台紙

J3以下のカテゴリーには様々な運営形態のチームがあります。
プロクラブ、アマチュアクラブ、実業団、学生、そしてセカンドチーム。


一括りにセカンドチームとは言っても「設立の経緯や意義は様々」というご指摘を頂き、全国のセカンドチームの実態や特徴を知るために、セカンドチームにフォーカスしたコラムをシリーズでお送りしています。

第3弾は、2016年に活動を終了した、九州サッカーリーグ、鹿児島ユナイテッドFCセカンドです。




00_2014_整列
https://twitter.com/dnmt_kyu/status/476269865028706304

■はじめに
コミュサカ管理人さんより、鹿児島ユナイテッドFCセカンドのコラムの依頼を受けたはいいが、凄く難しい作業だと感じた。

参考にFC岐阜、ファジアーノ岡山のセカンドチームに関するコラムを読んだ時、この2チームには一本芯が通っているように感じ、鹿児島のセカンドにはその芯が無いように思えた。

鹿児島ユナイテッドFCセカンドは3シーズンしか活動出来なかったが、このチームには一本芯が通っていなかった。クラブがこのチームをどうしたいのかが見えてこない以上、コラムとして残すのは凄く骨の折れる作業だ。

このチームを語るうえで2014年と2015年以降では、同じ「鹿児島ユナイテッドFCセカンド」でもまったく違うチームに見えたので、コラムは2014年を前編、2015年以降を後編として書きたいと思う。

■設立の経緯、課題となった活動資金
2014年、ヴォルカ鹿児島とFC KAGOSHIMAが統合し、鹿児島ユナイテッドFCが発足した際に、トップチームに選ばれなかった選手の受け皿として、鹿児島ユナイテッドFCセカンド(以下セカンド)が発足した。登録番号はヴォルカ鹿児島のものを引き継いだ。ヴォルカ鹿児島は、前身が鹿児島サッカー教員団で、第1回から九州リーグに参戦している歴史のあるクラブだった。

セカンドが九州リーグに参戦するに辺り、クラブは年間400万円かかると言われていた活動予算のうち100万円しか捻出できず、残りの予算は選手の部費や有志からの寄付で賄われていた。

クラブは救済措置として、セカンドに所属する選手経由でファンクラブに入会した場合の売り上げを、セカンドの活動資金に充てることとした。また、シーズン終盤に行った、選手ストラップの販売で得た売り上げは、全国社会人選手権への遠征費に充てられた。

01_2014_ストラップ販売
https://twitter.com/union_tigre/status/511839420375236609

■現状を受け入れてやっている
セカンドの選手は、日中に練習し夜はアルバイトという生活だった。

選手は、前FC KAGOSHIMAの選手とセレクション等で集まった選手で構成された。前ヴォルカ鹿児島の選手は残らなかった。これについては、日中に練習をした後にアルバイトをしていたFC KAGOSHIMAと、日中はフルタイムで働き、夜に練習をしていたヴォルカ鹿児島との違いで、前ヴォルカ鹿児島の選手達は生活水準が落ちる事を懸念して残らなかったのでは?という憶測が流れた。

セカンドは「頑張ればトップチーム昇格」を感じさせる環境には見えた。

トップチームの練習に参加できたり、シーズン中のトレーニングマッチでは、トップチームとの混成チームで臨んだ事もあった。トップチームのホームゲームでのPRやメディア出演の機会もあり、特にこのメディア出演はセカンドチームとしては異例の事だったと思う。

02_2014_山口
https://twitter.com/tamamilk/status/457733150626414592

運営も担当していた山口直大(現J.FC MIYAZAKI)はよく「現状を受け入れてやっている」と口にしていた。

サッカーへ取り組む環境も生活も大変だったと思うが、ただ、応援している側としては、こんなに楽しいと思わせたチームはなかった。

■大人もはまったふれあいサッカー
04_2014_ふれあいPK
https://twitter.com/union_tigre/status/466217738545811456

04_2014_ふれあい大人
https://twitter.com/dnmt_kyu/status/470773355037995008

このチームを語る上で外せないのが、ホームゲーム終了後に開催された「ふれあいサッカー」だ。セカンドの試合後に、ついさっきまで選手がプレーしていたピッチの上で、老若男女を問わずサッカーを楽しんだ。選手も参加して、時には大人げないプレーを見せたりと楽しそうだった。参加した皆が楽しいと思わせる空間だった。

