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【ひろかのビジネス・ワンポイント・レクチャー㊦】「仮面」をかぶり「役割」を演じきる

チャットGPTが描いたイメージ図
チャットGPTが描いたイメージ図

紫咲 大佳■「不機嫌」という不協和音から自分を守る
 2回目のコラムでは、姿勢・発声・目線という具体的な型を使って上機嫌を作る技術をお伝えしました。しかし、ここで「型を演じることは自分に嘘をついてる?」「嘘の笑顔を続けると疲れる」という気持ちになっている方もいらっしゃるかもしれません。

 結論から言えば「自分の役割を演じること」は決して自分を偽ることではありません。むしろ、自分を周りと自分の「不機嫌」という不協和音から守ることができ本当の自分を自由にするための最強の武器が演じるという「仮面」だと考えています。

 私たちは、理不尽なトラブルや体調不良、人間関係による大きなストレスなど、多くの不機嫌の種を拾ってしまいます。これらをすべて「ただの素の自分」の心で真っ向から受け止めて戦おうとすると傷つき、心が疲れ、結果として職場に不機嫌という花を咲かせ、次なる赤字の種を撒き散らし、繰り返してしまうのです。

■「役割」の自分へスイッチを切り替える
 俳優達は舞台では私生活でどんなに深い悲しみや怒りと出会っても、一歩ステージに出れば完璧に「役割」を生き、観客を沸かせます。これは感情を押し殺して無理をしているのではなく自分から「役割の自分」へスイッチを切り替えています!

 そうすると私生活はノイズから守ることができて、舞台上で圧倒的なプロフェッショナルである自分を手に入れることができるのです。さらに、役割を演じることで、素の自分の心は救われています。

 ビジネスの現場も、全く同じ舞台であると考えてみてください。現場に一歩足を踏み入れたら、自分のなかに「理想の自分/ありたい自分」という役をひとつ作り上げます。「今日は気分が乗らない憂鬱な自分」として仕事をするのではなく、「この役割なら、どんな姿勢で、どんな声で、どんな目線で話すか」を徹底的に演じきる。

■究極の自己管理の「魔法」
 難しく見えるかもしれませんが、自分を最も大切にできる究極の自己管理の魔法だと感じています。感情と役割を切り離す「仮面」を持てば、周囲の不機嫌に振り回されたり、自分のコンディションに悩まされたりすることが少しは減るのではないでしょうか?

 素の自分を降りて、プロの役割を演じきるとき、パフォーマンスは嵐が来ても左右されない「最強の武器」へと変わります。最大の損失を最強の利益へと転換する感情コントロール。その最後のピースは、皆様が表現者となり、今日から自分の舞台を誇り高く演じきる意識だと思います。

 全3回にわたりコラムをお読みいただき、本当にありがとうございました。皆様の舞台が、最高の輝きで満たされることを心から祈っております。


<お知らせ>
ゲストライターの“目”は毎月第2月曜日に公開・掲載します。
3回シリーズの【ひろかのビジネス・ワンポイント・レクチャー】は今回で終了します。
前々回の【ひろかのビジネス・ワンポイント・レクチャー㊤】は8月10日に、前回の【同レクチャー㊥】は9月14日にそれぞれ公開しています。
次回、ゲストライターの“目”は未定です。


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大和ハウスが23道県の新築戸建て営業から撤退―ストックビジネスへシフトチェンジ


大和ハウス新築戸建て営業撤退


千葉 利宏 「大和ハウス工業が新築戸建て住宅の営業機能を都市部に集中させ、23道県から撤退」(2026年9月4日正式発表)―このニュースは、国内の戸建て住宅市場が転機を迎えていることを示すものとして、各メディアで大きく取り上げられた。10月6日のNHKニュースでは同社役員がインタビューに応じ、2025年度の新設住宅着工戸数が前期比12.9%減の71万1171戸となり、この先も新築需要の回復が見込めないことなどを戦略見直しの理由に挙げた。

 確かに大手企業としては合理的な判断と言えるが、気になったのが撤退する23道県で大和ハウスのユーザーが保有する既存ストックを「誰が、どのように維持管理していくのか?」ということだ。

