COOL LADY’S PARADE

人生はレビューです。マンガ、本、ライブ、DVD、CDなど、色んなものをレビューします。
タイトルは “COOL LADY’S PARADE”。
JUNKな文章なので、お気軽に読んで行って下さい。

2018年 テレビ

TBS「花のち晴れ 〜花男2nd Season〜」

花より男子の次世代のドラマをやると聞いて、第一印象は
TV局が勝手に作った続編だろうからどうせつまらないだろうと
高を括っていました。しかし原作者本人が描いた正統な後継と
知って見始めたら、さすが本物。花男に勝るとも劣らない
切なさとときめきがたくさん詰まった、正統派ラブコメディでした。

セレブが集う名門・英徳学園高等部にあって、特に家柄が良く
学園の中心的存在となっている、5人の男女がいた。彼らは
“C5”と呼ばれ、英徳学園内で絶対的に君臨する存在だった。

C5は英徳に相応しくないと判断した生徒に退学を強要する
“庶民狩り”を行っていた。対象外の生徒は公開処刑のような
そのイベントに喝采を送り、対象になりそうな生徒は、
いつ自分の番が来るのかと、びくびくしながら生活を送っていた。

江戸川 音も、自分が庶民だといつバレるかびくびくしていた
生徒の1人だった。入学時点では間違いなく社長令嬢だったのに
父親の会社が倒産してあっという間に没落。アパートで質素な
暮らしをしていて、でもそれがバレると庶民狩りの対象になるので、
友人の前でも、涙ぐましい努力をしてセレブのフリを演じていた。

そんな音が、ひょんな事からC5のリーダー的存在神楽木 晴
(はると)の秘密を知ってしまった。コンビニでバイトをしている
庶民だとバレた音だが、音は音で晴の弱みを握った事になり、
晴は音に何も言えなくなってしまった。自分に物怖じせず、
ずけずけと物を言う音は、これまでのどの女とも違っていた。
晴は生まれて初めて恋をした。しかし音には、馳 天馬がいた。

英徳に君臨するグループのリーダーと英徳にいてはいけない
庶民との恋。この構図は花男を踏襲していますが、
単なる二番煎じではない、いくつかの大きな違いがありました。

一つには、表向きはオレ様キャラの晴が、実は喧嘩はからきし
弱いヘタレだった事。もう一つは、最初から庶民だった花男
牧野つくしと違い、音は元はセレブの社長令嬢だった事。
最後には、音には馳天馬という、相違相愛の婚約者がいた事──。

伝説のF4の道明寺 司に憧れて、道明寺みたいになりたいと
目指しているけれど、開運グッズ好きで本当は気が弱いヘタレで、
名家・神楽木家の当主の父からは落ちこぼれの烙印を押され、
精神的虐待と言えるほど見下げられ、無視されている晴。

天然ボケのところがあって、一生懸命で見かけに寄らず努力家で、
あらゆる面で天馬に敵わないと認めつつも、音への一途な想いを
諦め切れない晴。親しみが湧くキャラで、それを演じている
新人の平野紫耀さんの一生懸命な演技も、光りました。

客観的に、理性的に抑えようとしたけれど抑えられない恋心が
溢れ出し、切々と「好きで好きでたまらない」と音に告白する
シーンは、キュンキュンするとしか言いようがありませんでした。
平野さんが所属するKing&Princeは主題歌も歌っていて、
それがグループにとってデビュー作となるシングルだそうです。
明るくて、ドラマのイメージに合った主題歌だったと思います。

天馬くんは、家柄良し、成績良し、性格良し、武道の達人で
イケメンで、学内の人望も厚い生徒会長という完璧超人です。
しかも音とは家族ぐるみの付き合いで幼馴染み、天馬の母の死に
音が寄り添い励ましたという絆もあり、両家公認の婚約者です。

どう考えてもこの2人の間のどこに入る余地があるのかという、
物凄く高いハードルがこれでもかというくらい課されており、
晴は圧倒的に不利です。音との事は神楽木家の息子の相手として
父親からも反対されていて、勝ち目の無い戦いの筈でした。

でも、音と晴の間に生まれた感情は、理屈ではありませんでした。
言ってみれば不倫みたいなものなので、音は必死に“自分は
天馬くんが好き、天馬くんを選ぶ”と自分に言い聞かせます。
そうあるべき、そうでなければいけないと、自分の胸の中に
生まれた熱を、隠し通そうとするのです。この感情の動きが、
晴との細かなエピソードを通して、痛いほど伝わってきます。

晴と言うライバルが現れた事で、天馬もショックを受けます。
音の気持ちを自分よりも理解している存在。自分といるより
晴といる方が音は自然に笑っている。婚約者として振舞いながら、
天馬は音との気持ちの擦れ違いに気付かざるを得なくなります。

晴に恋するC5唯一の女性メンバーの愛莉の音への嫌がらせ、
大人気モデルで且つ良家の子女の(メグリン)の出現など、
音と晴の関係を疑い脅かすライバルも登場し、四角関係の様相も
呈しますが、やはりメインは晴、音、天馬の三角関係でしょう。

こんなに切なくて、こんなに真正面から連合いを取り上げて、
しかもキャラの心理も描写できているドラマを、久々に見ました。
愛莉役の娘は人形みたいで本当に可愛かったけど、リアルでも
モデルらしいメグリン役の娘は顔立ちが地味で、これで10代に
大人気のモデルと言われてもどうしてもピンときませんでした。

道明寺から始まって、花沢 類も顔見せをしたのは
花男ファンへのサービスですね。西角は晴に
武術を指南していて、結構本格的に出演していました。演じる
松田翔太さんも何となく楽しそうに見えました。F4で一人だけ、
美作が現れなかったのは、芸能界の事情があるんでしょうね。

テレビ東京「ヘッドハンター」

テレ東に新設された月曜10時のビジネスドラマ枠の第1弾です。
主演はガイアの夜明けのナレーションの縁で江口洋介さん。
題材はタイトルそのままヘッドハンター。この時間帯のドラマを
録画する(TV局には悪いけど私は本当に見たい番組は全て録画)
という習慣は無かったので初回を録り逃してしまったのですが、
翌日曜日に再放送してくれたので、フォローする事が出来ました。

