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はじめに

 JリーグとDAZNが放映権契約をして試合を配信するようになってから「サッカーを見る人が増えたのか減ったのか」が話題になってましたね。

 ろくに調べもせずに「増えてはいないだろう」とか妄想を書いてしまうライター、それを載せてしまうメディア、どちらもどうかとは思いますが、そこに目くじら立てるのも馬鹿らしいですし時間の無駄です。素晴らしい記事を書いてる真っ当なライターや編集者がいることも知っていますので、一先ず、ああいうのは笑い飛ばして放っておきましょう。

 ただ、試合をインターネットで配信することについては、初めてKSLTVの存在を知って感動して以来、ずっと興味を持って調べてきたことでもありますので良い機会なので記事にしたいと思います。Jリーグについては専門外ですが、さすが天上界、調べたら割と簡単に数字の根拠が見つかったので、まず、そこから話を初めたいと思います。

数字のお話


 JリーグがDAZNと契約する前は、Jリーグを見るためにはスカパーとの契約が必要でした。スカパーは、これまでJリーグを支えてくれた素晴らしいパートナーであり、Jリーグのファンは、今でも感謝していると思います。

 まず、Jリーグを視聴する目的でスカパーと契約していた人の数が分かれば、現在の数値との比較ができますので調べてみました。

日本経済新聞:スカパー、痛すぎるJリーグ喪失 加入者純減16万件 
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ19HUQ_Z10C17A5000000/

 スカパーが、2017年3月期の決算説明会で「17年3月期末の加入者数は332万人。16年3月期末比16万2千件の純減」と発表しています。Jリーグが見られなくなったタイミングで、スカパーをやめた人が16万2千人いたということですね。「それ以外の理由で解約した人もいる」と思いますが、引き算をする時に引く数字が大きい分には文句ないと思いますので、それ以外の理由での解約者は含み損として公表数値をそのまま使うこととします。

 次に、Jリーグとの契約がDAZNに変わってから、DAZNと契約した人がどれだけいるのかが分かれば、既存ユーザーと新規ユーザーの「差」を求めることができます。既存ユーザーの16万2千人より新規ユーザーが少なければ視聴数が減っている、逆に新規ユーザーが多ければ視聴数は増えているとなりますよね。

 DAZNとの契約方法は、通常の契約方法とNTT docomo経由での契約方法と2種類に分かれています。DAZNは契約者数の総数を公表していませんので、この2つの契約を合算した数は分かりませんが、NTT docomo経由での契約数は調べることができました。

サッカーキング:JリーグがNTTドコモとトップパートナー契約を締結…VR技術を駆使した新エンタメ体験の構想も

 JリーグがNTTドコモとトップパートナー契約を結んだ時の記者会見で「DAZN for docomo の契約者数が55万人を越えている」とNTT docomoの吉澤社長がコメントしています。

 それでは、引き算してみましょう。

 DAZN for docomo 契約者 55万人 ー 以前の契約者(スカパー)16万2千人 = +38万8千人

 とんでもない数の視聴者が増えていることが分かりますね。また、ここで皆さんお気づきだと思いますが、この55万人という数字は、あくまでNTT docomo経由で契約した人の数ですから、NTT docomo経由以外の通常の契約方法の加入者数は含まれていません。一部ではNTT docomo契約数は既に70万人を突破して全体で100万人が見えてきているというのも聞きますので、NTT docomo契約数の30%くらいの数値が通常契約数かなとは思います。ただ、総数予測についてはDAZNが公表しない以上、想像の域を出ないのでここでは取り上げません。

 また、よくある話しとして「キャリアの契約ノルマの一つだからそれほど利用されてないんじゃないの?」という指摘がありますが、これについても一つの記事を見つけました。

App Ape Lab:Jリーグとプロ野球、女性ファンが多いのはどっち?Jリーグ独占放送のDAZN(ダゾーン)がスポナビライブの利用者数を抜く
http://lab.appa.pe/2017-03/dazn-app.html