04_2014_ふれあい集合
https://twitter.com/union_tigre/status/470930079531270144

ただ、"セカンドを知ってもらいたい。"という選手の努力や思いが、フロントに響いていたかは疑問だった。

■魅力的なチームは1年で解体

03_2014_小林子供応援
https://twitter.com/union_tigre/status/511820585416921088

選手がひたむきに取り組む一方で、この年にトップ昇格を果たした選手は1人もいなかった。
多くの選手がセカンドを去った。

05_2014_永江
https://twitter.com/dnmt_kyu/status/468032283933282304

永江拓弥がMIOびわこ滋賀へ"個人昇格"したが、多くの選手は、より環境の良い地域リーグクラブへ移籍していった。それもセカンドの役割の一つではあるが、「このチームでもう一年」と思わせる環境がここには無かったという事だろう。

この年、トップチームも多くの選手に契約満了の通知がなされた。

セカンドからトップチームへ昇格できる道筋を作り、セカンドで再出発ができる環境であれば、セカンドに選手が来てチームが活性化したように思う。クラブがチームに与えた環境は、口ではうまい事を言って周りを乗せるが、実際は「体のいいポーズ」だったのではないかとさえ思えた。

クラブとして、体力的に2チーム持つのは難しいということは何となく感じていたが、セカンドチームを有効活用しようとしなかったフロントへの不信感は募った。

■サポカンでの一コマ
2015年、JFL開幕前に行われたサポーターズカンファレンスでもセカンドについての質問がなされた。その際のGMの返答をまとめると下記の2点となる。

1. クラブの体力的に2つのチームを持つのは厳しい
2. トップチーム統合の際に漏れた選手達だったので、トップでやるには厳しいと判断した

はっきりと言ってくれた分、ある意味ではすっきりしたが、腑に落ちない点もあるというのが率直な感想だった。

まず、統合の際に漏れたのは2013年の話であり、2014年の1年間を戦って得た経験値について語られていない点だ。

06_2014_地主園
https://twitter.com/commusoccer/status/513534858006511617

例えば、当時のセカンドには地主園秀美という元Jリーガーがいた。Jリーグでの出場経験もあり、九州リーグでは1人だけレベルの違う動きを披露していた。地元鹿児島(霧島市)出身で、トップチーム昇格に相応しい選手にも感じたが、人伝で聞いた話では「同じポジションは選手が足りている」という理由でトップチーム昇格が見送られたそうだ。

また、トップチームGKの3番手だった木川渉は大学の4年時と2014シーズンは、まともに試合出場していない。一方でセカンドのGKだった濱川アーレン優也はJAPANサッカーカレッジ、デッツォーラ島根、そしてセカンドとコンスタントに出場機会を得ていた。この2人を比較した時に、木川の方が優れていると言い切れるだろうか?結局、木川は2015年も試合に絡む事なく、この年で契約満了となった。彼は後に移籍したVONDS市原でも試合に出場していない。彼のキャリアを考えれば、セカンドに「期限付移籍」するという選択肢があってもよかった気がする。

07_2014_浜川
https://twitter.com/dnmt_kyu/status/476269758149439488

■分岐点
鹿児島ユナイテッドFCセカンド(以下セカンド)を取り巻く環境は2015年から大きく変わった。

まず、前年に救済措置として行ったセカンドに所属する選手を経由してファンクラブに入会した売り上げをセカンドの運営費に充てるという措置はなくなり、選手ストラップの販売もなくなった。

チームの練習は日中から夜に変わり、加入した選手の中にはサラリーマンとして働きながらプレーする選手もいた。

コーチングスタッフもU-18のスタッフが兼任し、トップとの距離が離れる一方で、アンダー世代と連携したチーム運営が行われた。

この年からセカンドは「アカデミー」として再出発をする事になった。

後編へつづく



【コラム】宮崎からJリーグ入りを目指す2つのクラブについて
http://blog.livedoor.jp/commusoccer/archives/49850352.html


著者
dai
dai @daisan0512

NO 全攻切守 NO LIFE
http://daisan512.blog24.fc2.com/

紹介
 鹿児島ユナイテッドFCサポーター。ヴォルカ鹿児島時代から応援し、ホーム・アウェイに関わらず試合会場に駆けつける。daiさんのブログ「NO 全攻切守 NO LIFE」は2008年から記事を更新し、学生サッカーから社会人サッカーまで広く網羅している。詳細な試合レポートと冷静な分析は秀逸だ。

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