長いトンネル夢をもとう

2022年03月29日

バラガン邸

初めてルイス・バラガンの自邸を見たのはテレビのなにかの特集でした。
テレヴィという存在も充分に衝撃的でしたが、バラガン邸の虚飾を排したその住まいのあり方がまさに衝撃的でしたね。
不思議な赤い壁、いえ、赤というよりもピンクに近い、赤とは呼べない赤。

そんな色を壁に使うその悪趣味が信じられなかったのですが、その紅色がまた摩訶不思議で、永遠に心に残る色彩というものがあるということに胸を打たれました。
思えば色で遊ぶということを教えられたのはバルガン邸が最初でした。色彩を建物に溶け込まさせる建築の奥深い企み。

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色彩は、ただ色を配置すればよいのではなく、その色が与える効果、色が多色と交わることで醸し出される効果。赤は赤ではなく、黒は黒ではなく、その色彩が他の色彩によって変化することを知ることがいちばん難しい。
バラガン邸はそうした色彩の持つ魔術をわたしに教えてくれました。

いつも、いかなる時も、住まいの色彩を考えるときは楽しい至福の時間ですが、難しいのはそのことを施主さんに伝えられないもどかしさでもあります。
「色はどうしましょうか?」
もうすでにその質問が間違っている。
「色はお任せください」
その姿勢の傲慢さがすでに間違っている。
「ご一緒に色彩について考えましょう」

さて、そこからの長い時間をわたしたちはどう過ごせばよいのか?
色彩の難しさはそれが人生の反映だからでもあります。家を建てたいというお客様と人生について語り合うのは大きなお世話かもしれない。

しかし、家はすでに色彩を持ち始めている。真っ白い設計図に一本の線を引いたその時から家は色彩を帯び始めている。
建物のテーマが絞り込まれ、一階と二階の関係性が見え始めた時、使う木材をして指定し始めた時、そこには目に見えない色彩が溢れ始めている。設備機器やドアやフロアーを決めている時、すでに色彩は住まいを覆い始めている。
しかし、それでもなをコモハウスの住まいは材料を塗装していくところから新しい段階に突入していく。それはさいごの二割。
人生はさいごの二割で決定づけられる。
それはまるで私たちのように。

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comohouse at 06:15│ 建築雑感 
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