COOL LADY’S PARADE

人生はレビューです。マンガ、本、ライブ、DVD、CDなど、色んなものをレビューします。
タイトルは “COOL LADY’S PARADE”。
JUNKな文章なので、お気軽に読んで行って下さい。

内田康夫

遺譜 浅見光彦最後の事件

浅見光彦が34歳になりました。これがどれほど凄い事かは、
長年浅見シリーズを読んできたファンにしか判らないでしょう。
浅見光彦最後の事件と銘打った本作は、歴史の陰に隠された、
浅見家とアリシア家の4世代にも渡る、固い絆の物語でした。
著/内田康夫。

34歳の誕生日を控え、浅見家に浅見光彦34歳の誕生日を
祝う誕生パーティーの招待状が届きました。発起人は本沢千恵子
バイオリニストとして活躍する彼女は、同じくバイオリニストの
ドイツ人アリシアに、浅見への仲介を頼まれていました。

浅見本人には寝耳に水の誕生パーティーでしたが、既に大々的に
招待状など送られているので、招待に応じる事にしました。
場所は浅見にも縁が深い軽井沢。豪華なホテルに過去の事件の
錚々たるヒロイン達が集い、互いに話に花を咲かせていました。
その中には、浅見が最も会いたかった、稲田佐和もいました。

アリシアは祖母のニーナから、日本で日本人に渡した
フルトヴェングラーの楽譜を返して貰うよう頼まれていました。
そしてそのボディガードとして、浅見を名指ししてきました。

アリシアの祖父の実家は実業家、祖母はビスマルクに連なる
政治家の家系。何故ドイツの名家の人間が自分の名を──?
そこには浅見家とアリシアの曽祖父達、また陰で協力していた
多くの人の、70年にも及ぶ固い絆、運命が隠されていました。

永遠の33歳の浅見光彦が34歳になったという時点で既に
驚きですが、その誕生パーティーでのヒロインの集合は、
想像するだに壮観です。浅見ファンへのサービス、お祭りムードが
高まり、本作が特別な作品だと強く認識させてくれます。

100人以上いるであろうヒロインの中で、浅見には
稲田佐和だけが別格でした。作中で内田センセの浅見の事件簿を
読んだという初対面の登場人物にまで、佐和が浅見の本命、
恋人だと認識されてしまっているのだから恥ずかしいですね。
浅見33歳、佐和20歳という年の差は意外です。かつて数々の
女子大生を、完全に子供扱いして恋愛対象から外していたのに。

軽井沢の草西老人、不等辺三角形の正岡家という、
過去作品のキャラが重要なヒントを与える役割をするところも、
シリーズ集大成という雰囲気を盛り上げます。、
それは恰もそれらの作品を書いた時に、ここまで計算して、
組み込んで作っていたかのように思わされます。

しかしそれが明白に、完全に後付であるところが、
内田センセの凄いところです。頭の中で勝手に話が動いていって、
自分はそれをレポートするように文章にしているだけ、
そんな書き方をしていた人だと、文章を読んでいて良く判ります。
内田センセの頭の中では、彼らが生きていたのでしょう、

目的の楽譜を誰から返して貰えばいいかも判らずに日本に来た
アリシアですが、祖母ニーナの少女の頃の記憶と浅見家の
縁が結び付き、丹波笹山の忌部老人を捜し当てます。
珍しい名字だから少女達の印象に残ったし、複数の人が
あの人の事ではと見当がついたのでしょう。これが鈴木とか
佐藤というありふれた名字だったら、見付けようもありません。

90歳にもなる忌部老人は、矍鑠として、工作員をしていた
青年の頃の能力、精神、意志を少しも失っていません。先人への
敬意に溢れた、内田さんのこういう老人キャラは、魅力的です。

忌部の組織は謎のままです。殺人も厭わない狂信的な勢力に
忌部自身の家が盗聴され、浅見共々命を狙われさえします。
忌部はアリシアに楽譜を返しますが、それは盗まれてしまいます。
が、浅見の機転で、本物はコピーを取ってありました。

その楽譜を携え、ニーナの招待に応じ、アリシア、千恵子と共に、
大の飛行機嫌いの浅見が、ドイツまで飛行機で飛びます。
楽譜を届け、アリシア一家に大いに歓迎された浅見は、
アリシアの父の会社の日本人社員のガイドでドイツ観光をします。

その過程で、浅見は思わぬ兄・陽一郎の足跡を知ります。
嘗てある湖で日本人が殺され、その捜査に態々今の浅見と
同じ年頃の陽一郎が来ていたのです。その被害者の出身地は
登戸。先日神戸で殺された女性と、忌部の息子を騙った男も
登戸に近い。登戸という地名が、浅見の脳に刻み込まれます。

フルトヴェングラーの楽譜は、アリシアと知恵子が口を揃えて
「滅茶苦茶」と表しました。同じようなテーマが延々と続き、
リズムも不思議、何かの暗号になっているのではと考えた浅見は、
その単調なリズムに“もしや”と閃くものがありました。
この暗号は素晴らしいです。音楽に造詣がないと思い付きません。

