○●○●○●○●○○●○●○●○●○○●○●○●○●○○●○●○●○●○
【ベートーベン・ウィルス 第15話】
オーディション会場の審査員席に
マエストロが居ることに驚くマウスフィルの面々
○●○●○●○●○○●○●○●○●○○●○●○●○●○○●○●○●○●○



こんな書き出しで「スイッチオン」という記事を書いたのは
1年以上前のことになる。
今回、改めて読み直してみると、「言葉に残しておくものだ」と
つくづく思うのである。


・・・・・・「スイッチオン」から引用・・・・・


「先生と呼ぶな。行け。好きなところへ…私は怒っていない。これがお互いのためだ。」


これ、コントロールが効かなくなる前に自分が逃げるのでなく
相手(ゴヌ)を逃がして、自分の目の前から消えて欲しかったのではないだろうか。
それなのに、劣等感を感じる脅威の存在のゴヌに謝られた。
そんなゴヌの言葉が上から目線に感じた、、、、
でも、そうならばマエストロの被害妄想甚だしい。


でも、出来の悪い我が子を心配するバカ親のごとく
審査員として現れたというよりは、はるかに増しだ。
また、スイッチを入れたゴヌを潰すのが目的だけで
やって来たとは、到底考えられない、、、
それは、音楽に対して正直に生きてきたマエストロが
音楽を冒涜したことになるからだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ゴヌの謝罪の言葉がマエストロのスイッチを入れた、、
には、自分でも少々驚いたのである。
時間の経過と共に私のベバへの味わいも変わりつつある。
そんな事を自分で感じている。


「先生と呼ぶな。行け。好きなところへ…私は怒っていない。これがお互いのためだ。」
を自分が逃げるのではなく、ゴヌを逃がして自分の目の前から消えて欲しかった
その気持ちは、今回も同じように感じている。
そうでないと、マエストロ自身がゴヌを潰してしまうから・・・


しかし、ゴヌの謝罪を上から目線で感じたかと問われれば
今回に限っては、そのようには感じていない私がいる。
ゴヌに対する嫉妬、自分への憎悪が入り乱れ
それでもゴヌを心底嫌いなわけはなく、、、、、
そんな中での「先生と呼ぶな。行け。好きなところへ」であったのに
ゴヌは飛び立つでもなく、謝罪をする。


「全く分かっていないのならば、、、潰すしかない」
これくらいの勢いでマエストロにはゴヌの謝罪を受け取り、
押しかけ審査員となるべく会場に急いだと思いたい。
ヒーローとヒールを1人で使い分ける秀でた人間なのだ
ここは悪役マエストロであるべきだ・・・


しかしマエストロの名誉の為に申しあげれば
初めからゴヌを指揮台から引きずりおろし
自分が「パヴァ―ヌ」の指揮をしようなどと考えていたとは思えないのである。
要するに、ドラマでは審査員になるまでの過程は描かれていないが
その押しかけていくまでの心情と
マウスフィルの演奏を前にしてからの心情と行動は
全く別であると考えるべきである。
マエストロが「パヴァ―ヌ」のタクトを振るスイッチを入れたものは
別のところにあるという事になる、、、。


やはり、それはマウスフィルの「パヴァ―ヌ」であるのだ


初視聴の頃は、編曲者としてゴヌとトゥ・ルミの名前が並ぶ楽譜を見つめる姿に
「ここで嫉妬して、、、どうする」と思ったりした。
しかし、マエストロにとって、音楽という舞台に上がれば
「弟子」も「恋人」も関係なくなるのである。
ゴヌのような軽快なパヴァ―ヌを批判し、
優雅さを強調した演奏を指揮して見せたのは
クラシック音楽を知識なしに、自分の感性だけを信じ
ただ感じたままに受け止めてタクトを振るゴヌが許せなかったからであろう。


故に、この時点でマエストロがゴヌの才能に感じていた嫉妬は
消滅したと考えていいのではないだろうか。
消滅したと言うよりも、ゴヌの若さを実感し、気持ちが薄らいで行ったのではないだろうか。
実際、ドラマでも「嫉妬」からマエストロの「自己崩壊」へシフトしている。
大きく眩い輝きを放つ可能性のあるゴヌではあっても
ゴヌからタクトを奪う形にしても伝えたかったことを理解する力が
この時点では無かったと思わざる得ないのが残念ではある。


しかし、一般的には「ゴヌの方が上と言われた事が許せないのね、、、」という意見もあるが
そう思わせてしまうマエストロの人間性が悪いのか
それとも、凡人がマエストロを理解するのが無理なのか、、、
「私を相手にするには、まだ若すぎる」
と、マエストロを理解できない視聴者にも語っているように思う。









*・゜゚・*:.。..。.:*・゜*・゜゚・*:.。..。.:*・゜*・゜゚・*:.。..。.:*・゜







おいで頂き、ありがとうございました。
15話 「パヴァ―ヌ」部分についての今現在の私の感じ方を記しましたが
非常に難しいシーンであります。
「正しい」「正しくない」ではなく、
明日になると違った色彩をこのシーンから感じる。
そんな恐れを感じています、、、。
これだけ味わっても、まだ分からない、、、
ベバの深さとマエストロの心の澱みに慄く管理人であります。