高額の紹介料を目当てに劣悪な職場やその人のスキルに合わない
ミスマッチの職場を斡旋し、転職後のフォローは一切無い。
そんな悪質なヘッドハンターがいるという噂が流れていた。
大手人材会社ブリッジに所属する赤城響子は、
黒澤和樹がその噂の人物ではないかと疑っていた。

黒澤は社員3人の弱小人材紹介会社SAGASUの社長。
ノーネクタイで黒ずくめの格好がトレードマーク。経歴は謎が多い。
ヘッドハント対象者がしばしば黒澤とバッティングするが、
赤城はいつも黒澤に思わぬ手段で出し抜かれていた。

黒澤の右腕が灰谷という同年輩の男だが、2人の関係も謎。
必ずしも友好的ではないらしい。情報屋としてSAGASUと
プリッジ双方に通じている蝙蝠のような元新聞記者の真城は、
赤城の依頼だけではなく個人的な興味で、黒澤の素性を探る。

メインキャラの名前に黒、赤、灰、白と色が入っているのは、
最終回を見終わってから気付きました。抑え目の演出だけど
脚本が練られていて、オトナが見るドラマといった雰囲気でした。

ベースは一話完結で、毎回様々な業界が取り上げられます。
そこに毎回徐々に黒澤がどういう人物かが明かされるという
連続性のあるペーストが、程よく添えられています。

ヘッドハントの手法、特にスカウトする価値のある優秀な人材を
どのように探し出すのかという手口は興味深いものでした。
理系なら論文、営業などの事務系なら社内で表彰された人を
社内報や雑誌で探し、これはと思う人材に目を付けるようです。

主演の江口さんは、黒澤のキャラをかなり作りこんでいました。
黒のコートを象徴とした黒ずくめの衣装、何を考えているか
判らない冷徹な口調とシニカルな微笑。黒澤は白か黒か?という
疑惑と興味を掻き立てる脚本の意図を汲み、体現した演技でした。

江口さんは実写映画版湘南爆走族でデビューした時から
知っていますが、黒革の手帖にしろBGにしろ、近年は
“あんちゃん”の頃の熱いキャラを封印し、鉄仮面のような内心の
読めないキャラを演じる事が多くなりました。寂しいです。

このドラマは、何は無くとも脚本が秀逸だったと思います。
ヘッドハントされる側の社内での立場や転職を迷う心の動き、
その人と会社に隠された裏の事情、そういうものを毎回
どんでん返しを交えて、丹念に描いてくれていました。

ヘッドハントされるだけあって、その対象者は優秀な筈ですが、
社内外に様々な事情を抱えている人ばかりです。それは社内の
立ち位置だったり、家庭の事情、スキャンダルだったりします。

そういう負の要因が判明しても、黒澤は思わぬ奇手で解決します。
優秀な人材の探し方は同じなので、赤城響子のブリッジと毎回
バッティングするのですが、ブリッジを出し抜き、ブリッジが
諦めたような案件まで、変化球で成約に導きます。

その過程では、フリーの調査員の真城のリサーチが役に立ちます。
真城はちょくちょくSAGASUに入り浸っているように見えて、
赤城の仕事も受けており、見るからに胡散臭い奴なのですが、
面白ければいいという感じで、誰にも肩入れする事はありません。

視聴者に黒澤の過去を教えてくれるのは、この真城の調査です。
父親の影響や黒澤自身の経歴、黒澤がいつもハヤシライスを頼む
洋食屋や、灰谷との関係も明らかになりました。第二期に向け、
勿体付けて謎のままにしておいても良かったと思いますが。

冷たく見えた黒澤も、過去が明らかになっていくに連れ、暖かみを
感じさせるようになりました。脚本と江口さんの演技の狙いが
上手くマッチしていたと思います。役者さんを含めスタッフが
皆いいチームワークだったのではと勝手に想像しています。
これは続編があるでしょう。次のシーズンを、是非見たいものです。

テレビ朝日「BG〜〜身辺警護人~」

拳銃も警棒も持たず、武器は己の生身の肉体のみ。チームで腕を
差し出して腕時計を見せ合い、「誤差なし」と言うキメ台詞が
流行った・・・と言う話は特に聞きませんが、木村拓哉さんが
ボディガードを演じた、’18年1月期木曜9時の連続ドラマです。

島崎章は警備会社で道路工事の交通整理をしていましたが、
新設された身辺警護課へボディガードとして抜擢されます。体術も
周囲への目の光らせ方もやたらと心得ており、初体験ではないと
思わせるのに、どういう訳か、周囲にはその経歴を隠しています。

島崎は、過去に警護対象者に怪我をさせた事があり、それ以来、
現場を遠ざかっていたのでした。妻とは離婚し、息子が一人。
妻は既に再婚しており、再婚相手の家に居づらいのか、息子は
島崎の部屋に転がり込み、居候のような顔をして暮らしています。

課長の田村は常に穏やかな笑みを絶やさず信頼感抜群。
同僚には凛々しい女性やいかにも今時の若い男性もいますが、
高梨という有能なBGは、過去を隠す島崎に不信感を抱き、
同時にライバル心を燃やし、ストーカーじみた執着を見せます。

要人警護を引き受ける中で、島崎は女子アナから転身した大臣の
立原愛子に気に入られます。立原はどういうつもりか島崎と
何くれと無く顔を合わせ、接近し、果ては食事に誘いさえします。

必然的に、しばしば顔を合わせる事になるのが大臣の正式な
警護担当者であるSPの落合です。落合は立原が自分達SPより
島崎を信用しているように見えるのが気に食わず、島崎を
目の敵にし、意識的に見下げるような言葉を繰り返します。

爆破事件や発砲事件などもあるのですが、題材的にいくらでも
派手にしようと思えばできるのに、派手なアクションを
売り物にするでもなく、どちらかと言えば静かで、落ち着いた
演出になっていました。それが却って良く、格闘シーンでは
木村さんの体さばきも映え、じっくり見させて貰えました。