 App Ape Labが公表したベンチマークで「アプリ所持ユーザーの8割以上がJリーグの試合の日にDAZNアプリを起動している」とあります。スマートフォンでDAZNの配信サービスを視聴するためにはアプリが必要ですので、55万人 ✕ 80% = 40万人は試合日にJリーグを見たことになります。

 それでは、引き算してみましょう。

 アプリ利用者 40万人 ー 以前の契約者(スカパー)16万2千人 = +23万8千人

 試合当日のアプリ利用者と限定してもかなりの数の視聴者が増えていることが分かります。前述したとおり、母数の55万人はあくまでNTT docomo契約者なので、利用者数はさらに増えることが想定できます。 

 これで検証も十分だと思いますので、それでは結論を言いましょう。

結論:Jリーグの視聴者数は増えています(※もちろん調べました)

※追記を記事最下部に記載しています。

TVを使った印象操作

 TVの力は侮れません。カレーが嫌いな人を探すのと同じくらい、TVの無い家を探すのは難しいことですよね。      

 サッカーのTV放送が少ない状況は、JリーグがDAZNと契約した云々の出来事に関係なく、Jリーグバブルが弾けたと言われる1997年前後から「20年近くずっと言われていること」です。ここに何かしらの対策をするべきだとは、Jリーグファンなら誰もが認識していることだと思います。 サッカーが昔から継続的に抱えている問題を、JリーグがDAZNと契約する前後のサッカーの視聴数妄想と結びつけて、完全に時系列を無視して論点に付け加えるのはおかしな話ですね。 

 スポーツ全般においてTV放送が減ってきている昨今では、他のスポーツも同様の問題意識を持っていることと思います。この「TVでのスポーツの取り扱い」みたいな問題は「国民がスポーツ観戦をTVで楽しむ文化論」みたいなところにつながってくることで、もはや特定のスポーツだけの話では無いですね。

 こういうのを「下手な印象操作」って言うのだと思います。 

CS放送からインターネット配信へ

 スカパーからDAZNへ変わったことでの、分かりやすい大きな変化は「映像の配信方式」が、CS放送からインターネット配信に変わったところだと思います。これについては「端末がインターネットにつながれば」と「端末にアンテナやチューナーが必要」というところを比較して、初動負荷がどちらが高いかで、まず評価が別れるところだと思います。 

 私の場合は、沖縄に移住して初めて住んだアパートがまさかのアンテナ取り付け不可物件だったので、本土からわざわざ持ってきたアンテナをその後8年眠らせることになりました(笑)。次に引っ越したアパートでは大家さんの許可も降りて無事に取り付けられることとなったのですが、工事業者との日程調整が大変でしたし、年数が経っていたことから長らく同居していたアンテナ1号が使えないと判断され、寂しくも交換することとなりました(涙)。新たに取り付けたアンテナ2号は、その年の大型台風の時に吹き飛びそうになったので、その後台風の度に危険を感じて脱着する羽目になり、段々面倒くさくなってしまって外したままにしてしまいました。止む無くこれまでサブ的に利用していたオンデマンド視聴をメインとして楽しむことにしましたが、同じ時期に会社の慰労会の景品でAppleTVが当選してAppleTVでJリーグ放送を見る事ができたので、このタイミングで完全にインターネット視聴に切り替えてしまいました。

 アンテナは現在も部屋の片隅で眠っていますが、こうやって書いてたら「沖縄に移住してから誰よりも一緒にいたのが実はまったく使わなかったスカパーのアンテナだった」という衝撃の事実が判明した訳ですが(笑)結果的にインターネット配信であるオンデマンド視聴とAppleTV視聴に切り替えられたため、DAZNへ変更になっても、環境以降は割りとスムーズにできたほうでした。スカパーオンデマンドも初期の頃は止まる固まるが当たり前だったので、DAZNについても快適な放送が見られるようになるまでには少し時間がかかるのかなと思っています。私の場合は「1年目の現状では」DAZNのクルクルパフォーマンスもそれなりに許容できています。

