ワイルドインベスターズ投資ブログ

     ~ グローバル投資への扉 ~   関東財務局長(金商)第1173号

2016年02月

日銀マイナス金利を導入 (4)財政拡大しか道はない


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週末だけのグローバル投資  -生き残りの処方箋- 

第254号 日銀マイナス金利を導入 (4)財政拡大しか道はない

週1回発行
                      ワイルドインベスターズ株式会社
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欧州と日本がマイナス金利を導入したにもかかわらず、それぞれ景気は良くなっていません。

金融政策は「魔法の杖」ではないからです。

そもそも、ゼロ金利よりマイナス金利の方が緩和的かどうかも疑問です。

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金利がマイナスになれば国の負担は減りますが、それは銀行に押し付けられます。

銀行はその負担を預金者や貸付先に転嫁します。

これまでのところ「民間を痛めつけて国が潤う」政策のように見えます。

これで景気が良くなるのか、疑問に思う人も多いでしょう。

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ただし今週、少しだけ進展がありました。

米財務省高官が需要不足を懸念し、各国に財政出動を求めるという記事が出たのです。

「だったらお前は利上げすんなよ」と思いますが、言っていることは正論です。

米国以外では金融政策の限界が明らかになったので、いずれ財政出動に踏み切るしかないのです。

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米、G20で財政支出の拡大求める構え=財務省高官(ロイター2016年 02月 23日 07:31)
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これに対し、日本の麻生財務相は「必要ならやるよ」のようなリアクションでした。

少し時間を置いてIMFも援護射撃。

ひょっとして財政拡大合意もありえるか?と身構えました。

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追加の財政出動、麻生財務相「必要なら機動的に対応」 景気対策に含み(産経2016.2.23)

IMF、金融市場混乱に懸念 G20に財政出動要請(産経2016.2.25)
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しかし各国の足並みは揃っていません。

ドイツは「金融・財政政策はもう限界」と白旗。

日本も「よく考えたら、うちの景気そんなに悪くねえし」とトーンダウン。

意外なことに「俺は大丈夫だって言ってんだろ!」と突っ張っていた中国が「財政やるっす」と軟化しています。

言うこととやることが一致しない国ですが、集中砲火を浴びることを避けたかったのかもしれません。

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拡張的な財政・金融政策、次の危機の温床となる可能性=独財務相(ロイター2016年 02月 26日)

麻生財務相「直ちに財政出動するほど日本経済悪くない」会見 (日経2016/2/26)

G20開幕へ、中国は財政政策出動示唆(TBS 02月26日)
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しかし日米欧の足並みが揃わないと、この政策は意味がありません。

新興国が連鎖的に破綻するような現実がないと、それぞれの国民を説得できないからです。

金融政策の限界を認めて財政拡大を行うには、危機感がまだ足りないのでしょう。

こうしている間にも、新興国はさらなる苦境へと陥っています。



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気になるチャート20160226 G20で財政拡大合意なるか


上海G20を前に買戻し優勢の動きとなった

経済の話は避けたいホスト中国と、世界的に財政拡大させたい米国との間で何が出て来るだろうか。


LineChartMajorEq1f1_20160226
 



























通貨は円が強く、ユーロが特に弱かった。

ただ週後半は円安に反転する兆しが見えた。

LineChartMajorCcyUSD1f1_20160226




 
























対SP500ドルベースで見ると新興国株は右肩上がり(逆流)から右肩下がり(本流)に戻りつつある。

LineChartMajorEqvsSPX1f1_20160226



 

























原油反発もまだトレンド反転とはいえない。
LineChartCmdtyIDX1f1_20160226 





























日本株ではマザーズなど新興市場が比較的好調だ。
LineChartEqJPNidxvsTPX1f1_20160226 

ザ・ゴール (推薦図書)

3番目に推薦するのは、エリヤフ・ゴールドラットの「ザ・ゴール」。

これまで気付かなかった非効率やその解決策が見えるようになる、まさに目から鱗のシリーズです。 

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か 

ザ・ゴール 2 ― 思考プロセス

チェンジ・ザ・ルール!