島崎は前のめりな熱血タイプではなく、常に一歩引いて、皮肉な
目で物を見るような表情をしています。反抗期に入りかけの
息子も父親に似たのか、自ら押しかけて来て同居しているにも
拘らず、いつも島崎には冷ややかな、ツンデレタイプです。
どちらも素直じゃなく、距離感を図りかね、伺っている様子です。

その母親で、島崎の元妻役は、何と山口智子さんでした。月9の
ロングバケーション以来の共演、それも元夫婦役として
話題になり、二人が揃い踏みしている終盤だけ、視聴率が
跳ね上がっていました。回想のプロポーズのラブラブも、
元夫婦となった現在の余所余所しさも、どちらも変な感じでした。

愛子役は、最近奇跡の50歳としてブレイク中の石田ゆり子さん。
女子アナ上がりの美人代議士として色物扱いされてきた愛子は
ちゃらちゃらしているだけかと思いきや、信念と野心を抱き、
権力が物を言う男社会の政治の世界に食い込む為に、その刃を
柔らかい布で覆い隠すように、何を考えているのか読めません。

愛子は何かにつけて島崎に接近してきます。やたら遭遇するのが
不自然でしたが、それは恋愛的な意味だったのでしょうか。
島崎はデートの約束さえさせられますが、結局実現しません。
島崎の方も気付いていたでしょう。意識しない筈がありません。

互いに独身で、本来後ろめたい事など何一つ無いのですが、
方や(元)大臣、方やBGの身分の差は、厳然として存在します。
露見したらスキャンダルになる事必至です。大人同士だから
空気を読み合って、表向きの言葉の裏で会話しているようです。

身辺警護課の仲間達に島崎の経歴が露になると、隠していた事
そのものへの反発が起きますが、その時期が過ぎると、結束は
高まります。その矢先、田村は銃で撃たれ殉死してしまいます。

田村は嘗て落ち合いの同僚で、彼を庇い、彼のミスを自分の
ミスとして報告し、警察官を辞めました。島崎が田村の下で
BGをしていると知って、そして田村の死によって、落合は
何を思ったのでしょうか。頑なで冷徹な態度は変わらないように
見えましたが、彼は最終回で漢気ある意外な行動を取りました。

落合は、官と民という立場は違えど内心は同業との思いがあり、
危険な仕事と知っているからこそ、銃も持たず何の法的な
後ろ盾も無い民間が、SPの真似事をする事は控えて欲しいと
思っていたのではないでしょうか。──好意的に見れば。

それなりに視聴率は取れていたし、役者陣のチームワークも
良さそうだったし、木村さんも意欲的だったように聞いています。
きっと続編はあるでしょう。それどころか、ドクターX
相棒のように、シリーズ化していってもいい作品だと思います。

テレビ朝日「 相棒-劇場版IV-首都クライシス 人質は50万人!特命係 最後の決断」

杉下右京死す!?テロの標的は首都東京に集まった50万人。
相棒1人につき1本作られてきた劇場版、4代目相棒・冠城亘を
迎えての4本目は、“相棒史上最も切ない物語”だそうです。

警視庁特命係の杉下右京冠城亘は広報課長の社美禰子に頼まれて、
香港から来た彼女の知人で国連犯罪情報事務局元理事の
マーク・リュウを車で送っているところだった。
行き先は、かつてのリュウの部下と待ち合わせていた倉庫だった。

その部下は、“レイブン”と呼ばれている国際的テロリストを
追っていた。倉庫に向かう途中、彼は電話で、日本人の名前を
遺していた。その直後、電話の向こうで、彼は何者かに殺された。
天谷克則。日本中の同姓同名を捜したが、怪しい者はいなかった。

警察の捜査が続く中、外務省のホームページがハッキングされ、
レイブンによる脅迫ビデオが配信されるという事件が起きた。
映っていたのは7年前にイギリスの日本大使館から誘拐され、
そのまま行方不明になっていた、参事官の娘の鷺沢瑛里佳だった。

その時、使用人を含めた邸内の全員が毒殺され、唯一生き残った
瑛里佳は現地の警察が捜査をしている最中にレイブンに
誘拐されていた。当時もレイブンは瑛里佳を人質に日本政府に
身代金を要求したが、それは公にされず、要求は黙殺された。

そして今、ビデオで瑛里佳自身に、身代金と引き換えに瑛里佳を
解放すると語らせていた。そしてレイブンは変声機の声で
こう言った。「拒否すれば、日本人の誇りが砕け散るだろう。」

特命係は戦後に戦死したと処理された人物の名簿の中に、
“天谷克則”の名前が掲載されている事を突き止めた。
天谷の親戚の老女に話を聞きに行くと、天谷の家族は華々しく
開拓団として南方の島に移住したものの、戦争が激しくなると
軍に見捨てられ、島に取り残されてしまったという事だった。

幼い克則が命からがら帰国すると、戸籍上は死亡扱いとなっており、
ショックを受けた克則は、間もなく姿を消した。それきり
行方不明だという。期待されて送り出され、帰国すれば英雄として
迎えられる筈だったのに、国に見捨てられた開拓団と、国に
見捨てられた少女。レイブンは、瑛里佳に共感を抱いたのか?

脅迫ビデオからヒントを得て、監禁場所を絞り込んだところ、
防犯カメラには首にカラスの羽のタトゥーを入れた3,40代の
男が映っていた。世代的に、レイブンは天谷の息子なのか?