 アンテナ受信ができていた短い期間では、天候不良で映像受信できないことも多かったので、私の中では両者を比較すると一長一短なんですよね。

 映像のクオリティについては明らかにスカパーのほうが上です。ただ、私の場合は試合をもうちょっと高い視点(俯瞰視野)、いやそれこそ真上から見たい願望があるので、ボールの回転とか選手の表情まで鮮明に映らなくて良いからもっと遠くから撮って欲しい(笑)と思っているので「どこまで求めるか」や「なにを求めるか」という個人の好みで不満度合いも変わってくるかと思います。

 色々な声が出てくるのは良いことです。それこそユーザーが増えている喜びでもあります。今後は画質や角度なんかも選択できるようになってくれたら嬉しいですね。

トリプルスクリーンという考え方

用語説明:【トリプルスクリーン】
テレビ、パソコン、モバイルの3つを指し、スクリーンが小さいほど生活者との距離が近いといわれる。マーケティングにおいては、それぞれのスクリーンの特徴を理解した上で施策を立てることが重要とされる。

 10年前、家でサッカーの試合を見るためにはTVが必要でした。それが当たり前だったので、TVを通してサッカーを見る事ができるサービスを選択し、必要であれば装置(アンテナ、チューナー)を購入していました。当たり前のことだったので、このことに特別な何かを思うことはありませんでした。

 現在では、私達の生活の中にはTV、PCモニター、スマートフォンやタブレットと、3種類の画面(スクリーン)があり、映像視聴するスクリーンを選択できる時代となりました。これは、これまでTVしかなかったマーケットが、PC、モバイルと3つに増えたことにもつながっています。スクリーンごとのマーケットが増えて顧客対象の母数がぐんと増えたことが、 聴者数が増えた大きな理由だと私は思っています。

 Webマーケティングのトリプルスクリーンという概念では、スクリーンが小さいほど生活者との距離が近いと言われていて、それぞれのスクリーンの特徴を理解した上で施策を立てることが重要とされています。

 ただ、時代が変わったからTVから離れてモバイルへという単純な話しではなくて、TVの視聴時間は昔からほぼ横ばいで、モバイルの視聴時間は伸びている状況です。これがどういう状況かというと「同時利用」がされていることを示していて、TVを見ながらスマホを見たり操作する状況が増えているということです。ソーシャルメディアでの話題の盛り上がりがTVの視聴率に影響するというデータは2012年あたりから盛んに議論されています。 

「SNS×TV」連携の現状と展望。Twitter/Facebook、mixi/LINEの取り組み
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/566709.html

 Jリーグとの契約がDAZNに変わったことで、スクリーンの選択肢が増えました。アンテナやチューナーといった装置がある「特定の場所」で無ければサッカーが見られなかった状況から、インターネットに繋がる環境であれば「様々な場所で時間を選ばず」に、いつでもサッカーが見られる状況になりました。TVを見ながらSNSに投稿することも、SNSを利用しながらTVを見ることも、家族がTVを見てるから、お父さんはスマホでサッカーを見ることも可能になりました。それぞれが連携し、日常の様々なシーンで手軽にサッカーを見られる状況ができたということは、それだけサッカーを見る事が身近になったということですよね。 

 すでにインターネットは私達の生活から欠くことができないものとなっていますし、映像を見る時に利用したいWi-Fiアンテナの数も大分増えてきました。サッカーを抜きにしても、日常の生活の中でWi-Fiが繋がるところ探すことは当たり前のことになってきていますよね。街中でCS放送が見られらる場所を探すのと、Wi-Fiアンテナを探すのとでは「どちらが楽か」と考えれば答えは言わずもかなだと思います。

 少し話を発展させて、例えばオリンピックを考えた場合、外国からオリンピックを見に来た外国の方は、使い慣れた自分の端末がWi-Fiにさえつながれば、メール、SNSといった日常で使うツールを利用できますし、端末の言語設定はそのままに、翻訳ソフトで母国語を日本語に変換することも可能です。外国人が多い沖縄では「Excuse me」と話しかけられた後に、そのままいきたい場所の地図が表示されたスマホの画面を見せられることもあります。那覇市はフリーWi-Fiがつながりますし、外国から来た方からすれば、まず手持ちの端末で情報が得られることが安心感にもつながります。情報得て、そこから日本の文化に触れたい、またはみんなでワイワイしたいと思って、居酒屋やスポーツバーを探すというのがよくあるプロセスじゃないでしょうか。外国人向けのサービス云々で反論してくる方もいますが、そのフリーWi-Fiは日本人も利用できますよね。

