経済ニュースゼミ

小笠原誠治の、経済ニュースを通して世の中の動きを考察するブログです。地球温暖化阻止のために石油・石炭産出権取引を提唱します。産出権取引は排出権取引とは違います。みんな勘違いするのです。

カテゴリ: 中東

 先日のEUのイラン産原油輸入禁止決定を受けて、イランが対抗手段を打つのでないかと報じられています。

 対抗手段と言えば、もちろんホルムズ海峡の封鎖? なんて思っていませんか。イラン自身がそう言明しているからなのです。

 でも、ホルムズ海峡の封鎖となれば、米国や英国が黙っている訳にはいかなくなってしまうのです。実際ホルムズ海峡が封鎖され、原油の流通に大きな混乱がもたらされると、途方もない損害が
世界経済にもたらされてしまうでしょう。

 ですから、オバマ大統領もそのことに関して、先日、イラン側に書簡を送ったばかりです。軽率なことをするなよ、と。そんなことをすれば、米国として黙って見過ごす訳にはいかないのだから、と。

 それに、アメリカとしては今、戦争などする気もないし、そのための費用を賄えない状況であるのです。アメリカの今の最大の課題は、経済を立て直し、雇用を回復させること。未だに8%台の失業率をなんとしても、あと2%程度は下げたいと思っているでしょう。そのような見通しが立たなければ決して大統領選に立ち向かうことはできない、と。

 では、どうやって雇用を回復させるかと言えば、先日の一般教書演説のとおり。アウトソーシングからインソーシングへ。つまり、海外移転の流れを逆転させる。再び国内回帰を促す。そして、そのためには国内回帰する企業に税制上の優遇措置を施す。或いは、大規模な公共事業を実施する。エネルギー政策を見直す。

 ただ、そのためには莫大な資金が必要となる訳です。しかし、ご承知のとおり、今米国は、財政再建に向かって無駄の削減に努めているところ。一体そのようなお金がどこから出てくるのか?

 その答えが分かっている人は、一般教書演説をよく聴いていた人でしょう。

 そうなのです。オバマ大統領は、国防費を大幅に削減し、それによって浮いたお金の半分を経済の立て直しに利用したいと言っているのです。

 私は何を言いたいのか?

 つまり、今、米国はイランと事を荒立てる余裕などないということです。だからお願いだからホルムズ海峡を封鎖するようなことはしてくれるな、と。イランだって、それは本意ではないだろう、と。

 ただ、イラン側からすれば、そんなことをオバマ大統領が言う位なら、何故、イランに対して制裁など課すのか、と。

 まあ、この辺のところが、なかなか理解しずらいところであるのです。

 イランとぶつかりたいなんて思っていないのに、何故イランを刺激することをするのか、と。しかし、米国からすれば、刺激しているのはイラン側だ、と。

 ねえ、分かりずらいでしょう?

 どっちも刺激しているようにも見え‥しかし、大切なことを忘れてはいけません。

 確かに、イランが核開発をすることによって、イランから米国は刺激を受けているのですが、一番刺激されているのは、米国というよりもイランのすぐそばに位置するイスラエルであるのです。イスラエルは、イランの核開発を大変深刻に受け止めている、と。何故それが分かるかと言えば、イスラエル自身が、イランの核開発は自国の存立を脅かすものだと言っているからです。つまり、イスラエルはいつでもイランを攻撃できる態勢を整えている、と。

 極東の我々から見れば、なんとぶっそうなことか。

 イスラエルとイランの間には、大変な緊張関係が発生しているのです。そして、それを米国は察知して、その緊張が戦争に発展しないようにと気を使っているのです。それに、イスラエル側からは何かと支援や影響を受けている米国ですから。次の大統領選のことも考えなければいけませんし。

 ということで、どうにかイスラエルを宥めたい米国としては、イスラエルに成り代わってイラン側に核開発の中止を求めたい、ということなのでしょう。

 でも、それはイスラエルと米国の論理であって、イランとしては、核開発こそ自国の独立を守る手段であると考えているのでしょう。何故、自分たちが核開発を止めなければいけないのか?イスラエルでさえ、核を保有しているから強気の態度でいられるではないのか、と。

 つまり、イランは核開発を止めることなど考えていないということでしょう。しかし、だからと言ってイランとしても、戦争までする気はない。だから、ホルムズ海峡の封鎖を実際にやるつもりはないかもしれない。しかし、米国やEUから経済制裁を突き付けられたままにしておくこともできない、と。何らかの対抗措置が必要である、と。

 そこで出てきたのが、逆制裁というやつであるのです。イランからの原油の輸入を禁止するというのであれば、自分たちの方から、原油輸出禁止を叩きつけてやろうではないか、と。

