経済ニュースゼミ

小笠原誠治の、経済ニュースを通して世の中の動きを考察するブログです。地球温暖化阻止のために石油・石炭産出権取引を提唱します。産出権取引は排出権取引とは違います。みんな勘違いするのです。

カテゴリ: ロシア

 今回の日露首脳会談について、どのような感想をお持ちでしょうか?

 印象に残ったのは、柔道を見ている際にだけ見せたプーチン大統領の笑顔と、突然現れた孫さんが場違いに明るく振る舞っていたことでした。

 それから、1日目には抑えていたウラジーミルという言い方が2日目には度々安倍総理の口から発せられ、さらに君と呼んでいたのも、なんだかな…ですね。

 さて、それにしても内容的にもおかしな発言が目立ちます。

 先ず岸田外務大臣
 岸田外務大臣
 「今回の経済協力は、経済制裁の内容に矛盾するものは何もない」

 ここまで平気で言える面の皮がすごいと思います。

 実質的にみたら、どう考えても経済制裁の内容に矛盾しているとしか思えません。

 否、私は、何も欧米と歩調を合わせて経済制裁を続けるべきだと言いたいのではないのです。日本が独自の道を進んでもいいし、四島を取り戻すために敢えて経済制裁を解除したっていいのですが、しかし、一方で経済制裁を続けながら、他方で経済協力をするなんて…


 蓮舫代表が次のように言いました。

 「結果として大規模なわが国の経済援助で終わってしまったような印象がある。非常に残念だ」
 それに対して、安倍総理が言ったことは…

 「蓮舫氏は間違っている。ロシアはODAをする相手ではない。経済援助でなく経済協力。勘違いをしておられる」

 これも、基礎知識が欠如しているとしか思われません。

 というのも、外務省は「開発協力,ODAって何だろう」と題して、次のようにホームページで説明しているからなのです。

 「開発協力とは,「開発途上地域の開発を主たる目的とする政府及び政府関係機関による国際協力活動」のことで,そのための公的資金をODA(Official Development Assistance(政府開発援助))といいます。」

 経済協力の中には民間のコマーシャルベースの協力も含まれるので、経済協力の全てがODAに該当する訳ではないのですが、実際には経済協力の大半がODAに該当すると考えていいのです。

 なお、経済援助は、初期の頃の言い方で、相手国に対する配慮から援助と言わずに協力という言い方を使用するようになったと言われています。

 さらにおかしいのは、ロシアはODAを供与する相手ではないと安倍総理も認めていながら、そのロシアに経済協力をしようとしていることです。

 北極圏にあるヤマル半島での液化天然ガス(LNG)基地開発には国際協力銀行(JBIC)が融資する案件などが含まれており、どう考えても援助的色彩が濃いのです。

 それから安倍総理が次のように言っているのも、意味不明です。

 「ロシア法でもなく、日本法でもない、特別な制度をこれから専門家が協議を行っていくことになる」

 「日ロ両国の立場を害さないという共通認識のもとで進められる」

 否、言いたいことが全く分からないというのではないのですが、ロシアの立場を害さないなんて言うこと自体、ロシアの領土主権を認めたことになってしまうので、言語道断。

 二階幹事長が次のように言ったことについても、ピントはずれなコメントをしています。

 「国民の皆さんの大半は、がっかりしている」

 「経済問題ももちろん大事かもしれないが、人間は経済だけで生きているわけではない。もう少し、その辺の問題に真摯に向き合ってもらいたい」

 安倍総理の反応です。

 「(二階さんの国民はみんながっかりしている発言は)これはロシアについて言っている」

 「島にはロシア人が住んでいる 島民のロシアの人たちのことは第一に考えるべきだ」


 

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 明日、安倍総理とプーチン大統領の首脳会談が山口県長門市で開催されます。

 今年に入ってから北方四島返還の期待が高まった時期もあった訳ですが、明日の首脳会談を前に返還を予想する向きは殆どない状態となっています。

 トランプ氏が次期大統領に決定するまでは大きく期待が盛り上がっていたのですが…安倍総理がペルーでプーチン氏と会談した直後から、雰囲気が一変しているのです。

 それまでは国際協力銀行によるロシアへの融資決定など、日本政府の前のめりの姿勢が窺われていたのに、です。

 但し、それでも日本による対ロシア経済協力がストップする様子はありません。

 昨日も報じたように、森元総理は、極東開発への積極的な協力が必要だと言い続けています。

 ただ、その一方で、幾ら日本が経済協力をしてもそう簡単に四島が返ってくることはあり得ない、「食い逃げにされてしまうぞ!」なんて声も聞こえてくるのです。

 で、そうした批判の声があるからこそ世耕経済産業大臣は、「日本にもメリットがあり、ロシアの食い逃げ論は当てはまらない」と自己弁護に努めているのです。

 果たして、ロシアは食い逃げするつもりなのでしょうか?

