1月11日にトランプ米次期大統領の記者会見が行われた。マーケットでは、大統領選後のリスクオンの地合を促してきた巨額インフラ投資や大型減税について具体的な発言がみられるか否かが注目されたが、こうしたマクロ経済政策についての話はなかった。急激なドル高についても直接的な言及はなく、オバマケアの即時廃止、メキシコ国境の壁建設、対中国・日本・メキシコの貿易赤字に対する不満といった大統領選中の発言を繰り返すだけに留まった。

「トランプ・ラリー」に対しては水を差す動きと評価できるが、同日の米株式市場ではゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェース、キャタピラーといったいわゆる「トランプ銘柄」が堅調に推移しており、「トランプ・リスク」をメインテーマに設定することも回避される中途半端な内容になっている。

全般的にやや強硬な発言が目立ち、大統領就任後の抑制された発言スタンスから、微妙な変化が見受けられる。年初からはTwitter上でも過激な発言が目立ち始めており、今後も「トランプ・リスク」を警戒しつつも、過度のリスクオフ化も回避される評価が難しい相場環境が続きやすい。

こうした中で唯一明確な動きを見せたのが為替相場であり、ドル安での反応が見受けられる。年初から米金融当局者からタカ派の発言が相次いでいるが、少なくとも為替市場では「トランプ・リスク」に対して強めの警戒感が存在することが再確認できる。経済よりも政治が重視される時間帯が続く中、ドル買い・貴金属売りの米大統領選後の展開は、しばらくは修正局面を余儀なくされるだろう。

一方、ドル安はドル建てコモディティ市況全体にポジティブであり、これのみで急伸するまでのインパクトは想定できないが、マイルドな下値サポート効果が想定できる。実際に11日の取引では記者会見後に原油や穀物相場に対しても買い圧力が観測されている。