暗号を解いた浅見は、浅見の祖父とアリシアの曽祖父達が、
何を守ろうとしていたのかに気付きました。日本に帰ると
忌部は浅見に思いも寄らない提案を持ちかけてきます。
全てが運命付けられていたような、仕組まれ、老人達の
掌の中で踊らされていたようなものだったと判りました。

ヒトラーによる頽廃芸術の弾圧、現在は明治大学の敷地内である
登戸の軍事施設、秩父宮さまの訪独といった歴史的事実を
散りばめながら、日本とドイツを股に掛けた、第二次世界大戦の
闇の歴史を塗り替える、壮大な物語が繰り広げられました。

先日、残念ながら内田先生はお亡くなりになりました。本作の
執筆時点でも既にご高齢だった為、誰もが避けられない、
いつか来るその日に備え、これを書いておいてくれたのでしょう。

ヒトラーの恐怖政治の中、身の危険を顧みず、日本とドイツで
秘密を守り続けた人々の友情には感嘆の溜息が出ました。
それらの人々に中てられ、風来坊の浅見も大きな覚悟を決めます。

結果までは書いていなかったけれど、あの浅見光彦が、とうとう
身を固めたであろう事は想像が付きます。ファンの誰もが
気を揉んでいたその事にも決着を付けてくれました。
浅見光彦の最終回と呼ぶに相応しい作品だったと思います。

 

内田康夫さん逝去

ショック・・・!言わずと知れた浅見光彦シリーズで有名な
内田センセが13日に亡くなっていたと発表されました。
水谷豊さんの火サスで知って以来、浅見光彦は殆ど読みました。
つい最近も、浅見光彦最後の事件遺譜を読んだばかりです。

ご病気で執筆ができなくなったという事は聞いていましたが、
歳も歳だけにそう遠くない時期に書けなくなる日が来ると悟り、
その前に心残りが無いように書いておいたのでしょうか。
83歳という年齢では仕方が無いのかも知れませんが、
残念でなりません。心より、ご冥福をお祈り申し上げます。

壺霊 上・下

タイトルは、“これい”と読みます。文字通り、壺の霊という意味です。
京都の古美術商の女将が壺を持って失踪し、浅見は捜索を頼まれます。
億の値が付いてもおかしくない、“紫式部”と名付けられた高麗青磁の
その壺は、まるで魂が宿っているように、見る者を魅了する壺でした。
著/内田康夫。

フリールポライターの浅見光彦は、お得意様の雑誌「旅と歴史」から、
怪しいくらい条件のいい仕事を先方からのご指名で依頼されました。
場所は京都。そこへ警察庁刑事局長の兄・陽一郎から、京都へ行くなら
ついでに京都の知人の頼み事を聞いて欲しいと言われました。

京都に着いた浅見は、兄に言われた古美術商の伊丹家を訪ね、
高麗青磁の壺と女将の佳奈捜しを引き受ける事になりました。
間もなく殺人事件が起こり、その被害者の名前から、
浅見は事件と佳奈失踪が繋がっているのではという疑惑を抱きました。

今回は、女性たちのキャラ造形がかなり凝っていると思いました。
佳奈の娘の千寿(ちず)は芸術系の大学で陶芸を学んでいる
芸術家の卵です。浅見に奇異に感じさせるほど精神的に不安定な
面があります。浅見を気に入ったけど、周りにはライバルが多く、
栗原や琴絵と浅見が会うのを気にしているのが怖くもあり可愛いです。

栗原は千寿の大学の先輩で、新聞記者です。浅見が以前の事件で
世話になった刑事と共に、浅見の捜査に協力してくれます。
彼女は浅見光彦シリーズによくありそうな、一番スタンダードな
ヒロイン像でした。が、どうやら特定の男性がいるようです。

佳奈の妹・諸橋琴絵は、40歳ですが浅見との年齢差は千寿より近く、
実の叔母ながら、千寿が一番ライバル視している相手です。
彼女も千寿の大学の先輩に当たり、陶芸家です。
佳奈がいない伊丹家に、家事を手伝いにきてくれています。

琴絵は最初は地味で大人しそうな女性と思いましたが、
次第に存在感を増し、後ろ暗い過去を持っていそうな、
意外と悪女?と思わせる、ミステリアスな雰囲気になりました。

一番色んな面を持っている謎の多いキャラで、終わり近くなってまた
イメージが変わります。私が40歳になってもこういう
いかにも過去がありそうな女性にはなれないな、と思いました。

浅見は伊丹家の所有する町家に滞在させて貰う事になります。
短期滞在用の借家みたいなもののようで、2階建てだけど
コンロが無くて、浅見はマルチャンの即席めんばっかり食べています。
巨大ゴキが出るシーンがあって、その捕り物がやたら生々しく
描写されていました。これは絶対、内田センセの体験談だと思います。

京都のど真ん中にいるので、修学旅行で行くような有名な神社仏閣は
あんまり出てこなくて、主に中心部の街並みとか地元の隠れた名店、
名所がたくさん出てきました。下巻の最後には、作品に出てきた場所を
イラスト付きで紹介する小林由枝さんのエッセイが付いています。
私は正直、イラストより写真が見たかった、と思いました。

