COOL LADY’S PARADE

人生はレビューです。マンガ、本、ライブ、DVD、CDなど、色んなものをレビューします。
タイトルは“COOL LADY’S PARADE”。
JUNKな文章なので、お気軽に読んで行って下さい。

テレビ東京「午後のロードショー 新・猿の惑星」

2年前に行方不明になったものと思われる宇宙船が不時着していた。
救助活動を行った軍は、宇宙船から現れた宇宙服姿の3人を敬礼で
出迎えた。が、ヘルメットを脱いで現れたその下の顔は、猿だった!
このプロローグはバッチリです。続編だと思ってたけど、
シリーズ第3弾らしいです。’71年米映画です。

シリーズ第1弾の猿の惑星では、現代のアメリカ人が
“猿の惑星”に行き着きカルチャーショックを受けますが、
今度は彼らの宇宙船で猿の方が現代のアメリカにやってきます。
程なくして、やってきた猿達は以前に出てきた“動物学者”の
コーネリアスとジーラと判明します。話が直接繋がってるんですね。

始めは警戒してただの猿のフリをしていたジーラらですが、
檻に入れられ、あのお決まりの“道具を使って高い所のバナナを取る”
実験をさせられて、我慢できなくなって、自分達の正体を明かします。

一人死んで猿はコーネリアスとジーラの2人だけになりますが、
二人は国を挙げて歓迎されます。服を着て喋る猿が要人として
公の場で挨拶したり、街に観光に行く光景はシュールです。

インタビューの受け答えもウイットに富んでいるし、彼らは国中の
人気者になります。猿がウイットに富んだ受け答えをする姿
そのものも何とも言えない現実とのズレや皮肉を醸し出しています。
猿と人間の逆転というアイデアの妙と、それを存分に発揮させる
演出の巧みさは、3作目でも変わらず生きていると思いました。

二人が現代の地球にやってきた理由が知られると、二人は
人類にとって危険な存在として迫害されるようになります。
二人の処分を強硬に主張する人間がいて、こっそり味方してくれる
人間がいて、コーネリアスとジーラが追われて逃げる。
この構図は、第一作目の猿と人間の立場が完全に逆転したものです。

二人は人間により“そこまでやらなくても”という非道な扱いを
受けます。ラストシーンは途中で“もしかしたら”と予想していた事が
当たっていたのだと思いますが、違うとも取れて意味深でした。
2作目って、どんな話なんだろう?放送して下さい、午後ローさん。

テレビ朝日「黒革の手帖」

かつて米倉涼子さん主演で人気を博した松本清張原作の小説が、
2017年夏、武井咲さん主演で再ドラマ化されました。
枠はお馴染み木曜9時。夏クールナンバー2の視聴率を得ました。

恐らく多くの人と同様に、武井さん主演で再ドラマ化という
一報を聞いた時、武井さんでは元子役には若過ぎるのではないか、
事務所の力で強引にキャスティングをねじ込んできたのかと、
ネガティブな感想しか胸に思い浮かんできませんでした。

しかし、実際に見てみると、──着物を着た時のぐらぐら揺れる
首の細さと、無理に大人びた声音を作って上擦る声を覗けば──
遥かに年長で曲者揃いの俳優陣に対峙して、一歩も怯まず強気で
謀ろうとする貪欲な悪女を立派に演じて見せてくれていました。

そのクセ者で特に強烈だったのは、元子の銀行時代の上司役の
滝藤賢一さんと、医療系予備校の理事長役の高嶋政伸さんでした。
滝藤さんが大仰な台詞回しで個性的な雰囲気なのは前からですね。

高嶋さんは、DOCTORSの卓ちゃんからでしょうか、
開眼しましたねぇ。“怪演”という言葉がすっかり代名詞になりました。
やりたい放題、ノリノリでした。アドリブ満載だったんだろうなぁ。

財界のフィクサーとも通じ、議員秘書から議員になった安島は、
江口洋介さんでした。こちらは少々老け過ぎていると思いました。
安島は元子が想いを寄せる人物なのですが、江口さんはもう
50歳近くになる筈で、武井さんとはうっかりすると親子ですよ。

元子に陰で手を貸して助けていた安島が、いつ裏切るんだろう、
いつ裏切るんだろうと待っていたのですが、何と最後まで、
元子の味方をしたままでした。これは逆に、意外でした。

序盤でも宿敵のホステス・波子に元子の元同僚という設定を
付け加えたりしていましたが、終盤は元子が一時逆転するという、
オリジナル展開になっていました。私は普段はストーリーを
変えられるのを好まないのですが、原作の世界観を壊さずに、
上手く“もう一つの黒革の手帖”を成立させていました。

