日々これほぼ失敗

やりそこなって、望んだた結末にならないことがあります。そんな大小さまざまな、日々のしくじりをつづります。そのしくじりの扱い方しだいで、さらに悲惨な方向に行くのか、望む方向に前進するのか。じっくりペースで、行きたいと思います。

 年末に熊本から娘一家が帰省しており、1月3日夕方九州新幹線でUターンするのを広島駅で見送ったが、途中地震のために博多駅で降ろされたと、LINEで連絡があった。テレビを見ると和水町で震度6弱の揺れで、博多熊本間の九州新幹線も高速道路もストップ。在来線は動いているようなので、乗り継ぎの電車を調べて連絡し、娘たちは大荷物を抱えて満員電車を乗り継ぎ、約3時間遅れで家にどうにかたどりついたらしい。新玉名駅の駐車場に車を置いており、在来線の玉名駅からタクシーで新玉名駅に移動し、最も揺れが大きかった和水町を通り山鹿市まで運転するので、夜のことでもあり道路がどうなっているか、心配だった。

 揺れが大きかった割に、被害は少なくて何よりだった。JR九州にとっては災害で年が明けたわけだが、それでも臨時で特急有明を走らせたりバスを用意したりと、危機対応力の強さを発揮したようだ。頼もしい。

 和水町(なごみまち)は、今年のNHK大河ドラマ「いだてん」の主人公・金栗四三の出身地。来年の東京オリンピックに向けて、ドラマが盛り上がることを期待しよう。

 同じNHKの「チコちゃんに叱られる!」で、番宣のように「ご馳走」の語源をやっていたが、お釈迦様の食事を走り回って集めていた「韋駄天」に由来するそうな。ヒンドゥー教(元はバラモン教)ご出身の神様で、帝釈天や鬼子母神や四天王などと同じく、仏法および仏教徒の守り神、天部神。韋駄天さまは小児の病魔を取り除いてくださったり、禅宗では僧房や厨房を守ってくださる神だそうな。

 昨年不祥事で危機に瀕した厨房機器のホシザキも、韋駄天をお祀りしてみてはどうだろうか。禅宗のお坊さんに習って、毎朝お経をあげるといいよ。早口で、かまないように。チコちゃんに、叱られるからね。
  チコちゃんに叱られる!「大河ドラマ“いだてん”とコラボスペシャル」(YouTube) 




 12月に入っても暖かい日がつづいたので、暖冬かとおもいきや。年末になって、急に冷え込みがきつくなって。日本海側は雪の毎日。年末の帰省ラッシュも、雪でダイヤが乱れているらしい。今年から自動車は、冬用タイヤだけではなく、チェーン装着が義務付けられた路線もあるとか。冬場の移動は、なにかと大変だ。

 ゴーン事件は、金商法違反(有価証券報告書虚偽記載)から、会社法違反(特別背任)にステージを変え。異例の越年捜査が続く。検察も正月くらい、頭を冷やした方がいいのではないかと、思うのだが。それにしても、ゴーンと鳴る除夜の鐘よろしく、百八の煩悩は尽きず、世の不祥事もまた尽きない。

 ホシザキは、その後。会計監査人(トーマツ)の質問への回答について、本社の嘱託社員が全国の販売会社にメールを送っていた、との内部告発があり。再調査のために、四半期報告の期限切れで、あわや上場廃止の崖っぷちに。タイムリミットの12月27日に、追加調査報告書で「セーフ」の判定。どうにか上場廃止は免れた。

 ホシザキ追加調査報告書

 当事者であるホシザキ東海の社長と管理部長は、取締役を解任。不正の度合いが悪質だった、社員3名が懲戒解雇など、関係者を処分。トーマツのインタビューへの回答を、教唆するかのようなメールを送った嘱託社員の末路は。定年を過ぎて再雇用され、無事に過ごせば世間では、65歳までは雇用されることの多い立場であったろうと、推察するのだが。一部の報道によれば、諭旨解雇となったようだ。誤解を招くようなことをしたばかりに、会社を存亡の危機にさらしてしまったのだから、仕方ないと言えようか。

