IMG_1910


この前届いたパタゴニアからの箱に表題の「The more you know, the less you need.」というコピーテキストが書いてありました。乱暴に意訳すると「知れば、そんなにいらないって」です。こういうコピーが大好きです。ただ、「The more you know, the less you want」(「知れば知るほど、欲しいものは減る」)じゃないよね、なんて思いました。知っても、欲しいものは減らない。マーケティングを少しくらい勉強したことがある方なら、「need」と「want」の差をご存知だと思います。needは衣食住など、最低限人が生きていくために必要なもの、そしてwantは「欲しいもの」です。先進国ではneedの時代はとっくの昔に終わってて、wantが消費のドライバーになっていることは、誰もが知るところです。ただ、人間のneed(本能的に必要とするところ)に訴えかけ、wantに変えていくて手法が昨今は流行りです。「山登り」がそう、そしてその周りにあるアパレルグッツなんてその主な例です。人が自然と触れ合いたいと思う気持ちは本能かもしれない。「昔、人は自然と戯れて生きていた」とのストーリーをなんとくぼやっと裏側に秘めて、「もう一度あの時の本能に身を委ねてみませんか」とか。

実は僕たちホモ・サピエンスは、昔から生きるための戦略家です。ネアンデルタール人を滅ぼした僕たちホモ・サピエンスは他の動物に比べ、認知機能が格段に優れていました。ホモ・サピエンスは不快と思うことを快適にするために知恵は働かせて、どんどん環境を変えてきました。「寒い」と思ったら、壁を作る。その壁をより早く作るため、丈夫に作るために努力をする。他の動物は「寒い」と思ったら、身を寄せ合い、洞穴を探し、動かずじっとするです。僕たちホモ・サピエンスはそうじゃない。寒いと思ったら、どんどん周りを変えていきます。

山登り。あれは、僕らがホモ・サピエンスだから行うことです。他の動物は高い、寒い、食べ物がない、そんな高い山には登りません。needだけで生きている動物とは僕たちは絶対的に違うんです。

こんなこと、誰でも知ってることです。だけど、「本能に戻りませんか」っていうメッセージが流行るのは、この社会がめちゃ複雑だからです。要は、「本能に戻りませんか」っていうメッセージは僕にとっては「シンプルに生きませんか」とのメッセージに聴こえます。社会構造は縦、そして横、たまに斜めから複雑に絡み合い、多分、もうめちゃくちゃ進化した僕たちホモ・サピエンスの脳みそでも理解が難しくなってるんじゃないかと思うんです。でも多分、もう何年もすると優れてる僕たちホモ・サピエンスはこの状況に慣れちゃうんじゃないかと思います。その補助をするのがAIかもしれません。

多分、僕はその慣れちゃう時代にはもう一線で社会に貢献できない歳になってるんじゃないかと思います。だから、余計に今の時代の複雑さに悩み、そして考えるこの時代にフィットする「シンプル」に生きましょうというメッセージが心にぐっときます。パタゴニアの「The more you know, the less you need.」は僕たち世代にはぴったりのコピーテキストです。実際には、そう思ってはいてもまた買うから。僕らの世代はそういう世代なんです。パタゴニアはもう少し続きそうです。

お店の模様替えをしました。ヴィンテージ家具ばかりだったお店をいつもの新品とのミックスにしました。将来どうなるんだろうなと考え、色々試していきたいと思っています。この会社ももう少し続きそうです。