広報強化のガイドブログ「経済記者OBの目」

——あなたの会社の危機管理は大丈夫?
——正しいメディア対応についてアドバイスします。

 企業のグローバル経営が進む中で、企業広報の重要性は一段と高まっています。マスメディア向け情報伝達手段はインターネット社会の進展とともに大きな変化を見せています。雇用のトラブル、食品メーカーの異物混入、データの偽装等々、企業をめぐる不祥事も後を絶ちません。とりわけ、個人情報の流出、不正アクセスなど、ネット社会に根ざした事件が目立ちます。
このブログは、広報ソリューション懇話会を運営する経済記者OBが交替で毎週月曜日に発信しているもので、企業の広報担当者に役立つマスメディア対策について、最近の報道内容や過去の経験などを取り上げながら、分かりやすくアドバイスしています。
 当懇話会では、企業の不祥事や緊急事態の発生を想定した「模擬記者会見」の実施や、広報業務に関する悩み・困りごとを解決するための「広報よろず相談室」を設けています。詳しくは広報ソリューション懇話会HP を。電話でのお問い合わせは(TEL03-6260-9855)へ
【協賛】
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企業危機は「管理」できるものなのか?

和泉田 守  先日、大学時代の同期生数人とある打ち合わせのために久しぶりに顔を合わせた。本題の用件が終わり一杯飲みながらの懇談となり期せずして話題となったのが、このところよくニュースになる大企業の不祥事についてだった。われわれの世代は大半が最初の会社人生は終えているが、現役の時に何らかの形で一般に世間から「不祥事」と評されるアクシデントが身近で起こったり、あるいは自分自身が巻き込まれたりといった経験をしている者がいることは確かであり、今も少なからず関心があるテーマなのだろう。

 新聞社でのデスク時代のこと。夕方から夜にかけて編集局の大部屋は朝刊の制作作業が佳境に入り、記者から送られてくる原稿に手を入れたり紙面編集に当たる整理部のスタッフと記事の扱いや見出しで調整したりと慌ただしい中で、ふとNHKをつけっぱなしにしているテレビを見上げると、画面からはニュース番組でなんと大学時代の同期生が深々と頭を下げている映像が流れているではないか。驚いてよく見ると彼が属している企業の不祥事の謝罪会見。彼がトップの立場にいる組織に属している社員が事件を起こし、責任者として謝っていたのだ。また、やはり大学時代からの友人がある商社で広報部長になった途端、不運にも世間に謝罪、釈明をせざるを得ない事態に相次いで見舞われてしまったこともあった。

 さて、冒頭の懇談に戻る。「でもね」と友人が続けた。「大概のケースは不祥事とされた問題そのものはかなり前からやっているんだよね。なんで最近になって表沙汰になっているのか・・・」

 結局、結論めいたものは出ない雑談レベルで終ったが、自分の記者体験も踏まえてまず思うのは、(これもネット時代ゆえの産物なのだろうな)ということである。

 企業が触れられたくない話が表面化したりニュースになる発端は、今も昔も企業の中からの情報流出が大半なのだろうが、インターネットがこれだけ発達、誰もがメールでのやり取りが当たり前になると内部告発などインサイダー情報の外部流出のハードルがかなり低くなっていることは確実。昨年11月、東レが子会社の検査データ改ざんについての会見を行ったが、内部でこの事実が発覚したのは1年以上も前のこと。公表のタイミングについて同社が「インターネット上で不正を指摘する書き込みがあったため」と明言したことが、一部で話題になったという。

 「危機管理」の必要性が企業社会で一般化して久しく、危機の代表例ともいえる法令違反や不祥事にどう対応するかが広報担当部門にとっても重要な役割のひとつとされている。 しかしこれを事前に完全に防ぐ手立てを講じるのは難しく、しかもひとたびネット空間に出てしまった情報はとめどなく拡散していく。「管理」という言葉からは企業サイドが主体的に制御・コントロールできるものだというニュアンスが感じられてしまうのだが、東レのケースはそれとは裏腹の現実が益々強まっている象徴的な出来事に思われてならない。


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利益至上主義の終焉

江口務 企業の実力を評価する基準が大きく変わってきた。かつては収益力や資産額など財務内容が第1の指標だったが、最近は環境や社会問題などにどれだけ貢献しているかが企業の価値を判断する上で重要なファクターになってきた。投資家は社会にやさしい企業に積極的に投資するようになり、逆に社会貢献に消極的な企業からは投資を引き上げる動きが活発化してきた。それを象徴するのが「ESG投資」の拡大である。

 ESG投資とは、「環境」「社会問題」「企業統治」の3部門に配慮している企業を重視・選別して行う投資のことで、2006年に国連の提唱で始まった。地球温暖化や水資源保護、地域社会への貢献や従業員に対する適切な労務管理、法令順守や情報公開などに積極的に取り組むことが結果的に企業の持続的・長期的な成長につながる、との考え方に基づいたものだ。とくに利益至上主義の金融機関が破綻し、世界経済が大混乱に陥ったリーマンショックを境に、こうした考え方が投資家の間で急速に広がり、ESG投資は欧州では資産運用全体の約半分、米国でも20%を占めるまでになった。日本はまだ3・4%(2016年)と低いが、昨年から世界最大の機関投資家である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が1兆円規模で年金資金をESG投資に振り向けることになったため、大手生保など他の機関投資家も追随の動きを見せている。

 企業は儲けてさえいればそれでよい、とする時代はもはや終わり、環境や社会問題に後ろ向きな企業は社会から評価されず、投資家からもそっぽを向かれる時代が来たというわけである。企業は資金調達や株価維持のためにも、今後は従来の財務情報だけでなく、ESG情報も併せて積極的に開示していく必要があろう。

 ただ、ESG情報の開示にはそれなりに難しさが伴う。環境や社会貢献、企業統治などへの取り組みは数字では表現できないものもあり、投資家などに実績や成果が伝わりにくいからだ。財務指標のようにESG情報をどうしたら定量化できるのか、世界標準化の問題はまだ解決されていない。

 そこで企業としてはまず、社内のESG情報をIR/広報部門に1元化し、これを継続的に開示することから始めたい。情報は数字では表しにくいため、開示資料にはイラストや図表、映像などを多用し、極力「見える化」に努めたい。加えて重要なのは社内に向けての啓蒙活動である。ESGへの取り組みが企業価値を高めるために必要だという意識を社員間で共有できるかどうかが成功の鍵となろう。


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