右京はレイブンの標的に気付く。それは国際的スポーツ大会の
祝賀パレード。50万人を殺せる量の気化性の毒が、日本選手の
活躍を称えに都心の通りに集まった日本国民の命を狙う。

何と言っても本作の一番の見所は、新旧相棒の2ショットです。
今カノと元カノが彼の噂話に花を咲かせている構図にしか
見えません。壮観です。神戸は顔見せだけかと思いきや、その後も
捜査に協力し、さすがの機転の利いた情報提供をしてくれました。

右京はレイブンの脅迫ビデオの解析を、今や警察学校の講師の
元鑑識課員・米沢守に依頼します。青木にやらせるのではなく
米沢さんだったのは、劇場版だからサービスだったのでしょうか。

ビデオに収録されていたほんの微かな電車の音から、瑛里佳の
監禁場所を絞り込み、候補地近くの防犯カメラが捜査本部総出で
片っ端から調べられました。大勢の捜査員でごった返し彼らが
ずらりと並んだPCと首っ引きになっている中、捜査一課の伊丹が
床に落ちていたUSBメモリを拾い、気軽にPCに挿しました。

果たしてそのUSBには、犯人と監禁場所の特定に繋がる
決定的な映像が納められていました。ところが!そのUSBが
原因で、警視庁のサーバーにウイルスが仕込まれてしまいました。

それが自分の所為だと知った時の、伊丹の愕然とした顔!
あんぐりと顎を落とし、恰もムンクの叫びのようでした。
「ヤベ!アレの所為か!」という思いをアレほど如実に表情に
表すなんて、並大抵の役者にはできない演技だと思いました。

瑛里佳は10歳の少女には重過ぎる業を背負わされました。
右京はそれを“呪い”と表現しました。その脆く崩れそうになった
心を両手で掬うように拾ったのが、誘拐班のレイブンでした。

瑛里佳は7年間自分を育ててくれたレイブンに恩義と愛着を
感じていたようです。その事に右京がストックホルム症候群という
言葉を用いなかったのは、脚本家が知らなかったからでしょうか。

捜査員は、50万人が集まり大通りで、レイブンを探します。
ところが警察無線に通じずに、スマホのメールも使用できず、
通信手段を乗っ取られてしまいます。連絡と連携が取れない中、
特命係の二人は奔走し、レイブンと思われる男を確保します。
が、カラスの刺青のその彼は、レイブンではありませんでした。

レイブンに共感して仲間になっていたその男を演じていたのは、
北村一輝さん。映画公開当時、この役を演った事で将来的にも
自分が相棒に抜擢される可能性がなくなったとぼやいていました。
それ、結構本気でがっかりしていたのではないかと思います。

レイブンの本当の目的に気付いた右京さんは、身を投げ出して
レイブンの代わりに狙撃されます。まさか、右京さんが死・・・?
んでる訳無いのは、相棒がまだ続いている事から
お判りでしょうが、胸を撃たれてかなりヤバかったです。

テロリストを紹介した社は責任問題になるのではと思いましたが、
そこはスルーでした。犯人の意図、目的には無理があった
気がします。一般人を標的にしたテロから国民を守るという
テーマは劇場版第1弾にも通じますが、第1弾のが良かったと
思いました。どこが切ない話なのか、良く判りませんでした。

テレビ朝日「相棒season16 最終回2時間スペシャル」

週刊フォトスの記者、風間楓子がホテルのエスカレーターから
突き落とされて怪我をした。容疑者は警察幹部を含む6人全員。
とうとうseason16最終回。サブタイトルは容疑者六人
長いシリーズの中でも節目の一つとなりそうな、重要な回でした。

とあるホテルで珍しい人物達がばったり顔を合わせました。
甲斐峯秋社美禰子内村刑事部長と
その部下の中園参事官。青木年男衣笠副総監。
それぞれ偶然同じホテルで会食し、帰ろうとしていた所でした。

そんなところへゴシップ系週刊誌週刊フォトスの記者風間楓子
通りかかりました。兼ねてより警察のスキャンダルを興味本位に
書き立ててきた週刊誌であり、奇妙な組み合わせに興味を持って
近付いてきた彼女を、6人は困惑したような表情で迎えました。

楓子は6人の真ん中を突っ切って、エスカレーターへ向かいました。
下りエスカレーターに足を一歩踏み出した瞬間、楓子は何者かに
背中を押され、長いエスカレーターを下まで転落していきました。

フォトスは6人の写真付きで、その事件を大々的に取り上げました。
目は隠されていたものの、6人の身元はすぐに割れ、掲示板に
晒され、ネット上で大バッシングを受けるようになりました。

のみならず、青木、中園が、連続してチンピラ風の男に階段から
突き落とされました。楓子は関西のヤクザの娘であり、その母親の
匡子が、娘の顔に傷を付けられたとして報復を始めたのです。

警視庁特命係の杉下右京冠城亘は事件当時の各人の
位置関係を考察し、6人を容疑者として順番に聴取していきました。
捜査は難航し、犯人が特定されない状況に業を煮やした母の匡子は、
このまま犯人が見付からないなら6人を順番に殺していくと楓子に
宣言しました。楓子は特命係に早く犯人を見つけてと懇願します。
右京は犯人を3人に絞リ、6人を集めました。犯人は誰か──?

名前や顔まで覚えていなかったのですが、社と因縁が深いという
台詞から、楓子はヤロポロクの事件の時に情報リークに
利用した、あの時の記者だったのですね。それがヤクザの娘という
濃い設定を付けられて再登場しました。今後も出てきそうです。

警察幹部による記者への傷害事件かと騒ぎ立てたフォトスですが、
当の記者がヤクザの娘、その組員が警察官に報復したとなると、
そっちの方が大スキャンダルになりそうなものです。青木と中園が
突き落とされた事件の方は、マスコミに隠蔽されたのでしょうか。

フォトスがヤクザと警察幹部の癒着を追っているという噂があり、
該当の幹部の犯行かという説も浮上しましたが、実はそれは
他でもない内村と匡子が旧知の仲で、上京して匡子が泊まっている
ホテルの部屋を、内村が訪問する程の間柄なのでした。いつもは
保身に熱心なだけの内村の、人間的な面を見た気がしました。

今回は中園が重要な役割を果たしましたね。自ら特命係に足を
運ぶとは極めて珍しい。慌てふためいたり怒りをぶちまけたり、
証人としても派手な役回り演じました。怪我で頭に包帯を巻いた
後頭から撮った、薄い頭頂部のアップのアングルが印象的でした。

