小菅努の商品アナリスト日記

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CMEビットコイン先物市況(NY 02/12~02/16)

NY 2016/02/12
CMEビットコイン先物 前日比250ドル高の8,860ドル。特に大きな値動きは見られなかったが、週末にも押し目買い優勢の展開が維持される中、じり高の展開になっている。8,900ドルで抵抗を受ける場面も見られたが、8,500ドルを前に買い拾われている。2日以来の高値更新。

NY 2016/02/13
CMEビットコイン先物 前日比160ドル安の8,700ドル。日本のコインチェックが円出金再開を報告するも、相場に対する影響は限定的。一時9,000ドルまで上昇して戻り高値の更新は続いているが、買いが続かず6営業日ぶりに反落した。イタリアでも仮想通貨Nanoが1.7億ドル流出。

NY 2016/02/14
CMEビットコイン先物 前日比590ドル高の9,290ドル。アジア・欧州タイムからじり高だったが、米時間早朝にまとまった買いが入り、9,000ドルの節目突破から9,200~9,400ドル水準までコアレンジ切り上げ。米インフレ指標の上振れ、金利上昇は特に材料視されず。

NY 2016/02/15
CMEビットコイン先物 前日比800ドル高の1万0,090ドル。終日押し目買い優勢の展開になり、1万ドルの大台を回復している。同水準では利食い売りが上値を抑えているが、特に大きく値崩れを起こすような動きは見られなかった。株価上昇で投資家のリスク許容度が改善している影響なども指摘されている。

NY 2016/02/16
CMEビットコイン先物 前日比70ドル安の1万0,020ドル。前日の1万ドル台乗せで利食い売りが膨らむ中、一時9,675ドルまで軟化した。ただ、押し目での物色意欲も強く、NYタイムは1万ドルの節目水準を回復している。前日は株高連動お買いが目立ったが、本日は決め手を欠いた。

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【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)@kosuge_tsutomuから1週間分をまとめた転載です。
 

歴史は繰り返す、原油価格高騰後のシェール増産

国際原油価格が値下がりしている。NYMEX原油先物相場は年初の1バレル=60.20ドルに対して1月25日には2014年12月以来の高値となる66.66ドルまで値上がりし、その後も60ドル台中盤の高値圏を維持する値動きになっていた。原油相場の70ドル説、80ドル説といった強気見通しも勢いを増し始めていたが、2月入りしてからは徐々に地合を悪化させ、2月9日の取引ではついに60ドルの大台も割り込んでいる。概ね年初からの上昇幅は完全に相殺し、いわゆる「往って来い」型の値動きになっている。

マーケットで注目を集めているのが、米国のシェールオイル生産動向である。すなわち、原油価格の急騰を受けてシェールオイルの生産活動が活発化する中、再び供給超過状態に後戻りしてしまうのではないかとの警戒感が、原油価格を下押ししている。

米国の産油動向を考える際の指標としては石油リグ稼働数(米ベーカー・ヒューズ社発表)があるが、その数値が急増しているのである。昨年11月3日時点の729基に対して、年末時点で既に747基まで増加していたが、直近の2月9日時点では791基に達している。約3ヵ月間で62基(8.5%)の急増であり、このまま原油高がシェールオイル産業を刺激し続けると、シェールオイルの生産量が一気に急増するリスクが警戒されている。

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実際に米エネルギー情報局(EIA)は2月月報において、今年の米産油量見通しを日量1,059万バレルとして、前月から一気に32万バレル引き上げている。これでEIAが米産油量見通しを引き上げるのは5カ月連続になる。昨年8月時点では前年比で日量56万バレルの増産予想だったが、今や126万バレルの増産予想にまで見通しが大きく変わっている。

国際エネルギー機関(IEA)は今年の世界石油需要が前年比で日量140万バレル増加するとの見通しを示しており、好景気で良好な需要環境が続くことに自信を示している。しかし、今やシェールオイルの増産圧力は世界石油需要拡大圧力の全てを相殺しかねない状況であり、IEAは石油輸出国機構(OPEC)非加盟国全体であれば、需要拡大を上回る増産圧力が発生するとの見通しを、2月13日に公表した最新の月報で報告している。

2010年代の国際原油市況は、原油価格が高騰する度にシェールオイルの増産圧力が強まることで、その後に急反落する展開を繰り返している。昨年も1~2月に50ドル台に乗せた原油相場がシェールオイルの増産を加速させ、年央にかけて40ドル台前半まで急落している。今回も原油価格の高騰がシェールオイル生産活動の活発化を促す中、国際原油市場では「歴史は繰り返す」の格言を再び噛み締める必要性に迫られているようだ。

「歴史は繰り返す。一度目は悲劇として、二度目は喜劇として」との言葉もあるが、伝統的産油国とタイトオイル(シェールオイルなど)が共存できる新しい時代の原油価格、原油需給を実現する大きな課題を克服するためには、悲劇であろうと喜劇であろうと、同じような展開を繰り返していきながら、終着点を探る必要性がありそうだ。多くの時間を費やしながら、安定的な原油価格・需給環境を確立できる環境を模索していけば十分である。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅 努】

(出所)歴史は繰り返す、原油価格高騰後のシェール増産(Yahoo!ニュース)

暗雲立ち込める原油需給

暗雲立ち込める原油需給
シェール増産の脅威増す

1月の原油相場は年初の1バレル=60.20ドルから一時66.66ドルまでの急伸地合を形成したが、足元では60ドル台前半でやや上値の重い展開になっている。1)需要拡大と協調減産による在庫削減圧力、2)寒波による需要上振れ期待、3)ドル安などを背景に急伸地合が形成されたが、原油価格高騰を受けてシェールオイルに増産の兆候が増える中、更なる上値追いに慎重ムードが広がりつつある。

米産油量の先行指標となるリグ稼働数をみてみると、昨年11月3日の729基をボトムに、直近の2月2日時点では765基まで増加している。期先限月でも60ドル台定着が進む中、シェールオイル開発業者が本格的に投資を再開し始めていることが窺える。米エネルギー情報局(EIA)は2月月報において、2018年の米産油量見通しを前月から32万バレル引き上げ、日量1059万バレルとした。これで5カ月連続の上方修正になる。前年比での増産幅見通しは昨年9月時点の59万バレルから、126万バレルまで引き上げられており、既にシェールオイルの増産分のみで、世界の需要拡大分のほぼ全てが相殺される状況になっている。

しかも、北半球では冬の暖房用エネルギーの在庫手当が一巡し、製油所は順次メンテナス作業に入っている。米製油所稼働率は昨年12月29日の96.7%をピークに、1月26日時点では88.1%まで落ち込んでいる。昨年を振り返ると、4月頃までは製油所稼働率の低迷が続く見通しであり、輸出入バランスが大きく歪むようなことがなければ、短期スパンでは在庫増加圧力が強まる見通しである。

国際原油需給は漸く在庫正常化が見え始めた段階であり、まだシェールオイルの増産ペースが急加速するような展開は容認できない。協調減産の積み増しが難しい現状を考慮すれば、既にシェールオイルは増産可能ラインの限界に達した可能性が高く、仮にここから更に価格水準を切り上げたとしても、維持するのは困難だろう。

しかも、原油市場における投機筋の買いポジションは過去最高水準にあり、買い玉整理の動きが本格化すると、これまでの反動もあって必要以上に大きな下げ幅が実現する可能性もある。季節要因から短期需給が緩和に向かう流れに加えて、シェールオイルの増産加速によってマクロな需給リバランスの流れが阻害されるリスクも浮上しているのが、現在の国際原油相場である。

もちろん、急激なドル安傾向が続けば、需給環境と関係なく1月の急伸相場が再現される可能性はある。ただ、足元ではドル相場が落ち着きを取り戻しつつあり、今後は徐々に原油価格に対するインパクトは限定されよう。上昇シナリオとして警戒されるのは、リビアやナイジェリア、ベネズエラなどの供給トラブル発生である。シェールオイル増産圧力を相殺するような供給トラブルが発生した場合は、1月の高値水準維持も可能になる。(2018/02/07執筆)
【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2018年2月12日「私の相場観」