帯には「17年間、(日本語への)翻訳が禁じられたいわくつきの一冊!」なんて書かれちゃってます。

「ほほう、煽ってくれるねえ」とニヤリ笑って買ったことを覚えていますが、あっという間に引き込まれてシリーズすべて(当時)を読破しました。実際それだけの価値があり、ライバルである日本企業に知られたくなかったという逸話も納得できます。

この本から学んだことは数多くありますが、以下の3点に絞って書きます。

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  1. 「どこが問題になって非効率が発生しているのか」を見極めて解決策を考える習慣がつく

  2. バランスシートに対する考え方が変わる

  3. 自由経済は実に良くできており、統制経済に勝ることを確信する
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本シリーズで最も重要なポイントは、

全体の流れ(プロセス)の中で
最も制約が厳しい部分(ボトルネック)が
全体の産出量(スループット)を決める


ということです。



当たり前やん・・・。

確かに当たり前なのですが、意外とみんなそれを意識せずに過ごしているのではないでしょうか。

本書を読むとこれを強く意識するようになり、世の中を見る目が変わります。

これまで見えなかったものが、急に見えるようになるイメージです。


たとえばある飲食店の前に長い行列ができているにもかかわらず、店内にはきれいに準備された席がいくつか空いていたとします。

こういう風景を見ると勝手に問題を設定・分析し、解決策を考えてしまうのです。

「行列から席に案内するまでの部分がボトルネックになって、この店のスループットが落ちているように見えるな」
「今の行列の長さは例外的なのだろうか。毎週こうだとしたらとんでもない機会損失だぞ」
「どうにかして席の切り盛りにリソースを割けないか」
「しかしたとえ満席にしても、厨房の生産力に対して客が多すぎるなら行列は消えない」
「そもそも行列を解消することはプラスと言えるのか。その前提は何か」
「自分ならどうやって原因を突き止め、効率的にさばくだろうか」

混んだトイレやイベント会場でも、子供が遊んでいる風景を見ても、似たようなことばかり考えてしまいます。

あまりに手際が悪く非効率なプロセスを見ると、手紙を書いて助言したくなります。

もうビョーキです。キ〇ガイです。

しかしちょっとしたことで多くの人の時間やリソースが無駄になっているのを見ると、何とかしてやれないかと思ってしまうのです。


逆に某回転すし屋や某1000円カットなど、良く考えられたプロセスの店に行くと惚れ惚れしながらそれを見ています。

安くて速いから私がリピート客になるというのもありますが、一番の理由は「ストレスのないプロセス」と「コスト削減の工夫」を観察するのが面白いからです。心理学まで応用し高度に自動化・省力化されたプロセスを見ると、まるでカラクリ人形を見ているようで飽きません。

もうビョーキです。キチイです。

しかし「ザ・ゴール」を読まなければ、これほど興味を持ってビジネスの流れを見ることはなかったかもしれませんね。



また、うろ覚えですが

在庫になっているということは、そこにカネが寝ているということ

この言葉も印象的でした。

在庫を作るにはカネがかかりますし、作ってしまったら保管場所が必要です。

つまりその分、金利と保管費用を失っているということ。

さらに時間の経過で製品は劣化しますから、在庫を抱えて良いことはないのです。


在庫を圧縮すれば、それだけカネが浮く。

在庫をゼロに近づけることができたなら余分にかかるカネが必要なくなり、売れ残るリスクも減る。

今でこそ日本でも「カンバン方式」などで在庫圧縮が常識になりましたが、それまでは「何かあった時のために余裕を持って在庫を抱えておく」のが当たり前だったのです。


そしてこの考えを拡張すると、バランスシートの見方が変わってきます。

在庫は企業の「資産」として記載されていますが、そもそも歓迎すべきものではありません。

「売掛金」も同じ。売れたという点においては在庫よりずっと良い状態ですが、回収するまでは与信リスクを抱えたままの無担保貸し付けです。資産として計上されていても、これが増えて嬉しいわけではありません。

逆に「買掛金」は、金利を払わずに無担保でカネを借りているのと同じ。したがって負債側に記載されていても、実は喜ばしいものだと言えます。


すると自己資本比率に対する考えも変わってきます。

「有利子負債70%、自己資本30%」で自己資本比率30%のA社と、「買掛金85%、自己資本15%」で自己資本比率15%のB社はどちらが優良企業なのか?