京都は妖や霊のようなものの存在が当たり前のように思われていて、
京都の人に自然に根付いているその考え方に浅見が驚いている場面が
何度もありました。さすが桁違いの歴史がある街、他の地域とは
かなり異なった、独特の文化を持っているんだと感心しました。

千寿の作品群は、浅見には「白いイクラ」にしか見えないオブジェで、
千寿によるとそれは「生まれ出ずる悩み」を表しているそうで、
その感性のギャップが可笑しかったです。
全体的に文章は軽妙で面白く、いつも以上に読みやすくて、
どういう訳か今回はやたらと早く読み終わりました。

佳奈捜しは最初から怪しいところだらけでした。
失踪して1ヶ月も経つというのに体面があるからと捜索願も出さず、
それでも娘の千寿と義父の大吉は心配して浅見に依頼してきましたが、
夫の勝男はさほど心配している様子もありませんでした。

勝男と佳奈の別れを願う“縁切り碑(いわ)”の形代が残されていて、
それには女の名前と住所も記され、その住所は紫式部の墓でした。
京都には安井金毘羅宮という縁切り神社があって、そこには
自分が縁を切りたい相手、或いは別れて欲しい人達と自分の名前を
書いた札が、岩にべたべた張ってあるんだそうです。
ドロドロした内容の形代がいっぱいあるらしくて、見てみたいです。

その中にあった一つの形代が、近くで起きた殺人事件と佳奈失踪を
結び付けます。芋づる式にどんどん怪しい人物が現れ、怪しい年代の
符合があり、糸がこんがらがるような複雑怪奇な展開になります。

内田さんも犯人が誰だか判らないで書いていたんだろうと思います。
『こいつかも、いや違った、これが関わっているのでは、やはり違う』
と、浅見と同じ速度、同じ思考経路で事件を解いているんだと思います。

最終的に犯人は最も意外で、最も単純明快な人物でした。
あっさりとそれが判明して、幕切れは呆気ないと思いました。
全ての事が繋がってはいたんですけど、浅見は目の前にあるゴールに
ぐるーっとかなり回り道して辿り着いたような感じです。

形代に名前があった1人の人に最後まで触れられなかったのは、
凄く気になりました。浅見は伊丹家の人と食事を共にしてばかりで、
本業のグルメルポが一向に進まないのも凄く気になりました。
でも、自殺オチではなくて、珍しく犯人が逮捕されたのは良かったです。

  

恐山殺人事件

イタコの杉山サキは、孫の死を予言した。“北の方から恨みの塊が
通っていった”と彼女は言う。その通り、音楽教室講師の杉山博之
殺された。教室の経営者で作曲家の高川も殺された。
二人は北から来る男に脅えていたらしい。生前の高川に杉山の事件の
捜査を依頼されていた浅見光彦は、北へ向かう。
著/内田康夫。

杉山の葬儀に赴いた元生徒の藤波紹子は、杉山が杉山の母と
祖母に自分を婚約者として紹介すると言っていたと聞き、驚きます。
紹子と杉山の間には、そんな特別な関係は一切無かったのです。

杉山の母からは、杉山家に代々伝わるという紫水晶まで
譲られてしまい、紹子は困惑し切ります。紹子の家を訪ね、
その不思議な顛末を聞いた浅見は、紹子の力になると約束しました。

紹子は歌手志望ですが、高川に紹介されていたプロデューサーの
井出に気に入られ、大物脚本家宮坂周のドラマの
ヒロインに大抜擢されました。因みに共演者の中に
“水原豊”という名前があって、ニヤリとさせられました。

浅見は杉山の故郷の恐山と、高川の故郷の角館を訪れます。
恐山では新たな事件が起き、角館では、思わぬ場所で旧友に
再会する事となりました。恐山と言えば言うまでも無く
イタコの本場ですが、恐山にしかいないという訳ではないようです。
再会した角館出身の浅見の大学時代のガールフレンド(?)、
唐橋春美の祖母も、イタコでした。

藤波紹子は19歳、唐橋春美は浅見の同級生なので33歳。
浅見は例によって、年代の違う二人の女性に気に入られます。
春美には離婚歴があり、熟した彼女に色気たっぷりに迫られて、
殆ど犯罪じゃないかというシチュエーションに陥ります。
ここはシリーズ最大級と言ってもいい、大ピンチです。
浅見が少年のようにどぎまぎする姿は、かなりの見ものでした。

イタコと言っても能力はピンキリだそうですが、
“経験上”本物もいると知っているからでしょう、杉山と高川は、
伝え聞いたサキの予言を至極深刻に受け止めています。
杉山家の嫁である杉山の母とサキとの会話は、もっと大真面目です。

サキはかなり能力の高い、正真正銘のイタコという話ですが、
杉山家では、終始その能力は本物だという前提で
会話がなされています。それを聞くうちに、始めはイタコに
懐疑的な面もあった浅見まで、サキの言葉を信じるようになります。

根拠なんて何も無いのに、信じさせてしまう説得力と言うか、
迫力のようなものが、サキの言葉にはあるのかも知れません。
内田さんは現地に行って取材をなさって書く人ですから、
実際にこういうイタコやその家族に会ったのかなと想像されます。
地域による文化の違いが感じられ、とても興味深かったです。