CMEビットコイン先物市況(NY 02/05~02/09)

NY 2018/02/05
CMEビットコイン先物 前日比1,325ドル安の7,260ドル週明けの取引から売り圧力が強く、急落地合を形成した。米金利上昇をきっかけに世界の株式相場が不安定化しているが、特に仮想通貨に対する投資ニーズは高まらなかった。概ね前週の軟調地合を引き継ぐ展開になり、上場来安値更新が続いた。

NY 2018/02/06
CMEビットコイン先物 前日比290ドル高の7,550ドル。アジアタイムは6,000ドル台前半で上値の重い展開になるも、NYタイム入り後に押し目買いが膨らみ、急速に切り返した。特に出来高の急増などはなく、断続的に買いが入ったことで、水準を切り上げている。値ごろ買いが入った模様だ。

NY 2018/02/07
CMEビットコイン先物 前日比695ドル高の8,245ドル。前日のリバウンド傾向を引き継ぎ、安値是正の動きが優勢になっている。NYタイムは8,000ドル台中盤で上げ一服となったが、2月6日の5,970ドルからのリバウンドが続く。

NY 2018/02/08
CMEビットコイン先物 前日比80ドル高の8,325ドル。株価急落など金融市場は荒れた展開になったが、ビットコイン相場は前日の安値是正の流れを引き継ぎ堅調。高値は8,690ドル。下げた所では出来高が増加しており、押し目買いを入れる動きが強かった。カタールは仮想通貨禁止。

NY 2018/02/09
CMEビットコイン先物 前日比260ドル高の8,585ドル。ここ数日の緩やかな反発傾向を引き継ぐ。急伸こそないが、前日から高値・安値ともに切り上げている。仏独財務相はG20での仮想通貨に関する協議要請。バークレイズは、クレジットカードでの仮想通貨購入禁止を検討。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)@kosuge_tsutomuから1週間分をまとめた転載です。

米金融政策のタカ派評価は、ドル高再開につながるのか

欧州中央銀行(ECB)、そして日本銀行の金融政策正常化を巡る思惑から1月の外国為替市場ではユーロ高と円高が進行し、米長期金利が急ピッチに上昇したものの、ドルは相対的に弱含む展開になった。米金利上昇に伴うドル高圧力は分かりやすいテーマだったが、米金融政策よりも日欧の金融政策見通しの変化度の方が大きくなる中、投機筋はユーロ買いと円買いに劇的ともいえる資金変動を行い、相対的にドルは押し下げられる展開になった。

一方、前週は1月30~31日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、2月2日に1月米雇用統計発表と二つの大きなイベントを迎えたが、ここで漸く米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策環境にも関心をシフトさせる動きが見られ、足元ではドル安圧力が一服している。ドル/円相場の場合だと、年初の1ドル=112.65円に対して1月26日には昨年9月11日以来の円高・ドル安水準となる108.27円を付けていたが、足元では110円水準までのリバウンドを見せている。

1月のFOMCでは年内のインフレ環境改善見通しを示すと同時に、「経済情勢はさらなる緩やかなFF金利引き上げを正当化する形で進展すると予測する」として、パウエル次期FRB議長の下でも着実な利上げ政策が展開される可能性を強く示唆した。イエレンFRB議長の下では最後のFOMCとあって無風通過も広く予想されていたが、昨年12月時点の声明文にはなかった「さらなる(further)」の文言を付け加えたことで、2018年の利上げサイクルは本物だとの評価が急速に広がっている。

各種インフレ指標をみてみると、総じて昨年9月以降にインフレ低下圧力が上昇圧力に転換していたことが確認されており、その意味では現状追認に過ぎないとも言える。ただ、今年のインフレ上昇と期限を区切ってインフレ環境の改善見通しを示したことにはサプライズ感もあり、日欧に続いて米国の金融政策見通しも修正を迫られている。具体的には、パウエル新議長の下での最初のFOMCとなる3月利上げがほぼ規定路線となり、2018年中の利上げ回数に関しては、3回は堅く場合によっては4回もあり得るとの評価に変わっている。

昨年12月のFOMC時点で、当局者のコンセンサスとして3回の利上げ見通しが示されていたため、米金融政策要因のみで断続的な金利上昇が可能かは不確実性も強い。ただ、インフレ環境の改善が本物であり、かつ、大型減税などの影響で逆にインフレが過熱した状態になるのであれば、最終的な利上げの終着点を引き上げていくことも可能になる。現在、フェデラル・ファンド(FF)金利誘導目標が1.25~1.50%に対して、昨年12月時点では18年2.1%、19年2.7%、20年3.0%、長期2.8%といった数値が示されていたが、仮に20年に入っても現在と同ペースの利上げ、もしくは18~19年中の利上げ加速が可能になるのであれば、米長期金利は現在の2.8%台中盤からいち早く3%台に乗せていくシナリオも浮上する。3月20~21日の次回FOMCにかけては米金利上昇圧力が継続し易い環境になっており、これまでの「米金利低下+ドル安」が「米金利上昇+ドル高」に転換する可能性も浮上している。

もっとも、ここにきて注目が高まっている米金融政策見通しの変化を促している背景は、経済活動の過熱化に伴うインフレ圧力の顕在化というグローバルなテーマが存在しており、その影響は米国に限らず欧州や日本に対しても及ぶことになる。こうした観点からは、今後もECBや日銀の政策調整を巡る議論も、FRBの政策見通しの変化を巡る議論と同様に活発化することになり、米金利上昇に伴うドル高圧力が一方的な相場展開になる可能性は低そうだ。特に、ECB当局者からは資産購入の早期停止を織り込むことをマーケットに要求するようなアナウンスメントが目立っており、膨張したユーロ買い(ドル売り)の投機ポジションに本格調整を迫るのは難しそうだ。

それと比較すると、日銀は緩和縮小に議論に対して未だ及び腰だが、1月の会合では複数の委員が緩和策の見直しに言及したことが確認されており、黒田総裁の「(緩和縮小は)検討局面にはない」との発言と距離を置くメンバーも増えている。円高圧力にも本格的な修正を迫るのは難しい状況にある中、米金融政策のタカ派姿勢にマーケットの評価が集まっているものの、米金利上昇とドル高の共存環境を作り出すことは、簡単なことではないのかもしれない。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅 努】

(出所)米金融政策のタカ派評価は、ドル高再開につながるのか(Yahoo!ニュース)


CMEビットコイン先物市況(NY 01/29~02/02)

NY 2018/01/29
CMEビットコイン先物 前日比205ドル高の1万1,170ドル。週末にコインチェックが被害救済方針を打ち出したことで、NEMの反発と連動してビットコインも堅調。ただ、高値1万1,775ドルに対して欧米タイムは上げ幅を削る展開が目立ち、大きな値動きには発展しなかった。

NY 2018/01/30
CMEビットコイン先物 前日比1,230ドル安の1万0,070ドル。世界的な株安、金利上昇と投資環境は不安定化したが、ビットコインに対する資金流入は確認できず。逆にNYタイム入り後にまとまった売りが入り、安値は9,720ドルに達している。1万ドル割れでは引き続き押し目買いが入るが、リバウンド力は弱い。

NY 2018/01/31
CMEビットコイン先物 前日比60ドル高の1万0,000ドル。各国規制強化の動き、CFTCのテザー調査報道などを手掛かりに一時9,500ドルまで軟化するも、引き続き1万バレル割れには抵抗をみせ、NYタイムは1万ドルの節目を回復する展開に。韓国当局は、仮想通貨取引閉鎖の意図はないとする。

NY 2018/02/01
CMEビットコイン先物 前日比910ドル安の9,090ドル。FBの広告規制の動きなど、公私双方の分野で仮想通貨に対する規制強化の動きが目立つことが嫌気される。ここ最近の支持線となっていた1万ドル水準を維持できず、安値は8,480ドルまで一気に切り下がる。前日比では9.1%安。