B社のほうが危険とは言い切れません。B社が掛けで買えるということは取引先に対して信用があるということであり、その分だけ金利を払わずに済んでいるとも解釈できます。むしろA社のほうが金利を支払わなければならない分、長期的には不利な立場かもしれないのです。

すると

自己資本比率だけ見てもあまり意味がない

という結論になります。

競争力があって安定したキャッシュフローが生み出せるなら、自己資本比率はマイナスでも構わんのですよ。

実際、弊社が提唱する「永久保有ポートフォリオ」の中にはそんな銘柄があります。しかし「競争の戦略」「ザ・ゴール」などを読む前であれば、自己資本比率の低さが気になって投資に踏み切れなかったかもしれませんね。


永久保有ポートフォリオとは?


そのパフォーマンス




このような観点で世の中を見ていると、

自由経済は実に良くできているなあ

と実感します。

統制経済と比較すると、自由経済のほうが明らかに優れていると確信できるのです。

  • 自由主義経済ではどこかにボトルネックが発生すると、その価格が上昇する

  • この「価格シグナル」によって供給不足が示され、誰かがそれに気付いて生産を始める

  • その過程で競争が起きるが、より安く速く効率的に問題を解決した人が勝つ

  • その結果ボトルネックは解消され、効率的になる。問題を解決した者は利益を得て次の問題解決に向かってくれる。

  • 長期的には社会全体として資源の最適配分が達成できる。

アダム・スミスが「神の見えざる手」と呼んだものは、「価格シグナルを媒介としたボトルネック自動解消システム」だったわけですな。

このあたりは拙著「ホントは教えたくない資産運用のカラクリ3 錬金術入門篇 」でも説明してあります。


逆に統制経済は決定的に効率が悪いため、長期的な競争において敗れるのは当然です。

価格統制や数量目標は生産性を大きく阻害するため、
ほとんどの場合は害悪でしかない

天才たちがいくら力を入れても、経済を完全に計画することはできません。

あちこちに巨大なリソースの無駄遣いが発生し、潜在的な市場を開拓できないまま衰退します。

国民がよってたかって「ボトルネック解消ゲーム」に参加し、競争的に生産性を上げてゆく自由主義諸国の発展スピードに勝てるわけがないのです。

しかしこれは「政府による民間への統制・介入」と「民間による政府への依存」をスパイラル的に強める今の日本にとって耳が痛い話です。

市場メカニズムをうまく利用しながら、「持続的な発展」「公共の福祉」につなげたいものです。




P.S.

このシリーズはその後、コミック版も出たようです。考え方は極めて単純ですので、コミックという形態に合った内容と思います。

イノベーションのジレンマ (推薦図書)

続いてご紹介するのは、クリステンセンの「イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき 」です。



これは別ブログでも紹介したことがありますので、まずはそこから一部抜粋して説明します。 
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主流と異端のバランス(2) イノベーションのジレンマ
主流と異端のバランス(3) 下克上M&A
http://wildinvestors.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/3ma_634c.html
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  1. 今は顧客のニーズにこたえられないかもしれないが、いずれはそうなると期待される画期的技術を破壊的イノベーション(以下、「破」とする)。これまでの技術の延長線上で性能を上げる技術を持続的イノベーション(以下、「持」とする)として区別する。
     
  2. 「破」について、既存客を頼ってマーケティングすることはマイナスである。存在しない市場については誰も想像できないし、分析もできない。「破」の市場は思いもよらないところにあったりする。既存客と「破」を結び付けようとするとまず失敗する。
      