 結論から言えば、そう簡単にロシアが四島どころか二島でさえ返すことはないと思います。但し、だからと言って、ロシアには食い逃げをするつもりはないと思われます。

 どういうことかと言えば…

 食い逃げというのは、お金を後で払うというフリをしながら注文した料理を食べ、そして、知らないうちに逃げ去ることですが、プーチン氏は、四島を返すなんて少しも匂わせていないからなのです。

 というのも、プーチン大統領は、北方四島は取引の対象にはしないとかねてから明言していますし、昨日も、「ロシアにはそもそもいかなる領土問題も全くないと思っている。日本がロシアとの間に領土問題があると考えているのだ」と日本側の過剰な期待を否定しているからです。

 さらに付け加えるならば、ロシアの政府関係者までが、「即時の解決策への期待を高めるのはおろかであり、有害だ」とまで言っているのです。

 ここまではっきりと明言しているのに、それで「食い逃げだ」なんて言われるのはロシアとしても耐えられないでしょう。

 そうなのです、ロシアは北方四島の返還実現など少しも仄めかしていないのです。日本の国民に淡い期待を抱かしているのは、我々のリーダーである安倍総理なのです。

 否、安倍総理が、北方領土の問題を解決すべく努力をしているのは評価されてしかるべきでしょう。しかし、そのためのやり方が現実的でないというか…いい格好をしたいという気持ちだけが透けて見えるのが気になるのです。

 安倍総理は、依然として次のように言います。

 「私の世代で、この問題に終止符を打つ。この決意で臨みたい」

 この問題に終止符を打つということは、領土問題に決着をつける…つまり、基本的には北方四島を返還させるということなのでしょうが、それがどうやって可能なのか全く説得力がないのです。

 何故かと言えば、ロシアの言い分は、それが正当であるかどうかはさておいて、極めて明快であるからです。

 つまり、ロシアにとっては、北方四島の領土問題など存在しないのですから。

 領土問題など存在しないという前提に立つ以上、幾ら日本に経済協力をしてもらっても、それに対する感謝の念を示すとしても、自分の領土を分け与えるなんてことは普通あり得ないのです。

 それに、そもそも日本の北方四島に対する考え方にもおかしなところがあるのです。

 それについて、鈴木宗男氏は次のように言っています。

 「当時の日本政府は条約で国後・択捉の権利を放棄しています。具体的には「千島列島を放棄する」と宣言しているんですが、国後と択捉は千島列島に含まれています。一方、歯舞・色丹は根室の行政区なので権利は日本側にあります。歯舞・色丹の2島引き渡しを目指した日ソ共同宣言(56年)の発効日の翌日、根室の住民らは大喜びし、提灯行列していますからね」

 では、何故その後、一旦は放棄した国後と択捉も日本の固有の領土だと言い出しているかと言えば…

 「ダレスの恫喝」があったからだ、と。

 「日本の全権代表がモスクワで共同宣言の交渉中、重光葵外相がアメリカのダレス国務長官とロンドンで会談した際、ダレスは、「もし日本が2島返還で合意してソ連と平和条約を結んだら、沖縄を永遠に返還しない」と恫喝してきたんです」

 この鈴木氏の指摘が当たっているとすれば、日本は一旦は国後と択捉を放棄したことになるので、四島全てがロシアに不法に占拠されているという言い分は正当性を失うのです。

 その辺のところを安倍総理はどう考えているのでしょうか?

 まあ、だからといって、ロシアに経済協力をするのが悪いと言う必要もないのでしょうが…しかし、最近盛り上がってきたロシアに対する経済協力のムードというのは、あくまでも四島の返還の実現の可能性が一般の国民も納得する話なのですから、四島返還の可能性がないのであれば、それをはっきりさせた上で、経済協力は全く別の観点から進めるものだと国民に説明する責任が安倍総理にはあるのです。

 

 安倍総理は、経済協力を絡ませた外交を積極的に展開してきたが、インドネシアの高速鉄道プロジェクトなど殆ど実を結んでいないと思う方、クリックをお願い致します。
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 森元総理が、次のように述べています。

 「極東開発はプーチン氏の夢だ。ここに日本が投資し、開発に協力する人が居住すれば、ロシア人も定着して質の高い地域になると期待している。シベリア鉄道やエネルギー開発も、私が首相時代から重視している。安倍首相が5月のソチの会談で提案した8項目の経済協力プランに基づき、極東開発に徹底して協力する姿勢で臨んでほしい」

 要するに、森元総理が言いたいことは、日本側が極東開発に徹底して協力すれば北方四島が返ってくる可能性が大になるので、そうすべきだということなのでしょう。

 果たしてそうなのでしょうか?