 今後も「トリプルスクリーン」は共存していき、それぞれが影響しあっていきます。TVだけ、モバイルだけといった視点ではなく、それぞれの特徴や利点を考えて、連動を意識しながらバランスよく利用していきたいですね。

未来へ向けて

 DAZNとの契約が噂されてから、大手3キャリアのうちどこかと組むのでは無いかと思っていましたし、実際に始まってみるとJリーグがNTT docomoと組めたのは大成功でしたね。日本全国に張り巡らされた営業網とインフラ施策とその実働部隊を持つパートナーと組めたことで、今後はより加速して、サッカーを取り巻く状況が変わっていくことが予想できます。

 すでにJリーグアプリのリリースやスタジアムインフラの整備などが発表されていますし、GPSを利用して、地理的マーケティングを意識した施策もどんどん進んでいくでしょう。スタジアムの立地や、ホームタウンを意識した施策が進むことで、地域的な身近さを感じる状況が生まれることを期待しています。 

Jクラブが試合映像を各SNSで配信しやすくなったワケ https://cyclestyle.net/article/2017/06/02/48848.html

 上記記事では「DAZNは試合映像を一定の秒数、「無料」で利用することを各クラブに認めている」とあります。ハイライト映像の配信が積極的な理由にはこういった背景もあったのですね。こういった取り組みは、どんどんやってもらいたいものです。

 また、スカパーでの波及効果が見込みにくかった理由の一つが、スカパーでは、別のコンテンツを視聴する場合は、パックやチャンネルを購入しなければならないという「費用の壁」がありました。その他のコンテンツを目的に加入した方が、お金を払って別のコンテンツを見るという可能性は低いですよね。

 私の場合は、欧州サッカーセット+Jリーグセット+フジテレビNEXTと子供用にアニメチャンネルパックと嫁のご機嫌取り用の映画チャンネル(笑)を契約していましたし「アイマールが好き」という理由だけで、アイマールがリーガにいた頃は放送予定とにらめっこして必要な月にはWOWOWも契約していたため、多い時には月の出費が20,000円近くになり「趣味と生きがい」というテーマで嫁と白熱した議論をする事も多かったです(笑)それが、今ではDAZN1,750円とスポナビライブ500円の計2400円くらいで抑えることができ、携帯料金に含まれるスポナビライブは嫁に見えないので、2000円以内の1/10になったね!とか毎月言える素敵な月末を過ごしています(笑)

 費用の壁にとてつもない恩恵を感じるのはスカパーからの移行ユーザーだからこそかもしれませんが、DAZNでは、気になった番組を気軽に選択できるのが本当に大きく、その他のコンテンツ目的で契約した方々の2次アクセスを見込めると状況になっています。現在DAZNは5大リーグが見られるというキャンペーンで会員獲得に動いていますが、海外リーグのファンが空き時間にJリーグの試合を見る可能性もあります。 

 これまで、長々と色々書いてきましたが、私は、Jリーグ + DAZN + NTT docomoのグループに特に不安を感じるところはありません。それよりも、もっと想像できなかった世界を見せて欲しいという期待感の方が大きいです。もっと斬新に、もっと面白く、ワクワクするようなサッカーライフが送れることを期待しています。 

スカパーの今

 ここまで、スカパーさんには耳の痛い話が続いていて大変申し訳なかったのですが、現在、スカパーでは、Jリーグの放送は無くなったものの「スカサカ」という番組で、Jリーグからアンダーカテゴリーまで幅広く話題を取り扱ってくれています。



 先日も、関東サッカーリーグの東京23FCと東京ユナイテッドFCの「新東京ダービー」が生放送されましたが、発表された時には本当に驚きました。地域リーグの話題を取り扱ってくれるだけでも、感謝の言葉しか無いのに、まさか生放送してくれるとは。。本当に感謝です。


