する可能性
がなければ、全国民が豊かになることはないのです。

 で、もし、インフレを起こすことで実質GDPが増加し、そして全国民が豊かになることが確実
であるのであれば、世界中に貧困で苦しむ国などなくなっているはずなのに、現実にはそう
ではないのです。

 実質GDPを増加させることこそが重要なのです。或いは、実質GDPがそれほど高い伸びを
示すことが期待できないとすれば、国内でそれを適切に分配することが求められているという
ことです。

 私がこんなことを言えば、「じゃあ、どうすればいいのだ!」とか、その他罵詈雑言が浴びせ
られることが考えられますが、要するに、各自が如何に自分の能力を伸ばすか、企業が如何
に収益力を向上させるか、そして、同時にそうしたことを実現できやすいような環境を国が如
何に整備するかということなのです。

 ここまで言ってもインフレを起こして欲しい、という人は、借金で首が回らなくなっている人々
ということなのでしょうか。


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