 同社の主力商品は、独自工法の鉄骨造で建てられたプレハブ住宅である。構造計算などの技術情報が非公開である「クローズド工法」で建てられているため、他社では維持管理やリフォーム工事を行うのが難しい。企業の責任として既存ストックのサポートを止めるわけにはいかないので、新築営業から撤退した地域でも、既存ストックの維持管理やリフォーム工事に対応できる施工体制は維持していく必要がある。

 そうであれば新築工事に対応できないわけではないので、わざわざ「新築営業から撤退」と表明する必要もないはず。では、大和ハウスが「新築営業からの撤退」を大々的に発表した意図はどこにあるのだろうか。

■ストック事業で2030年に売上高1兆円をめざす
 「新築戸建て営業から撤退する地域では、自社の既存ストックだけを維持管理するためだけに施工体制を維持していくのか?」―そう疑問に思って大和ハウスの広報に確認すると、ストック事業は自社が建てた以外の建物も対象として拡大していくという。

 大和ハウスを含む大手プレハブ住宅メーカー10社では、2008年7月に優良ストック住宅推進協議会(略称・スムストック)を設立し、自社で販売した既存住宅の流通活性化に取り組む活動を続けてきた。プレハブ住宅メーカーのストックビジネスも、自動車メーカーの中古車ビジネスと同様に「自社製品だけが対象」という先入観を持っていたが、どうやら間違いだったようだ。

 同社では、住宅ストック事業を「リブネス」のブランド名で2014年から展開しており、過去に全国各地で供給してきた戸建て分譲団地の再生などに力を入れてきた。これに加えて物流施設などの事業用建物のストック事業も「ビズリブネス」のブランドで強化。2026年1月21日付けの日本経済新聞では「建物再生事業1兆円へ―2030年売上高倍増」と大々的に報じられていた。

 その目標を達成するには、自社だけでなく他社が建てた既存ストックも含めて事業を拡大していく必要がある。「新築戸建て営業からの撤退」とは、ストック事業へ営業・施工体制をシフトチェンジする意思表明と言えるだろう。

 創業以来、新築ビジネスで事業を拡大し、いまや売上高5兆円を超える大企業に成長した大和ハウスが、ストックビジネスへシフトチェンジするのは簡単ではないと想像する。ストック事業に適したビジネスモデルを構築するとともに、社員の意識改革も進めてていく必要もある。新築戸建て営業から撤退する地域では、新築に頼らずにストック事業でどう収益を上げていくかが課題だ。

■住宅ストックの半分以上を占める木造住宅への対応が課題
 もともとプレハブ住宅メーカーは、戦後の深刻な住宅不足を解消するために住宅生産の工業化が進められ、その過程で登場してきた。1955年創業の大和ハウスを最初に、1960―80年代に積水ハウス、ナショナル住宅建材(現・パナソニックホームズ)などが参入し、各メーカーとも独自のクローズド工法でプレハブ住宅を生産してきた。

 しかし、新築住宅市場全体に占めるプレハブ住宅のシェアは、2025年度で12.5%。過去にさかのぼってもシェアが20%を超えたことはない。この10年間を振り返ると、プレハブ住宅のシェアはむしろ低下傾向にある。

 新築住宅を構造別に分けると、プレハブ住宅に多い鉄骨造、マンションなどに多い鉄筋コンクリート造などの非木造のシェアが40.5%で、残りの59.5%は木造だ。木造では米国から導入されて50年前に日本でもオープン工法として認定された「ツーバイフォー工法」のシェアが12.4%、木造プレハブ住宅が1.4%で、残り45.7%の大半は日本伝統のオープン工法である「木造軸組工法」である。

 ちなみに、ミサワホームやヤマダホームズ(旧・小堀住建)が生産してきた木造プレハブの「木質接着パネル工法」も2025年の国交省告示でオープン工法として認定され、26年5月にプレハブ建築協会から同工法の「構造計算指針」が公表されている。