浅見の捜査は中盤までは遅々として進みませんが、
偶然見たある物を取っ掛かりに、急に霧が晴れたように
全体像が露になります。三人目の被害者は別ですが、
今回の被害者の杉山と高川には、同情すべき点は皆無でした。

思わせぶりに存在し、事件の鍵となるかと思わせたアレは
結局殆ど放置だし、意味ありげだったあの事は、
結局は意味の無い、単なる偶然で片付けられてしまいました。

書いているうちに著者が『違うな――』と気付いたかのような
(書きながら考える内田先生なので、実際にそうなんだと思います)、
梯子を途中で外されたように感じられたいくつかの点は、
推理小説の筋書きとしては、非難を免れないものかも知れません。

が、ラストはそのような消化不良さが全て帳消しになるほどの、
圧倒的な厳粛さでした。犯人の悲愴な決意と、全てを知りながら
見送った浅見らによる決着は、深い悲しみに満ちていました。
登場人物達の感情が溢れ出る、心に残るラストシーンでした。

怪談の道

一年前に死んだ母親が、500万円の遺産を遺していた事が判った。
物心付く前に自分を捨て、30歳になる今まで会った事もない
母親の物など貰うつもりはなかったが、それを伝えに来た
呑んだくれの父親が物欲しそうにしていたので、
優美はその500万円を渡し、それで父親とも縁を切るつもりだった。
優美が母親の再婚先の鳥取を訪ねると、異父妹のが出迎えてくれた。
翼の父親も急死したばかりだった。翼は父親の死に、疑問を抱いていた。
著/内田康夫。

ルポライターの浅見光彦は、雑誌「旅と歴史」の編集部を通し、
普段の原稿料とは比べ物にならない法外な報酬で、
動燃(当時の名称)の施設のPR記事を書く仕事を依頼された。
警察庁刑事局長の実弟という信用と、以前若狭の原発について
書いた記事を好意的に受け取られた為に回ってきた依頼だった。

鳥取の施設に行った浅見は、学生時代の後輩の萩原と偶然再会した。
彼は新聞記者をやっており、浅見に対し、訳知り顔で妙な事を言った。
「黄色い土の取材に来たんでしょう?」

聞けば鳥取と岡山の間で放射能を含む土を県境のどちら側に
捨てるかという論争があり、観光業界で大問題になっているという。
それが何となく心に引っ掛かったまま、浅見は一旦彼と別れ、
後にまた会い、宿を紹介して貰う事になった。

萩原は翼の知り合いで、彼の紹介で浅見は翼と優美姉妹にも会った。
翼の父の遺品には、電話を録音したと思われる奇妙なテープがあり、
そこには「カイダンの道」という謎の言葉が入っていた。
それを聞き、浅見は翼の父の死の真相を一緒に探ってあげる事にした。
その矢先、優美の住むアパートの近くで優美の父親が殺され、
一足先に帰京していた優美が、その犯人として疑われてしまう――。

物静かで苦しみを全て自分の内に呑み込んで生きてきたような、
浅見と年齢が近い優美と、明るくて健気で前向きな女子大生の翼という、
Wヒロインになっています。翼は萩原の自分へのアプローチを
無視しながらも、浅見への好意を露にします。
優美はそんな翼を見て、“私にはそんな若さは無い”と、彼女も
浅見に密かな好意を持ちながらも、始めから諦めてしまっています。

翼と優美の母親の死から僅か一年後、
同じ母親から生まれた異父姉妹の、双方の父親が続けて死んだ。
「怪談の道」とは何か。小泉八雲。“黄色い土”。
意味ありげなキーワードが提示されたまま、
暫くはどこに向かうのか判らないままストーリーが進みます。

結末は、正直『またこのパターンか』と思わざるを得ないものでした。
しかし今は百冊以上出ている浅見光彦シリーズの中には、
ご都合主義な展開があったり、犯人がすぐ読めてしまったり、
浅見の捜査手法に疑問を感じてしまうものもあるのですが、
この作品では、そういう事は感じられませんでした。

この作品の展開と犯人の意外さ、優美・翼姉妹のキャラクターは、
数ある浅見光彦シリーズの作品の中でも、印象に残ったものでした。
冒頭は小泉八雲の「怪談」の引用から始まっており、
『内田さんは急に文体を変えたのか!?』と思ってしまいました。
その不気味さ、異質性も、この作品を強く印象付けたものの一つでした。

内田さんは、“浅見の考え”として、著者自身の考えを
浅見に言わせているとしか思えない事が良くあります。
そういう中には、――著者は戦争中に子供時代を送っただけあって――
『内田さんは左寄りの人かな?』と思わされる見解も、しばしばあります。

そういう方々は、放射能などと言った瞬間に拒否反応を
起こしてしまいそうですが、“黄色い土”に関しては、内田さんは、冷静に、
客観的に(浅見の意見として)解説しているように見受けられました。
どちら寄りという事ではなく、内田さんは、是々非々の
柔軟なスタンスで物事を考えていらっしゃる方なのかも知れません。