 当方も以前、同じような立場だったので、その境遇は想像がつく。定年まではそれなりの職位で子会社管理をしていたのだろうが、定年を過ぎれば大きな責任もない代わり、権限も無いのが再雇用の現実。1年ごとに契約する、アルバイトだ。であるだけに今回、上司と情報を共有しながらも自身で全国の販売会社に、地雷を踏むようなメールを発信したという行動は、理解できない。会社は再雇用の嘱託社員に、トーマツの四半期レビュー対応を、全面的に任せていたのだろうか。一般に再雇用となれば、給与は大幅に減額される。「同一労働同一賃金」は、今年成立した働き方改革関連法案の柱の一つ、なのだが。「ハマキョウレックス」や「長澤運輸」の判例がよく引き合いに出されるが、定年前と同じような仕事をして、同じような責任を負わされながら、賃金を減額されていては割に合わない。そのうえ今回のようにヘタをすれば、不正の動機が認められなくとも、バッサリ処分される。そもそも「嘱託社員」が前面に出て報道される、というのは異様だ。再雇用の嘱託社員が、暴走したかのように。そして再雇用社員は解雇で、その上司は出勤停止の処分と聞き、割り切れぬ思いを抱くのは、当方だけだろうか。

 ホシザキの追加調査報告書が公表された、12月27日。アパートの企画・管理を手がける「TATERU(タテル)」も、特別調査委員会の報告書を公表した。こちらは、銀行融資の審査書類を、改ざんしていた不正。

 TATERU 調査結果報告書 

 アパートを建てる顧客の預金通帳の残高を水増しし、西京銀行(山口県周南市)などの融資審査を通りやすくしていたもの。特別調査委員会が、調査した結果。改ざんが実行されたと認められる案件数は,調査対象期間における成約棟数2,269件のうち350件。15%だ。実行者は営業部長や部長代理主体に、31名。代表的な改ざんの手口は。パソコンに取り込んだ預金通帳等のデータを、画像編集ソフトで切り貼りするというもの。中には複数の口座間で資金を移動させたり、他人の預金残高を流用したケースもあった。デジタル・フォレンジック技術をもってしても、復元できないデータもあったというから、専用ソフトを使って証拠隠滅を図ったものも、これ以外にあるのだろう。

 そこまでして、TATERUの営業部長たちに、不正行為をさせたもの。前年実績を毎年上回る販売目標を、無理なノルマと考えずに掲げ続けた経営者たち。そのような非現実的な目標を、ミッションインポッシブルとも言えず押し付けられ、声を上げられない営業現場。異論にはパワーハラスメントや、降格人事が待っている。

 シェアハウス「かぼちゃの馬車」で破綻したスマートデイズ社の、上場企業版が今回のTATERUとも言えよう。そして上記のようなTATERU社内の有様は、かぼちゃの馬車で不正融資を行った、スルガ銀行の状況と酷似する。地銀でありながら、ネットバンキングなどIT面でも、先進的だったスルガ銀行。「ネット」×「リアル」というコンセプトで、不動産業界に新風を吹き込もうとしたTATERU。けれども、革新的な表面の、その下には。硬直したマインドセットの指揮官が鞭を振るい、それに怯えながら決められたポジションで懸命に、櫓を漕ぎ続けているように「見せかける」ことに腐心する漕ぎ手がいる。そんな大昔の「ガレー船」を、想起させる。外面と内面の、激しい落差。船を目的の港に着けるには、自分たちがガレー船であることを、認識することから始めねばなるまい。企業風土の改革は、それからだ。

 除夜の鐘と共に、煩悩が少しでも消え、不祥事の少ない年が明けますように。良い年を、お迎えください。
 

 

 

 船舶用救命具の整備作業で、手抜きや記録の改ざんがあったことが公表されたのは、2018年11月2日。国土交通の発表資料はこちら 。協栄産業の子会社、協栄マリンテクノロジがその当事者。

 膨張式救命いかだや、降下式乗込装置(シュータ)は船舶に搭載され、海難事故など緊急時に使用する装備。普段は使わないけれど(使う事態が無いにこしたことはない)、いざというときに救命いかだが膨らまなかったり、いかだまで降りられなかったりしたら、大惨事だ。

 救命設備は法定船用品として、国が認定した設備と整備士を備えた整備認定事業場で、定期的に整備することが船舶安全法で義務付けられている。協栄マリンテクノロジは、函館営業所と福山営業所に認定事業場を有している。今回問題が起きたのは、福山。

 第三者委員会を立ち上げ、調査して、報告書(要約版)が公表されたのが、12月19日。救命いかだの不適切整備で第三者委員会かよ、と意外だったが。自動車の完成車検査で不正が続発している時期でもあり、同じ監督官庁の国交省として、社内調査だけでは納得できなかったであろうことは、想像に難くない。

