今季の地域CLを勝ち抜いて、来季からのJFL昇格を決めたFC今治。

昨季、元日本代表監督の岡田武史氏がオーナーに就任し、ビックスポンサーの獲得や元日本代表選手の獲得等々、地域リーグでは規格外と言える様々な動きが注目を集めましたが、一連の報道は、FC今治を取り上げながらも岡田武史オーナーの発言や動向を発信するものが多いため、ホームタウンである今治市の様子や地元の方の声が届いていない状況があります。

そこで今回は、FC今治サポーターにコンタクトをとり「地元から見たFC今治」というテーマで、今治市の実情やクラブへの思いなどをコラムとして寄稿頂きました。コラムは前後編に分かれています。是非、ご一読ください。

コミュサカ@管理人

はじめに

-ファンの拡大へ-

今、サポーターもクラブもここに向けて一体感を感じる。

「こんなことしてくれたらなぁ」と指をくわえていた感覚から「こんなことをしたい」「どうしたらよいかな、何ができるかな」と、少しずつサポーター側の意識が変わってきたような気がする(一部の方々は以前からその意識を持ち行動してくださっていたが僕は足りていなかった)。全社や地域CLが地元で開かれたことにより、多くの他クラブサポーターを目の当たりにし、交流できたことも大きく、本当に幸運だったと思う。

後編では「FC今治と地域密着」について、いくつかの観点からお伝えしたい。

愛媛FCとFC今治

僕は愛媛FCがJリーグに上がった時からの愛媛FCのサポーターだ。とは言っても毎年2~3回の観戦に行く程度だが、去年の昇格プレーオフ、セレッソ大阪戦は最高の思い出となった。勘違いして欲しくはないが、FC今治の多くのサポーターは愛媛FCが大好きだ。だって僕らも体には赤い血ではなくポンジュースが流れている愛媛県民なのだから。観客動員で苦しむ愛媛FCのことでニンジニアスタジアムへのアクセスが話題になるが、それだけでは簡単に済ませられないようなことも感じているし、愛媛の特徴である「若い女子サポたちのクラブ愛」など、良いところは今治も見習っていきいたい。

野球王国愛媛

愛媛県は夏の甲子園の勝率が大阪に次いで全国第2位であり、ここ10年近くは低迷しているものの依然として高校野球が盛んな土地だ。地元メディアの扱いも大きく、その中でも特に今治市は高校野球が盛んな地域だ。僕も高校野球は大好きで、今年も年休をとって夏の県予選を2日間観戦した。愛媛県人にとって高校野球は立派なエンターテイメントであり、サッカー観戦とは違うけれど、共に何かに熱中する気持ちは変わらない。僕はこれからも両方好きだろう。
高校野球好きの地元の方も、FC今治の応援に一度は訪れてみてはどうだろう。かつて私がそうだったように、サッカー観戦の奥深さが分かれば、のめり込んでいけると思う。

地元の盛り上がりについて

今治の地元の盛り上がりは大丈夫?と心配や懸念を頂くことが多い。

地域CLの決勝ラウンドが行われた市原で行われた懇親会に出席した先達のサポーターから、これまでもカテゴリーを駆け上がりはしたものの、地元企業や地域からの求心力が得られずに降格したクラブのことや、長期ヴィジョンがなかったために経営難に陥ったクラブのことなど、多くのことを教えて頂いた。

クラブ運営は、何はともあれスポンサー様あってのもの。本当に大きな存在であるということがFC今治を通して改めて勉強になった。営業部の努力はサポーターからはなかなか見えにくいものだが、クラブという船の舵取りだと言ってもいいと思う。県外のビッグスポンサーについては岡田オーナー就任後に早く反応があったが、地元企業はすぐに判断ができなかった。しかし約2年かけて地元に撒いた種が、物凄い勢いで芽を出そうとしている現状は本当に心強い。

心配されている地元の盛り上がりについては、SNSやメディアから伝わるスタンドの様子などから判断されていると思うが、これには今治の地域特有の事情があることを踏まえてほしい。

現在、FC今治は多くの中高齢者サポーターに支えられており、平均年齢は約50歳というデータがある(※実際はもう少し高い気もする)。つまりSNSを利用していない熱心なファン、サポーターがスタンドに多く、特に情報を発信せずとも、それぞれの日常のコミュニティではFC今治の話題を肴に楽しい時間を過ごしていることは理解して欲しい。(それとは別に、ここ数か月でFC今治のことをSNSで発信する地元の方が増えたことに驚いているが嬉しい限りだ。)

また、今治はプロスポーツと縁がなかった土地であり、血縁の町と言われるほど小さい町なので、自分の想いを人前で表現することに敷居の高さを感じるところがあるのかもしれない。ただ、そこに関してはクラブが浸透するにつれてクラブを応援することへの愛着も芽生え、自然と雰囲気も変わってくるだろう。

以前と比べて、のぼりやポスターも数多く見かけるようになったが、町全体を見回すとまだまだ浸透しているとは言えない状況かもしれない。スーパーや居酒屋、コンビニといった日常的なスポットにFC今治グッズが堂々と飾られたり、「今治が勝ったら○○無料!」というような光景が待ち遠しいし、駅や港といった公共の場に、もっとFC今治カラーが溢れて欲しい。もしかしたら、多くの人・店にやってみたい気持ちはあるけど、「一歩が踏み出せていない」だけかもしれない。そういった意味では「二宮かまぼこ店」が何事にも先陣を切ってチャレンジしている姿には頭が下がる(※お酒は控えめに)。僕も来年は自分の職場だけではなく、熱心な某いわきサポのように、身近なところにポスターを貼ってもらうような草の根活動を今年よりも心がけていきたい。

