石油輸出国機構(OPEC)が5月14日に発表した月報では、3月時点の経済協力開発機構(OECD)加盟国の商業在庫が5年平均まで残り900万バレルまで減少し、足元では既に供給過剰状態が解消されている可能性があることが強く示唆されました。

一方、今月報ではあまり話題にはなりませんでしたが、米国のシェールオイル生産環境について比較的厳しい評価が下されています。マーケットでは原油価格の高騰でシェールオイルの増産加速が当たり前のように受け止められていますが、この点について「不確実性が残る」と指摘しているのです。

ロジックは大きく分けて二つあり、一つが輸送インフラの制約です。つまり、米内陸部でシェールオイル増産を行っても輸送能力が追い付かないため、増産が進まない可能性です。もう一つが、投資抑制の動きです。つまり、増産に必要な投資が行われていない可能性です。

下が非OPECの投資金額ですが、2016年で底打ちしましたが、まだ回復ペースは鈍いことが窺えます。

【非OPECの投資金額】
無題
















(出所)OPEC

また、シェール企業の株主が投資よりも株主還元を求めていることも指摘されています。

下はReutersが1週間前に配信した記事ですが、そこではCentennial Resource Development Inc.幹部の話として、1)既に2018年の投資計画が策定済なこと、2)株主から配当要求が強くなっていることを理由に、イラン産原油の供給が落ち込んでもシェールオイルが穴埋めをできない可能性が指摘されています。今回のOPEC月報での分析と整合性が取れるものです。

Reuters=UPDATE 1-U.S. shale producers will not offset Iran supply drop post-deal exit-CEO

シェールオイル増産加速の「常識」に、疑問を投げかける報告が目立ち始めています。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

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