今季の地域CLを勝ち抜いて、来季からのJFL昇格を決めたFC今治。

昨季、元日本代表監督の岡田武史氏がオーナーに就任し、ビックスポンサーの獲得や元日本代表選手の獲得等々、地域リーグでは規格外と言える様々な動きが注目を集めましたが、一連の報道は、FC今治を取り上げながらも岡田武史オーナーの発言や動向を発信するものが多いため、ホームタウンである今治市の様子や地元の方の声が届いていない状況があります。

そこで今回は、FC今治サポーターにコンタクトをとり「地元から見たFC今治」というテーマで、今治市の実情やクラブへの思いなどをコラムとして寄稿頂きました。コラムは前後編に分かれています。是非、ご一読ください。

コミュサカ@管理人

はじめに

FC今治と言えば10年後に「CWCで優勝」「日本代表に5人輩出」「J1で常に優勝争い」といったセンセーショナルな目標が目につくと思うが、そのカギは「日本人の特性を最大限に生かしたクラブコンセプト(岡田メソッド)」と「FC今治による地域創生」となる。

「日本の多くの指導現場では技術練習重視で戦術練習が後回しになっているが、海外では育成年代から戦術(共通の型)の落とし込みを行っている。(バルセロナがイメージしやすいかもしれない)」今治でも同様の試みにより、個々の技術に高い戦術意識を融合させて世界で闘える選手、組織を育てる、というのが「岡田メソッド」だ。

「FC今治による地域創生」については、先日、FC今治のトップパートナー、デロイトトーマツコンサルティングが、経済産業省の「魅力あるスタジアム・アリーナを核としたまちづくり に関する計画策定等事業」の委託先に採択された。[参考:http://www.fcimabari.com/news/2016/000475.html]これは、クラブが掲げるヴィジョンに共感するサッカーファンがスタジアムへ来場することで、地元市民のみならず国内・海外から人が集まり、更には移住へと繋がることで活気ある街づくりに貢献することを目的としている。

ホームタウン

FC今治が盛んに報道される中で「コミュニティ」としての今治市の細部が拾われることは少ない。しかし、FC今治の挑戦を「県2番目、四国でも上から5番目の人口約16万人都市」という断片的な情報のみで安易に語られることは、僕らにとって本意ではないので敢えて詳細に述べたいと思う。
 
愛媛県は東予・中予・南予に横広く分かれ、東予は関西気質、中予は東京気質、南予は農耕文化的な穏やか気質、と地域によって人々の「気質」がここまでキレイに分かれる県は愛媛県だけだと僕は大学の授業で教わった記憶がある。ただ、そういった愛媛県独特の住み分けされた気質の差こそあるものの、青森・長野・福島のように歴史的な背景や経緯から同県内ではっきりとした「ライバル意識」があるわけではないことが、後述する愛媛FCとの関係に影響しているところもあると言える。

今治市は東予地方の西端に位置し、隣接市は西条市、その右隣に新居浜、四国中央市、香川県と続いていく。隣接市の西条市は、今季の全社や地域CL1次予選の会場であったため、サッカーファンにも知られた場所になったと思うが、この西条市は平成の大合併時に、今治側に位置する旧『東予市』、旧『周桑郡』と新居浜側に位置する旧『西条市』が合併した自治体であり、アクセスや今治への心理的距離という面では「西条」と一括りにするのが難しいところもある。

そして今治市は、大合併時に全国的にも異例の12市町村が合併した自治体だが、これが意外と知られていない。12市町村の合併ということは旧今治市以外のそれぞれの土地に行政の支所や学校、スーパー、運動公園などを中心とした11個別々の社会コミュニティがあるということだ。また、16万人のうち約2万人は島嶼部の住民であるが、多数ある島嶼部を一括りにして考えることは現実的ではない。
 
例えば僕も旧越智郡の出身だが、祖父母は旧今治市内へ用事がある時は「今治へ出かける」という表現をしていたし、僕自身も高校に入るまでは自分達だけで旧今治市内に遊びに行くことはめったになかった。今治市はその旧越智郡の自治体を中心に急速に少子高齢化、過疎化が進み、2015年までの5年間の人口減少率は全国ワースト13位となっている。また、「バリィさん」や「焼き豚卵飯」といった単発の話題や、「今治タオル」や「造船業」といった地域産業の明るいニュースはあるものの、総合的に見ると、他の地方の非県庁所在地と同じかそれ以上に苦しい状況に置かれている。

