米長期金利の上昇がドル高を促し、ドル建て金相場は1,300ドルの節目を割り込む急落となりました。「金相場が下落する時は米金融政策要因」というのがここ数年の金相場の特徴ですが、今回の1,300ドル割れもやはり米金融政策要因でした。リスクオフ要因の鎮静化した状態で米金融政策の正常化プロセスが注目されると、どうしてもドル買い・金売り優勢になります。

今回は、4月小売売上高などの良好な指標を手掛かりに、マーケットが利上げサイクルの織り込みを強化した結果、「米金利上昇→ドル高→ドル建て金相場下落」という分かりやすい流れが形成されました。

Reuters=米4月小売売上高0.3%増、伸び鈍化も2カ月連続増 ガソリン高は重し

さて、問題はこのまま米長期金利の急伸が続くか否かですが、現行水準からはそれほど大きく上昇していくイメージにはありません。

現在の金利水準は、年末に向けて一気にインフレが高進し、米連邦準備制度理事会(FRB)が年4回の利上げに踏み切ることを前提としたものになっています。実際にインフレ過熱、更には暴走のリスクが高まっていけば何ら問題はありませんが、仮に年3回の利上げ軌道に修正を迫らない程度のインフレ圧力に留まった場合は、オーバーシュート状態との評価になります。まだ6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)も終わっていない状況としては、織り込み一巡ないしは行き過ぎとの評価が基本になりそうです。

米金融当局者の発言をみても、最近は3回をベースに2~4回の利上げに対する支持表明が目立ちます。5月のFOMC議事録で突然に年4回利上げに支持を表明する発言が多数確認されるようなことがなければ、米長期金利の急伸は短命に終わりそうです(金利が大きく下げるという意味ではありません)。

下の債券市場関係者のコメントをみていると、原油高のリスクを債券市場関係者は軽く見過ぎている印象もありますが、インフレ圧力を確認しながら利上げペースを修正していくのが当面の米金融政策環境になる可能性が高い以上、あまりに先走って利上げサイクルを織り込んでいく必要はありません。

Reuters=米長期金利、上昇余地は限定的か:識者はこうみる

【米10年債利回り】
無題












(出所)Reuters

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

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