 仮に森元総理の言う極東開発の対象地域に北方四島が含まれていないのであれば、まあ、それも一つの意見であるとは思います。しかし、北方四島も極東開発の対象に含まれ、そして、日本が極東開発に積極的に協力した結果、ロシア人の誰もがそこに定住したいというほどの町に四島が変身したとしたらどうなるのでしょうか?

 そのとき、多くのロシア人が、これも全て日本人が極東開発のために多額のお金を投じてくれたためであり、日本に恩返しをする必要があると思ってくれるのでしょうか?

 多少はそのようなことを思うロシア人がいたとしても不思議ではないでしょう。恩返しをしたいと思うかもしれません。しかし、だからといって、今さら四島を日本に戻したいと思う筈がありません。だって、立派になり、自分たちが生活をしていく上でなくてはならない存在になっているからです。

 北方4島のうち、歯舞は、国境警備兵が駐在しているだけで一般のロシア人が居住している訳ではないので、歯舞程度は返還されるかもしれません。しかし、何故極東開発を進めるかと言えば、それが自分たちにとってなくてはならない領土であり、魅力ある地域にしたいからであるので、だとしたら、開発して経済発展させた後、それを日本に返還することがあり得ないのは当然ではないですか?

 従って、むしろ極東開発など進まず、こんなところには余り住みたくないと思わせた方が、日本に戻ってくる可能性は大きくなるのです。

 人気のない島であればあるほど、それを日本に返還しても関心を寄せるロシア人が少なくなり、そうなるとそれによってプーチン大統領の人気がなくなるということもないでしょう。

 それに、日本側がロシアの北方四島に関する領有権を正式に認めるのであればともかく、どれだけ長い間、ロシアに実効支配されているにも関わらず四島は日本の固有の領土であると言い続けるならば、日本が極東開発にどれだけ協力したとしても、四島が返ってくる可能性はないと言っていいでしょう。

 プーチン大統領としては、先ず、日本に四島の領有権がロシアにあることを認めさせた上で、仮に日本がそうすれば、だったらお情けとして歯舞と色丹の二島程度ならプレゼントしてもいいと言っているだけなのです。

 しかし、幾ら二島が返還されることになったとしても、四島の領有権がロシアにあるなんて正式に表明した日には売国奴と非難される恐れがあるので、歴代政権はそうした立場に立つことはなかったのでしょう。

 ところで、つい最近まで安倍政権は、北方四島の返還に向けて歴史が動くのではないかと期待させるような言動を取ってきました。明後日の15日に開催される安倍総理とプーチン大統領の山口県における会談で何か進展があることを期待させるようなムードを醸成してきたのは事実です。今までと違う新しいアプローチで臨んでいるから、交渉の道筋が見えてくるのではないか、と。

 しかし、ご承知のように、トランプ氏が米国の次期大統領に決定した以降、期待は急に萎んでしまっているのです。

 何故なのでしょう?

 トランプ氏が米国の次期大統領に決定したことによって、ロシアと米国の関係が改善するのではないかと期待され、従って、プーチン氏にとって日本に接近することの重要性が相対的に薄れてきているからだ、などともっともらしく解説する向きもあるのですが…

 私は、それは決定的な理由であるとは思いません。

 安倍総理は、日本の従来の政経不可分の原則を捨て去り、北方四島が返還されるかどうかは別として、日本がロシアに経済協力を施せば必ずやそのことが四島の返還に結びつく筈だと考えたことに問題があると思うのです。

 つまり、安倍総理は、政経不可分の考えを捨て去り経済協力を積極的に行うことを新しいアプローチと位置づけた訳ですが…ロシアが望んでいるのは、それを一段と前進させ、日本がロシアの四島に対する領有権を認めさせることであるので、そこまで踏み込まなければロシアにとっては到底新しいアプローチとは言えないのです。