文庫版の巻末の解説でもツッコまれているのですが、原発を扱った
若狭殺人事件のタイトルは作中に出てくるのに、
小泉八雲を扱った耳なし芳一からの手紙については、
何故か全く触れられていませんでした。

浅見光彦シリーズでは“あの事件でもこの近辺に来た事がある”などと
過去の関連する事件のタイトルを作中に出す事が多いのですが、
耳なし芳一からの手紙はシリーズでもかなり初期の作品なので、
内田さんも、存在を忘れてしまっていたのかも知れません。

TBS「浅見光彦〜最終章〜」 第1話 恐山・十和田・弘前編

浅見光彦シリーズが連続ドラマになりました。タイトルは、
第1話から「最終章」という、究極の最終章サギです。
この指摘に対し、読売新聞のインタビューで局側は悪びれずに
「評判が良かったら“最終章2”を作るかも」という驚きの
コメントまで寄せていました。すっかり呆れ果ててしまいました。

初回は二時間スペシャルで、原作は恐山殺人事件
諸国を渡り歩きながら三味線の弾き語りをする盲目の女性
瞽女(ごぜ)さんの息子と孫が・・・あれ?これってイタコが
出てくる話じゃなかったっけ?あらすじ読んだら笑えるほど全く違う!

TBSのいつものドラマスペシャルでは確か出てこなかったと
思うんですが、「旅と歴史」と、藤田編集長が初めて出てきました。
何だか綺麗なビルの綺麗なオフィスだ。藤田編集長は
大和田伸也さんで、いい加減さが足りないなぁ。凛々し過ぎるよ。

今までの設定を全部リセットして始めているようです。
お手伝いの須美ちゃんが浅見家にやってくるシーンがありました。
原沙知絵さんっていう配役も、綺麗過ぎて違うなー。
設定もかなり変えています。いいとこのお嬢さんになってるみたい。
何より性格が全然違うっ!!須美ちゃんはこんなに馴れ馴れしくないっ!

母の雪江さんは佐久間良子さん。この方は70過ぎているらしくて、
年齢ではぴったり合うんですけど、若い!70代に見えない!
風間杜夫の陽一郎さんと、うっかりすると夫婦に見えてしまいます。

陽一郎さんの部下の桐山という男が出てきました。
あれ?桐山と言えば、後鳥羽伝説殺人事件の・・・?
光彦の亡き妹・祐子の事件を最終回辺りでやりそうですね。
これは今までの浅見光彦とは、パラレルな話として
考えておいた方が良さそうです。

有名料亭「龍山亭」社長の宮坂は、料理コンクールで優勝した
藤波紹子を何故か毛嫌いしていた。宮坂は、紹子の叔父・憲夫と
因縁があるらしい。審査の席では審査員の井出が紹子を推し、
「龍山亭」総料理長の杉田も、宮坂の意に反し紹子を推した。

間もなく杉田は青森で殺される。
杉田は三味線の糸で絞殺され、片手には六文銭が握られていた。
浅見は仏ヶ浦で宮坂も全く同じ状態で殺されているのを発見した。

紹子の母親は5歳で自殺、父親は生まれてすぐ死んだとの事でした。
が、紹子の回想で、母親の食堂にランドセルを背負って帰ってきた
幼い紹子の姿が・・・!5歳で亡くなったんじゃなかったのかよー!!
これには、一緒に見ていた母と爆笑してしまいました。

杉田殺害と宮坂殺害は別の犯人だろうとは何となく推測できました。
同一犯に見せかける為に三味線の糸と六文銭を使ったんだろうけど、
そこの解説が欲しかったです。犯人がどういう気持ちで置いたのかも。
素手で三味線の糸を使って殺害したのだから、浅見が犯人の掌に
傷があるのを見た、という場面があっても良さそうなのにと思いました。

紹子が母親と大人の男性と自分の三人で遊んだ記憶があると
思い出した時点で、その男性は誰かも、犯人も判りました。
紹子を庇ってあげてたから。私はその人が紹子の父親なのでは
とまで考えてたんですが、そこまでの設定はありませんでした。

宮坂と藤波は異母兄弟で、紹子の母親も腹違いの妹に当たる筈
なんですが、自殺の原因が・・・。これじゃ近親相姦じゃないですか!
宮坂が藤波兄妹を恨みたくなる気持ちは分からない事もないけど、
恨む相手が違うと思います。子供には何の罪もないのにねぇ。
増してや孫の紹子まで目の敵にするとは。ねちっこい男です。

共通点は登場人物の名前と殺害の動機くらいで、
このストーリーは全くと言っていいほど原作と異なるものです。
原作の舞台は料理人界ではなく芸能界だし、六文銭も出てきません。
が、なかなか上手く再構成出来ていると思いました。
被害者の鬼畜さは、このドラマの方がより強く表せていると思いました。

フジテレビ「金曜プレステージ・浅見光彦シリーズ第33弾 後鳥羽伝説殺人事件」

兄・陽一郎が警察庁刑事局長なのは有名(?)ですが、
フリーライターにして知る人ぞ知る名探偵の浅見光彦には、
実は二人の妹もいました。一人は海外に長期留学中。
もう一人の妹・浅見祐子は、12年前に亡くなっていました。