NY 2018/02/02
CMEビットコイン先物 前日比505ドル安の8,585ドル。日本で金融庁がコインチェックの立ち入り検査に入ったこと、インドなどで仮想通貨規制の動きが見られることが嫌気される。安値は7,750ドルに達している。NYタイムは下げ一服となったが、8,000ドル台中盤まで切り返すのに精一杯だった。

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【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)@kosuge_tsutomuから1週間分をまとめた転載です。


シェール増産、在庫増加でも下がらない原油相場の謎

国際原油相場が高止まりしている。NYMEX原油先物相場は年初の1バレル=60.20ドルから1月25日の66.66ドルまで急伸地合を形成したものの、月末31日にかけてはシェールオイル増産の加速を示唆する指標が嫌気された影響から63.67ドルまで軟化していた。しかし、2月入りすると改めて投機筋の物色意欲が強まり、2月2日のアジアタイムには66ドル台前半まで上昇し、年初来高値更新も視野に入れた状態になっている。
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原油価格分析の基本となる需給の視点では、値下りリスクが大きい相場環境に変わり始めている。例えば、需給バランスの指標となる米国内の原油在庫をみてみると、直近1月26日の週は11週間ぶりに増加に転じている。昨年11月10日の4億5,900万バレルをピークに、今年1月19日の4億1,158万バレルまで急減傾向が続いていたが、製油所が冬の暖房用エネルギー供給の手当を終えたことで、製油所向け原油需要が落ち込んでおり、今後は季節トレンドに沿った形で在庫が増加に転じる可能性が高まっている。これまで、「原油在庫減少→原油高」の教科書的なロジックが採用されていたことを考慮すれば、今度は「原油在庫増加→原油安」が当然に想定される相場環境と言える。

また、シェールオイルの増産加速に対する警戒感も強くなっている。先行指標となるものに米国内の石油リグ稼働数のデータがあるが、昨年11月3日の729基をボトムに、今年1月26日時点では759基まで4.1%増加している。米エネルギー情報局(EIA)の2018年産油量予想を見ても、昨年8月時点では前年比で日量56万バレルの増産予想だったのが、直近では97万バレルの増産予想まで修正されている。2月にはシェールオイルの生産が前月比で日量11万バレル増加するとの予想も出されており、昨年後半から続く原油高がいよいよシェールオイル生産高にも影響を及ぼし始めている。

もちろん、北半球の寒波、イラン情勢の先行き不透明感、石油輸出国機構(OPEC)やロシアの強力な減産政策などのポジティブな材料も存在するが、これから需要の端境期に向かう一方でシェールオイルの増産圧力は強化されることで、年央に向けての国際原油需給は供給「不足」から供給「過剰」への転換がほぼ確実視される状況にある。しかも、原油高が続けば続くほどに、その供給「過剰」の幅は拡大するリスクが高まることになる。

■ドル安で原油高? 原油高でドル安?
では、なぜ原油相場は高止まりしているのだろうか。原油市場に流入している過去最大規模の投機マネーは、何をみて原油市場からの離脱を見送り、逆に更に原油高が進む展開に賭けているのだろうか。

この答えは単純であり、ドル安が原油価格の高騰を促している可能性が高い。今年の為替市場では、金融政策見通しが大きく変わったユーロや円に対して上昇圧力が目立つ一方、ドルに対しては相対的に下落圧力が目立つ状況になっている。それは、1月30~31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で今年も着実な利上げ政策が展開される可能性が強く示唆された後にも変わりはなく、「ドル安が続くのであればドル建て原油相場が上昇するのは当然」との一種の安堵感が見受けられる。

1月のドルインデックスは3.4%の下落率を記録しているが、その間に原油相場は7.5%の上昇率を記録している。国際原油取引はドル決済が基本であり、1月の原油高の実に45.3%はドル安要因で説明ができる。

過去をもう少し長く振り返ってみると、原油相場は2000年代に08年の過去最高値まで急伸地合になっていたが、その当時もドルインデックスは01年7月の121.02ポイントから08年3月の70.69ポイントまで急落している。一方、14年から16年にかけて原油相場は急落しているが、その間のドルインデックスは14年年初の80.21ポイントから15年12月の100.51ポイントまで急激なドル高が実現している。

原油相場とドル相場との関係については、「原油高→ドル安」、「ドル安→原油高」と二つのロジックが成立し得る。原油高は換言すればドル安であり、ドル安は換言すれば原油高でもある。原油高はドルの購買力を毀損し、ドル安は原油の価値を高めることになる。もちろんこうした為替要因のみで原油相場が動く訳ではなく、特にシェール革命で米国の原油輸入量が急激に落ち込む中、従来程には原油相場とドル相場との間に強い逆相関関係は求められなくなっている。

ただ、需給緩和の兆候が増えても投機マネーが原油市場に滞留し続けている背景には、こうしたドル安環境における原油高という過去の経験則が生きていることは間違いないだろう。これから原油相場は、数カ月に期間が限定されるものの一段と強力な需給緩和圧力に晒される可能性が高いが、ドル安圧力がこうした需給要因に基づく下押し圧力をどこまで吸収、相殺できるかが、原油高の賞味期限を決定づけることになりそうだ。
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【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)シェール増産、在庫増加でも下がらない原油相場の謎(Yahoo!ニュース)

円高ショックが大きい天然ゴム

◎〔アナリストの目〕円高ショックが大きい天然ゴム=小菅努氏 

TOCOM商品市場では、円高の脅威が増している。国際商品市況は原油を筆頭に堅調に推移しており、CRB商品指数の年初からの上昇率は3.0%に達している。一方、同じ期間にドル円相場は3.7%の円高・ドル安となっており、円建て商品相場は上昇しづらい環境になっている。TOCOMゴム相場は最大で4.8%の下落率を記録しているが、単純計算で下落幅の77%が円高要因で説明が付き、残りの23%が上海ゴム相場の上値の重さや国内在庫の急増圧力によるものと分析できる。

1月23日の日本銀行金融政策決定会合では、大規模な金融緩和策の維持を決定し、黒田日銀総裁は緩和政策の出口を検討すべき局面ではないと明言している。しかし、マーケットは日銀の政策変更の可能性に敏感になっており、今後も円高に振れるケースが増えやすい状況になっている。ドルの利上げ着手局面を振り返ってみれば、実際の利上げに先行する1年半前からドル高圧力が発生していた。円相場もそれと同じパターンをたどるのであれば、今年の円建てゴム相場はマイルドな下押し圧力にさらされる場面が増える可能性を想定しておく必要がある。

一方、ゴムの需給要因は必ずしも重要視されていない。タイ、インドネシア、マレーシアの3カ国は3月末までに35万トンの輸出削減を行うことで合意している。合意の履行状況を不安視する向きもあったが、各国の報告内容を見る限りは、現時点ではかなり高い合意順守状況にあるもようだ。ゴム生産国の価格低迷に対する危機感は強く、4〜5月前後がピークになる減産シーズンに向けて供給制約は強化される方向に展開している。しかし、産地相場も含めて国際ゴム相場の反応は鈍く、需給動向そのものに対する関心の低さが再確認されるだけにとどまっている。逆に、国内在庫が昨年10月以降に倍増しているといったネガティブな動きも材料視されておらず、昨年と同様に上海ゴム市場における投機マネーの動向が最重要視されることになる。

その中国市場では年初から株価が急騰しており、コモディティー市場における投機マネーの流動性拡大も期待できる環境になっている。しかし実際には、むしろ「コモディティー→株式」への資金フローの方が優勢である。鉄鉱石や石炭相場などもパフォーマンスの低さが目立ち、上海ゴム相場のみが独歩高となるような環境にはない。本来は、国際通貨基金(IMF)が米税制改革の効果で主要国の成長見通しを軒並み引き上げている恩恵を受けやすい状況だが、突然に急伸した後に急落する場面も目立ち、今後も上海ゴム相場は1トン=1万4000元水準で方向性を打ち出しづらい状況にある。中国の各種政策引き締めがピークを脱したことで下値不安は後退するが、同国の17年新車販売台数は前年比3%増にとどまっており、生産地でよほどの大規模な供給障害が発生しない限りは、ボックス気味の展開が続く可能性が高そうだ。