 だとしたら、そうしたロシア側の主張を受け入れ、取り敢えずロシアの領有権を認めた上で二島の返還を実現させる道を選ぶべきか、或いは、ロシアの領有権など認める訳にはいかないので、今までの状態が今後も続くことを甘受すべきか、日本国民の判断が求められていると言っていいでしょう。

 いずれにしても、そうした根本的な問題に踏み入ることなく、ただ漫然と極東開発に協力するということになれば、四島がロシアの人々にとって益々必要不可欠な生活の場になるばかりで、従って、返還の可能性は小さくなるばかりだと言っていいでしょう。

 外務省は、「北方四島はいまだかつて一度も外国の領土となったことがない我が国の領土です」なんて今でも言っていますが、そんなことだから交渉が進まないのではないのでしょうか?

 領土かどうかの判断は、特定の土地に対する支配権の法的な正当性によってだけでなされるものではなく、実際にどのような状態が続いているかが大きいのです。

 それに、仮にそれでも北方四島が日本の領土だと主張するのであれば、何故それを国際司法裁判所に訴えないのでしょうか? もし、裁判に訴えて日本が敗訴することにでもなれば、北方四島が返還される可能性が皆無になってしまうことを恐れているからではないのでしょうか?

 そんなことだから、いつまで経っても解決しないのです。


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 11月19日、ペルーで日露首脳会談が行われましたが、なかなか厳しい状況が続いているように思われます。

 会談後、安倍総理は次のように言っています。
 「簡単ではない」

 それに、安倍総理にべったりの二階幹事長も次のように。
 「ムチャクチャに満点の結果が出るとは思えない」

 どうして、希望が持ちにくいかと言えば…

 プーチン大統領が、北方領土での「共同経済活動」を行なう必要性に言及したからというのです。

 どういうことなのでしょうか?

 朝日新聞は、次のように解説しています。

<北方領土での共同経済活動>

 北方領土を巡る日本とロシアの信頼関係を深めるため、両国による合弁事業などの協力を進めようという考え。栽培漁業やインフラ整備などが対象として想定されてきた。ロシアは自らの法律の枠内で事業を進めるべきだという立場。日本の領土にロシアの法律を適用することは認められないと主張する日本との隔たりは大きく、本格的な協力は実現していない。

 要するに、北方領土で共同経済活動を行うということは、日本がロシアの領有権を認めてしまうことになって、そうなると北方4島は日本のものであるから、即、返還すべしという日本のこれまでの立場と矛盾していまうからなのです。

 そもそも、プーチン大統領の北方領土問題に関する基本的な考えは次のとおりなのです。

 「解決したい」、「領土の取引はしない」

 私、勝手な想像ですが、安倍総理は何か誤解をしているのではないかと思うのです。

 プーチン大統領だって北方領土問題を解決したがっている。だとしたら、話し合いの余地が十分あるのではないか、と。その一方で、プーチン大統領は、領土の取引はしないと言っているので、「北方領土を返還してくれるなら日本は経済協力に応じる」とか、「北方領土の返還に応じない以上、日本が経済協力を行うことはできない」(政経不可分の原則)という日本の従来の立場を改めない限り、事態は進展しない、と。

 ということで、安倍政権は、国際協力銀行による対露融資などを含め、既に前のめりで経済協力に着手しているところなのです。

 そして、もう少し日本が対露支援に積極的な姿勢を示せば、北方四島の返還に向けて動き出すのではないか、と。

 しかし…その可能性は小さいのではないでしょうか?

 ロシアの国民の多くが北方四島に対する考えを変えれば別ですが、返還なんてあり得ないと言っている訳ですから、そうした国民の意思に逆らってまでプーチン大統領が行動を起こすことはないでしょう。

 「でも、プーチン大統領も、解決したいと言っているでは?」

 勘違いしてはいけません。

 プーチン大統領がいう解決とは、日本に北方領土はロシアのものだと認めされることが解決なのです。そして、そのために「共同経済活動」を行なおうと言っているのです。

 まあ、日本が正式にロシアの領有権を認めたら、その上で、小さな島の2つほどはプレゼントしてあげてもいいと言うかもしれませんが、それも、日本がロシアの領有権を認めた上での話なのです。

 ということで、私プーチン大統領が来日しても、とても満足のいく結果が出るとは思えないのです。

 



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 G7が3月3日、ウクライナに対して「強力な金融支援を行うことを結束して約束する」と表明しました。また、欧州委員会のバローゾ委員長も5日、EUがウクライナに対して今後数年間にわたり110億ユーロ(150億ドル)の金融支援を行う用意があると表明しました。米国も、ケリー国務長官が4日にキエフ入りをして、ウクライナに対する米国による金融支援を表明しています。

 但し、米国の支援内容のなんとしょぼいことか!