広島県の三次駅で、正法寺美也子という女性が殺されました。
記憶喪失だった美也子は、後鳥羽伝説を辿る旅をしていました。
それは大学時代に美也子と祐子が旅したものと逆のルートでした。
祐子の親友だった彼女の死に、浅見は三次に急行する――。

浅見光彦の最初の事件は、妹の死の真相を解き明かす旅でした。
これは過去の嵐の夜の崖崩れのシーンから入る、水谷豊主演の
火曜サスペンス劇場版が凄く良くて、その頃から浅見光彦に
ハマり始めました。三次という地名が、やけに印象的でした。

今回の放送のオープニングでは、後鳥羽上皇が流される映像に
なっていましたが、チープだ。火サスは重厚だったんだけど、
TBSとフジ版はどうも作りが軽いんだよなぁ。
今回は早いです。開始18分で浅見の身分が割れました。
桐山警部が仕切る捜査本部の野上刑事をパートナーに、美也子殺害の
謎を追います。著者は元々野上主役のつもりで本を書いたそうです。

殺される前に美也子が買った古本の出所を探る浅見と野上刑事。
何だ突然。二人が歩いてる公園で、紙芝居が始まりました。
でも二人とも話聞かずにその場から歩いてった。
何の為の演出だったんだ、この紙芝居。三次の公園ではいつも
こういうのが行われていると思ってしまうじゃないですか。

美也子が古書店で買った本の売主の池田は、首を吊った状態で
死にました。池田の古い友人の木藤も転落死しました。
雪江は美也子の母から美也子はレイプされていたと
打ち明けられており、浅見は12年前に祐子たちが泊まった
旅館の宿泊名簿に木藤と池田の名前を見つけました。
現代の3つの殺人事件が、12年前の旅行の出来事と繋がります。

行方不明だった本は池田の実家に郵送されており、
郵送に使われた封筒には、木藤の指紋が付いていました。
池田が首を吊ったロープは、木藤の家にあったものと一致しました。
証拠が揃い過ぎている。浅見は寧ろ訝ります。証拠過多ですね!

まぁ、私は犯人を知っている訳ですけど。しかし野上刑事の顔
怖過ぎるよ。何でこういうキャスティングなんだろ。
桐山警部役ももうちょっと切れ物っぽいイメージの人は
いなかったのでしょうか。あんまりエリートっぽく見えません。

12年間ずっと、妹は崖崩れに巻き込まれただけと思っていた彼には
知るのが辛い、恐ろしい真実に浅見は辿り着いてしまいました。
12年前の夜の再現は、女性としては結構キツイ映像でした。
祐子の死因は事故だったけど、女性の心を殺す、最悪の犯罪ですよ。

謎解きの場面の設定は原作と違っていますね。ドラマでの浅見の
犯人への怒りは、かつてのどの事件よりも激しいように見えました。
近年の作品は浅見が犯人と静かに対決して身の処し方を犯人に
委ねるパターンばかりですが、初期の作品だとちゃんと
逮捕されるので、新鮮です。
※コメント欄には犯人の名前が含まれています。ご注意下さい。

白鳥殺人事件

グリコ・森永事件をモチーフとして書かれた、
浅見光彦シリーズとしてはごく初期、シリーズ6作目の作品です。
本編は勿論、文庫版に収録の自作解説まで必見です。
著者は自分で褒めちぎっていますが、それだけの価値のある傑作です。
著/内田康夫。

毒入り菓子ばら撒き企業恐喝事件で世間を騒がせていた
“怪盗X団”について、ルポライターの浅見光彦は、週刊誌に
短いエッセイを寄稿した。警察批判や犯人に共感するかのような
内容を含むそのエッセイは物議を醸し、警察庁刑事局長の
兄・陽一郎が、国会で吊るし上げを食らう事態にまでなってしまった。

そんな折、浅見の元に、製菓業界紙の社長の芹沢から、突然の仕事の
依頼があった。製菓業界とは無縁の浅見は不思議に思いつつも、
芹沢自身の強い希望で、芹沢と二人で取材旅行に行く事になった。
しかし芹沢は、道中のホテルの一室で殺害されてしまった。
傍らには、「白鳥の」という、ダイイングメッセージが遺されていた。

ヒロインは、芹沢の娘・玲子。玲子は卒業間近の大学生で、
ユスリカの研究をしていました。ユスリカに紫外線を当てると
双頭の虫が生まれますが、その個体は生き続けられずに死んでしまう。
玲子が語ったこの話は、この事件を象徴するものとなりました。

これは20年近く前に一度読んでいるのですが、かなり面白かった
記憶があったので、この記事を書く為にもう一度読み返しました。
浅見光彦シリーズも百冊以上あるので最近はマンネリ化が否めない
部分があるのですが、初期の作品である本作には近年の作品には
無い展開があり、読み返してみて、むしろ新鮮に感じられました。

プロローグで本編とは一見無関係無い出来事を描いておく事や、
物語のヒロインとなる女性が存在するところは、
その後の浅見シリーズでもお馴染みのパターンです。

しかしこれには浅見のお得意様の雑誌「旅と歴史」が出てこないし、
浅見が兄に全面的に協力を仰いでいるし、最後の決着の付け方も、
『またこのパターンか』とこのところ食傷気味なものとは違いました。