衣笠というのはキャラが薄いですね。ただ、青木と特別な関係と
評されていて、警官だった青木の父親との縁なのだろう──
と思っていたら!青木の太股を撫で、肩を抱き寄せる衣笠。
えっ、特別な関係って、そっち?そういう意味!?
その部屋の外に大河内が立っているという暗示的な演出。
ラムネは相変わらす、ラムネをガリガリとかじっていました。

亀山薫以降、神戸尊甲斐亨が3シーズンで卒業しており、
亘も早くも3シーズン目。「何様だ」発言で仲違いの伏線を
張られていたので、やはりこれで卒業させられるのか?いやいや、
そんな噂は聞こえてこないので大丈夫だろう、でも最後まで
気が抜けないと、ハラハラしながら見進めていたシーズンでした。

しかし最終回で何事も無く継続が決まり、ホッとしました。
時に右京をも謀る策士で、女好きでおちゃらけて、傍の人に
ちょっかいをかけるような仕草も面白くて、亘のキャラはとても
気に入っています。この先もずっと、亘が相棒でいて欲しいです。

果たして亘残留の代わりなのでしょうか、特命係にこれまでと
違う変化が起きました。何と事件の責任を取って、青木年男が
特命係へ島流し!!まさかの相棒2人!?早くも名札も自分で用意。
3人の特命係、どうなるのか、今から次シーズンが楽しみです。

tvk「映画の時間 映画版 マメシバ一郎 フーテンの芝二郎」

最早引き篭もりでもニートでもない芝二郎38歳。馴染みの
ペットショップでバイトを始めて半年。仕事はサボりがちで、
同僚まちこから文句ぱかり言われていました。そんな折、
店長の景虎から二人で犬のしつけ教室を任される事になり──。
’13年公開の幼獣マメシバシリーズ劇場版第3弾です。

鞠子が勝手に家を売却して海外に移住してしまったという
台詞による簡単な説明だけで、いきなり二郎ちゃんがアパートで
一人暮らしをしている状態で始まりました。親戚が経営している
アパートに住まわせて貰っているようです。しかし家賃は滞りがち。

折角入れて貰えたペットショップなのに、二郎ちゃんはやる気を
失っている様子です。仕事を抜け出して駄菓子屋で小学生と
うまい棒(明太子味)の取り合いをしたり、勝手に家に
帰ってしまったり、しばしば無断欠勤をしたりしています。
景虎がいかに人が良くても、クビにならないかとハラハラします。

まちこはそんな二郎に苛立って口うるさく注意します。二郎の
親戚の郵便局員財部陽介は、二郎を心配してちょくちょく
店に顔を出し──ているのかと思いきや、まちこ目当てなのか、
二郎は陽介からまちこに渡してくれと手紙を預かります。
手紙を読んだまちこは、怪訝な表情で渡した二郎の顔を眺めます。

景虎は、話があると二郎を呼び出しました。さすがの景虎も
二郎の勤怠について注意するのかと思ったら、まちこと二人で
これから始める犬のしつけ教室の講師になるよう二郎に命じました。
二郎がもっとレベルの高い仕事をしたいと嘯いた事に、本気で
対応してくれたようです。二郎に講師なんて、できるのか!?

TV版だと二郎がバイトを始めた事でアパートでお留守番していた
飼い犬のマメシバ一郎がストレスからおいたばかりする
悪いコになってしまったので、二郎がしつけのし直しをして、
毎回そのミッションを動画にしてUPする、というシリーズでした。
が、映画では二郎が働いていても一郎はいいコです。
TV版とはパラレルな系統のストーリーになっているんですね。

自分が何もしつけをしなくても一郎は賢いいいコと思い、二郎は
まちこのしつけ教室をバカにして、まちこの講義に助手として
参加しているにも拘らず、茶々を入れてばかりいました。二郎は
生徒の女性から不審な目で見られ、反感を買ってしまいました。

すると、二郎ちゃんに、あの声が聞こえてきました。
劇場版第1弾では二郎ちゃんを苛んでいたけど、第2弾では
聞こえなくなっていた、周囲が自分を責め、蔑もうとする、声が。

二郎ちゃんはいたたまれずに逃げ出します。そしてそのまま
仕事を辞めてしまいます。きっと頑張り過ぎてしまったのですね。
サボっていたのも無断欠勤も、二郎ちゃんの心のキャパシティが
ギリギリのところにいるというサインだったのでしょう。
長年引き篭もりをしていたのに急激に社会に出た事でストレスを
感じていて、それが極限に達し、とうとう破裂してしまったのです。

そこからどういう訳か、二郎ちゃんは叔父の紹介で発毛を促す
マッサージの仕事に就く事になりました。これはTV版には
無かった、どう転がっていくのか全く見当が付かない展開です。

それが意外と客に大人気。本人が思っているのと反対に、不思議と
人に好かれるんですよね。ところが幸か不幸かその勤務先が
閉鎖されてしまいました。そして二郎ちゃんは、まちこから
思いも寄らなかった真実を知らされて、愕然とします。

留守中に一郎が二郎を恋しがって鳴くようになり、近所から苦情が
来ていると聞いた二郎は、そんな筈は無いと思ったのですが、
それはそれまで二郎の留守中に陽介が一郎を躾ていて、それが
来られなくなった所為で鳴くようになったのだと知りました。

まちこへのラブレターだと思っていた陽介の手紙は、自分は
転勤するから二郎を頼むと、二郎を心配した陽介がまちこへと
綴っていた手紙だと判ったのです。自分の力だけでやっていたと
思っていたのに、見えないところで自分は助けられていた。
二郎は自分の未熟さに猛烈に恥ずかしさを感じた事でしょう。

まちこの前で、二郎は初めて、自分の弱さ、本音を曝け出します。
怖くて仕方が無いのにいつも強がりばかり言っていた二郎が。
景虎は二郎を快く受け入れ、仕事に復帰しました。二郎は
一念発起、動物の躾の資格取得を目指し、猛勉強を始めました。

立派になった二郎を見て、陽介も、母鞠子も感無量の様子でした。
景虎もまちこも皆が見守ってあげていて、二郎ちゃんは本当に
いい人達に囲まれています。そして視聴者も見守りたくなる。