 というのも、米国の金融支援の内容は、ウクライナに10億ドル(約1000億円)の融資保証を与えるというものだからです。

 いいでしょうか? 米国はあんなに大見得を切っておきながら、そして、金融支援を行うと言いながら、米国自らウクライナにお金をあげる訳ではないし、融資する訳でもない。ウクライナが誰かからお金を借りる場合に保証人になるというだけの話なのです。しかも保証限度枠は10億ドルまでだ、と。

 もう一度いいましょう。米国のなんとしょぼいことか!?

 それに、ウクライナが必要とするお金は、今後2年間ほどで350億ドル程度になるというのですから、米国の支援額はその必要額の3%にも満たないのです。

 ところで、日本はどうするのでしょうか?

 麻生副総理は次のように述べています。

 「強力な金融支援をするとG7で結束してコミットしたことは意義があった」、「日本としては、IMFや各国と連携して適切に対応していきたい」

 まあ、そのように言うしかないことは理解できます。日本が協調を乱してはいけないのです。

 では、日本はどのような貢献をするのか? 要するに、幾ら金を出すのか?
 
 再び、麻生副総理の発言です。

 「今言える段階でない」

 この発言、貴方はどのようにお感じになるでしょうか?

 この際、もっと気前のいい態度を示して、欧米社会に恩を売るべきか?

 バカを言ってはいけません。麻生副総理の発言は極めて妥当な内容なのです。

 本当は、ウクライナに貸す金などない、と言ってもよかった。

 何故、私がウクライナに厳しいことを言うのか?

 その前に、私は皆さん問いたい。何故、国際社会はウクライナに金融支援を行うのか、と。何故でしょう?

 メディアは、このままウクライナの財政を放置すれば、遠からずウクライナは資金繰りが付かなくなりデフォルトに至ることが懸念されると報じています。つまりウクライナという国がデフォルトを起こせば、国際経済に与える影響が小さくないので、支援の手を差し伸べることが必要だと言いたいのです。

 しかし、ウクライナは最近になって急に資金繰りが危うくなったのではありません。というよりも、かなり以前から資金繰りがつかない状態に陥っており、だから、以前からIMFのお世話になっているのです。

 但し、IMFからの融資が実行されるためには、お金を借りる側のウクライナとしても、財政を削減するなどの厳しい自助努力が求められるのですが、ウクライナはその約束を果たすことができずに、IMFの支援がストップされていた経緯があるのです。

 例えば、IMFはウクライナに対し、ガス消費に対する補助金を廃止するように勧告していたらしいのですが、それが実行されなかった、と。

 いいでしょうか、皆さん。ウクライナは、こうして政治情勢が不安定になるまでは金融支援の必要性が国際的に認識されるような状況にはなかったのです。それが、ロシアが軍事介入を行ったものだから、それに対する反発が西側から巻き起こり、なんとしてもウクライナを支援すべきだという雰囲気が出来あがったのです。

 資金繰りが付かずに困っている国があったとして‥そして、当事国が真摯に反省して再建を誓っているのであれば、国際社会がIMFを中心として支援の手を差し伸べることが適当だと思います。

 ただ、国際社会が支援するとしても、先ずは当事国が真剣に自分たちがそれまでに行ってきたことを反省することが必要です。

 では、ウクライナは、既存のIMFの支援がストップされた後、何か真摯な努力でもしたというのでしょうか?

 もし、ウクライナの人々が経済を立て直すために自分たちの生活を切り詰めて努力してきたというのであれば、それならウクライナを支援する声が大きくなって当然でしょう。

 でも、こうしてウクライナを支援すべきだという声が大きくなっている理由は、そのようなことが理由ではないのです。そうではなくて、ウクライナがロシアとの関係を断ち切り、EUに加盟しようという姿勢を見せたから、欧米はウクライナに加勢しようというだけの話なのです。

 もちろん、EUや米国が自腹を切ってウクライナを支援するというのであれば、それに対して私などが何かを言う必要はありません。しかし、IMFは国際的な機関なのです。そのIMFが、そうした欧米に安易に利用されようとしているので、疑問符を付けざるを得ないのです。