昨年の東京ゴム相場の出来高は13年ぶりの低水準になったが、ゴム需要家にとっては好ましい安定した価格環境ながらも、投資家にとっては仕掛けづらい相場環境が続く可能性が高い。

※小菅 努(こすげ・つとむ)氏 マーケットエッジ代表 


(2018/01/29執筆)
(出所)時事通信社「アナリストの目」2018/01/30

原油60ドル台は時期尚早

原油60ドル台は時期尚早
まだ危うい需給正常化

サウジアラビアのファリハ・エネルギー相は、2019年以降も主要産油国の間で政策協調を行うことで合意していると発言した。現在の協調減産は18年末までが期限とされており、協調減産の「出口」を巡る議論も活発化しているが、その「出口」に長めの期間を設定することで、協調減産体制からの離脱をスムーズに行うことを意図したものである。今回の協調減産体制によって、国際原油需給・価格環境の安定化を目指す方針を強く示した格好になる。

一方で、サウジアラビアがこのような踏み込んだ発言を行っているのは、それだけ需給見通しの先行きがぜい弱であることの裏返しとも言える。17年は強力な需要拡大圧力と協調減産によって、世界の石油在庫に対しては強力な減少圧力が発生した。特に4~6月期以降は3四半期連続で在庫が減少しており、在庫余剰感は解消方向に向かっている。まだ目標とする在庫の5年平均回帰までは道半ばの状況だが、少なくとも協調減産体制は一定の成果を上げ、国際原油相場は14年12月以来の高値圏まで上昇している。WTI原油は65ドル水準、ブレント原油は70ドル水準まで値上がりしているのは、投機筋が原油需給環境の改善傾向を高く評価していることを明確に物語っている。

ただ、国際エネルギー機関(IEA)の推計では、18年は上期が若干の供給過剰、下期が若干の供給不足であり、年間を通じた需給バランスはほぼ均衡状態との見通しに留まっている。すなわち、現時点では昨年のような大規模な在庫取り崩しが想定されている訳ではない。もちろん、経済破綻状態に陥ったベネズエラ、武装勢力の動きが活発化しているリビア、対米関係が悪化しているイランなどの生産動向によっては、想定外の需給ひっ迫状態が発生する可能性も残されている。その際は、WTI原油ベースで70ドルや80ドルといった価格水準を正当化する余地もある。

ただ、そうした特殊な供給トラブルが発生しないのであれば、堅調な需要環境を考慮に入れても18年中に更に在庫の削減を進めることができるか否かは、ぎりぎりの判断を求められる状況にある。特に、シェールオイル、オイルサンド、深海油田などは原油価格動向に敏感であり、シェールオイルの場合だと数カ月といったタイムスパンで価格変動の影響が生産動向に反映されることになる。

そして、足元ではシェールオイルの生産高見通しを引き上げる動きが相次いでおり、このまま現行価格水準を維持してシェールオイル産業に刺激を与え続けると、18年通期の供給超過といったシナリオも浮上する余地がある。足元では寒波の影響もあって需要が強めに推移しているが、今後は需要の端境期に向かうことになり、そのタイミングでシェールオイル増産が加速するような事態になると、一気に短期需給は緩むことになる。WTI原油の60ドル台定着を進めるのは時期尚早とみている。(2018/01/24執筆)

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2018年1月29日「私の相場観」

トランプ米大統領1年目の金価格は10%上昇

2017年1月20日にドナルド・トランプ氏が第5代アメリカ合衆国大統領に就任してから1年が経過した。メディアでは米国内外に様々な「混乱」をもたらしているとの批判も目立つが、その間の金価格は総じて堅調に推移した。国際指標となるCOMEX金先物相場の場合だと、大統領就任当日の1オンス=1,204.90ドルに対して、今年1月22日時点(※20日と21日は週末)では1,331.90ドルとなっており、実に10.5%もの値上がりになっている。最安値は大統領就任直後の17年1月27日に付けた1,179.70ドルである一方、最高値は17年9月8日の1,362.40ドルとなっている。

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■トランプ政権下で金が買われた理由
トランプ大統領誕生前の時点では、経済政策に混乱が生じ、米経済は停滞するといった論調もあったが、振り返ってみれば米経済は良好だった。17年通期の国内総生産(GDP)は2.3%成長となり、16年の1.5%成長を上回っている。国際通貨基金(IMF)は「税制改革が経済活動を刺激する」ことが見込まれるとして、18年には更に2.7%までの成長加速を見込んでいる。株式市場に目を向ければ、ダウ工業平均株価は17年1月20日の1万9,827.25ドルから今年1月22日の2万6,214.60ドルまで、32.2%もの上昇率を記録している。トランプ政権下でダウ工業平均株価が下落した月は17年3月のみであり、それ以外の11カ月は全て上昇している。

一般的には「安全資産」の金が注目される余地はない状況とも言えたが、実際には金市場に対しては断続的に投機資金が流入する状況が作られた。皮肉にも株価の急騰が、金市場に対する投資ニーズを喚起したのである。ビジネスフレンドリーなトランプ政権の経済政策は、株式相場にバブル的な高騰をもたらした。この結果、投資家の観点からは株価高騰を歓迎しつつも、このままの状況が続くのか不安感も高まり、「万が一の事態」に対応するための保険として、金が購入されたのだ。これが顕著に表れたのが金上場投資信託(ETF)であり、トランプ大統領就任時の1,655トンに対して、1年後には1,746トンまで拡大している。株高局面において、株式の保有資産が増える動きと連動して、金保有量も拡大したのである。

そして、もう一つの要因がドル安だった。大統領選直後はトランプ大統領の拡張的な財政政策に対する期待・警戒感から米長期金利が急伸し、ドル高圧力が発生していた。しかし実際に大統領に就任した後のドルインデックスをみてみると、100.74ポイントから90.12ポイントまで10.5%下落している。1月に入ってから米政府の「強いドル」と「弱いドル」政策を巡る議論も活発化しているが、実績としてトランプ政権下のドルは弱含みに推移している。これがアメリカファースト政策の影響かは議論があるものの、米金融政策が緩和から正常化に向かう過程においても、国際基軸通貨であるドルが軟化したことが、代替通貨としての金に対する資金流入を促した。

そして最も金価格に対する刺激が大きかったのは、地政学リスクの高まりだった。シリア情勢なども注目されたが、トランプ政権1年目で金価格が最高値を付けたのは、米朝軍事衝突のリスクが高まった17年8~9月にかけて、米朝の間で批判合戦が繰り広げられ、北朝鮮が核実験を実施し(9月3日)、米原子力空母が朝鮮半島付近に展開された時だった。その後、北朝鮮情勢のリスクを積極的に織り込むような動きはみられなくなり、ボラティリティ指数(恐怖指数)は歴史的低水準に回帰したが、これもマーケットに漠然とした不安心理をもたらし、「安全資産」の金を保有する動きにつながった。すなわち、リスクを十分に織り込んでいないのではないかとの疑念が高まったのである。

■金を持ちたい漠然とした不安心理
ドル安に関しては必ずしもトランプ政権の影響とは言えず、マーケット環境全体でみればトランプ政権は投資家に歓迎される政策を矢継ぎ早に繰り出している。しかし、こうしたリスクオン環境でも金価格が上昇していることは、良好な実体経済環境や株高の恩恵を享受しつつも、漠然とした先行き不透明感を抱いている向きが多い証拠と言えるのかもしれない。

なお、東京商品取引所(TOCOM)の円建て金価格をみても1グラム=4,385円から4,734円まで、8.0%の上昇率が記録されている。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅 努】

(出所)トランプ米大統領1年目の金価格は10%上昇(Yahoo!ニュース)

CMEビットコイン先物市況(NY 01/22~01/26)