元子の勝利エンドもありかなと思っていましたが、最終回でまた
急転直下。どんでん返しで最後まで気の抜けない展開でした。
妊娠した元子が事故で流産というエピソードもあったのですが、
その後武井さんのおめでたいニュースが発表されました。彼女は
あのシーンをどういう気持ちで演じていたのだろうと思いました。

壺霊 上・下

タイトルは、“これい”と読みます。文字通り、壺の霊という意味です。
京都の古美術商の女将が壺を持って失踪し、浅見は捜索を頼まれます。
億の値が付いてもおかしくない、“紫式部”と名付けられた高麗青磁の
その壺は、まるで魂が宿っているように、見る者を魅了する壺でした。
著/内田康夫。

フリールポライターの浅見光彦は、お得意様の雑誌「旅と歴史」から、
怪しいくらい条件のいい仕事を先方からのご指名で依頼されました。
場所は京都。そこへ警察庁刑事局長の兄・陽一郎から、京都へ行くなら
ついでに京都の知人の頼み事を聞いて欲しいと言われました。

京都に着いた浅見は、兄に言われた古美術商の伊丹家を訪ね、
高麗青磁の壺と女将の佳奈捜しを引き受ける事になりました。
間もなく殺人事件が起こり、その被害者の名前から、
浅見は事件と佳奈失踪が繋がっているのではという疑惑を抱きました。

今回は、女性たちのキャラ造形がかなり凝っていると思いました。
佳奈の娘の千寿(ちず)は芸術系の大学で陶芸を学んでいる
芸術家の卵です。浅見に奇異に感じさせるほど精神的に不安定な
面があります。浅見を気に入ったけど、周りにはライバルが多く、
栗原や琴絵と浅見が会うのを気にしているのが怖くもあり可愛いです。

栗原は千寿の大学の先輩で、新聞記者です。浅見が以前の事件で
世話になった刑事と共に、浅見の捜査に協力してくれます。
彼女は浅見光彦シリーズによくありそうな、一番スタンダードな
ヒロイン像でした。が、どうやら特定の男性がいるようです。

佳奈の妹・諸橋琴絵は、40歳ですが浅見との年齢差は千寿より近く、
実の叔母ながら、千寿が一番ライバル視している相手です。
彼女も千寿の大学の先輩に当たり、陶芸家です。
佳奈がいない伊丹家に、家事を手伝いにきてくれています。

琴絵は最初は地味で大人しそうな女性と思いましたが、
次第に存在感を増し、後ろ暗い過去を持っていそうな、
意外と悪女?と思わせる、ミステリアスな雰囲気になりました。

一番色んな面を持っている謎の多いキャラで、終わり近くなってまた
イメージが変わります。私が40歳になってもこういう
いかにも過去がありそうな女性にはなれないな、と思いました。

浅見は伊丹家の所有する町家に滞在させて貰う事になります。
短期滞在用の借家みたいなもののようで、2階建てだけど
コンロが無くて、浅見はマルチャンの即席めんばっかり食べています。
巨大ゴキが出るシーンがあって、その捕り物がやたら生々しく
描写されていました。これは絶対、内田センセの体験談だと思います。

京都のど真ん中にいるので、修学旅行で行くような有名な神社仏閣は
あんまり出てこなくて、主に中心部の街並みとか地元の隠れた名店、
名所がたくさん出てきました。下巻の最後には、作品に出てきた場所を
イラスト付きで紹介する小林由枝さんのエッセイが付いています。
私は正直、イラストより写真が見たかった、と思いました。

京都は妖や霊のようなものの存在が当たり前のように思われていて、
京都の人に自然に根付いているその考え方に浅見が驚いている場面が
何度もありました。さすが桁違いの歴史がある街、他の地域とは
かなり異なった、独特の文化を持っているんだと感心しました。

千寿の作品群は、浅見には「白いイクラ」にしか見えないオブジェで、
千寿によるとそれは「生まれ出ずる悩み」を表しているそうで、
その感性のギャップが可笑しかったです。
全体的に文章は軽妙で面白く、いつも以上に読みやすくて、
どういう訳か今回はやたらと早く読み終わりました。

佳奈捜しは最初から怪しいところだらけでした。
失踪して1ヶ月も経つというのに体面があるからと捜索願も出さず、
それでも娘の千寿と義父の大吉は心配して浅見に依頼してきましたが、
夫の勝男はさほど心配している様子もありませんでした。