  3. 収益面での魅力が大きい既存ビジネスがなくなりでもしない限り、破壊的技術には資源が配分されない。その結果、「破」は資源不足に苦しみ、日の目を見ない。大企業の既存ビジネスが衰退し破壊的技術に目を向ける頃には、その市場は新興企業に制圧されている

  4. 大企業には既存ビジネスとその利益率のために構築された主流バリューネットワークや文化があり、それは「破」にふさわしいものと違っていたりする。それは挑戦と学習の繰り返しによって得られるものだ。現在の主流は組織全体を養っているという自負があり、失敗に対して寛容になれない。
これが、「いかに有能で勤勉な会社であろうと、破壊的技術の前になすすべもなく敗退する可能性がある」という「イノベーションのジレンマ」です。

これに対する解決策として、この本の中ではたとえば。

  1. 破壊的技術の開発とマーケティングを、それを必要とする顧客を抱える組織(チーム、子会社)に任せる。
    →技術にマッチする顧客を適切に選ぶ。
     
  2. 組織を独立させ、小さな勝利にも前向きになれる小規模なチームにする。
    →リソース確保・戦略・文化構築において「主流」に振り回されないようにする。

  3. 失敗するという前提でリソースを残しておき、再挑戦する体制で臨む
    →失敗・学習・試行錯誤が許される文化を守る
ということを提唱しています。

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この本ではポーターが言う5つの競争要因(5 Forces)のうち、特に代替品(+新規参入業者)によって巨大企業が倒されるメカニズムを示しています。

面白いことに、巨大企業の側には「破壊的技術」「資金」「潜在顧客」すべて揃っています。しかし既存の主流ビジネス・主流人材・主流顧客によってないがしろにされ、大きく育つことができません。大企業に勤めたり、取引をしたことがある人は大いに心当たりがあるのではないでしょうか。

新興企業側としては巨大企業の弱点を突いて大きくなる方法を、そして巨大企業側としては「イノベーションのジレンマ」を克服し繁栄し続けるにはどうしたら良いかを考えさせられます。


ところでこの本に書いていたかどうが記憶が弱いのですが、「破壊的イノベーションを持った企業がまだ小さいうちに買収する」というのも巨大企業側にとっての解決策です。

その場合でも、主流人材からの圧力や文化を押し付けてはなりません。親会社は子会社の文化を尊重しつつ、相乗効果を生むことを目指すべきです。しかし現実的には、主流派が過剰に支配したがる傾向があるため匙加減が難しいのです。

買収によって成長を続ける点においては米国企業がピカイチだなという気がします。日本企業の中にもうまくやっているところはありますが、せっかく良い企業を買収したのに「人材の掃き溜め」として人を送り込んで台無しにしてしまう会社もあります。 


異質な文化とうまく付き合って行くためには何が必要なのか。

そしてなぜ日本企業が米国企業に後れを取っているのか。

文明や国民性の観点からも深く考えさせられる一冊です。


 
 

競争の戦略 (推薦図書)


最初にご紹介するのは、マイケル・ポーターの「競争の戦略」です。



誰もが知っている名著中の名著なんですが、なぜいまさら推薦するのか?

これを読まないと、企業が持つ競争力の強さや永続性を評価できないのです。

投資家であれば企業の没落を示す兆候に気付かなかったり、すでに終わった技術・市場を頼りに株を買ってしまったりします。

利益の「量」は決算書を見ればわかりますが、利益の「質」はそのビジネスの構造やライバルとの関係まで見ないとわからんのですな。

そして5つの競争要因が理解できたなら、「バフェット流投資がなぜ強いのか」の理由もすぐわかります。バフェットをコピーするだけでなく、自分の判断で銘柄を加えたり除外したりもできるようになります。


私は早い時期にこれを読んで良かったと思っています。もしそうでなかったら、一生かけて気付かないまま大損していたことでしょう。

ビジネスを興すときにどうやって生き残るか。踏み込んではいけない領域はどこか。競争力のある産業を育てるには何をすべきか。そのための国家戦略はどうあるべきか。あらゆる解決策を考える上での基礎となります。

ビジネスマンだけでなく、人類必読の一冊です。
 
 

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