 EUのなかでも例えばイタリアなどはイラン原油の輸入に大きく頼っている訳ですから、それが、いきなり輸入ができなくなれば、イタリア経済にとっては大変な打撃になるはずです。それでいいのかと、逆にイランは脅かしをかけようというのです。

 ただ、いずれにしてもそうやってイランが逆制裁を掛けるとなれば、もはやホルムズ海峡を封鎖する必要もなくなるのです。何故ならば、そもそもイランが原油の輸出を止めてしまえば、イランの顔は立つ、と。

 そして、イランがホルムズ海峡を封鎖する可能性が小さくなれば、当然のことながら米国などが軍事的に反応をする必要もなくなるということで、ドンパチの可能性はなくなる訳です。そして、そうなればイランとしては、今まで通り核開発を進めようという魂胆であるのです。

 問題は、そういう事の進展をイスラエルがどう考えるかということなのです。

 事の本質は、イランにあるというよりも、イスラエルにあると考えた方が理解しやすいかもしれない
のです。

 英国や米国は、歴史的経緯を踏まえて、中東の平和実現のためにもっと本気で働く必要があるのではないでしょうか?

 「イランは、原油輸出を禁止することによって、外貨収入が途絶えないの?」

 まあ、中国などに原油を輸出すればいい、或いは、一時的な措置なので特に支障は生じないと考えているということでしょう。

 
 どさくさに紛れてイランの原油を買い叩こうとしている中国って何?
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 欧州は、ユーロ危機の対策で忙しいのかと思っていたら、イランに対する経済制裁を正式に決定したと報じられています。

 私、思うのです。イランに対する経済制裁は意味があるのか、と。

 ただ私がそう言うからと言って、米国や欧州の姿勢を批判し、その一方でイランを擁護しようというのではありません。確かに核兵器開発は止めてもらいたい。

 しかし‥どうも釈然としないものが残るのです。確かに世界は、核兵器を放棄するとともに、新たに核開発をすることも断念すべきであるのです。

 でも、既に多くの国が核兵器を保有しているではないですか?

 何故に、米国は他の国に対して、核兵器を持つなという権利があるのだろうか? 

 私には、そこのところのロジックがどうしても分かりません。ただ、ロジックは分からないながらも、米国が、他の国が核兵器を持つことを怖がる理由はよく分かる。特に、米国に対し好意を抱いていない国が核兵器を保有する場合には。また、だからこそ米国が、核兵器の拡散を防ごうとやっきになっているのです。

 しかし、理由はそれだけではないのです。それにはイスラエルとイランの関係悪化が影響しているのです。イランからの働きかけがあれば、どうしてもそれに応えざるを得ない米国。大統領選挙戦の動向なども影響しているのかもしれません。

 ただいずれにしても、米国の大義は、戦争の防止、平和の実現であるはずです。

 つまり、「核兵器開発を止めない国=戦争を厭わない国=イラン」という図式を世界の人々の頭の中に叩き込み、従って、イランに核兵器開発を止めさせることこそ平和実現の手段である、と主張しているのです。

 では、果たして、米国の言うとおりに多くの国が行動すれば、イランの核兵器開発を断念させ、平和な世の中になるというのでしょうか?

 もし、その可能性が大であるというのであれば、この際、日本もイランからの原油の輸入をストップさせることが望まれるでしょう。

 では、イランは、経済制裁が発動されると、素直に米国のいうことを聞くようになるのでしょうか?

 でも、それは大変に難しい。背景には宗教的な対立感情があり、また、それだけでなくこれまでの複雑な経緯もある。イランの権力者が簡単に米国の言うことを聞くようでは、国民からの支持を得ることができず、大勢は崩壊してしまうでしょう。

 それに、そもそも米国自身が、イランがそう簡単に核兵器開発を止めるなどと思っていないのではないでしょうか?

 例えば、イランよりも経済規模の小さい北朝鮮にしても、どれだけアメリカが脅かしたりなだめたりしても、核開発を止めようとはしないからです。北朝鮮もイランも、核開発を進めることによって外からの攻撃を防ぐことが可能だ、自国の独立を保つこそが可能だと信じているのではないのでしょうか。

 だから、過去、日本が経験したような事態にでもならなければ、イランや北朝鮮が素直に米国の言うことを聞くことはないでしょう。

 では、米国も欧州も、イランが言うことを聞かないであろうと思いつつも、経済措置を加えようとしているのでしょうか? そして、経済制裁発動によって、どのような事態を招来すると考えているのか?