 それに、これまでウクライナがIMFに約束したことをなかなか実行できなかったのに、何故追加の支援ができるのか、と。そのようなことを認めていたら、そもそも真面目に経済及び財政の改革に取り組む国などなくなってしまいます。

 私が、このようなことを言えば、ウクライナに少し厳しすぎることを言っているのではないかと思う人がいるかもしれません。そのような人のために、決定的な事実を示しておきたいと思います。

 それは、ウクライナの財務相が5日、外貨建て債務の再編について債権者と協議を開始する可能性について述べた、という事実です。

 債務の再編と言われても、何のことか分からない人がいると思うのですが、借金を一部棒引きして欲しいと、ウクライナが言いだしているということなのです。しかも、ドル建ての国債は元本の削減を要請したいが、ユーロ建て債券については除外する、と。

 言っては何なのですが、このような国に融資を行っても、数年も経たないうちに元本を削減してくれと言われるのがオチでしょう。

 いずれにしても、こうして欧米がウクライナに対する支援の姿勢を強めれば強めるほど、ロシアとしては、ウクライナに対する債権者としての地位が守られる意味もあるのであながち不愉快になることもないのです。

 ロシアに対して経済制裁をすると脅かしをかける一方で、ウクライナに対する金融支援を行うと言って、ロシアの債権を保全するような行動に出る欧米諸国。

 日本は冷静に対処することが必要だと思います。


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 海外でも、そして国内でも株価が回復しています。

 何故か?

 ウクライナの緊張状態が緩和しつつあるからだ、と。

 でも、ロシアは軍事介入するのではなかったのか?

 確かにそう言っていた訳ですが、現実には武力衝突という事態には至らず、それどころかプーチン大統領が演習を行っていたロシア軍の撤収を命じたので落ち着きを取り戻しているのです。

 ところで、そのプーチン大統領が会見をしました。私は、プーチン大統領が如何に怖い男かと言う噂を一般の方々と同じように承知しているので、プーチン大統領という人間を心底信じることはできません。しかし、それでも、プーチン大統領が今回述べていることは理路整然としているのです。

 次がプーチン大統領の考えです。

・ウクライナの政権交代は違法なクーデターによるものであって、今でもヤヌコビッチ前大統領が正当な指導者である。

・ロシアにはクリミア自治共和国を併合する考えはない。

 如何でしょうか?

 プーチン大統領は、ウクライナの政権交代が違法なクーデターによるものであって、正当な指導者は今でもヤヌコビッチ氏であり、そのヤヌコビッチ氏から、助けて欲しいとの要請を受けたから軍を派遣したと言っているのです。

 論点の一つは、ウクライナの政権交代の正当性なのです。

 もし、プーチン大統領の言うことが当たっているならば、そのときには欧米の主張が根拠を失うのです。

 しかし、欧米は、ロシアの軍事介入という事実を取り上げてロシアを糾弾する作戦を取った。オバマ大統領は、ロシアのそのような行動には代償が伴うと言い、そして、ケリー国務長官は、ロシアを孤立化させると言った。

 でも、部外者として見ていて、なかなか納得できなかったのは、どのようにしてウクライナで政権交代がなされたかということでした。つまり、ウクライナの暫定政権は合法的なものなのか、と。

 確かにヤヌコビッチ政権は腐敗していたのかもしれません。そして、その象徴としてヤヌコビッチ氏の豪邸が映し出されました。

 しかし、専門家によれば、ウクライナでは親露的な政治家であっても、逆に親欧米的な政治家であっても、権力を握ると必ず腐敗するというのです。

 欧米諸国が、ロシアを非難するのであれば、先ずウクライナの政権交代の正当性を証明すべきだったのに、とにかく姿勢が前のめりになり過ぎてロシアを非難することだけしかしなかった。

 そして、我が国のメディアの多くは、それにそうした流れに同調するだけで、事実を客観的に把握する作業を怠った、と。

 いずれにしても、気が付いてみたら、欧州勢と言っても一枚岩ではなかったのです。どんなにケリー国務長官が威勢のいいことを言っても、ドイツは渋った。というのも、ドイツは、ロシアと距離的にも近いし、ロシアの天然ガスに対する依存度が高いので、ロシアとの経済的関係が遮断されるのであれば、大変な悪影響が経済に及ぶことが必至だったからなのです。

 それにも拘らず、ウクライナを西側に引き入れたいとの思いからは、ロシアに対する非難が続いた。

 確かに軍事介入に出たのはロシアなのですから、ロシアが批判されて仕方のない面はあった。

 しかし、何も緊張関係をさらに高めるような‥つまり煽るようなことを言う必要もなかったのです。

 オバマ大統領は度胸がないと言われました。

 しかし、どれだけ欧米の言うことに正当性があるにしても、軍事的衝突にいたったら取り返しのつかないことになるのは明らかなのです。

 仮に軍事的衝突に至ると、どんな事態が想定されるのか?

