ひとの心にうまれた
塩からい海は
あふれつづけて おわりがない
海はすべてを溶かしこみ
海は 海のままである

喜びのしぶきは溶けて 海になる
悲しみの固まりも溶けて 海になる
おどろきも おそれも
恥じらいも 誇りも
すべては溶けて海になるばかり

ひとは ふところの
そんな海を のぞきこむと
なぜか ほっとする
なぜか ほっとして 思う
《また あした》

工藤直子