 親会社であるところの協栄産業株式会社は、売上高54,834百万円、経常利益190百万円(2018年3月期 有価証券報告書)。プリント配線板を作るメーカーであり、エレクトロニクス関連の商社でもある。1947年設立当初から、三菱電機の特約店として成長。現在も大株主は三菱電機だ。セグメントは半導体などを扱う商事部門、システム開発やIC設計のICT部門、プリント配線板の製造部門に分かれる。

 そんな会社で異色ともいえる船舶用救命具は、商事部門に属する。2006年にラフト事業部を分社化して、協栄マリンテクノロジを設立。ラフトというのは動力付きゴムボートのような、小型のボートのことだ。エレクトロニクス関連の企業が、何故船舶関連の事業を始めたのか、会社沿革を読んでも定かではない。1969年に協栄式昆布乾燥機が完成、販売開始とあるので、海との関わりはあったのかもしれない。

 協栄商事の従業員1,042人の内、商事部門は319人。その内、協栄マリンテクノロジは16人。全社の1.5%に過ぎない。それが東京本社、協栄マリン函館、協栄マリン福山に分散していることになる。函館は、もともと協栄産業の営業所。一方福山営業所は、2002年に破産した別会社の事業を承継する形で、開設されている。福山で船舶用救命具の整備にあたる整備資格者は多い年で7名、2017年までの6年間は5名。現在は4名。

 救命具メーカー(5社)ごとに、認定された整備規定があり、それに基づいて整備が行われなければならない。膨張点検、荷重点検、耐圧点検、漏洩点検など。エアーを注入したり、展張させたりの作業で、時間がかかる。やったことにして、整備記録にやったように虚偽のデータを記入していた。理由は、整備しなければならない受注量に対して、人手が足りていなかったため。

 整備の手抜き、記録の改ざんは最近始まったことではない。協栄産業が承継した破産会社で、1978年頃には、すでに行われていたようだ。20年以上も続いていた不正行為を、協栄産業は事業と一緒にもらい受け、さらに16年間それと気づかず、手抜きが横行していたことになる。年季の入った手抜きだ。先輩社員が後輩に、伝えてきたのだろう。定期的に国や、指導団体である日本船舶品質管理協会(協会)による臨検が実施される。どのように、ごまかしてきたものか。

 2018年5月、協栄マリン福山が前年に整備したシュータのクレームに端を発し、手抜き整備が協会の知るところとなった。協栄マリン福山の整備台数は、ほかの整備事業場に比べ突出して多かったという。例えば一人あたり、いかだの年間の整備台数は、二番目に多い事業場が58.8台であるのに対し、協栄マリン福山は175.5台。実に、3倍だ。シュータも、3倍。まともにやっていたら、そんな台数をこなせないのでは、という懐疑心は協会の検査員には無かったのか。そもそも協栄マリン福山の所長は、営業出身で東京の所長を兼務。福山の整備には、ノータッチ。よそより整備台数が多いのは、うちの連中が頑張っているからだと、思っていたそうな。また以前には整備士から所長になった人もいたそうだが、自分自身がやっていた不正行為を止めることはなかった。

 第三者委員会の調査報告書では再発防止策として、整備場に監視カメラを設置して本社から遠隔操作し、記録保存しろと述べている。確かにそこまでしなければ、悪しき慣習は改まらないかもしれない。だがそんな職場で働き続ける整備士が、どれだけいることやら。現在の4名がゼロになったら、福山での整備事業は成り立たなくなるではないか。調査報告書では、このような対策をしてもなお、不適切整備が再発した場合には、「協栄マリン福山における業務遂行は断念するほかないという不退転の構えで臨むことが何よりも必要」と締めくくられている。

 本業から遠く離れた辺境で発生した不祥事という意味では、JR九州の住宅事業に通じるものがある。ただ、JR九州は鉄道事業以外の多角化傾注に、経営トップのコミットがあるという組織。それでも「気」が乗らない(あるいは悪乗りした)辺境では、不正が起きる。今回の協栄産業にとっての船舶用救命具の整備事業は、どのような経営上の位置づけなのか。いろいろと断り書きを付けて、報告書の全文ではなく、要約版しか開示できないという事態が、その辺りの事情を物語っているのかもしれない。

 協栄産業調査報告書【要約版】 



 
 

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