 私のブログを読んでくれている人のなかには、例えば、日本が他国から侵略されそうになったときに黙って見ているのか、なんて批判をする人もいるのですが‥私は敢て言いたいと思います。直ぐに反撃するばかりが能ではない、と。確かに反撃しないと領土を取られてしまう可能性はある。しかし、戦争を避けつつ、そして、国民の命を大切にしつつ、領土を取り合えす方法を考えればいいのです。領土は取り返すことが可能でも、一度失われた生命は取り戻すことができないのです。

 それに、今回のウクライナの場合、ウクライナが旧ソ連の核兵器産業の中核を担っていたことを忘れてはいけません。今でも15基の原発が稼働しているのです。そのような国にミサイルが飛び交うなんて、想像することすら恐ろしい。だから、何としても軍事的衝突を避ける必要があった、と。

 さらに言えば、ウクライナは約14兆円もの対外債務を抱えていると言われています。つまり、戦争が始まると、それだけでも恐ろしいことなのに、さらにデフォルトによって大変な影響を国際経済に与えるのです。

 だから、多少、否、相当にロシアの言い分に分がないとしても、対立を煽るような、そして、ロシアを孤立化させるような方策は採るべきではなく、話し合いを優先させることが必要であったのです。

 案の定というか、こうしてプーチン大統領がロシアの考え方を述べると、それほど理不尽なことを主張してる訳でもないことが分かるのです。

 では、何故プーチン大統領は、割に冷静な態度を取っているのか?

 それは、ウクライナが抵抗しなかったからです。

 何故ウクライナは徹底抗戦をしなかったのか?

 余りにも軍隊の勢力に違いがあったから?

 それが第一の理由でしょうが‥ウクライナのデニス・ベレゾフスキー海軍司令官が、ロシアの軍艦が到着するや否やクリミア自治共和国への忠誠を誓ったことも大きいのです。 要するに、ロシアへ寝返ったのです。

 そんな行為は、普通の感覚からすれば国を裏切る行為にも見える訳ですが、海軍のトップが、そうやって寝返ったことによって無駄な血を流す必要もなくなったのです。

 普通は褒められた行為とは言えない海軍司令官の行為が、今回多くの人命を救うきっかけになったのです。それはそうでしょう? トップが寝返る訳だから、部下は拍子抜けして戦争などする気にはなれないのです。

 逆に、この司令官が果敢にロシアの軍隊に向かって行ったらどういうことになっていたでしょう?

 武力衝突の勃発です。そうなれば、ロシアも引くに引けない訳ですし、クリミアをぶんどってしまう結果にもなっていたでしょう。


 
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 ロシアの海軍がクリミアに配備されているウクライナ海軍に投降を迫ったと報じられ、急速に緊迫感が増しています。

 本当にドンパチが好きな白人たち。

 いずれにしても、武力の衝突だけは回避してもらいたい。

 では、どうしたらいいのか?

 ロシアに対して、軍事介入を止めろと言っても、彼らが素直にそれに従うことはないでしょう。ロシアの軍事介入が非難されるべきものだとしても、ロシアにはロシアの理屈があるからです。

 表向きの理由は、ウクライナ、特にクリミアにいるロシア系の住民の安全と財産を守ることが必要である、と。但し、本音としては、これまでロシアがウクライナに認めさせていた特権を守ることが是非とも必要である、と。

 早い話、ウクライナがこのままEUに加盟することにでもなれば、ウクライナは今までのようにロシアを大切にすることはなくなり、ロシアの利益が大きく損なわれてしまうということなのです。つまり、親露的であったヤヌコビッチ政権が追放された今の流れを黙認するならば、ロシアの権益が侵害されることが明白であるので、ここは何としても黙って見逃すわけにはいかないということなのです。

 ただ、欧米側からみたら、そのロシアの言い分は理屈としては成り立たないのです。

 何故ならば、幾らウクライナが歴史的にみてロシアと深い関係にあるとしても、ウクライナは独立国家であるので、そこで何が起ころうとも、そのウクライナの問題に関して第三者であるロシアが一方的に軍事介入するのは国際法上も許されないからなのです。