死ぬ寸前で「鳥」などという複雑な字を血文字で書くのは
不自然だと思いましたが、「白鳥の」の謎に辿り着く件(くだり)は
ワクワクしたし、X団と警察の緊迫感溢れるチェイスも、
相手は悪役ながら、鮮やかとしか言いようがありません。

X団のモデルは、言うまでもなくあの“かい人21面相”です。
作中では“旭光製菓”となっているグリコ社長の誘拐や、
似顔絵として公開された“キツネ目の男”、“かい人21面相”という
ふざけた名前と脅迫状、社会の混乱とメディアの熱狂。
私が小6〜中1の頃ですが、これらは何となく、記憶に残っています。

作中では、“怪盗X団の事件”として、この事件に非常に興味深い
考察が加えられています。内田さん独自の着想なのか、現実の事件で
誰かが分析済みの話なのかは判りませんが、内田さんは犯行の形態と
脅迫状の文体の変化に着目し、X団を構成しているメンバーの性質、
犯行の動機とその変遷、終焉までを、物語として“予言”しています。

これが出版された’85年の時点で、現実のグリコ・森永事件は
まだ継続中だったそうです。ここに書かれているある部分は
マスコミが発表できない極秘事項を言い当てており、
“内田さんは真相を何か知っているのか、独自の情報源があるのか”
と、記者が取材に来た事があったそうです。しかも出版後、
現実の犯人は終結宣言を出しました。内田さんの予言通りに、です。

障りがあるのはどの部分なのかは伏せてありますが、
旭光製菓の強引な体質とか、下請けに関わる部分でしょうか。
私の記憶では、この作品は一度も映像化されていません。
現実の企業と事件をモデルにし、しかも公表できないタブーを
言い当てているからこそ、映像化が不可能なのかも知れません。

公表されている情報だけからでも独自の視点で分析をし、
また想像力を駆使して犯行の流れを掴み、真相に肉薄していく。
これはいつも浅見光彦が、警察を出し抜いてやっている事です。
作者である内田さんは、現実の事件を題材にし、
それを実際にやってのけたとも言えます。

内田さんが自身のイメージを浅見に重ねている部分は
シリーズの端々で見受けられますが、浅見はやはり
内田さん自身なのだと、感じさせられた作品でした。
裏話は文庫版の解説に書いてあるので、読むなら文庫版がお勧めです。

中央構造帯

東京・大手町には、“将門の首塚”と呼ばれる祠がある。
そこは処刑されて京に運ばれた平将門の首が、胴体を求めて空を飛び、
途中で力尽きてそこに落ちたという伝説があるところだった。
そのすぐ隣には、日本長期産業銀行(長産銀)という大銀行があった。
その銀行では、将門に縁のある場所で不審死する行員が相次いでいた。
名探偵・浅見光彦が、不良債権に喘ぐ銀行の闇に迫ります。
著/内田康夫。

物語は、終戦直前の沼津で過酷な兵役を強いられている
日本軍のある部隊の描写から始まります。
浅見光彦シリーズでは良くあると言えば良くあるバターンですが、
このパターンで始まる時は、著者がかなり力を入れて書いている、
重厚な良作である事が多いです。

時代は下り昭和40年代。静岡に住む川本壮明(まさあき)の妻と
息子夫婦が、飛行機事故で亡くなるというエピソードが挿入されます。
一家では、壮明と、旅行に行かなかった孫の康助だけが残りました。
そして現代。銀行嘱託医の舩引が、長産銀の行員の死亡を確認します。
ここまでが、長いプロローグです。

ヒロインは、茨城県岩井市出身の長産銀行員・阿部奈緒美32歳。
彼女はある日、容姿端麗、頭脳明晰、40歳独身で
絵に描いたような紳士の憧れのエリート上司・田中誠一
突然誘われ、高級ホテルで夢のような一夜を過ごします。
その夜の艶めかしい描写があるのも、浅見光彦シリーズでは
極めて珍しいです。ここでも著者の気合の入り方が違うと思いました。

田中は長産銀内で“将門の椅子”と呼ばれるデスクに座っていました。
そこは首塚に背を向ける位置にある為、将門の祟りがあると
噂されるデスクでした。そういう配置のデスクがあるオフィスは
2フロアあり、昨年だけで、“将門の椅子”に座っていた行員が
二人死亡していました。奈緒美と逢った夜、田中は神妙な顔で、
その事への不安を奈緒美に打ち明けていました。

数日後、田中は千葉県市川市の八幡不知薮(ヤワタノヤブシラズ)
という森で無残な他殺体として発見されます。
後任として米国から呼ばれたのが、田中と同年代の川本康助でした。
川本は静岡県出身ですが、大阪暮らしが長かった為、すっかり大阪弁が
板に付いてしまったという、ちょっと変わった、実直な男でした。