勝男と佳奈の別れを願う“縁切り碑(いわ)”の形代が残されていて、
それには女の名前と住所も記され、その住所は紫式部の墓でした。
京都には安井金毘羅宮という縁切り神社があって、そこには
自分が縁を切りたい相手、或いは別れて欲しい人達と自分の名前を
書いた札が、岩にべたべた張ってあるんだそうです。
ドロドロした内容の形代がいっぱいあるらしくて、見てみたいです。

その中にあった一つの形代が、近くで起きた殺人事件と佳奈失踪を
結び付けます。芋づる式にどんどん怪しい人物が現れ、怪しい年代の
符合があり、糸がこんがらがるような複雑怪奇な展開になります。

内田さんも犯人が誰だか判らないで書いていたんだろうと思います。
『こいつかも、いや違った、これが関わっているのでは、やはり違う』
と、浅見と同じ速度、同じ思考経路で事件を解いているんだと思います。

最終的に犯人は最も意外で、最も単純明快な人物でした。
あっさりとそれが判明して、幕切れは呆気ないと思いました。
全ての事が繋がってはいたんですけど、浅見は目の前にあるゴールに
ぐるーっとかなり回り道して辿り着いたような感じです。

形代に名前があった1人の人に最後まで触れられなかったのは、
凄く気になりました。浅見は伊丹家の人と食事を共にしてばかりで、
本業のグルメルポが一向に進まないのも凄く気になりました。
でも、自殺オチではなくて、珍しく犯人が逮捕されたのは良かったです。

  

快感フレーズ 1〜17巻・特別編

恋愛×バンド×エロ。アニメ化し、リアルで作中のバンドが
デビューするというメディアミックスも果たした、エロい作風で
有名な作者の一番のヒット作です。本編17巻と、特別編1巻の
全18巻、’00年前後に週刊少女コミックに連載されていました。
作/新條まゆ。

国語だけが取り得の平凡な女子高生・雪村愛音(あいね)は
友達に作詞コンテストに応募するよう勧められました。
その詞を携えた下校中、車に轢かれそうになった愛音は、
フェラーリから降りてきた男性に目を奪われ、見惚れました。

長身、美形、いかにも女に慣れていそうな艶かしい身のこなしに
黒髪と不釣合いなブルーの眼。愛音に怪我が無い事を確かめた
その男性は、連絡先を残して去っていきました。その男性こそ、
大人気バンドルシファーのボーカル、大河内咲也(17)でした。

その時愛音はコンテスト用に書いた詞の紙を落としていました。
咲也が連絡先として渡したスタッフパスでコンサート会場に
赴いた愛音は、あの時の男性が、ルシファーのボーカルとして、
愛音の詞に乗せた新曲を歌っているのを目撃し、仰天しました。

楽屋に押しかけた愛音は咲也と再会します。咲也は愛音を
ルシファーの専属の作詞家にするとメンバーに宣言します。
求められたのは、ルシファーと咲也のイメージ通りのHな詞。
女を蕩けさせ、カラダをアツく疼かすような、快感のフレーズ──。

今は殆どカバーされていたり紐で縛られたりしていますが、
少し前のコンビニでは、雑誌が立ち読みし放題でした。そもそも
何故少女マンガなど読もうと思ったのかは記憶が無いのですが、
立ち読みしていた少コミで、新條まゆ先生の名前は以前から
知っていて、連載を読んでいた気に入っていた作家の一人でした。

その新條先生の新連載が始まると(恐らく)表紙で知って、
読んでみると、一目で虜になり、始めは毎号立ち読みをして、
単行本が出ると単行本に移行し、遂には全巻集めてしまいました。
作者は同い年で誕生日も近いので、センスが合うんだと思います。
有閑倶楽部ときたがわ翔の短編集(と、陽あたり良好!も一応
少女マンガか?)を除き、私が唯一持っている少女マンガです。

処女の想像力を掻き立ててHな詞を書かせる為と公言し、咲也は
愛音にぐっと顔を近付けて、耳元で意地悪な言葉を囁き、髪を
撫で、首筋に唇を這わせ、スカートの下から太股を撫で上げます。

いつもギリギリのところで寸止めされる愛音は悶々とします。
自分に詞を書かせる為にやっているだけだ、芸能人が自分なんて
本気で相手にする訳ない、本気になっちゃいけない、といくら
理性に命じても、咲也への想いは抑え切れずに溢れ出します。

咲也の真意が判らず苦しむ愛音に咲也もとうとう体裁を捨て、
自分の想いを露にします。愛音の高校に転校さえした男です。
固く結ばれた二人は、咲也のマンションで同棲を始めました。

一旦結ばれたら2人はもうヤりまくりです。でももっとエロい
シーンばかりという印象があったのですが、一気に読み直すと
そうでもなく、ちゃんとしたストーリー展開になっていました。