ああ、成長したなぁ。もう大丈夫・・・。とは行かず、まだ続編が
あるんですよね、映画。今回も一郎は可愛くて、佐藤二朗さんは、
二郎が実在するとしか思えないくらい、二郎ちゃんでした。

TOKYO MX「キネマ麹町 バタフライ・エフェクト」

地球の裏側の蝶の羽ばたきが嵐を起こす事もある。
自分には失った過去に戻れる能力があると発見した彼は、
過去を修正する事で、現在の絶望的な状況を変えようと試みる。
数年前に見たのですが、凄く面白くて保存版にすれば
良かったと後悔していたので、改めて録画しました。

エヴァンには3人の幼馴染がいました。初恋の人のケイリー
その兄でキレると手が付けられないトミー。プラモ好きで
引っ込み思案だけど溜め込むタイプのレニー。4人は
エヴァンが街を離れるまで、いつも一緒に遊んでいました。
少年のエヴァンは頻繁に記憶喪失に陥っていましたが、
別れる時、ケリーに約束しました。いつか必ず、迎えに行くと。

記憶喪失の治療の為に日記を付けるよう勧められたエヴァンは、
その頃から大人になった今も、ずっと日記を付け続けていました。
ある悪質な悪戯をした日の日記を読んだエヴァンは、意識だけが
過去に戻るという体験をしました。その日何が起きたかを
確かめに、エヴァンは思い切ってケリーに会いに行きました。

が、その晩、彼女は命を断ちました。ショックを受けたエヴァンは
もう一度日記を開きました。そして失っていた過去に戻り、
今度は明確に自分の意志で、過去の出来事を書き換えました。
現在に戻ったエヴァンの隣には、ケリーがいました。歴史を
書き換え、夢のような現在が訪れたかに見えましたが──。

あの時ああしていれば、未来は違うものになっていたかも
知れない。過去に戻ってやり直したい。誰でも一度は
夢想する事を、かなり皮肉な姿勢で形にしてみせた作品です。

エヴァンとケイリーらの仲間には、いくつかのトラウマに
なり得る出来事がありましたが、重要な部分については、
決まってエヴァンの記憶が欠落していました。日記によって
記憶を失った時点に戻れると知ったエヴァンは、現在の悲劇の
遠因はあれだと、その出来事を一つ一つ上書きしようとします。

が、更新された現在には、悉く、別の過酷な未来が待っています。
結局何をやっても失敗し、寧ろ自体は悪化の一途を辿り、
過去の修正によって次にどういう現在が訪れるのか、
毎回思わぬ方向に転がって、ショッキングで、引き込まれました。

自他共に危害を加える恐れのある犯罪者として閉鎖病棟にいる
父親も、エヴァンと同じ能力の持ち主でした。父は息子に
警告します。その能力は、人格を変えてしまう。能力は使うなと。

その通りに、過去のほんの一点を修正しただけで、ケイリーの、
トミーの、レイリーの人格や現状ががらりと変わります。彼らと
エヴァン自身との関係も、過去を行き来する毎に変わります。
たった一つの台詞が、彼の人生を全て変えてしまうのです。

それも大袈裟でも不自然でもなく、こんな事があれば
こういう人間になるよなと納得できるものでした。
脚本の上手さを思いました。その脚本はかなり意地悪です。
主人公のエヴァンをなかなか素直に幸せにしてあげません。

偶然と言うべきか必然と言うべきか、一つが成功すると
必ず別の何かを失います。あの時ああしていれば今頃きっと
バラ色だったのになんて、人生そんな上手くは行かないよ、
現実はきっとこうだよと、皮肉に北叟笑まれているようです。

パラレルワールドのように色んな人生の可能性が描かれる中、
一貫していたのは、エヴァンのケリーへの想いでした。これは
幼い頃の初恋を貫いた、切ない恋の物語でもあります。
エヴァンの一番の望みは、ケイリーの幸せでした。最後の
歴史改変は、エヴァンのその覚悟の深さが判るものでした。

テレビ朝日「DOCTORS〜最強の名医〜 新春スペシャル」

もうやってくれないのかと思っていましたが、新春SPとして、
相良浩介(と、卓ちゃん)が帰って参りました!!お化け番組と
化したドクターXのお陰で影が薄くなった感がありますが、
私はもしかしたら、こっちの方が好きかも知れません。

院長の堂上たまき演じる野際陽子さんは残念ながら
ご逝去されましたが、たまきは亡くなったという設定にはせず、
ブータンの分院に移ったものとして作中では生き続けるようです。

代わりに遂に堂上総合病院の院長に就任してしまったのが、
腕はいいのに人格に著しく問題のある、甥の森山卓でした。
しかし卓は関東病院長の会合では末席に据えられ、弁当も
一人だけ粗末にされるなど、差別され露骨に見下されていました。

卓は経営コンサルタントを名乗る猿渡という怪しげな男を
堂上に迎え、これまでの改革と逆行するようなダメアイデアを
どんどん出して行きます。たまきの分院立ち上げに協力して
ブータンから帰国した外科医の相良浩介は、卓が猿渡のに
乗せられて温泉を掘って堂上温泉病院にしようと言い出したのを
見て、このままではマズいと策謀を巡らせ始めました。

相良は馴染みのMRに猿渡がどういう人物か調査を依頼しました。
相良の有能なくの一である彼女はすぐさま決定的な情報を入手。
すると相良はそれを調べ上げた彼女自身が「そこまでやって
いいんですか!?」と驚いて念を押すほどの手を指示。
黒相良全開で、あっという間に猿渡を追い落としました。

相良は自分が経営コンサルタントをやると宣言しました。
提案する内容は至極真っ当な、正統派なものばかりで、卓は
「地味」を連発します。その中で卓が気に入りそうな提案を
一つしました。それはネットを使ったライブ手術の企画でした。

本当は自分が依頼されていたそれと引き換えに卓に生中継を譲り、
相良は卓が渋っていた、生体肝移植の実施を認めさせました。
しかし生体肝移植と聞いて、「またか」という反応が出るの凄い。