NY 2018/01/22
CMEビットコイン先物 前日比1,005ドル安の1万0,355ドル。政府機関閉鎖を受けてアジアタイムに1万1,830ドルまで上昇するも、つなぎ予算の目途が立つと急落地合に転じている。退避ニーズの受け皿として機能するも、リスクオンの地合回帰で売り優勢の地合に回帰した。ノルデア銀行は行員の取引禁止方針。

NY 2018/01/23
CMEビットコイン先物 前日比740ドル高の1万1,095ドル。1万ドル割れからの安値是正の動きが優勢になり、高値は1万1,350ドルに達した。1万ドル割れには抵抗があることを再確認。韓国は、無記名口座の利用禁止方針を示すも、新規投資は許容したことも買い安心感につながる。

NY 2018/01/24
CMEビットコイン先物 前日比20ドル高の1万1,115ドル。アジア・欧州タイムは前日の戻り歩調を引き継ぎ、前日高値を上抜く1万1,455ドルに達した。ただ、米時間は調整売りが上値を抑え、大きな値動きには発展しなかった。中国人民銀行は、仮想通貨取引関連サービス提供禁止を命じた。

NY 2018/01/25
CMEビットコイン先物 前日比130ドル高の1万1,210ドル。ダボス会議で米国の自国第一主義が改めてクローズアップされているが、ビットコイン相場は1万1,000ドル水準での小動きに終始した。ドルが不安定な値動きを見せる一方、方向性を欠いた。ロシア財務省は取引規制を準備中と発表している。

NY 2018/01/26
CMEビットコイン先物 前日比320ドル安の1万0,925.37ドル。コインチェックのNEM喪失、サービス停止を受けて、一時1万0,300ドルまで軟化したが、NYタイムは押し目買いが膨らんで下げ幅を縮小した。引き続き1万ドルの節目水準にサポートができている。

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【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)@kosuge_tsutomuから1週間分をまとめた転載です。

米国の天然ガス価格が、年初から20%超の急騰

米国の天然ガス価格が高騰している。NYMEX天然ガス先物相場は1月22日の取引で1mmBtu=0.220ドル(6.8%)高の3.444ドルとなったが、これは1日の上昇率としては2016年10月以来で最大であり、価格水準としては16年12月30日以来の高値を更新している。23日の取引でも更に3%前後の上昇率が記録されており、冬の需要期に入った後も2.5~3.2ドル前後の価格水準で伸び悩んでいた相場が、3.5ドル台まで一気に価格水準を切り上げた格好になる。
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理由は単純であり、寒波による需要上振れ、それに伴う在庫タイト化リスクに対する警戒感が、天然ガス市場に対する投機マネー流入を加速させていることだ。今季は暖冬スタートになった結果、暖房用エネルギー需要に対する在庫手当には余裕があるとの評価から、昨年12月21日には2.568ドルまで値下がりしていた。しかし、日本にも強烈な寒波をもたらしている北極振動は米国でも東部地区を中心に急激な気温低下をもたらしており、暖房用エネルギー需要の上振れリスクを高めている。

その影響が顕在化した一つは原油相場の高騰であるが、ここにきて天然ガス市場でも需要の上振れから在庫の「余剰感」が「タイト感」に転換しつつあり、それがリスクプレミアムとして天然ガス相場に加算され始めている。

米エネルギー情報局(EIA)の週間統計によると、今季は昨年10月10日の週から米国内在庫の取り崩しが始まったが、全米の天然ガス在庫は10月3日時点の3兆7,900億立方フィートに対して、12月8日時点ではまだ3兆6,260億立方フィートまでの小幅減少に留まっていた。その時点での過去5年のレンジは(3兆3,320億~3兆8,610億立方フィート)であり、5年レンジ上限付近の在庫水準には、まだ一定の余裕がみられた。暖冬でそのまま需要の伸びが鈍ければ、春の需要の端境期に向けて必要以上の在庫を繰り越す可能性さえ想定されていた。

しかし、年末・年始の寒波と連動して在庫減少ペースは一気に加速しており、直近の1月12日時点では2兆5,840億立方フィートまで減少している。これは前年同期比12.5%減、5年平均比で12.3%減であり、一気に在庫水準のタイト感が強くなっている。

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日本で寒波が深刻化する一方、米国の寒波は緩み始めており、2月に向けてパニック的な高騰相場が続く可能性は低い。過去の傾向からみても、在庫タイト感が残されていても気温上昇傾向が強まれば、天然ガス相場は下押しされる傾向が強い。このため、急騰はしているものの短期上昇圧力との評価が基本になる。

ただ、投機筋はシーズン初めに暖冬予想から暖房用エネルギー需要期を売り越し状態で迎えた反動から、需要期終盤の寒波に慌ててショートカバー(買い戻し)を迫られると同時に新規買いポジションを構築する動きが、必要以上の値動きの荒さをもたらしている。昨年末からの上昇率は最大で22.8%にも達しているが、「暖冬→寒波」へと急激な気象環境の変化が、天然ガス相場に対してもパニック的な高騰を促している。急激な気温の変化は人の体調不良をもたらすことが多いが、天然ガス相場も突然の気温変化には大きなショックを受けることになる。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)米国の天然ガス価格が、年初から20%超の急騰(Yahoo!ニュース)

需給緩和で上値重い穀物

需給緩和で上値重い穀物
商品市況高の例外に

CBOTトウモロコシ先物相場は、1Bu=350セント水準で上値の重い展開になっている。新規手掛かりに乏しい相場環境だが、米国内外の需給緩和状態に対して根強い警戒感があり、戻り売り優勢の展開が続いている。1月12日には米農務省(USDA)が最新の需給報告を公表したが、米期末在庫見通しは前月の24.37億Buから24.77億Buまで引き上げられている。イールドが1エーカー当たりで175.4Buから176.6Buまで引き上げられており、豊作評価が一段と強くなっている影響が大きい。トレンドイールドの170.7Buからは3.5%の上振れであり、過去最高のイールド環境が実現している。しかも、ここにきて飼料需要見通しが小麦と同時に引き下げられており、供給過剰感に対する警戒感が改めて強くなっている。深刻な供給過剰状態に陥った前年度の期末在庫22.93億Buを大きく上回るのは確実な情勢であり、農家の売り渋りなどで自律反発的な動きがみられても、戻りは売られる展開が続いている。在庫率ベースでは2005/06年度以来の需給緩和状態であり、350セント水準に値ごろ感を見出すことは難しい。320セント水準を打診する可能性も想定しておきたい。

一方、大豆はアルゼンチンの干ばつ懸念が下値を支えているが、昨年12月前半の1000セント台に対して950~970セント水準までコアレンジを切り下げている。11月には深刻なホット・アンド・ドライ(高温乾燥)状態に陥ったことで、特にアルゼンチンに対する依存度の高い大豆ミール相場が高騰したが、12月にまとまった降雨が観測されたことで、不作に対する警戒感は後退している。

年明け後も乾燥予報が伝わると大豆相場は刺激を受ける傾向にあるが、11月にみられたように本格的にリスクプレミアムを加算していくような動きはみられない。USDA需給報告をみても、アルゼンチン産は前月から100万トン下方修正の5600万トンとなったが、ブラジル産は逆に200万トン上方修正の1億1000万トンとなっており、南米産全体では逆に増産圧力が強くなっている。

米国産の期末在庫も前月の4.45億Buから4.70億Buまで上方修正されている。大豆ミール輸出の拡大で圧砕需要は堅調だが、大豆輸出そのものは減速しており、豊作に伴う供給プレッシャーを吸収できない状況に変化はない。このまま南米産に大きな天候障害が発生しなければ、需給緩和評価が修正されることはないだろう。

このため、17/18年度需給要因で穀物相場がリバウンドするのは難しく、仮に大規模な反発があるとすれば18/19年度の需給要因になる可能性が高い。しかし、18/19年度の作付面積に関しては小麦の削減が優先される見通しであり、トウモロコシと大豆の大幅な面積削減は想定されていない。作付け期の天候相場が開始されるまでは、需給緩和を背景とした低迷相場が続く可能性が高い。