 理屈を言うのならば、欧米の言うとおりでしょう。

 しかし、そうは言っても現実にロシアのこれまでの利益が大きく侵害されることも事実。だから、ロシアは実力行使に出たのです。

 確かにロシアの理屈は正当性を欠く。しかし、欧米だって、他の国の問題に関して、人権侵害や独裁体制の打破を理由に軍事介入することがあるのは、誰もが知っていることなのです。

 要するに、欧米諸国は、口ではどんな立派なことを言っても、自国に利益になるように行動するのが常であるので、ロシアの行動を批判する資格がどれほどあるのかということなのです。

 いずれにしても、戦争だけは回避しなければなりません。

 では、我々はそのためにどのような手段を利用すべきなのか?

 私は、先ずどちらが正義であり、どちらが正しいのかというような議論を止めることから始めることが肝要だと信じます。

 確かに争い事がある場合には、誰に責任があるかを詮索したくなりますが、そうなると悪い方におしおきをする必要があるということになり、その一方、責任があるとされた側がそれを認めないと、どうしても衝突が起きることが避けられなくなってしまうからです。

 従って、どちらの言い分が正しいかを考えるよりも、どうしたら武力衝突を回避することができるか、ということを優先すべきだと思うのです。

 では、どうしたらウクライナにおける武力衝突を回避することができるか?

 それは、とにかく戦わないと決めることが一番。

 私が、そのようなことを言えば、そんなことではロシアに領土を取られてしまうという人々がいるかもしれません。

 しかし、今回のロシアの軍事介入について考えれば、ロシアが何の理由もなく、いきなり行動を起こした訳ではないのです。ロシアの言い分にどれだけ合理性があるかは別として、ロシアの権益が侵されそうになっているから行動に出ただけなのです。だから、仮にウクライナがEUに加盟しようとするにしても、今までの経緯もある訳ですから、ロシアとの話し合いを十分に尽くした上で行うべき事柄だったのです。
 
 では、欧米社会はロシアにどう対処すればいいのか?

 オバマ大統領は、ロシアの行為には代償が伴うと言いました。意味深な言葉です。ロシアが軍事行動に出るのであれば、西側による報復も覚悟しろということが含まれるのでしょうか?

 ケリー国務長官は、ロシアを孤立化させることが必要だと言っています。

 でも、孤立化させることなんてするから却って緊張が高まってしまうのです。ケリー国務長官は、過去の冷戦の歴史から何を学んだのでしょうか?

 孤立化なんて必要はないどころか却って有害なのです。

 では、経済制裁を課すべきか?

 それも必要はありません。

 というのも、経済制裁などしなくても市場のメカニズムが働いて、既にロシアに不利に働いているからです。

 ご承知のように、欧米市場では株価が低下しています。しかし、それだけではないのです。ルーブルの価値が急落しています。自国の通貨の価値が下がって喜んでいるのは、これまでの日本位なものなのです。ロシアは早速反応をしています。つまり、急激な自国通貨の価値下落を食い止めるために利上げを余儀なくされているのです。

 利上げになれば、当然のことながらロシアの経済活動にブレーキをかけてしまいます。そして、そうなればGDPは縮小してしまうでしょう。

 他方、経済制裁などが噂されるだけでドイツの株価は特に悪影響を受けるのです。何故かと言えば、ドイツはロシアのガスに対する依存度が大きいからなのです。そして、そのような状況にあるドイツとしては、過激なことを言うケリー国務長官には一歩距離を置くことになるのです。

 つまり、こうして市場が関係者に、戦争を思いとどまらせるように働きかけるのです。

 ロシアが独りよがりの行動に出れば、必ず市場が反応してルーブルの価値は下落する。そして、欧州との関係も悪化するので、輸出収入も激減する。それで、仮にクリミアの権益を確保できたところで、どれだけトータルとしてロシアのとってプラスになるのか?

 そんなこと、計算すればすぐ分かる筈なのです。

 もし、ロシア側がそれに気が付かないのなら、それを教えてあげるのが欧米や日本の務めです。

 まあ、ソチで開かれる予定のサミットはボイコットするぞ、という程度は言っていいかもしれません。しかし、いずれにしても、ロシアを孤立化させるなんて歴史に逆行する話なのです。

  繰り返しますが、ロシアが自分勝手な行動に出ると、却ってロシア自身が損をする結果になるということを教えて上げるべきなのです。欧米がそれを教えなくても、市場がそれを今ロシアに教えてあげているところなのですが‥

 
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