 以前にも地域決勝を放送してくれたこともありますし、今後もJFL以下のアマチュアカテゴリーを放送してくれるようであれば嬉しい限りですね。

アマチュアサッカーの映像配信



 地域リーグの関西サッカーリーグでは、KSLTVで試合をインターネット配信しています。また、これまでブラックボックスだった地域CLの抽選会の様子を配信したりと、積極的な情報発信を行なってくれていることには、感謝の気持ちで一杯です。2013年にKSLTVの存在を知った時には、本当に感動しました。


 関西1部のレイジェンド滋賀に注目するきっかけになったのもKSLTVでした。ハーフタイムに

 バームクーヘン太鼓叩いてるおっちゃんにもろたー

 という、子供の嬉しそうな声が「ハーフタイムスイーツ」、後の物産展ブーム誕生のきっかけでもありました。地域リーグの試合を放送し、身近なサッカーの日常を届けてくれるKSLTVの存在は本当にありがたいの一言です。


 もう一つ、アマチュアサッカーのインターネット配信について意識したのは、2014年 東京都社会人サッカーリーグ2部 スペリオ城北の最終戦のUStream中継です。この試合は、スペリオ城北が9得点をあげれば1部昇格がきまるという試合でしたが、多くのファンがこの試合を見守りました。私も沖縄の居酒屋でなかもっちゃんと見守っていました(笑)結果は、SPERIO城北 8-0 FC.fasciner で、スペリオ城北はあと1点届かず昇格はなりませんでしたが、これだけの盛り上がりを感じられたことは、アンダーカテゴリーのインターネット配信に「可能性」に気づく大きなできごとでした。




 関東サッカーリーグでは、クラブ間で動画配信の共通ルールができたようで、東京23FCやエスペランサSCは、積極的に映像を配信しています。それぞれが工夫をしながら情報を届けようとする取り組みには頭が下がります。


 沖縄県1部に所属する高原直泰率いる沖縄SVは、毎試合をインターネット配信しています。胸スポンサーである「CA ADVANSE」のサポートを受けてのものですが、これだけ豪華なメンバーがいる沖縄SVの試合を見る事ができるのは嬉しいですね。県リーグの試合は朝早く、場所も遠いところでやることが多いので、映像配信があるのはとても嬉しいです。

JFLの映像配信





 JFLは、今季からインターネットを利用してリーグ戦の試合をピックアップして配信しています。最近はゴールダイジェストの配信も始まり、ファンにとっては嬉しい限りですね。


 今季からJFLに昇格したヴィアティン三重は、公開までのスピード感に毎回圧倒されるダイジェスト動画を配信をしてくれています。地域リーグ時代から取り組んでくれていたことですが、編集のクオリティもとても素晴らしいです。

天皇杯の映像配信


 福島県1部のいわきFCは、公式戦や練習試合、記者会見の模様をインターネット配信していますが、まず、驚くべきことは、いわきFCが「独自配信している」というところです。


 いわきFCは、撮影、制作、配信を、メインスポンサーであるアンダーアーマー日本総代理店・株式会社ドームの放送事業部門に委託しているとのことで、上記ツイート画像の機材を見ても、それがプロの仕事であることが分かります。これだけの機材費や、機材を動かすための人件費や技術料を考えると、株式会社ドームの費用負担は相当なものであると推測できます。



 いわきFCは、昨年末にホームグラウンドである「いわきFCフィールド」が完成し、今季はクラブハウス「いわきFCパーク」を訪れるファンの様子も話題になっています。これまでの投資規模やスピード感には驚かされてばかりですが、今季早々にハード面が整備されたことで、今後はよりソフト面の強化に力を入れていくことになると思われます。

 いわきFCは、天皇杯の本戦に福島県代表として出場し、見事1回戦を突破して、2回戦はJ1北海道コンサドーレ札幌にも勝利しました。さらに天皇杯2回戦、3回戦の試合は、課金サービスで独自配信されて大きな話題となりました。露出という面では成果を見込みにくい県リーグ所属のチームとしては、最大限の成果を出したと言えるでしょう。