(2018/01/17執筆)

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2018年1月22日「私の相場観」

原油市場に過去最大の投機資金が流入中

原油市場で投機買いの規模が過去最高を更新した。米商品先物取引委員会(CFTC)が1月19日に発表した最新データ(1月16日時点)によると、WTI原油先物・オプション市場における投機筋(Money managed)の買い越し枚数(=買いポジション-売りポジション)は、NYMEXとICEの二つの市場を合計して前週比4万0,855枚の54万1,990枚(1枚=1,000バレル)に達している。

昨年末の46万0,836枚からは8万1,154枚(17.6%)の急増であり、年初から原油市場に大量の投機資金が流入したことが確認できる。この期間のWTI原油先物相場は1バレル=60.40ドルから63.70ドルまで3.30ドル(5.5%)の急伸となっているが、昨年中盤以降の強気スタンスが維持されている。

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底流にあるのは、シェールオイルの増産拡大などで大きく過剰供給方向に歪んだ国際原油需給が、需要拡大と昨年1月から始まった協調減産の成果によって正常化し始めていることがある。過剰供給解消が実現するのか不透明感が強かった昨年7月2日時点では、投機筋は僅か15万7,291枚の買い越しに留まっていたが、その後の約6カ月半で原油市場に滞留する強気の投機資金の規模は3.4倍にまで急増している。原油安の時代が終わった可能性が高いことを強く印象付けられる。

しかも年末年始を挟んでは、1)イランの地政学リスク、2)米原油在庫の急減、3)北半球の寒波、4)ドルの急落、5)世界的な株高など、マクロ需給環境以外の要因からも、原油市場に対する投機資金流入が加速し易い環境が整った。

ただ、こうした急激な投機資金の流入は原油高を加速させる一方で、急反落のリスクを高めることになる。

例えば、昨年1~2月には石油輸出国機構(OPEC)やロシアなどの協調減産がスタートしたことで投機筋の買い越し枚数は2月26日に44万3,703枚に達したが、その後は上述のように7月2日の15万7,291枚まで急減している。投機資金の流入で原油相場が50~55ドル水準まで値上がりしたことで米国のシェールオイル生産活動が一気に活発化した結果である。原油市場における投機資金の流入が過熱化したことが、需給見通しを悪化させたのだ。そして、現在の投機資金の規模はその当時を大きく上回っている。原油相場も2014年12月以来の高値圏となる60~65ドル水準まで値上がりしている。
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需給バランスが供給超過から均衡、そして供給不足に転換するにつれて、原油市場に対して投機資金が流入し、原油価格が上昇する展開には、何ら大きな問題はない。しかし、投機主導で必要以上の値上がりが実現すると、実際の需給環境よりも需給がタイト化しているシグナルが需要家と生産者の双方に発せられ、本来は必要がなかった需給緩和圧力が発生することになる。

国際エネルギー機関(IEA)は19日に発表した最近の月報において、原油高に伴う需要減退、更には天然ガスへの需要シフトが発生していることを報告している。また、米国、カナダ、ブラジルなどの産油量見通しが上振れしていることも報告している。まだ18年の国際原油需給バランスは均衡化見通しが基本になっているが、「原油高→需要抑制」、「原油高→供給拡大」のフローが発生し始める中、投機資金の流れが逆転し始めると思わぬ急落リスクも浮上することになる。

原油相場は緩やかにコアレンジを切り上げていく可能性が高いものの、年初からの原油相場急伸と投機資金の流入状況は、強気派にとっても不安を抱かせる状況になり始めている。特に、シェールオイルは中東産油国とは異なり、投資開始から生産開始までのタイムスパンが短縮されているため、原油価格変動の影響は数カ月程度で実際の産油量に反映される傾向にある。ここ最近の原油高がシェールオイルの増産加速を促すのは必至であり、それはリグ稼働数や米エネルギー情報局(EIA)の生産予測調査などにも明確に見て取れる。投機資金の流入による原油高は分かり易い現象だが、需給正常化の流れを阻害するか否かの議論の行方によっては、急反落のリスクを抱えることになる。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)原油市場に過去最大の投機資金が流入中(Yahoo!ニュース)

CMEビットコイン先物市況(NY 01/16~01/19)

NY 2018/01/16
CMEビットコイン先物 前日比2,785ドル安の1万1,160ドル。中国や韓国の規制を巡る動きが警戒され、売り優勢の展開になった。主に15日に急落したが、16日も自律反発をこなしながら更に下値を切り下げる展開になっている。上場来安値を更新している。

NY 2018/01/17
CMEビットコイン先物 前日比215ドル安の1万0,945ドル。前日の軟調地合いを引き継ぎ、一時1万ドルを割り込む。安値9,225ドルから自律反発の動きが強まるも、改めて買い進むような動きも鈍く、前日比では小幅安。1万ドル割れでは出来高急増で買いが膨らんだが、その後はじり高傾向に留まっている。

NY 2018/01/18
CMEビットコイン先物 前日比870ドル高の1万1,815ドル。1万ドル割れからのリバウンド局面が続く。一時1万2,000ドル台回復も、同水準では戻り売りを仕掛ける動きも強かった。韓国規制当局トップは、全ての取引所の閉鎖を検討中と発言。シティは5,600ドルまで下落する可能性を指摘。

NY 2018/01/19
CMEビットコイン先物 前日比455ドル安の1万1,360ドル。前日のリバウンド基調を引き継げず、調整売りが先行した。一時1万ドル割れから下げ一服となっているが、戻りは鈍く上値の重い展開が続く。SECは仮想通貨の安全性、投資家保護に懸念表明。ビットコインETFの早期上場は困難との見方が強まる。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)@kosuge_tsutomuから1週間分をまとめた転載です。

年初の原油価格が高騰

年初の原油価格が高騰
上昇余地は限定的か

2018年の原油相場は、年初の取引開始と同時に急伸地合を形成した。NY原油先物相場は、昨年末の1バレル=60.42ドルに対して、1月第二週には早くも63ドル台まで値位置を切り上げている。これ14年12月以来となる約3年ぶりの高値を更新したことを意味し、昨年6月の42.05ドルをボトムとした原油高のトレンドが維持されていることが確認できる。

年末・年始の原油相場で材料視されたのは、イラン情勢の緊迫化だった。イラン国内では、高インフレや失業率上昇などに不満を強めた市民が大規模な反政府デモを展開し、同国からの原油供給に不確実性が高まったことが、原油価格に対してリスクプレミアムの加算を促した。イランは石油輸出国機構(OPEC)内で第三位の産油国であり、反政府デモが原油供給に影響を及ぼすと、不測の需給ひっ迫状態が実現する可能性もあるためだ。

しかし、その後は反政府デモが収束に向かったにもかかわらず、原油相場は更に上値を切り上げる展開になっている。今回の反政府デモでは原油一滴も供給障害は発生しない見通しだが、原油相場は積み上がったリスクプレミアムの剥落を進めることなく、逆に上昇ペースを加速させている。

極めて投機色の強い値動きと評価しているが、今回のデモをきっかけに米国=イラン関係が一段と悪化していることもあり、イラン核合意の見直し議論の活発化などが本格化すると、イラン産原油が長期にわたって落ち込むリスクも浮上することになる。現実問題として、イラン核合意は米国単独で破棄が可能なものではなく、直ちにイラン産原油を取り巻く環境が大きく変わる可能性は低い。ただ、昨年に協調減産の需要拡大の効果で在庫環境の正常化が進んでいることもあり、マーケットはこの種の供給不安に敏感に反応する「通常の相場環境」に回帰しつつある。

もっとも供給「障害」ではなく供給「不安」に留まる限りは、原油高には限界がある。原油相場の高騰は需給ひっ迫リスクのシグナルとなり、本来であれば必要ではない需要抑制や増産圧力が、必要以上の需給緩和状態をもたらすリスクを高めるためだ。特に、シェールオイル産業は既に昨年後半の油価上昇に反応し始めているだけに、近く増産ペースが加速する可能性は国際エネルギー機関(IEA)などからも指摘されている。

