お正月に思った。ダボスと地獄

2023年01月16日

地盤は大事 地球も大事

思えば昔は地盤調査なんぞあらためてなかった。ズブズブの田んぼに家を建てないかぎり、地盤は良いものと相場が決まっていた。根拠もなく、家を建てる人の絶対数が少なかったことも在るのでしょう、それに昔はそもそも平屋が多かった。ウワモノが軽いから心配するほどのこともなかった。
あのバブルの真っ盛りの最中でも、設計士が地べたに棒を突き刺して、「大丈夫!」。なんて言ってたものですからお里が知れる。しかし、あのバブル期の狂乱の中でついに家が傾いた、床のゴルフボールが勝手に転がっていく、引き戸が閉まらない、滑りが硬い、要は、不同沈下の問題がにょきにょきと頭をもたげてきたというわけです。
そりゃあそうです。日本人は時々くるったように血眼になって、ハメルンの笛に導かれて見境がなく狂奔する性格がある。このときは猫も杓子も家々家。理由はない。隣が建て替えるから建てるんだ。金利だってこれだけ低いんだ、今が旬だろう。?
それだって立派な家づくりの動機。はて、面妖な?
土地がなければあの沼を、あの池を、あの田んぼを、あの海岸を埋め立てろ!あの山を削れ! 

あれから三十年。動機が曖昧な家は建て替えの対象になりやすい。愛情がないからすぐに別れる。別れなくても心の隙間に風が吹き抜け、荒れ果てた我が家はみすぼらしさを超えて、、、、

思えばあの時代、家は建てばそれでありがたかった。にわか大家の出現でバラ色の未来はバラ色の雲のように輝いていた。(しかし、バラ色の雲ってあるの?)

さてその後、何にでも後日譚はあるもの。バブルもすぎると不況風と共に阪神大震災がやってきた。日本中で活断層なんて言葉がとびかい、さあ、あなたの地盤は大丈夫?大丈夫じゃな〰い?そこでスエーデン式サウンディング試験なんてものが導入され、地層を調べ、あくまで簡易式ですがこれが世を席巻してSS調査は建築の必須となりました。

あれからもうすぐ三十年、思えばあの時代、家ってなんだろうっていうちっちゃな疑問が芽生えてきて、胸のなかを焦がすのです。嗚呼、青春の光と影。
いえいえ、そこで立ち止まるのも大事なステップ。
家は人生そのもの。
家ってなんだろう?わからないですよね、考えたこともないし、雨風しのげればそれでたくさん?
間違いではありません、それで家は建っちゃうから。地盤も大丈夫だったから俺の一生これで安泰。
かもね?

永く地盤調査といえばSS式サウンディング試験があたりまえのように通用していた世間の常識。しかし、二年前に立て続けにその調査の結果が思わしくなく、結果地盤改良を施したのですが、お施主さんが永くこの地に住みつづけて「うちの地盤は絶対大丈夫」と自信を持っていたいらしてその結果にとても驚かれていたのです。たまたまですがそういう事例が三件つづき、しかもつづけて四例目が「要改良」と出たとき、ちょっと待てよ、と考えたのです。地盤改良や杭打ち工事はけっして安くはありません。SS式の調査は優れているけれど、5ポイントのうちたまたま一箇所が思わしくなく、不同沈下のおそれありとなるとそうかも知れない。しかし、5箇所のポイントだけでよいのかと考えてしまったのです。
そこで出会ったのが表面波探査法という調査方法でした。

さあ、ここまでお読みになった方で家造りにこれまでと違う興味を抱かれた方。ご相談ください。考えるきっかけがわたしたちの大事な仕事。
もちろん地盤は大事です。と同時に、地盤よりもなによりも、なぜ家を建てるのか?
それはさらに大事かもしれない。そしてその答えがここにある、とは申しませんが、少なくともその答えを求める方程式はご用意できるかもしれない。
永遠のコードを求めて旅立ったわたしたちだから、住まいはもっと美しくなる。

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丸い円柱状の「R2D2」?がゆるい地震を起こします。すぐ側に立つと地面が震えているのがわかります。その振動が近くに立てた二本の感知器に到着する時間の誤差で地盤の強度を図るわけです。
思いっきりかんたんに説明すると、ですが。
「震度1」程度の揺れは起こせるということでした。嗚呼、人工地震!

さて、その結果が数値化されて車の中のパソコンに落とし込まれて行きます。





 





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