FRBが、一般企業が発行するコマーシャル・ペーパーを購入すると発
表しました。
より正確には、FRBが特別目的会社を創設し、それが、企業が発行す
る期間3ヶ月のCPを購入するというのです。無担保CPでも、有担保の
CPでも買うというのです。
中央銀行が、中央銀行でなくなろうとしているということです。
何故か?
皆さんが、住宅ローンを借りたいからといって、日本銀行の本店や支
店に出向き、ローンを申し込んでも貸してはくれません。
「預金をしていなから? だったら、預金口座を設けるよ」
預金も預かってはくれません。
トヨタが日銀にいってもお金を貸してはくれません。
市中銀行に行って下さい、と言われるだけです。
そうです。中央銀行とは、一般企業や消費者を相手にすることはない
のです。
中央銀行が相手にするのは、もっぱら銀行なのです。
だから、中央銀行は、「銀行の銀行」と呼ばれるのです。
他にも中央銀行の特徴はあります。
それは、銀行券、つまりお札を発行すること。従って、「発券銀行」と呼
ばれます。
それから、中央銀行は、政府と社会全般とのお金のやり取りに関し
て、政府の代理人の役割を果たします。つまり、日銀に設けられた政府
の預金口座に税金が集められたり、反対に、そこから国の支払いが行
われたりするということです。
こうして、「政府の銀行」とも呼ばれます。
で、アメリカの中央銀行である連銀は、以上の3つの特徴である、「銀
行の銀行」という役割に修正を加えようとしているのです。
銀行の銀行であるだけではなく、一般企業の銀行にもなるよと。
つまり、企業がお金を借りたいのならば、連銀に言ってくれと。
但し、貸し出しに際しては、CP発行の形をとってもらうということなので
すが‥。
ついにここまで来てしまいました。
先日、バナンキ議長は、FRBは、できることは何でもすると明言してい
ましたが、私にとっては、できることを超えたことをやろうとしているよう
に思えてしまいます。
「でも、どうしてそんなことをするの?」
まあ、それだけ信用不安が酷くなっているからでしょうが。
「でも、そんなことをすると、民間の金融機関の仕事を奪うことにはな
らないの?」
本来であれば、そういうことになるのですが‥。
そもそもCP市場が機能麻痺を起して、このまま見逃していると、一般
企業のなかには、資金繰りがつかず倒産するところが出てくると懸念さ
れているからです。
「じゃあ、なんでCP市場が機能しないの?」
CPとは、一般企業が発行するコマーシャルペーパーという証券のこと
で、それを発行することによって企業は直接投資家から資金を調達す
るものです。
「銀行からお金を借りるわけではないのね」
はい、銀行の融資ではありません。直接金融の世界ということになり
ます。ただ、CPの発行に当たっては、金融機関が関与する場合がある
ようです。
「だったら、どうしてCPの発行ができなくなっているのかな」
先日、リーマンブラザーズの破綻がありましたね。あれが原因で額面
割れを起こしたMMFが発生しましたが、そのことをきっかけとして投資
家がナーバスになってしまい、CPの引き受けに非常に消極的になって
いるというのです。
ということで、やむにやまれず‥ということでしょうか。
「何でもありになっちゃったのね」
まあ、そういうことでしょう。
フェデラル・ファンズ市場は、準備預金への金利付与で、市場機能を
半分喪失させ、そしてCP市場では、FRBが買い手として登場することに
よってこれもコントロール下に置き、アメリカという国は、もはや市場経
済と呼ぶには相応しくない国になったようです。
今後、アメリカの経済はどのような道を歩むのでしょうか。
FRBがCPが購入するのなら、株を買うこともあり得るのかな、と今思っ
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