放送機材のお話




 JリーグとDAZNが契約して、スタジアムが変わったところといえば、ゴール裏方向に櫓を立てて、カメラを設置しているところですね。当たり前のことですが、映像を配信するためには、試合を撮影する必要があります。経済的な後ろ盾が乏しいアマチュアリーグでは、機材に力が入れられないので、映像を求められた場合に、チームで撮影した戦術分析用の撮影画像を切り取って提供する場合もあるようです。

 上記のツイートは、ドイツでも使用された実績のある180度カメラの話題です。技術の進歩は凄いなと思いながらも、受信デバイスだけでなく撮影機材の進化に注目するのも面白いですね。

全社、地域CLの感動を届けてほしい


 昨年の地域CL決勝ラウンドの試合は、インターネットライブ配信がありました。私は、最後の三重ダービーで「90分間涙を流し続ける」という初めての体験をしました。地域CLの前に行われた全社でも「なんでこの試合を放送しないんだ」という声が聞かれた試合がありました。全社は「魂が磨かれる場所、魂が震える場所」、地域CLは「最も過酷な昇格争い」と言われる素晴らしい大会です。


 アマチュアサッカーは、そもそもニッチなマーケットであり、顧客数を読みづらいとは思いますが、Jリーグのチームも、同大会を勝ち抜いて昇格したチームが増えており、古くから応援しているファンの中には「そろそろ全社や地域CLの季節か」と懐かしむ方もいます。

 マイクラブのルーツがある大会なんですよね。

 今季もJFAが、地域CLを放送してくれないかと密かに期待しています。また我儘ついでにもう一つ、全社も放送してもらいたいです。放送には機材や人件費がかかりますから無料でなんて言いません。ペイ・パー・ビュー(1試合)か、ペイ・パー・デイ(1日・集中開催)等々の、有料視聴サービスでも構いません。日本で最も熱い2つの大会を、是非映像配信してください。よろしくお願いします。

さいごに


 インターネット配信は、放送を受信するだけでなく、発信することも身近になっています。手前味噌ではございますが、コミュサカでも「コミュサカチャンネル」と題して、J3以下のアンダーカテゴリーについての話題をお届けしています。

 ファン、サポーターの方も、音声、映像を利用して積極的に情報発信を行っている方もいます。ブログ、SNSに加えて、もう一つの選択肢が増えたということですね。

 Jリーグに限らず、アマチュアサッカーにも、インターネットを活用した映像配信は影響を与えています。これからも、増えていく選択肢にワクワクしながら、最高の週末を楽しんでいきましょう。

追記

※17/8/23 追記
記事公開後にコメントで様々なご指摘をいただいたので追記します。

まず大前提として、よく考えていただければ分かると思うのですが「弊サイトは普段Jリーグを取り扱うサイトでは無いので、Jリーグを必要以上に良く見せたところでまったくメリットがない」ことをご承知おきください。新規契約者数の数が少なくて既存契約者の数に届かず、視聴者増減が「マイナス」になっていたとしてもそのまま記事を書きます。あくまで調べることができた事実にもとづいて淡々と語るまでです。

それでは頂いたコメントを拾いながらいきます。
Q. 加入者純減の16万人だけが、DAZN以前にサッカーを見ていた人数ではないだろう。 
A. はい、そのとおりです。私もスカパー契約のきっかけは海外サッカーでしたし、現在も海外サッカーを楽しんでいる方は、そのまま契約を継続していると思います。ただ、今回の記事は「Jリーグ絡み」の視聴者数増減についての話題であることをご理解ください。 

それでは、次にいきます。

Q. スカパーの加入を続けたままでDAZNにも加入した人や、DAZNに加入せずJリーグを見なくなってしまった人が考慮されていないザル比較。
こちらでは2つのご指摘があります。
Q1.「スカパーの加入を続けたままでDAZNにも加入した人」について
Q2.「DAZNに加入せずJリーグを見なくなってしまった人が考慮されていない」について