二人の間には様々なライバルが割り込みます。死んだ妹と愛音が
瓜二つ、しかもその実の妹に恋愛感情を抱いていたという
ソロミュージシャン、咲也の異母兄で若きメディア王のラルフ、
カメラマン、事務所がライバルとして売り出した後輩バンド。
芸能界が舞台だけあり、愛音にはイケメンが次々と寄って来ます。

愛音一筋で揺るがない咲也が女に惑わされる事はありませんが、
気持ちを伝えてくれず何を考えているか判らない咲也に、愛音は
不安を掻き立てられます。咲也の初めての女という大女優の出現、
愛音の友人でスタッフの妹による、汚いやり方での咲也への接近。

咲也にしろライバルミュージシャンにしろホイホイ愛音の高校に
転校して来たり、20歳そこそこのラルフや17歳の咲也が
簡単に米国の大企業のトップに立ててしまう点は、やはり
少女向けで、かなり現実離れしていると言わざるを得ません。

しかしキャラの心情は、思いの他繊細な描かれ方をしていました。
愛音の両親は咲也との同棲も暫く放置するほど愛音に無関心で、
愛音は愛される事を知らずに育ちました。咲也は出生の経緯から
母親に存在自体を憎まれており、その母親が死ぬと、中学生で
女に体を売って生活していました。女は欲望の為、金の為に
利用するもの。咲也は人を愛する事を知りませんでした。

愛音は咲也にどれだけ愛されても、愛されているという確信が
持てません。他の男性に迫られてもそれに心動くという事はなく、
他の男に汚された自分は咲也に嫌われる、捨てられる、と激しく
脅えるのです。普段どれだけ抱かれていても、他の女性が咲也に
近付くと、やはり自分なんか芸能人の咲也には釣り合わないんだと
すぐに自信喪失し、胸を切り裂かれるような不安を覚えるのです。

それはとても哀れで、愛音はこれまでどれだけ愛されずに
育ってきたのかと、同情を禁じ得ません。愛音の為なら
どんな事でもする咲也ですが、一人きりでのし上がってきた
その強さ故に、愛音の不安をなかなか理解できません。
それが時に、二人の間に衝突や擦れ違いを生み出します。

でも、弱さだけではなく人を思い遣る心と強さを兼ね備えている
愛音は、ハードルを乗り越えていきます。放任されていた親との
和解も果たします。エロいだけじゃなく、生い立ちを背景に
性格付けや心理描写もしっかりした、ラブストーリーでした。

これはロックバンド・ルシファーのサクセスストーリーでもあり、
業界モノ、バンドモノの側面もあります。第1話の時点で既に
人気バンドとして登場したルシファーですが、ライバルとの対決、
弱小所属事務所への圧力、PVや写真集の撮影、そして草創期の
思い出話や世界進出の夢など、業界モノとしても成立しています。

アニメ化、しかもテレ東火曜7時のゴールデンと発表された時は、
これをゴールデンでやって大丈夫なのか!?と心配しました。
アニメはエロの要素だけ見事に抜いた、バンドモノとして
成立していました。アニメ化のタイミングで、現実と連動して、
作中のルシファーもリュシフェルと改名していました。

咲也以外のメンバーの名前をマンガと同じにしたリュシフェルは
リアルでデビューし、その詞が作中に使われたりもしていました。
初期のルシファーの詞は、新條先生が自分で作っていました。
ライバルとして登場したemu.も実際にデビューしました。
ビジュアル系ブームだったからこそできた、面白い企画でした。

メンバーの雪は能の家元の家系で、高校生で政略結婚の相手と
駆け落ち。敦郎は血の繋がらない姉と禁断の恋。
TOWAは幼馴染の恋人がルシファーのメイクさん。

可哀相に、女っけのないサン太だけ読み切りがないのですが、
それぞれが独立した連載にできそうな、濃い設定の読み切りも
ちょいちょい収録されています。全17巻の後の特別編には、
その後の快感フレーズを描いた書き下ろしもありました。
そこでもサン太は可哀相に、一度も主役を晴れませんでした

終盤は辛い、惨い展開でした。担当に意に染まない展開を強いられ
辛かったと新條先生が後日吐露してネットで話題になりましたが、
あの辺りの事だったのでしょうか。愛するキャラをあんな目に
遭わせたくないのは当然です。でも、コミックスのコメントでは
そんな事は噯にも出していません。プロだな、と感心しました。

  
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HN : COOL LADY
1973年生まれ みずがめ座
女性 独身 神奈川県出身

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