たまきとMRだけじゃなく、内科医の皆川先生、事務長、婦長、
森山組の外科医達、そして一途に相良を想い続ける看護師の
宮部。誰も欠けずにメンバーが揃って嬉しい限りです。

そして退場した元院長たまきを補う存在と言えるでしょう、
これまた強烈な、卓ちゃんの実母の日美子が初登場します。
ふくよかな笑みを絶やさない母親を演ずるは、親バカ演技が
板に付いた松坂慶子さん。特別出演扱いになっていたのですが、
是非是非<DOCTORS/b>レギュラーになって欲しい人材です。

部下の森山組は、入院した卓の母親の登場に驚愕します。
彼らは口々に呟きます。「母親、いたんだ・・・。」
「まさか父親もいるんですか!?」当たり前だろ!何つー質問だよ!
キミたち、これまで卓ちゃんをどういう目で見ていたんだ。卓は
「お前らは何か?俺が卵から生まれたとでも思ってたのか!!」
細部は違うかも知れないけど、この遣り取りは笑えました。

卓が日美子を「ママ」と呼ぶのも、周囲に衝撃を与えていました。
本人もいい年をして恥ずかしいという事は判っていて、一生懸命、
「マ・・・母さん」といちいち言い直していたのも可笑しい。

得意の腹腔鏡を使った難手術を全世界にネットで生中継して、
自分をバカにした院長会の会長を見返してやる筈だった卓ですが、
その日に大事なママが急変、さほど難しいものではないものの、
手術が必要になりました。悩んだ末、卓はライブ手術のテーマを、
“医者は実の母親を手術できるか!?”に変更して執刀しました。

医者は、盲腸などどんな簡単な手術でも肉親の手術はやらないと
聞きます。どうしても手元が狂うらしい。果たして卓も、最初の
メスの一刀が、躊躇しまくりでなかなか入れられませんでした。

その様子も、上映会を設けた会場でライブ中継されていました。
ざわつく会場。逡巡する卓は、ママの顔が見えるから切れないんだと、
顔を白い布で隠すように指示します。しかし横たわる人の顔に
白い布を掛ける行為は、一般的に、日本では死人にする行為です。
「患者は死んだのか!?」と益々ざわつくライブ会場。もう、
これコントだろ!爆笑しました。いくら何でも、面白過ぎだよ!

ギャグはそれくらいにして、いよいよ相良本命の生体肝移植です。
患者は小学生の少女、ドナーは彼女の父親。卓がドナー肝の
摘出を担当しました。肝臓を見て、何故か卓は息を呑みました。
そして不貞腐れていたような態度が、真剣なものに一変しました。

その理由が、今までの医療ドラマでは見た事が無い視点で、
新鮮でした。卓すら神妙な面持ちにさせる、清々しいものでした。
あーあ、また連ドラやってくれないかなぁ。頼むよ、テレ朝さん。

フジテレビ「いぬやしき」

奥浩哉先生が講談社に移籍して始めた連載がアニメ化されました。
今春には前後編に亘る実写映画版も控えているそうです。
デビュー作の、その続編のような立ち位置のHEN
GANTZと連載作全てドラマ化・アニメ化・劇場映画化など
メディア化されています。デビューから知ってますが、凄いな。

タイトルからはどういうジャンルか一切読み取れませんが、
SFですね。犬屋敷一郎、それが主人公の名前です。
どこから出たのか、人を食ったようなネーミング。何故か
老人のように老けた50代、それが全身サイボーグ化するという
突拍子も無い奇抜な設定。奥浩哉らしい、意味不明さです。

一郎はたまたま居合わせた高校生の獅子神 皓(ひろ)と2人、
事故で宇宙人に殺されます。ヤバイと思った宇宙人は、
手持ちの材料と技術で機械として2人を蘇らせます。
ところがその手持ちの材料とは、全て兵器としての道具でした。

2人は自分が機械の体になったと気付きます。空を飛び、
人体をスキャンする目を持ち、ビームを放ったり治療をしたり、
ネットを乗っ取り思うままに操作する事もできるようになります。

その力で、皓は退屈しのぎのように人を殺し続け、一郎は
助けを求めている人や病気の人を救うヒーローになります。
連続殺人犯として警察に追われるようになった皓は、TVや
ネットなどの画面を乗っ取り、日本人全員を殺すと宣言します。
接点の無かった二人が互いの存在に気付き、戦いが始まります。

深夜の1クールのアニメですが、クオリティがハンパない!
所謂“円盤”、DVDや Blu-ray で稼ぐんですよね、こういうの。
実写映画化も控えているそうで、その宣伝もあるのでしょうか。

とにかくオープニングからカッコ良くて、普段はアニメの
オープニングなんてスキップを押して飛ばしてしまうのですが、
これは毎週見ていました。洋楽と思いきや途中で日本語と気付く
歌もカッコいいし、(狼のコスプレのバンドも変だけど)奥先生の
変なセンスを十二分に表現している奇妙なアニメーションも秀逸!

頭も背中も腕もかぱっと開いて、そこから体の中の機械が見えて、
その絵が精緻で動きもスムーズで、雨のように放射するビームで
敵を一斉攻撃する描写も美しくて惚れ惚れします。それを見た目
老人の体でやるという奥先生のセンス、誰にも真似できません。

声が下手クソだなと思っていたのですが、一郎の声は俳優の
小日向文世さんがやっていたようです。皓も、名前知らないけど
普通っぽい感じの声。プロの声優さんではないのでしょうか。
やっぱりアニメの人物としての声と俳優さんの声って
違うんですよね。慣れるまでかなり違和感がありました。

皓は典型的な奥作品の主人公顔です。始めから躊躇無く人を殺す
冷酷さが見られましたが、いじめで不登校の友人直行
見舞い、気にし続けるというアンバランスさがあります。
何の罪もない無関係な一家を皆殺しにして平然としている
皓に付いて行けず、直行は一郎を探し当て、組む事になります。

皓は母親や、皓に告白してきて皓が殺人犯と知っても徹底的に
味方でいてくれるしおりとその祖母も大事にします。
自分の大事な人以外は、死んでもいいと思っているようです。