Q1、Q2に答えるために、正確な数値を追えるところまで頑張って追ってみます。

初めに、

式)新規契約者数 ー 既存契約者数 = 視聴者数増減

記事中でも説明していますが、視聴者数増減は上記の簡単な式で求めています。もし私が1人でも多く視聴者数増を訴えたい意図で記事を書いたなら、なるべく既存契約者数を少なく見積ると思います。そうすれば自然と視聴数増減の「+」の数字は大きくなります。ただそんなことをしても何の得もないので、16万2千人をそのまま使用していました。計算しやすいように16万人とさえしなかったのもそのためです。

例)
記事中記載 :55万人 - 16万2千人 = +38万8千人
省略した場合:55万人 - 16万 = +39万人

次に数字の信憑性について気を使ったのは「発信者(発言者)、発信した機会」という点です。

今回の記事でURLを記載した3つの根拠のうち、既存契約者数の根拠にしようした16万2千人という数値は、スカパーという企業が2017年3月期の決算説明会で公表したものです。さらに深掘りしますので、まず、スカパーJSATグループが発表しているIR資料を下記URLからご確認ください。
http://www.skyperfectjsat.co.jp/information/library.html

こちらの2017年3月期の決算説明会資料を見ると、営業収益減の26.7億円の内訳のうち「サッカー関連コンテンツ収入の減少:17億円」とあります。この資料からサッカーを理由にスカパーを退会した人は退会者の63%と分かります。こちらの計算が間違っていないという根拠は下記の記事にスカパーの高田社長のコメントからも分かります。

スカパー決算で判明、Jリーグ放映権喪失の影響
http://news.mynavi.jp/articles/2017/05/19/sukapa/
※以降、記事Aとします。

※記事内引用「このうち、Jリーグの放映権喪失に伴う契約者の減少について、高田真治社長は「昨年12月に放送終了のアナウンスをした段階でかなりの人が解約した。だいたい10万人くらいですかね。そのうちの7割ほどがJリーグの解約とともに私たちのプラットフォーム自体を解約することになりました」と明かす。」

2016年度通期決算を受けて高田社長が解約者10万人のうちJリーグ理由での解約が7割とコメントしています。前述した2017年3月期決算で営業収益減の内訳から算出した割合の63%とほぼ一致していますね。母数である10万人と16万2千人の違いは、決算時期の違いによる時系列での累計差になります。

それでは、Jリーグ理由で解約した人の数字を計算してみましょう。

16万2千人 ✕ 0.63(63%) = 102,000人

次に、こちらの記事をご確認ください。
Jリーグ放送権喪失後の展開 スカパー! はどうなるか
http://www.excite.co.jp/News/economy_g/20170622/Keizaikai_25640.html
※以降、記事Bとします。

記事中に「加入者数は前年度と比べて約16.2万件の純減で、そのうちJリーグ絡みは約10万件だという」とあります。コラム公開時には「Jリーグ絡みの10万件」の根拠が示せなかったので掲載を見送りましたが、今回IR資料と付き合わせたことで正確なものだと分かりました。 

また、決算説明会の質疑応答資料に「Jリーグは前年度末までに解約は終えており、17年度の解約はない。」と解答していますので、Jリーグ理由で解約した人の正確な数字は、この決算数値までということをスカパーが発表しています。ですのでこの数字を根拠として採用します。

また退会したサッカーファンという括りでJリーグファンの純度が高いと判断ができる理由は、海外サッカーファンならこの時期にスカパーを退会する理由が無いからです。Jリーグが開幕する3月は、欧州の主要リーグはシーズンの2/3を消化して終盤に向けて面白くなってくる時期ですし、UEFAチャンピオンズリーグは決勝ラウンドが始まる時期です。やめる理由が無いんですよね。かといって0%では無いと思いますが、記事中からも申し上げていますとおり、引き算の引く数字が多い分にはそれだけ視聴者増減も減るということですので問題無いですよね。

次に、記事A内のこちらの記述を御覧ください。
「高田社長によるとピーク時には約20万契約あったJリーグコンテンツ」とあり、一番多いときで20万件だったと公表されています。

Q1では「スカパーの加入を続けたままでDAZNにも加入した人」というご指摘ですので、海外サッカーもJリーグも見る人ということですよね。つまり残っている人を算出して、残っている人をさらにマイナスすれば良いわけです。

