年初からの金相場が軟調地合になっていることで、金相場のピークアウト論が活発化してきました。確かにCOMEX金相場を見てみると、昨年12月に示現した過去最高値(1,432.50ドル)から、今年1月21日安値(1,337.00ドル)まで、95.50ドル(6.7%)の急落になっています。チャート上では、一目均衡表の雲を下抜き、100日移動平均線も割り込んでいます。


ただ、ファンダメンタルズを見る限りは、「調整安」との評価に変りはなく、寧ろ「下げ過ぎ」と考えています。

 

金相場の高騰に関しては、様々な要因が絡み合っていますが、08年以降に限定すると、「通貨価値の希薄化」がメインテーマです。米連邦準備制度理事会(FRB)のバランスシート拡大に伴う、通貨に対する信認低下が、金の購買力を維持するために、金相場の上昇を促すフローです。特に、近年は商品価格全体の上昇傾向もあって、金価格の上昇ペースは加速しました。


これを表にしたのが、下の「金/CRB比価とFRBバランスシート」です。金の購買力をCRBとの比価で定義し、それとFRBの資産規模を比較しています。これを見ると一目瞭然ですが、金の購買力はFRBのバランスシート拡大の動きと連動して上昇しています。ただ、昨年5~6月にかけては、欧州債務危機に伴うソブリンリスクが加わったことで、同比価はFRBのバランスシート水準と乖離する形で、過熱感が強まりました。その結果、昨年後半の商品市況全体の高騰局面の中でも、金相場のパフォーマンスは相対的に抑制されたものになったと考えています。


こうした中、最近の金相場急落で金/CRB比価は急落しており、金の購買力が損なわれていることが確認できます。CRB指数は景気拡大傾向と連動して上昇していますが、金相場がそれに見合ったパフォーマンスを実現できていません。特に、量的緩和第2弾(QE2)の実施でFRBのバランスシートが再び拡大傾向を強める中、金の購買力低下は明らかなオーバーシュートの域に入ったと考えています。


CRB指数の水準が横這い状態と仮定しても、金相場の上昇余地は拡大しています。まして、CRB指数が更に上昇すれば、金相場の割安感は一段と強まります。

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