ここまでで出てきた登場人物だけで進んでいても充分面白かったので
全く気付かずに読んでいたのですが、主人公・浅見光彦
登場したのは、何と話が100P以上も進んでからです。
奈緒美と大学で同期だった浅見は田中の事件の解明に乗り出します。
奈緒美に紹介され、銀行の内情に詳しいお局・前原ひとみ
川本とも知り合い、協力して事件について調べていく事になります。

田中と他の将門の椅子に座っていた行員の死を調べるうちに、
浅見は彼らが全て将門に縁のある土地で死んでいると気付きました。
それだけじゃなく、長産銀の融資を受けて返済に苦しんでいた顧客も
将門川という川で水死していた事が判っています。
果たしてこれは、将門の呪いなのでしょうか――。

作中の“日本長期産業銀行”のモデルは、かつて破綻した
日本長期信用銀行です。現在は新生銀行という名前になっている、
その銀行のある場所に、将門の首塚は実在します。
今は主な銀行は公的資金を完済してしまっているので、これは銀行や
証券会社などの破綻が相次いだ、ちょっと前の話という事になります。

私は経済には全く興味が無いので、当時のそういう報道は
スルーしてしまっていたんですが、バブル後の不良債権に
塗れていた頃の銀行は、かなりあくどい事を色々やっていたようです。
作中にはその手口が具体的に書いてあって、
文章からは、内田さんが銀行のそれらの悪行に対し、
激しい憤りを感じていたのであろう様子を伺い知る事ができます。

行員はゼロ金利時代にも年数%の金利で預金できていたとか、
100%コネ入社だとか、実家から通う人じゃないと入れないとか、
両親が揃っていないと入れないとか、親戚まで身元調査されるとか、
銀行員の内幕も書いてあって、それも非常に興味深いです。

これらのどこまでが現実の銀行にもあるものなのか、飽くまで作中の
“長産銀”の慣行として書かれたフィクションなのか、私には判りません。
でも、執筆の際は資料を集めたり取材をして書くのだろうから、
全くの作り話ではないんじゃないかと思います。
少なくとも、身元調査は確実にあるだろうなとは思います。

“中央構造帯”という言葉は、内容とはあまり関係がありませんでした。
中央構造帯に関する内田さんの着想は、事件の核心に上手く
取り込めていない気がします。初期の浅見光彦シリーズなら、これは
“将門伝説殺人事件”、というタイトルにでもなっていたところでしょう。

事件そのものは、風呂敷を広げ過ぎて畳めなくなった感があります。
しかし、田中、奈緒美、川本、前原などの長産銀のキャラが
非常に魅力的で、主人公の浅見が霞んでしまっていたくらいでした。
また、壮明や奈緒美の祖父などの老人達も、背負っているものが
若僧の浅見とは違うので、彼らの存在感にも圧倒されました。
この作品だけは、浅見がすっかり脇役のように感じられました。

フジテレビ「浅見伝説三部作最終章 天河伝説殺人事件」

浅見伝説三部作の最終週は、「天河伝説殺人事件」。
映画にもなった、ファンの間でも人気の高い作品です。
かつて榎木孝明が初めて浅見光彦を演じた作品でもあります。
TBSの方のドラマ(辰巳版か?)でもやっていた筈ですが、
映像化しやすい話なんでしょうか。

実は私は17年ほど前にやったこの映画を母と見に行きました。
中森明菜の主題歌「二人静」はいい曲でした。
映画の最後に“映画第二弾決定 高千穂伝説殺人事件”
という予告があったのですが、それは実現しませんでした。
映画、売れなかったのか?

新宿で男性が急死した。彼は五十鈴という特殊な鈴を持っていました。
それは天河神社の鈴で、能の水上流の宗家・水上和憲の持ち物でした。
“内田康夫”が今週も登場。浅見も来ている会場に、能を見に来ました。
演目は道成寺。演者の上に鐘が降り、再び上がって姿を現した時、
「雨降らしの面」へと面を付け替えた演者・水上和鷹は死んでいました。
新宿の男性と和鷹は、同じ毒物で亡くなっていました。

奈良に来た浅見。林の中で宗家が死んでいるのを発見。
例によって怪しまれ、警察に連れて行かれますが、
陽一郎さんの事がバレると、刑事は土下座!土下座はやり過ぎだろ!
陽一郎さんは高潔な人格をお持ちだからいいけど、
組織が絶対的に上に頭が上がらないっていうのもどうかと思います。
神奈川県警の神世界の事件とか見ると、ねぇ。

和鷹の異母妹の秀美が今回のヒロイン。和鷹は外腹の子でした。
連続毒殺事件は水上流の後継者争いが絡んでいるのでしょうか。
あれー、陽一郎さんが天河神社来ちゃった!
忙しい陽一郎さんには本来はそんな暇無いと思います。
これは榎木さんの為の演出かも知れません。
榎木さん、懐かしいんじゃないでしょうか。

阿呆な私はストーリーをすっかり忘れてしまっているので、
ああ、こんな事件の構造だったのかーと普通に感心しました。
でもまた自殺オチかよ。三週連続同じオチになっちゃったじゃん。
三週連続やるなら、同じオチにならないように話選べばいいのに。
あんまり覚えてないんですけど、イメージ的に、映画の時のが
能のシーンが綺麗だった印象がありました。これは安っぽかったです。
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