 私、今回の出来事を眺めていると、嫌な感じがするのです。70年ほど前の日本の置かれた状況と似ているのではないのか、と。西欧の列強国は、他の国に侵出して、おいしいところをかっさらって行く。そして、それを日本もそれをお手本に朝鮮や中国に侵出した。しかし、余りにも日本の行動が目につきだした。自分たちの権益が侵される。そう感じた西欧勢は、直接日本に手出しをすることはないものの、エネルギー資源を日本が手に入れることを妨害することによって、日本の行動をコントロールしようとした。そして、その結果、戦争に至るのです。

 幾ら直接手出しをしないとは言え、経済制裁を課し、それが効果を有するようになれば、経済制裁を課された国は大変な状況に陥ってしまうのです。つまり、原油を海外に売ることができなくなったイランとしては、外貨を得ることができなくなるために必要な物資を海外から購入することができなくなるのです。そして、必要な物資を手に入れることができなくなると、国民は困難に直面することになるのです。

 で、そうなれば、イランとしては、米国や欧州勢に対抗しようという機運が高まるでしょう。つまり、ホルムズ海峡の封鎖どころか、現実にドンパチが始まってしまうでしょう。

 そのようなことを米国は気が付いていないのでしょうか?

 まあ、気が付いていないということはないでしょう。ただ、だからと言って好きこんで戦争をしようと考えている訳でもないでしょう。できることなら戦争は回避したい、と。しかし、過去の歴史から分かるとおり、やむを得ない場合には戦争も厭わないというのが米国です。

 では、今回、戦争を想定しているのか?

 ただ、どうも本音としては、そこまでは考えていないのではないでしょうか。経済制裁はする。しかし、戦争をする気はさらさらない。

 先日、オバマ大統領が、イラン側に書簡を送ったとか。ホルムズ海峡を封鎖するようなことはするな、と。

 私、思うのですが、この書簡は一つのサインではないか、と。確かにイランには核兵器の開発を止めさせたい。しかし、だからと言って戦争までする気は今の米国にはない。ただ、そうは言っても、もしイランがホルムズ海峡を封鎖するようなことをすれば、米国も黙っている訳にはいかない。だから、拙速な行動を慎んで欲しいと言っているのではないのでしょうか。

 つまり、今米国とイランという二つの国は、本気で戦争をする気はさらさらないものの、お互いに相手を威嚇するようなジェスチャーを取っているだけだ、と。

 それはそうでしょう。幾らイランに核兵器の開発を止めさせることを米国の国民が望んでいるとはいえ、また戦争が起き、その結果原油価格の高騰が起きれば、それこそ世界経済は大混乱に巻き込まれてしまうからです。

 だから、本音としては、オバマ大統領も事を荒立てたくはない。しかし、その一方で、大統領選なども絡みもありイランに強く当たることが求められている、と。

 まあ、こんなことを考えていると、如何に日本側に主体的にモノを考える能力がないか、よく分かるというものです。

 ところで、イランの主要な原油の輸出先をご存知でしょうか?

 2010年のデータですが

 1.中国      20%
 2.日本      17%
 3.インド     16%
 4.イタリア    10%
 5.韓国       9%
 6.その他    28%

 要するに、中国、日本、インド、韓国のアジア勢で、6割以上を占めているということです。欧州勢では、イタリアが主要輸入国として名前が上がる程度です。

 何故、米国がイランに制裁を科すことができるのか?

 それは、石油をイランに頼っていないからに他なりません。EUも、一部例外はあるものの、同じような状況にあるのでしょう。だから、EUは割と容易にイラン制裁を決定した、と。

 米国が言うように、イランに制裁を科すことが平和の実現を促進することになるのでしょうか?
私は、その反対だと思うのです。

 イランは、核兵器を開発していると言われていますが、中国は、核兵器を保有しているのです。皆知っているところです。そして、米国は中国をどのように考えているかと言えば、軍事的に脅威だと位置づけているのです。

 しかし、米国は中国に対して、核に関してとやかく言うことはない。決してない。何故か? それは、戦略的な互恵関係にあるからなのです。

 戦略的な互恵関係とは何か?

 難しいことを言うつもりはありません。ただ、中国は米国にとって如何に脅威であろうとも、今や中国との経済関係を否定することはできない関係になっているということです。仮に、中国がどんなに米国の言うことを聞かなくても、例えば、中国からの輸入をストップすることは米国にはできない。貿易摩擦の関係で、品目によっては関税を課すようなことはできても、全面的な輸入の禁止は決してできない。もし、そんなことをすれば、米国の国民の生活が成り立たなくなるからです。

 で、そうやって互いを必要とする関係に米国と中国があるので、何かの問題が両国に発生しても、決して戦争という選択肢は浮かんでこないのです。

 つまり、米国は、もっともっとイランから石油を買えばいいのです。イランがなければ米国のエネルギーが確保できなくなるようにすればよい。で、そうやって、両国が互いに必要とし合うようになれば、幾らイランが核兵器を保有しようと、決してそれを米国に向けて使うようなことは考えないでしょう。

 ということで、経済制裁よりも、イランとの経済的関係を深めることが、平和実現の道だと思うのです。

 

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