18年の世界石油需要は前年比で日量130万バレルの伸びが想定されているが、米産油量は既に97万バレルの増産が予想されている。しかも、米エネルギー情報局(EIA)は過去5か月連続で米産油量見通しを引き上げており、このまま原油高を放置しておくと、需要拡大幅をシェールオイル増産幅が上回り、在庫調整の動きが巻き戻される可能性も浮上する。実際にイラン産原油に供給障害が発生すれば60ドル台定着も可能になるが、現状では投機色の強い高値水準であり、持続可能性は乏しいと評価している。
(2018/01/10執筆)

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2018年1月15日「私の相場観」

原油価格が高騰している5つの理由

国際原油価格が高騰している。NYMEX原油先物相場は、昨年末の1バレル=60.42ドルに対して、1月11日の取引では一時64.77ドルまで上値を切り上げている。これは2014年12月以来の高値であり、16年2月の26.05ドルからは約2.5倍の値上がりになる。ICEブレント原油先物相場に至っては、1月11日に一時70ドルの大台に乗せており、原油価格の復調が強く印象付けられる状況になっている。
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ではなぜ原油価格は高騰しているのだろうか。ここではマーケットが注目している5つの理由を紹介したい。

■理由1:地政学リスク
2017年末から18年にかけて急浮上したテーマが、地政学リスクである。昨年は専ら北朝鮮情勢が注目されていたが、原油市場における関心が高まっているのはイラン情勢である。イランでは年末・年始に大規模な反政府デモが発生したことは国内メディアでも大きく報じられたが、それに伴う供給障害は発生しなかった。しかし、トランプ米大統領はイランとの核合意見直し、追加制裁に意欲を示しており、米国=イラン関係の悪化が不測の供給障害を招くリスクが警戒されている。

■理由2:在庫減少圧力
よりマクロな視点だと、世界的な原油在庫の減少圧力も原油高に寄与している。世界経済の好調さを背景に需要が堅調に推移する一方、石油輸出国機構(OPEC)やロシアなどが協調減産を実施する中、原油需給バランスの指標となる在庫は急激に落ち込んでいる。米国の場合だと、昨年3月時点では5億3,000万バレルを超えていた原油在庫が、直近では4億1,950万バレルまで減少している。しかも、11月中旬以降は8週連続で減少中であり、需給環境の正常化が強く印象付けられる状況になっている。
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■理由3:シェール生産統計の悪化
一方、原油高を抑制する要因としてシェールオイルの生産動向が注目されていたが、昨年12月以降はやや低調な指標が目立つことも、原油高に安心感をもたらしている。こちらは積極的な相場の押し上げ要因というよりも、下落圧力を阻止する要因になる。米国の石油リグ稼働数は昨年12月8日の751基をピークに、1月5日時点では742基まで落ち込んでいる。また米産油量は昨年12月15日時点の日量979万バレルに対して、1月5日時点では949万バレルまで減少している。「原油価格高騰→シェールオイル増産」のフローが確認できないことも、投機買いに安心感をもたらしている。

■理由4:ドル安
また、為替市場でドル安圧力が発生していることも、ドル建て原油価格の押し上げ要因になっている。米経済は好調であり、金融政策も段階的な利上げが行われるなど、ドルを取り巻く環境が大きく悪化している訳ではない。ただ、最近は日欧など米国以外の国の金融緩和政策も是正されるとの見方が、ドル相場を押し下げている。ドルインデックスは昨年10月27日の95.15ポイントをピークに、1月12日時点では91.68ポイントまで下落し、昨年9月20日以来の安値を更新している。最大で3.6%ものドル安圧力が発生していることは、それに相当する原油価格の上昇率を正当化することになる。
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■理由5:投機マネーの動き
そして意外と大きな影響があるのが、投機マネーの動向である。国際原油需給が緩和から正常化に向かう過程において、投機筋はこれまでの売りポジションを急ピッチで解消している。それと同時に買いポジションを積み増しており、原油市場では投機主導の価格押し上げ圧力が急激に高まっている。NYMEX原油先物市場における大口投機筋の買い越し枚数は、昨年6月27日時点の32万7,188枚に対して、1月2日時点では62万4,213枚まで拡大している。世界的な株高の影響もあって投資家のリスク選好性は強くなっており、必要以上の投機資金が原油市場にも流れ込んでいる。
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【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)原油価格が高騰している5つの理由(Yahoo!ニュース)

ガソリンが2年5ヵ月ぶり高値、トランプの中東政策を警戒か

資源エネルギー庁が1月11日に発表した「石油製品価格調査」によると、レギュラーガソリンの全国平均価格(1月9日時点)は1リットル当たりで前週比0.2円高の141.9円となった。これで3週連続の上昇となる。昨年の7月3日時点の130.3円をボトムに過去半年で累計11.6円(8.9%)の値上がりになった計算だ。これは2015年7月27日以来となる、約29カ月(2年5ヵ月)ぶりの高値を更新していることを意味する。

国際原油価格の上昇が続く中、日本の原油調達コストは着実に値上がりしており、それがそのまま国内ガソリン相場にも波及した格好である。国際原油相場が急落する以前となる14年前半から中盤にかけての160円台後半は大きく下回っているが、16年3月7日の112.0円を最安値としたガソリン価格上昇のトレンドは維持されており、安いガソリン価格時代の終わりが強く印象付けられる状況になっている。

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■トランプ大統領がガソリン価格を押し上げる可能性
国際指標となるNYMEX原油先物相場の動向をみてみると、昨年前半は年初の1バレル=50~55ドル水準に対して6月21日の42.05ドルまで急落していたが、年末にかけては60.42ドルまでの急激な切り返しをみせた。石油輸出国機構(OPEC)やロシアの協調減産体制が維持されている一方、世界の石油需要は堅調な伸びを示しており、余剰在庫が一掃とまでは言えないが解消方向に向かっていることが高く評価されている結果である。

その流れは年明け後も維持されており、直近の高値は63.67ドル(1月10日)にも達しており、14年12月以来の高値が更新されている。年末・年始を挟んでイランの反政府デモが供給不安を高めたが、その後は反政府デモが収束に向かったにもかかわらず、原油価格の高騰が続いている。

米国でイランとの核合意を見直す議論が活発化する中、一種の「トランプ・リスク」が強く警戒されている結果である。金融大手シティ・グループなどは1月9日付の最新レポートにおいて、中東や北朝鮮の地政学リスクが顕在化すれば、70~80ドルまで原油価格が更に高騰する可能性を警告している。

14年や15年の段階では過剰在庫を抱えていたことで、国際原油市場は各種の供給リスクを無視することができ、マーケットは寧ろ供給トラブルを原油需給・価格正常化のきっかけとして歓迎するムードさえみられた。しかし、在庫過剰の解消が進んでいることは、供給ショックに脆弱な通常の原油需給・価格環境に回帰し始めていることを意味し、トランプ大統領の対イラン政策の行方によっては、ガソリン価格の160円台乗せといった事態が予想以上に早く実現する可能性も浮上することになる。

仮にこうした中東や北朝鮮情勢を巡る大きな混乱状況が派生しなければ、シェールオイルの増産圧力が原油価格の上昇余地を限定することになる。米エネルギー情報局(EIA)は今年の原油価格の平均値として、現在の値位置を大きく下回る55.33ドル(昨年は50.79ドル)を想定している。このため、必要以上の原油高は逆に将来の需給緩和・価格低下リスクを高めることには注意が必要である。ただ、原油市場では余り材料視されていなかった「トランプ・リスク」について、今後はドライバーも関心を払う必要がありそうだ。米国=イラン関係の行方によっては、国内ガソリン価格は更に急騰することになる。

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【マーケットエッジ株式会社 代表取締役社長 小菅努】

(出所)ガソリンが2年5ヵ月ぶり高値、トランプの中東政策を警戒か(Yahoo!ニュース)

2017年の金ETF市場を検証する

2017年の金上場投資信託(ETF)市場は、前年比で198トンの投資残高増加になった。16年の547トンからは64%の大幅な減少になったものの、2年連続で金ETFは投資残高を拡大することに成功している。