FC今治の未来へ向けて

岡田オーナー就任から約2年が経ち、これからは「認知してもらうための広報活動からスタジアムへ来てもらうための説得力ある広報戦略」へと昇華することが求められると思う。大変だがやりがいのあるチャレンジだし、サポーターとして手伝えることは手伝いたい。

FC今治が将来15,000人のスタジアムを埋めるためには、クラブの概念やヴィジョンに惚れ込んで来場してくれる層を開拓する必要がある。鹿島アントラーズがホームタウン外からの来場率が高いのは「クラブの魂」が広く理解されていることが大きいと思う。

よく聞く声として「FC今治のヴィジョンや地域に根づいている、根付こうとしている姿をもう少し上手く発信すれば良いのでは?」というものがある。2016年のメインフィールドは小さな舞台「四国リーグ」であり、会社の組織体制的にかけられる人員に限界があったということは理解してほしい。ただ、現在、色々な媒体で実施している発信内容の結びつけ(情報と情報のリンク付)を工夫することで、これまでと同じ労力でも数倍の効果が上がると思うので、そこはクラブも検討してみてほしい。

「来年は地元との関係を一層充実させて欲しい」と個人的に思っていたが、幸い先日の岡田オーナーのインタビューでも「地域密着」に触れていたのでホッとしたところだ。同インタビューでは、地元の祭で岡田オーナーのリフティングが話題になったことに触れられていたが、僕は先日の「矢野社長による新スタジアム見学ツアー」も大きな意味があったと思っている。矢野社長自らが雨の中合羽に身をまとい、拡声器を持って参加者にスタジアム建設の進捗状況等を説明し、その場で質疑応答を行った。参加者だけでなく、又聞きで様子を聞いた人も含めて、クラブと市民の心が1つになれたような、そんなキッカケになったのではないかと思う。また、先日開かれたクラブとの意見交換会では、クラブとサポーターだけでなく、クラブが色々な層の方とやり取りできたことも、クラブと地元が共に歩んでいくための大切な機会になったと思う。

来年は、地元にさらに溶け込む→報道される&クラブがうまく発信する&サポーターも拡散する→地元の愛着が強くなる。このサイクルがうまく回れば、たった1年間でも今治は劇的に雰囲気が変わっているはずだ。既存サポーターの心をグッと掴み、地元の方の心をくすぐるような「ちょっとした仕掛け」を創る遊び心にはまだまだ伸び代を感じる。クラブ内外者が各ポジションをお互い尊重しながらも繋がっていく、そんな1年を期待したい。

最後に。僕はベースが戦術オタクだ。来年も声をだすのも忘れて拍手をするくらいで試合に真剣に見入ってしまうと思うので、サポーター活動は、試合前後の地味なお手伝いや発信に努めるくらいになるだろう。何が言いたいかというと、来場者のスタンスは人それぞれだということ。イケメン目的でも、グルメ目的でも、「週末のスタジアムの楽しみ方はあなた次第」ということを今治市民にお伝えし、このコラムの最後としたい。



編集後記
FC今治は、岡田武史氏がオーナーに就任したことで日本有数の推進力を持ったエンジンを手に入れました。その勢いは、時には全国規模で話題が広がるほどの影響力を持っているので、そばで見ている地元の方も、岡田武史氏とは縁が深いことを認識しながらも、期待と戸惑いが入り交じる複雑な心境があったかと思います。

今回、今治市の地域事情やクラブの実情に触れ、一つ一つの課題を克服しながら前に進み「今治のスタイル」を構築しているところであるというのを強く感じました。答えを急ぎすぎず時間をかけながら、クラブと地域の方々が、お互いを尊重しながら歩んでいけたら良いですね。クラブの歴史を大切に思っているというのは本当に素晴らしいことだと思いますし、地元の方が日常でFC今治の話題を肴に楽しい時間を過ごされていることは何よりも尊いことだと思います。

コラムの結びにもあるように「楽しみ方は人それぞれ」だと思います。また、その楽しみ方は地域によって変わってくるものだと思います。地域CLの総括記事のところでも書きましたが、今治の皆さんには、FC今治に大いに期待して楽しんでほしいと思います。来季からのJFLという全国の舞台、新たなステージを楽しんでくださいね。

最後に、私からの突然の無茶振り(笑)に快く応えて頂き、コラムを寄稿頂いたミライ@FC今治(@shingorinho) さん、ありがとうございました。感謝と共にお礼を申し上げます。

コミュサカ@管理人



【コラム】地元から見たFC今治(前編)
http://blog.livedoor.jp/commusoccer/archives/49161689.html
【コラム】地元から見たFC今治(後編)
http://blog.livedoor.jp/commusoccer/archives/49161919.html


著者
mirai_t
ミライ@FC今治 @shingorinho

紹介
FC今治サポーターで「FC今治の応援ブログ」管理人。FC今治誕生時のちょっとした縁からいつの間にかトップチームも追いかけるようになったサッカー好き小僧であり、観戦時は戦術オタクと化す。今治サポによる交流フットサル大会を開くのが来年の目標。
>FC今治の応援ブログ
http://fcimabari-supporter.seesaa.net/

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