FC今治の歴史

今越FC→愛媛しまなみFC→愛媛FCしまなみ→FC今治(岡田氏就任以前)というチームの変遷や歴史については、僕はトップチームの一部の選手・コーチと接点があったくらいなので多くを語る資格がない。しかし、愛媛FCの下部組織への移行から、僅か3年で離脱してFC今治へ、とクラブが激動する中、サポーターの心も揺れ、離れたり、離れかけたり、離れてはまた戻ってきたりと、激動があったことは伝え聞いている。ただ、ここではっきりと伝えたいことは、当時からチームを支えてくれたサポーターの多くが今もサポーターとしてFC今治を応援し、または立場を変えてサポートスタッフとしてクラブを支えてくれている。また、クラブスタッフの中には、岡田氏就任以前からのスタッフも在籍しており、そういったクラブの歴史を踏まえ、クラブのことを大切に考えてくださっているということ。

今後も、クラブやサポーターが前身からの歴史を軽んじるようなことは「絶対に無い」ということは断言することができる。

岡田オーナー就任、地域CL突破

岡田氏のオーナー就任は、岡田氏がオーナー就任以前から今治を訪れ、指導者講習会や講演会を開いてくださっていたので、岡田氏が今治と縁が深いことは今治の人にとっては周知の事実だったこととはいえビッグサプライズだったことは間違いない。前述の通り今治市の活気はこのまま失われていくのか?という状況でのオーナー就任だったので、僕はただただ純粋に「救世主」だと思ったし、多くの市民もそう思ったのではないだろうか。

オーナー就任後の2015年シーズンは四国リーグを順調に勝ち進み、9月に高知勢との2連戦を制して上げ潮ムードで地域決勝(現地域CL)へ出場した。当時波紋を呼んだローテーション采配については、詳細が明らかにされることは無いと思うが、サポーターは誰一人として木村前監督へのリスペクトを忘れてはいない。

2016年は、早々に四国リーグ優勝濃厚の状況を作るものの、地域CLを考えると苦しい内容が続いていた。メソッドと個々の才能の融合はいつかなぁ。夏かなぁ。あれ。。まだか。。9月には、ね。あれれ。。。9月の終わりにきてしまったぞ。国体と全社で3連戦を、絶対に経験を!

あれれれ。。

という流れで迎えた地域CLの最終ラウンド前の僕は「胸を借りるつもりで!」「チャレンジャー精神で!」と連呼していたような気がする。

オーナーが言うように地域CL1次ラウンドは幸運な組み合わせでもあったし、最終ラウンドも、もし水島戦が初日だったり、鈴鹿の小澤監督の選手交代が違う一手だったら、、と思うと本当に運もあった。でも、その「運」を引き寄せたのはオーナー以下全スタッフ、全選手の努力があったからだと思う。本当に色んな事が奇跡的に嚙み合って勝ち抜けた地域CLだが、僕は5日間くらい勝ち抜いた実感が湧いてこなかった。(二宮かまぼ子は現地でうぇんうぇん泣いていたが。(笑))

2017シーズンへ向けて

既にJ3昇格へ向けた戦いが始まっている。他サポさんへの挑発ととられそうだが、良い成績を狙えるのではないかと思っている。ただ、昇格のためには「平均観客動員2,000人」を達成することが求められる。「成績は残せたのに観客動員で昇格できませんでした」サポーターとしてこれだけは避けたい。ちなみに無料開催であった今シーズンの観客動員の平均は「1,450人」であり、最大のライバル「高知ユナイテッドSC」戦(今治桜井開催)の「2,270人」が最多動員だった。JFLから有料開催になることや、財布の紐が固い「今治人の商売人気質」を考慮すると、越えるべきハードルは非常に高いと言えるだろう。また、今年のように「梅雨」や「秋雨前線」の影響で観客動員が見込めない日があることも想定できるので、晴れの日には常に2,500人以上の観客を集めたい。

まずは、新スタジアムが9月に使えるようになるまでは西条市の「ひうち陸上競技場」や松山市の「砥部球技場」などをホームスタジアムとして使用することになる。地域CLというJFL昇格をかけた大事な1戦かつ無料試合のひうち陸上競技場で、公式発表の観客動員が1,200人だった現実をしっかり受け止めて、それぞれの立場でできることを心掛けていきたい。


後編に続く




【コラム】地元から見たFC今治(前編)
http://blog.livedoor.jp/commusoccer/archives/49161689.html
【コラム】地元から見たFC今治(後編)
http://blog.livedoor.jp/commusoccer/archives/49161919.html


著者
mirai_t
ミライ@FC今治 @shingorinho

紹介
FC今治サポーターで「FC今治の応援ブログ」管理人。FC今治誕生時のちょっとした縁からいつの間にかトップチームも追いかけるようになったサッカー好き小僧であり、観戦時は戦術オタクと化す。今治サポによる交流フットサル大会を開くのが来年の目標。
>FC今治の応援ブログ
http://fcimabari-supporter.seesaa.net/

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