何で今更!?福本作品はこれまで数多く実写映画化もしくは
ドラマ化されてきましたが、これにまで手を出すほどテレビ局は
ネタがなくなったのでしょうか。数年前に週刊少年マガジンの
連載を中断してそれ切りの福本伸之先生の賭博覇王伝 零
連続ドラマ化されました。日曜午後10時半の枠で、7月期に
放映され、福本先生本人がゲスト出演していた回もありました。

宇海 零(うかいゼロ)は集団自殺しようとしていた
3人の男性を助け、彼らを誘って義賊として活動していました。
謎の義賊はマスコミの話題にもなっていました。ところが
振り込め詐偽をしていたヤクザのグループから金を奪おうとして
失敗し、3人は、グループのアジトに監禁されてしまいました。

零が3人を助けに行くと、そこに突然、巨大財閥在全グループの
総帥、在全無量(ざいぜんむりょう)が現れました。
車椅子に乗った横柄な老人・在全は、自分が持つ莫大な財産を継ぎ、
自分の後継者となれる王の器を持つ人物を探していました。
そして王を選抜するゲームに参加するよう、ゼロを誘いました。

優勝賞金1,000億円。それすらも在全の財産のほんの一部。
優勝者は在全の全ての財産と地位を継ぐ後継者に指名される。
その話に、その場に居合わせたヤクザのリーダーの
末崎さくらと、その弟の末崎セイギも食いつきます。

予選では(しるべ)という不思議な中学生と出会いました。
予選通過者は東京湾に浮かぶ人工島、ドリーム・キングダムに
集められます。そこで行われるゲームをクリアすると、ゲームの
難易度に応じ、1つまたは複数のリングを獲得できます。
その難易度の高さとは、命を失う危険度の高さでもありました。

期限内にリングを4つ集めた者が王となる資格を与えられます。
ギリギリで4つ集めたゼロは、先にトップで集めていた
標との、一対一での最後の対決に挑みます。果たして
ドリーム・キングダムの優勝者は?在全の後継者となるのは?

多分視聴率はパッとしなくて、私もマガジン読者じゃなかったら
見なかったでしょうが、面白かったですねぇ。大掛かりな
セットを作って“鏖の魔女”や“ジ・アンカー”などのゲームを
完全再現してきましたよ。最近の実写化は本当に出来がいいです。

原作のゼロは、──連載が中断して描き切っていない事もあり──
考えてみれば素性が謎のままでした。ドラマはそこにゼロに対し
人間としての肉付けをしていました。元科学者で、訳あって
大学を去り、現在は予備校の講師をしていると言う設定です。

主役のゼロを演じたのは、メンバーの脱退や不祥事など不遇な
イメージのあるNEWSのメンバー、加藤シゲアキさん。小説を
書いている事だけは知っていましたが、これで顔も覚えました。

ゼロは福本マンガなのに珍しく、少年誌向きにしようとして
やたら目がキラキラしている主人公です。最初は歳が行き過ぎと
思いましたが、演じるうちに加藤さんの真っ直ぐな瞳は
ちゃんとキラキラしてきて、ちゃんゼロに見えてきました。

在全は梅沢富美男さんでした。もっと老けた人が良かったなぁ。
秘書の後藤は後藤峰子という女性キャラにされて、これは
小池栄子さんが演っていました。小池さん、この手の役が多い
気がするなぁ。そして弾けていて、この手の役が好きそう。

さくらはケンドーコバヤシさんでしたが、これはハマってました。
ゼロのコバンザメになる調子の良さ、扱い安く、おだてられると
すぐ乗せられる単純さ、意外と持っている任侠。いかつい外見と
相まって、これらの演技がいかにもキャラにぴったりでした。
よく知らないけど、芸人さんなのに演技が上手いですね。

ドリーム・キングダムで行われるゲームはほぼ原作通りでしたが、
キャラとストーリーはオリジナルな部分がかなり多かったです。
メインキャラでもあったそのオリキャラの1人が、セイギでした。

セイギはさくらよりかなり若くて、兄と違い頭の回転が良く、
大学も出ているプライドの高い人物です。振り込め詐偽の
グループの一員で、先に出てきた末崎がこちらだったので、末崎が
若いイケメンにキャラを変えられてしまったのかと思いました。

もう1人の重要なオリキャラがユウキです。柔和な笑みを
絶やさない優男で、やはり頭の回転は速いのですが、他人と、
自分自身の命をも何とも思わない、危うさを持っている人物です。

セイギもユウキも始めはゼロをライバル視して、張り合ったり
足を引っ張ったりしようとしていたのですが、気が合ったのか
顔を合わせる内に2人で組んで行動するようになり、
ゼロと命がけのゲームを乗り越え、またゼロが乗り越えるのを
目撃する内に、彼らとゼロの間にも友情が芽生えてきました。

これはこの2人のオリジナルキャラを作ったからこそ生まれた
ドラマオリジナルの展開で、これは大成功だったと思います。
完結していない原作の代わりに作られたオリジナルの結末も、
原作読者も納得のものでした。きっと脚本が良かったんでしょう。

嘗て連載していたマガジンでは何故かドラマ化に当たっての
告知が無く、新聞の新ドラマを紹介する記事で知ったほどでした。
マガジンに載ったのは、ドラマが始まる直前の週の1ページの
紹介記事だけでした。この冷たい扱いは何なんでしょうね。

ドラマは綺麗に終わりましたが、週刊少年マガジン編集部と
福本先生には、これだけを言いたいと思っています。
『崖から落ちた後、ゼロはどうなったんですか?』
連載再開を、今でも待っています。