次に、残っている人数の算出ですが、記事B内の記述で、
「スカパー!の加入者は近年ゆるやかな減少傾向にあり、解約率が毎月1~2%で推移している。」
とあります。また同記事内で「再加入者が多いことが特徴」とも書いています。解約率が低いほうが残る人が多いことになりますので、毎月1%、年12%の減少で考えてみましょう。

次に、こちらをご確認ください。
年度末登録者数(千件)
http://www.sptvjsat.com/business/channel/channel01/

スカパーJSATグループが発表している登録者数の推移です。全体の登録者数のピークは2012年となります。ただ、2年後の2014年に期待値が高かったザッケローニ監督でブラジルW杯がありましたので、サッカー周りの出来事と合わせて考えれば盛り上がりのピークを2013年と考えるのが妥当かなと思います。そこをサッカー加入者のピーク20万件と設定して計算してみます。

2016年 ー 2013年 = 3年 ✕ 12% = 36%減
20万件 の 36%減 = 残128,000人

128,000人 ー 102,000人 = 26,000人
400,000人 ー 102,000人 ー 26,000人 = +266,000人

となりました。

元々の計算値が、

40万人 ー 162,000人 = +238,000人

ですので、そんな目くじらを立てるほどの大差は無い結果かと思います。
ピークを指標通り2012年に持ってくると、それだけ残数が減るのでさらに視聴者増減がさらに増えてしまいますね。

【無料】DAZNについて村井チェアマン「docomo経由だけで45万人、今までシミュレーションした数よりも相当いい感じだと報告を受けている」~Jリーグ4月の理事会後の会見より~
http://www.targma.jp/jwatcher/2017/04/27/post1425/

NTT docomo 経由での契約だけでも、4月のJリーグ理事会開催時点で45万人、6月のNTT docomoとのパートナーシップ会見時点で55万人です。

すでにお気づき方もいらっしゃると思いますが、スカパーのJ絡み契約のピークが20万件だったということで、細かい計算をしなくても4月時点で倍以上に視聴者数が増えていることになります。

次にQ2の「DAZNに加入せずJリーグを見なくなってしまった人が考慮されていない」についてですが、新規契約者数にカウントされてない上に、既存契約者として含みマイナスしている時点で、視聴者増減としてはマイナスにカウントされていることをご理解ください。

それでは次のコメントいきます。

Q.例えば仮に「スカパーは例年10万人ずつ伸びていたけど今年に限って16万2千減った」とかだったら「いつもの伸びに比べて26万2千減った」みたいな見方になるんじゃないか
A. 上記で説明させていただきましたが、20万件ピークで毎月1%の年12%減で考えると、母数が20万件なので単純に増えたで良いかなと考えています。

Q.アプリ利用率についてはJリーグ開催日でもJリーグ以外のコンテンツ視聴者の可能性もあるので80%丸ごと全部をJリーグ視聴者と見るのはいかがな物かと思う。さりとて開催日以外の利用率との差分で見るのが正しいとも言えない(日常的に利用していて開催日にはJリーグも視ている層が漏れる)ので難しいところだけど。
A. おっしゃるとおりだと思います。アプリ利用率は55万人を鵜呑みにしたくなかったので、母数を減らすため(実際20%減の15万人は相当な数字です)一つのベンチマークとして使用しました。NTT docomoがJリーグ向けの獲得キャンペーンをはってた時でもあるので、時系列をふまえてベンチマークの計測時期(開幕月の3月前半)を考えても当たらずとも遠からずなのかなと思います。DAZNの契約数が公表されない理由の一つが、コンテンツ内フリーなので、契約目的毎の集計ができずグロス集計がベースになるからだと思います。ですので単純に契約数の増加推移をJリーグの視聴数推移として見られるのがJリーグ向けの獲得キャンペーンをやってた開幕月の3月、その3末から無料期間縛りが解ける4月末くらいまでかなと思うので、6月以降発表の集計値はDAZNが個々の視聴数等を示さない限り、海外サッカーや格闘技を含めた様々なスポーツを含めたグロス集計の中の可能性の話しかできないですよね。

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