花より男子の次世代のドラマをやると聞いて、第一印象は
TV局が勝手に作った続編だろうからどうせつまらないだろうと
高を括っていました。しかし原作者本人が描いた正統な後継と
知って見始めたら、さすが本物。花男に勝るとも劣らない
切なさとときめきがたくさん詰まった、正統派ラブコメディでした。

セレブが集う名門・英徳学園高等部にあって、特に家柄が良く
学園の中心的存在となっている、5人の男女がいた。彼らは
“C5”と呼ばれ、英徳学園内で絶対的に君臨する存在だった。

C5は英徳に相応しくないと判断した生徒に退学を強要する
“庶民狩り”を行っていた。対象外の生徒は公開処刑のような
そのイベントに喝采を送り、対象になりそうな生徒は、
いつ自分の番が来るのかと、びくびくしながら生活を送っていた。

江戸川 音も、自分が庶民だといつバレるかびくびくしていた
生徒の1人だった。入学時点では間違いなく社長令嬢だったのに
父親の会社が倒産してあっという間に没落。アパートで質素な
暮らしをしていて、でもそれがバレると庶民狩りの対象になるので、
友人の前でも、涙ぐましい努力をしてセレブのフリを演じていた。

そんな音が、ひょんな事からC5のリーダー的存在神楽木 晴
(はると)の秘密を知ってしまった。コンビニでバイトをしている
庶民だとバレた音だが、音は音で晴の弱みを握った事になり、
晴は音に何も言えなくなってしまった。自分に物怖じせず、
ずけずけと物を言う音は、これまでのどの女とも違っていた。
晴は生まれて初めて恋をした。しかし音には、馳 天馬がいた。

英徳に君臨するグループのリーダーと英徳にいてはいけない
庶民との恋。この構図は花男を踏襲していますが、
単なる二番煎じではない、いくつかの大きな違いがありました。

一つには、表向きはオレ様キャラの晴が、実は喧嘩はからきし
弱いヘタレだった事。もう一つは、最初から庶民だった花男
牧野つくしと違い、音は元はセレブの社長令嬢だった事。
最後には、音には馳天馬という、相違相愛の婚約者がいた事──。

伝説のF4の道明寺 司に憧れて、道明寺みたいになりたいと
目指しているけれど、開運グッズ好きで本当は気が弱いヘタレで、
名家・神楽木家の当主の父からは落ちこぼれの烙印を押され、
精神的虐待と言えるほど見下げられ、無視されている晴。

天然ボケのところがあって、一生懸命で見かけに寄らず努力家で、
あらゆる面で天馬に敵わないと認めつつも、音への一途な想いを
諦め切れない晴。親しみが湧くキャラで、それを演じている
新人の平野紫耀さんの一生懸命な演技も、光りました。

客観的に、理性的に抑えようとしたけれど抑えられない恋心が
溢れ出し、切々と「好きで好きでたまらない」と音に告白する
シーンは、キュンキュンするとしか言いようがありませんでした。
平野さんが所属するKing&Princeは主題歌も歌っていて、
それがグループにとってデビュー作となるシングルだそうです。
明るくて、ドラマのイメージに合った主題歌だったと思います。

天馬くんは、家柄良し、成績良し、性格良し、武道の達人で
イケメンで、学内の人望も厚い生徒会長という完璧超人です。
しかも音とは家族ぐるみの付き合いで幼馴染み、天馬の母の死に
音が寄り添い励ましたという絆もあり、両家公認の婚約者です。

どう考えてもこの2人の間のどこに入る余地があるのかという、
物凄く高いハードルがこれでもかというくらい課されており、
晴は圧倒的に不利です。音との事は神楽木家の息子の相手として
父親からも反対されていて、勝ち目の無い戦いの筈でした。

でも、音と晴の間に生まれた感情は、理屈ではありませんでした。
言ってみれば不倫みたいなものなので、音は必死に“自分は
天馬くんが好き、天馬くんを選ぶ”と自分に言い聞かせます。
そうあるべき、そうでなければいけないと、自分の胸の中に
生まれた熱を、隠し通そうとするのです。この感情の動きが、
晴との細かなエピソードを通して、痛いほど伝わってきます。

晴と言うライバルが現れた事で、天馬もショックを受けます。
音の気持ちを自分よりも理解している存在。自分といるより
晴といる方が音は自然に笑っている。婚約者として振舞いながら、
天馬は音との気持ちの擦れ違いに気付かざるを得なくなります。

晴に恋するC5唯一の女性メンバーの愛莉の音への嫌がらせ、
大人気モデルで且つ良家の子女の(メグリン)の出現など、
音と晴の関係を疑い脅かすライバルも登場し、四角関係の様相も
呈しますが、やはりメインは晴、音、天馬の三角関係でしょう。

こんなに切なくて、こんなに真正面から連合いを取り上げて、
しかもキャラの心理も描写できているドラマを、久々に見ました。
愛莉役の娘は人形みたいで本当に可愛かったけど、リアルでも
モデルらしいメグリン役の娘は顔立ちが地味で、これで10代に
大人気のモデルと言われてもどうしてもピンときませんでした。

道明寺から始まって、花沢 類も顔見せをしたのは
花男ファンへのサービスですね。西角は晴に
武術を指南していて、結構本格的に出演していました。演じる
松田翔太さんも何となく楽しそうに見えました。F4で一人だけ、
美作が現れなかったのは、芸能界の事情があるんでしょうね。