暗雲立ち込める原油需給
シェール増産の脅威増す

1月の原油相場は年初の1バレル=60.20ドルから一時66.66ドルまでの急伸地合を形成したが、足元では60ドル台前半でやや上値の重い展開になっている。1)需要拡大と協調減産による在庫削減圧力、2)寒波による需要上振れ期待、3)ドル安などを背景に急伸地合が形成されたが、原油価格高騰を受けてシェールオイルに増産の兆候が増える中、更なる上値追いに慎重ムードが広がりつつある。

米産油量の先行指標となるリグ稼働数をみてみると、昨年11月3日の729基をボトムに、直近の2月2日時点では765基まで増加している。期先限月でも60ドル台定着が進む中、シェールオイル開発業者が本格的に投資を再開し始めていることが窺える。米エネルギー情報局(EIA)は2月月報において、2018年の米産油量見通しを前月から32万バレル引き上げ、日量1059万バレルとした。これで5カ月連続の上方修正になる。前年比での増産幅見通しは昨年9月時点の59万バレルから、126万バレルまで引き上げられており、既にシェールオイルの増産分のみで、世界の需要拡大分のほぼ全てが相殺される状況になっている。

しかも、北半球では冬の暖房用エネルギーの在庫手当が一巡し、製油所は順次メンテナス作業に入っている。米製油所稼働率は昨年12月29日の96.7%をピークに、1月26日時点では88.1%まで落ち込んでいる。昨年を振り返ると、4月頃までは製油所稼働率の低迷が続く見通しであり、輸出入バランスが大きく歪むようなことがなければ、短期スパンでは在庫増加圧力が強まる見通しである。

国際原油需給は漸く在庫正常化が見え始めた段階であり、まだシェールオイルの増産ペースが急加速するような展開は容認できない。協調減産の積み増しが難しい現状を考慮すれば、既にシェールオイルは増産可能ラインの限界に達した可能性が高く、仮にここから更に価格水準を切り上げたとしても、維持するのは困難だろう。

しかも、原油市場における投機筋の買いポジションは過去最高水準にあり、買い玉整理の動きが本格化すると、これまでの反動もあって必要以上に大きな下げ幅が実現する可能性もある。季節要因から短期需給が緩和に向かう流れに加えて、シェールオイルの増産加速によってマクロな需給リバランスの流れが阻害されるリスクも浮上しているのが、現在の国際原油相場である。

もちろん、急激なドル安傾向が続けば、需給環境と関係なく1月の急伸相場が再現される可能性はある。ただ、足元ではドル相場が落ち着きを取り戻しつつあり、今後は徐々に原油価格に対するインパクトは限定されよう。上昇シナリオとして警戒されるのは、リビアやナイジェリア、ベネズエラなどの供給トラブル発生である。シェールオイル増産圧力を相殺するような供給トラブルが発生した場合は、1月の高値水準維持も可能になる。(2018/02/07執筆)
【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2018年2月12日「私の相場観」