2022年12月01日
十二月、師走
同業者の皆さんと話していると、皆さん異口同音に、この業界の悲観的な将来についてため息を漏らします。それはべつに、わたしたちの業界に限らないのかもしれませんが、明るい展望が開けないのは住まいづくりに確固たる芯がないからなのか?それとも単なる不景気のせいか?
建築会社に芯が要るのか、という声も聞こえてきますが、建築会社は家を建てるロボットではありえない。職人の叡智を結集するには建築会社の軸がこそ大事になる。
先日のニュースで、大阪府が子育て支援で一律お米十キロを配るというのです。
十キロか!
安いお米なら二千円なにがしで買えます。家族四人で何日分?わたしたちのお国はそれほどまでに落ちぶれたのか?わずか二千数百円。焼け石に水。仕事がない。パートの時給が千円。アメリカでは犬の散歩に一時間四千円。
産業がすべて中国に吸い取られて、企業がこぞって中国に取り込まれ、工場がなし崩しに安い労働力のアジア地域に持っていかれ、やがて国内は空洞化。業績の上がらない会社は中国やアメリカのハゲタカに買い叩かれ、小突き回され、労働者は技術者ではなく、単純労働の派遣社員と化してやがて捨てられていく。
何が間違っていたのか?
何が足りなかったのか?
小泉や竹中の派遣法が諸悪の根幹なのか?
自民党をぶっ壊す!
あのとき、小泉に騙されたわたしたちが馬鹿だったのか?
ぶっ壊されたのは日本だったのか?
郵政が民営化されて、なにが変わったのか?改革の名のもとに美しい伝統が破壊されていく。
オバマの「チェンジ!」といっしょ。
仕組まれたバブルがその後のツケを傷口に塩を揉み込むように蹂躙していく。プラザ合意という巧妙に仕組まれたワナ。宮沢さんは見事に嵌められたわけです。
1986年。その頃勤めていた建築会社の次長が、来年は忙しくなるぞ!この低金利では目の回るような忙しさでぼやぼやしてられないぞ。
そのとおり、バブルの狂乱物価と日本中が飲めや歌えの大騒ぎ。エライコッチャエライコッチャよいヨイヨイヨイ!
やがて目が冷めたときの酔い醒ましの強烈な頭痛。
私たちは何を間違えたのだろうか?
ちょうどその頃、新潟からアエロフロートのヒコーキでハバロフスクへ飛び、そこからシベリア鉄道でイルクーツクへ。途中あちこち寄り道しながらシベリアの大地でソビエト崩壊直後のロシアの悲惨な現状を目のあたりにして、国家の崩壊とはこのようにむごたらしいものなのかと唖然としたものでした。食べるものがなにもなかった。ホテルの食事が黒パン一切れとまずいチーズ。
その頃わたしたちのお国は浮かれに浮かれ、平家にあらずんば人にあらず。
日本の春。バブルの春は永遠につづくかと思われた1992年。
ところが、ソビエト崩壊直後に政権の座についたクリントン政権が、次は日本だッ、と目標を定めたと聞いたとき。
えっ?
すべてはレールが敷かれている。
バブル崩壊から三十年。次は日本だ、った。
これが世界のハゲタカの現実?
日本をぶっ壊す!それはわたしたちの精神の破壊から始まった。
日本再興はまず自分たちの国を愛することから。
「日本を取り戻す」
暗殺された安倍さんの「美しい国、日本」とはそいうことだったのか。
comohouse at 07:09│
│日々これ精進