ぎっしり生えたち萱の芽だ
紅くひかって
仲間同志に影をおとし
上をあるけば距離のしれない敷物のやうに
うるうるひろがるち萱の芽だ
…水を汲んで砂へかけて…
つめたい風の海蛇が
もう幾脈も幾脈も
野ばらの藪をすり抜けて
川をななめに遡って行く
…水を汲んで砂へかけて…
向ふ岸には
蒼い衣のヨハネが下りて
すぎなの胞子をあつめてゐる
…水を汲んで砂へかけて…
岸までくれば
またあたらしいサーペント
…水を汲んで水を汲んで…
遠くの雲が幾ローフかの
麺麭にかはって売られるころだ