金ETFは金投資需要を喚起する目的で2003年に初めて設定され、ピークとなる2009年には年間645トンもの投資需要を創出している。同年の金鉱山生産量は2,589トンであり、新産金の四分の一が金ETF市場に吸収され、金需給の引き締めに寄与していた。

しかし、米国で金融緩和縮小の議論が活発化し始めた13年には912トンの投資残高減少となり、その後は14年が184トン減少、15年が125トン減少と、金投資需要環境の悪化が金ETF残高の減少を招き、それが金需給の緩和から更に金相場を押し下げる悪循環に陥っていた。

だが、イギリスの欧州連合(EU)離脱問題が浮上した16年には547トン増と4年ぶりに投資残高が増加し、その流れが勢いこそ鈍化したものの、17年にも引き継がれたことが確認できる。
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■金ETF購入の主役は欧州勢
地域別では、北米が63トン増(17年は226トン増)、欧州が149トン増(同281トン増)、アジアが13トン減(同35トン増)、その他が1トン減(同5トン増)になっている。北米と欧州は二年連続で投資残高を増やしているが、その規模は大幅に縮小している。前年比では北米が72%減、欧州が47%減となっており、特に北米地区の減少率が大きくなっている。

金ETF需要拡大に占める欧州の比率は、16年の51%から17年は75%まで上昇しており、欧州の機関投資家が金ETF市場の主役になっていることは明らかである。

では、なぜ欧州の機関投資家は金ETFを購入しているのだろうか。この点に関しては、欧州地区の政治リスクが強く影響した可能性が高い。移民問題、更には債務危機をきっかけに欧州にはこれまでの求心力が遠心力に転換しており、政治的な不満の高まりから投資環境の不確実性が増している。昨年の場合だとブレグジットが大きなテーマになったが、今年もフランス大統領選、ドイツ議会選挙などの政治リスクが、欧州機関投資家に対して金ETF購入を促したことが強く窺える。

そして欧州政治リスクの危機レベルとしては、金ETF購入量が47%もの大幅な減少になったことからは、「ブレグジット>フランス大統領選」だったことが窺える。欧州政治リスクへの退避ニーズは維持されたものの、18年の政治リスクは17年のブレグジット時ほどのレベルではないというのが、欧州の機関投資家による投資評価だった模様だ。

18年も3月にイタリア総選挙、更にはブレグジットの実行手続きが本格化するなど幾つかの政治リスクを抱えているが、改めて金ETF買いが膨らむか否かは金価格動向を考える際のみならず、欧州政治リスクを計る上での指標としても注目しておく必要がありそうだ。

■意外と動かなかった米投資家
一方、米国ではトランプ大統領の政治リスクが連日のように報じられていたが、米国の機関投資家は大きな動きを見せなかった。すなわち、トランプ米大統領に起因する政治リスクに関しては、必ずしも真剣に捉えられていなかったことが窺える。これは昨年の株価高騰とも整合性が取れる動きである。

二年連続の投資残高増加となったことからは、株高局面でもヘッジとして金ETFを購入しておきたいというトレンドは形成されていたことが確認できる。ただ、その規模としては前年比で72%の減少であり、ブレグジットと比べると大きな問題ではないとの評価が優勢だった模様だ。

唯一の例外とも言えるのが、8~9月にかけての投資残高急増である。8月は31トン増、9月は59トン増となっており、年間需要の大部分がこの時期に集中している。北朝鮮の核・ミサイル開発を巡って朝鮮半島有事、更には北朝鮮による米本土攻撃が警戒された時期であり、北朝鮮情勢は米国の機関投資家に強い危機感をもたらしたと言えよう。

ただ、その後の10~12月期は12トンの減少に転じており、この問題はピークを脱したと評価した向きが多かった模様だ。

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【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)2017年の金ETF市場を検証する(Yahoo!ニュース)

データでみるビットコイン先物のプレイヤー

昨年12月17日に米CMEグループでビットコイン先物の取引が開始されてから3週間が経過した。米国では米商品先物取引委員会(CFTC)が毎週火曜日時点のデリバティブ取引の建玉状況を金曜日に公表しているが、ビットコイン先物に関してもデータが集計されており、売買状況が徐々にではあるが、明らかになり始めている。

下の表は過去3週間の建玉状況を一覧にしたものだが、まず注目されるのは「ディーラー」と「アセットマネジメント」区分の建玉は殆ど存在しないことである。「ディーラー」は金融機関のプレイヤー、「アセットマネジメント」は年金基金や投資信託などが含まれるが、この分野の売買は殆ど行われていない。すなわち、金融機関のリスク管理に伴う売買、機関投資家の売買はほぼ無視できる程度の規模に留まっている。

無題










一方、ある程度の規模を持った建玉が報告されているのが「レバレッジ投資家」になる。ここにはヘッジファンドや商品投資顧問業者(CTA)が含まれ、短期の値幅取りを狙った投機筋の参入は確認できる。

直近で最も建玉が多いのは「その他(報告義務あり)」であり、企業や小規模銀行などが主にヘッジ目的で売買を行っているものになる。そして、これに相当する建玉が存在するのが「その他(報告義務なし)」であり、いわゆる小口投資家になる。

つまり、スタートから3週間のビットコイン先物のメインプレーヤーと言えるのは、ヘッジ目的の売買と小口投資家であり、銀行や年金基金といった機関投資家の動きは殆ど存在せず、ファンドが僅かに打診的な売買を行うレベルに留まっている。

■大口の売りvs小口の買い
では、各プレイヤーがどのような売買を行っているかというと、「レバレッジ投資家」は3週間連続で売り越しており、ビットコイン先物が上場すればヘッジファンドは売りで参戦するとの強気派の懸念が裏付けられた格好になる。ただ、その規模は必ずしも大きくはなかった。

一方、「その他(報告義務あり)」も一貫して売り越しているが、ヘッジ目的の売買であれば納得のいく動きである。しかも、取組高は徐々にではあるが増加傾向にあり、ビットコイン価格が乱高下する中でビットコイン先物がその機能を果たし始めたと言える。

こうして大口投機筋はほぼ完全な売り越し状態にあるが、これに対抗しているのが小口投資家になり、こちらは3週連続で買い越している。ビットコイン価格動向にかかわらず一貫して強気スタンスが維持されている。

比率としては、買いポジションの63%が小口投資家、売りポジションの72%がその他(報告義務あり)となっており、「大口投資家の売りvs小口投資家の買い」の構図が明らかになっている。
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■取組高は漸増傾向も、低レベル
取組高全体は増加傾向にあるものの、直近の1月2日時点でも4,065枚に留まっており、注目度の高さの割には活発な売買が行われているとは言い難い。ビットコインは週末や祭日なども関係なく24時間取引されているが、ビットコイン先物には取引所の定める売買時間が存在しており、投機の場としてもヘッジの場としても限界がある。

また、取引証拠金がビットコインではなくドルであること、レバレッジの高さなども、ビットコイン投資家の関心を集めきれていない背景として指摘されている。ただ、今後の市場の拡大、更にはビットコイン上場投資信託(ETF)など新たな金融商品の開発を見据えれば、ビットコイン先物は必要不可欠な経済インフラになる見通しであり、これから市場をどのように育てるのか、投資家と取引所は手探りで最適解を模索することになる。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)データでみるビットコイン先物のプレイヤー(Yahoo!ニュース)

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プロフィール
小菅 努(こすげ つとむ)

1976年千葉県松戸市生まれ。筑波大学卒。商品先物会社の営業部、営業本部、ニューヨーク事務所、調査部門責任者等を経て、現在はマーケットエッジ(株)代表取締役。商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物)。貴金属、金属、エネルギー、ゴム、農産物などの商品先物市場全般が主なカバー対象です。商社、事業法人、金融機関向けに分析レポートを配信しています。仮想通貨、為替、株価指数などもカバーしています。

【URL】
マーケットエッジ株式会社

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