皓が『もう人を殺すのはやめよう』と決め、“人間”の心を
取り戻しそうになった時、母親が死に、皓は暴走を始めます。
大量殺人犯として全国的に名前も顔も知れ渡った皓。それでも
味方でい続けてくれたしおりのお陰で、皓は再び立ち直ります。

このアニメが優れているのは映像の派手さだけではなく、
無表情な皓のこの心の変遷や、一郎と、一郎を馬鹿にしがちだった
妻と娘との関係の変化など、心情を描けているからでもあります。

結末ははっきりと結末になってしまっているので、残念ながら
アニメの第二期はないでしょう。最後はちょっと鉄腕アトム
彷彿とさせました。短いながら内容が凝縮された作品でした。

 

テレビ朝日「オトナ高校」

少子化問題に対する抜本的な解決策として、国は30歳以上の
性経験の無い男女に異性を誘い性交に持っていくテクニックを
教える“オトナ高校”への入学を義務付けた。その第一期生の
一人が、東大卒長身イケメン銀行マンの、荒川英人だった。
チェリーなエリート・チェリートは、果たして卒業できるのか!?

テレ朝土曜深夜11時台に新設された連続ドラマ枠の第1弾が
この作品です。キワドい設定ですが、ハダカがたくさん出てくると
期待すると肩透かしを食らいます。愛と友情と人生に真剣に
ぶつかっていく男女により紡がれる、抱腹絶倒ラブコメディです。

極秘国家プロジェクトのメンバーに選ばれた──という名目で、
山奥の廃校に集められたオトナになれないオトナ達。英人は
現地で直属の上司である課長に出会い、仰天します。2人は
物言わずとも互いに察し、労いの抱擁を交わす事になります。

紹介された担任は、中卒で子沢山で、子供は全員振り仮名必須の
キラキラネームの翔馬(ペガサス)先生。それにパッと見冴えない
中年なのに愛人が5人いると豪語する先生、そして、ここに来る前
仕事で知り合い、清純な見た目でいい感じになったけど、
実はビッチな恋愛マスターとして紹介された、さくら先生。

高校に憧れていた中卒の翔馬先生は、生徒達に仇名を付けます。
チェリーでエリートの英人は名付けて“チェリート”。
もう50代で、いつも若い娘と遊んでそうな素振りをしているのに、
実は童貞という、経歴詐称な課長は“サショーさん”。

既婚者ばかりを好きになり、常に二番手の位置に甘んじている
高慢エリート美女の“スペア”さん。BL好きの引き篭もりで
その姿を見る事は歴史的に貴重な存在である“ヒミコ”さん。
社交的なイケメンスポーツマンで、いかにもヤりまくってそうで、
アルデンテが得意なお弁当屋さんが“ヤルデンテ”くん。

高校なので、30歳過ぎた男女ですが、全員ブレザーの制服に
着替え、体育ではジャージを来て、嘗て誰もが通ったような、
黒板があり机が並ぶ教室で、口説きのテクや異性が見せるサイン、
男女の体の仕組み、行為の時の体位といった授業を受けます。

生徒達は外部との合コンや遠足、合宿などのイベントを通じ、
クラスメート同士の交流も深め、“卒業”を目指します。
オトナ高校の“卒業”とはこれ即ち初体験。30過ぎても
機会の無かった男女には、それは簡単な事ではありませんでした。

主演の三浦春馬さんは、上手いですねぇ。英人(チェリート)に
なり切っていました。いかにもこういう人いそう、と見えました。
オープニングのミュージカル風のダンスも決まっていました。

英人はかなーり童貞をこじらせてます。容姿とキャリアを
考えたら選り取りみどりなのに、ブライドが邪魔して妥協できず、
断られて傷付く事を恐れて踏み出せず、女心に疎いので、
誘われてるのを拒絶と思い、呆れているのを好意と思い、
何もかも裏目裏目に出て、悉くチャンスに逃げられてしまいます。

頭の回転が速いので、いつも頭の中であれこれ目まぐるしく
悩んで考えているのですが、その脳内イメージが、白抜きの
台詞が浮かぶピンクのライトが英人の全身に投影されるという
演出で表されています。別にエロを考えている訳ではなくても、
ピンク。モノローグに合わせて英人が身悶えるのも面白いです。

美貌のキャリアウーマンのスペアさんも、英人と似たタイプです。
不倫──にすら至っていない、妻子持ちのゲス上司と両想いと
勘違いし、一方的に尽くし、騙されてると皆から諭されても、
頑としてそれを認めず、都合のいい女に甘んじています。

さくらの正体を見た英人はさくらを見限って、喧嘩ばかりだった
スペアさんに接近するのですが、何を考えているのか、
英人が誰かと上手く行きそうになると必ずさくらが邪魔します。
俺の事を好きなのかと思えばこっぴどく貶す。英人は混乱します。

ビッグプロジェクトが絡むニューヨーク行きが迫り、それまでに
課長と2人卒業しなければならないのに、空回りばかりで焦ります。
高橋克実さん演じるサショーさんは、英人と信頼し合っています。
物言わずとも互いに心情をお察ししますと連帯感を抱いています。
因みに「励ます」という台詞を言いながら高橋さんがさりげなく
頭をつるっと撫で上げるという細かい演出には、笑いました。

サショーさんには明らかに好意を持ってくれている取引先の
若い娘がいるのですが、サショーさんは何故か逃げ続けます。
その気になればいつでも応じてくれそうなのに。
サショーさんは、50歳を過ぎても、何故童貞を貫いているのか?

引き篭もりのヒミコは処女であっても当然と言えますが、
女性客にモテモテでヤリチンに見えるヤルデンテくんが
クラスメートである事にも、ある理由がありました。

学園生活を送る間に、年代も経歴も違う彼らに友情が芽生えます。
教師に恋する生徒がいたり、遅い青春を満喫しているようで、
私も入ってみた・・・くはないですね、こじらせていて面倒そうな
人ばかりなので。やがて意外なカップルが成立します。
英人は誰と結ばれるのか!?この結末なら、続編がありそうです。

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1973年生まれ みずがめ座
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