テレ東に新設された月曜10時のビジネスドラマ枠の第1弾です。
主演はガイアの夜明けのナレーションの縁で江口洋介さん。
題材はタイトルそのままヘッドハンター。この時間帯のドラマを
録画する(TV局には悪いけど私は本当に見たい番組は全て録画)
という習慣は無かったので初回を録り逃してしまったのですが、
翌日曜日に再放送してくれたので、フォローする事が出来ました。

高額の紹介料を目当てに劣悪な職場やその人のスキルに合わない
ミスマッチの職場を斡旋し、転職後のフォローは一切無い。
そんな悪質なヘッドハンターがいるという噂が流れていた。
大手人材会社ブリッジに所属する赤城響子は、
黒澤和樹がその噂の人物ではないかと疑っていた。

黒澤は社員3人の弱小人材紹介会社SAGASUの社長。
ノーネクタイで黒ずくめの格好がトレードマーク。経歴は謎が多い。
ヘッドハント対象者がしばしば黒澤とバッティングするが、
赤城はいつも黒澤に思わぬ手段で出し抜かれていた。

黒澤の右腕が灰谷という同年輩の男だが、2人の関係も謎。
必ずしも友好的ではないらしい。情報屋としてSAGASUと
プリッジ双方に通じている蝙蝠のような元新聞記者の真城は、
赤城の依頼だけではなく個人的な興味で、黒澤の素性を探る。

メインキャラの名前に黒、赤、灰、白と色が入っているのは、
最終回を見終わってから気付きました。抑え目の演出だけど
脚本が練られていて、オトナが見るドラマといった雰囲気でした。

ベースは一話完結で、毎回様々な業界が取り上げられます。
そこに毎回徐々に黒澤がどういう人物かが明かされるという
連続性のあるペーストが、程よく添えられています。

ヘッドハントの手法、特にスカウトする価値のある優秀な人材を
どのように探し出すのかという手口は興味深いものでした。
理系なら論文、営業などの事務系なら社内で表彰された人を
社内報や雑誌で探し、これはと思う人材に目を付けるようです。

主演の江口さんは、黒澤のキャラをかなり作りこんでいました。
黒のコートを象徴とした黒ずくめの衣装、何を考えているか
判らない冷徹な口調とシニカルな微笑。黒澤は白か黒か?という
疑惑と興味を掻き立てる脚本の意図を汲み、体現した演技でした。

江口さんは実写映画版湘南爆走族でデビューした時から
知っていますが、黒革の手帖にしろBGにしろ、近年は
“あんちゃん”の頃の熱いキャラを封印し、鉄仮面のような内心の
読めないキャラを演じる事が多くなりました。寂しいです。

このドラマは、何は無くとも脚本が秀逸だったと思います。
ヘッドハントされる側の社内での立場や転職を迷う心の動き、
その人と会社に隠された裏の事情、そういうものを毎回
どんでん返しを交えて、丹念に描いてくれていました。

ヘッドハントされるだけあって、その対象者は優秀な筈ですが、
社内外に様々な事情を抱えている人ばかりです。それは社内の
立ち位置だったり、家庭の事情、スキャンダルだったりします。

そういう負の要因が判明しても、黒澤は思わぬ奇手で解決します。
優秀な人材の探し方は同じなので、赤城響子のブリッジと毎回
バッティングするのですが、ブリッジを出し抜き、ブリッジが
諦めたような案件まで、変化球で成約に導きます。

その過程では、フリーの調査員の真城のリサーチが役に立ちます。
真城はちょくちょくSAGASUに入り浸っているように見えて、
赤城の仕事も受けており、見るからに胡散臭い奴なのですが、
面白ければいいという感じで、誰にも肩入れする事はありません。

視聴者に黒澤の過去を教えてくれるのは、この真城の調査です。
父親の影響や黒澤自身の経歴、黒澤がいつもハヤシライスを頼む
洋食屋や、灰谷との関係も明らかになりました。第二期に向け、
勿体付けて謎のままにしておいても良かったと思いますが。

冷たく見えた黒澤も、過去が明らかになっていくに連れ、暖かみを
感じさせるようになりました。脚本と江口さんの演技の狙いが
上手くマッチしていたと思います。役者さんを含めスタッフが
皆いいチームワークだったのではと勝手に想像しています。
これは続編があるでしょう。次のシーズンを、是非見たいものです。