2009年11月21日

【CDレビュー】Chicago Poodle/僕旅

メロディーの海に溺れる喜び
メジャーデビューアルバムに相応しい会心の出来
【ジャンル:ポップロック・AOR・ブルース・ファンク】

※アルバム発売記念特設サイト※試聴ページ有

※全曲ダイジェスト試聴動画


ミニを含めて5枚のアルバムをインディーズで発売してきたChicago Poodle。インディ時代最後のAL「ピアノロマン」ではやれることをやり切った感があったので、その直後のメジャー進出は、バンド史的には必然だった。とは言え、今年数々のアーティストが契約終了したGIZAレーベルからのデビューというのは、じっくりと育ててきたプロデューサーとしては大きな誤算であったに違いない。
けれど、その逆境を吹き飛ばすような見事な作品を送り出してきた。

三枚の先行シングルは、彼らの一番得意とするポップス・バラードをコンパクトに凝縮した作品だった。アルバムでは、もう一つの持ち味である民謡のようにアクの強い歌い回しのマイナーナンバーを中心に、合間を抜かりなく耳馴染みのいいポップスが埋めてゆく。アイデアと、単調とは無縁の詰め込まれたメロディーに溺れながら、エンドロールに相応しいタイトルナンバー「旅人」まで一気に聴けてしまう。
それというのも、インディ時代に比べて全体的に明るく軽くなっているからだ。元々Vo.花沢の唄が濃厚なので、初めましてが多いメジャーデビューに合わせてサウンドはあえて聴き易いバランスにしたのだろう。おかげで、胃もたれすることなく最後までシカプーの核となるメロと声を堪能できた。

顔見せに相応しい、充実したオリジナルアルバム。

インディ時代からの活動の賜物なので、末永く活動していって欲しいと願いたいね。

単曲ヒト口レビュー
ODYSSEY…シカプーのポップな魅力が詰まった一曲。最大公約数にして全て、聴けばわかる。
さよならベイベー…シカプーのバラードの魅力が詰まった一曲。割と重層的なんだけど、雰囲気でうまくわからなくなってる。最大公約数にして全て、聴けばわかる。
空の青…インディ時代のこの手のシンプルな弾き語り曲は練りが物足りなくて拍子抜けしてたんだけど、中盤の耳休めとして絶妙の曲順に収まってる。何よりメロディーとそれを体現する声が素晴らしい。
アイアイ…Vo.花沢のお色気タイム。大賀くんのスチールギターの音色も最高!こういうラテンマイナーこそ、裏シカプーの真骨頂だと言える。エンディングのコーラスと重なりあう音にうっとりします。
スーパースター…マイケル・ジャクソンリスペクトなダンサブルナンバー。珍しく歌詞に力が入っていて、「かなしみのムーンウォーカー」「政権交代」「新しいリーダー」とうまく時代の空気を拾っている。ここでも大賀くんのギターカッティングとお色気ボイスの絡みはゾクゾクさせられる。このアルバムのコアナンバー。
「旅人」…爽やかに仕上げてるけどちょっとクセがある。エンディングのコーラスは古典的歌詞も相まってとても耳に残る。アンコールナンバー「約束」を収録せずここで終われば良かったのにと思ったくらい。

余談だが、今回サウンドに多大なる貢献をした大賀好修について最後に触れておかねばなるまい。(ピアノ弾き語りの一曲を除く全曲でギターを担当)彼を振り返ってみれば、数々のアーティストを手掛けるたびに各ファンから顰蹙を買うという、まさに不毛の創造と破壊を繰り返してきた。
しかし、このアルバムにおいてはギタープレイで見事に底上げをしている。おそらく、アレンジのイニシアティブはシカプーにあり、またバンドの核がピアノであることで職人ミュージシャンに徹することができたからであろう。共同編曲者に名を連ねる、MJリスペクトな「スーパースター」でさえ、バンドメンバーがドラムを担当したことにより被害は最小限に食い止められており、それどころか渋いギターカッティングで音に彩りを添えている。
まさしく、ギターのいないピアノトリオとの幸運なコラボであった。元々松本孝弘(B'z)に認められるくらいのテクニシャンで、ギタリストとしての腕前は一流だし。今後も、このくらいのつかず離れすの距離感で関わって欲しい。あ、半径3メートル以内に踏み込むの禁止ね。

ちなみに、今作のディレクターはKazuhiro Mochida。インディ時代のクレジットからギタリストであることくらいしかわからない。
プロデュースに曲手秀昭。インディ時代にディレクションをしていた方である。BeingGIZAの現Top升田“トーマス”年則がスーパーバイザーで、長戸御大がスペシャルサンクスでしかクレジットされてないので、おそらくメジャーデビューをお膳立てしたのは彼である。じっくり育ててきたのを無駄にしないで、バンドを長く活動させていただきたいと切に願う。

参考:ODYSSEY/Chicago Poodle(収録シングルレビュー)

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