 今後、大和ハウスが、住宅市場の半分以上を占める木造住宅や、ストック数が700万戸を超えるマンションで、どのようにストック事業を展開していくのだろうか。

■住宅ストック事業の拡大に向けてワンストック体制を構築
 大和ハウスは、これまでも市場の変化に適応したビジネスモデルを導入することで成長を続けてきた。もともとの住宅事業は、建築主からの注文でつくる請負型ビジネスだったが、1970年代に郊外型住宅団地「ネオポリス」を全国展開し、分譲住宅事業を拡大。1990年代にはオーナーから賃貸住宅経営を受託する体制を整えて賃貸住宅事業を伸ばし、2000年代には分譲住宅のビジネスモデルをコンビニなどの流通店舗や物流施設などの事業用建物で展開し、非住宅事業を経営の大きな柱に育てた。

 9月4日の発表では、2027年4月1日付けて変更する住宅ストック事業の新体制=下の図=を明らかにした。リフォーム工事を行ってきたグループ会社「大和ハウスリフォーム」は不動産仲介会社「大和ハウスリアルエステート」の不動産流通事業などを統合して「大和ハウスパートナーズ」に商号を変更し、大和ハウス本体にあった「リブネス事業」「戸建て住宅お客様相談室」を移管する。賃貸住宅のリフォーム工事を担当してきた「大和ハウス賃貸リフォーム」は、大和ハウス本体から「賃貸住宅お客様相談室」、グループ会社の「大和リビング」から賃貸仲介事業などを移管して「D-ROOMパートナーズ」に商号を変更し、「大和リビング」は賃貸管理会社として存続する。これによって47都道府県の拠点で戸建て住宅、賃貸住宅に分けてワンストップ体制が構築されることになる。


大和ハウスストックビジネス事業体制

 今回の組織改編を見ただけでは、同社がどのようなビジネスモデルで住宅ストック事業を拡大しようとしているかは不明だが、商号変更する住宅ストック事業会社に「パートナーズ」という名称を付けているのが気になるところだ。自社以外の木造住宅やマンションを含めてストック事業を展開するとなれば、大和ハウスだけで事業体制を整えるのは難しいだろう。それぞれの地域で地元工務店や不動産流通事業者などと事業パートナーを組むことを想定していると想像するのだが、どうだろうか。

■戸建住宅市場で広がる事業者のネットワーク
 最近は戸建て住宅分野でも資本業務提携を含めてネットワーク化を進める動きが目立っている。

 中古住宅買取再販でトップのカチタス(社長・新井健資氏)は、2017年にニトリHDと資本業務提携して34%の出資を受け、順調に事業を拡大。最近では三重県伊賀市、香川県丸亀市などから「空家等管理活用支援法人」に指定されるなど地方自治体とのネットワークを広げている。

 住宅検査と長期保証を行う家守り(社長・冨永寿乃氏)は、2019年にヤマダ電機と資本業務提携し、2025年に住宅の施工品質や管理を重視する工務店やビルダーを組織化したネットワーク「ジャパンプレミアムビルダーズ(JPB)」(加盟26社)を立ち上げた。



 26年8月26日には「2050 STANDARD HOUSE PROJECT」の共同記者会見=写真=が日本記者クラブのある日本プレスセンタービルで行われた。日本政府が掲げる2050年カーボンニュートラルの実現に向けて標準となる住宅を考え、学び、情報共有することを目的に、記者会見時点で全国25社の工務店が参加して立ち上げたプロジェクトだ。

 新設住宅着工戸数が減少するなかで、こうした動きは一段と進むことが予想される。

■既存住宅を安心して取引できる環境の整備に向けて」
 国の住宅政策を示す「住生活基本計画」が5年ごとの見直しを経て、26年3月に閣議決定した。最新の住生活基本計画では「市場機能の進化を通じて住宅ストックの価値を最大限に活用」しつつ、「人生100年時代の住生活を支える基盤を再構築」していくと明記された。

 プレハブ住宅メーカーでも「住宅ストックの活用」には力を入れてきたが、スムストックの成約件数は25年度(25年7月―26年6月)で2579件となり、捕捉率は22.9%。自社で建てた中古住宅の8割近くが東急リバブルや三井不動産リアルティなど既存の不動産仲介会社に流れているのが実態だ。

 不動産流通市場の生産性向上、高付加価値化を目指してエージェント制仲介事業を展開するTERASS(テラス)の江口亮介社長によると、不動産売買仲介の7割を仲介大手で組織する不動産流通経営協会(FRK)加盟企業が取り扱っているという。過去にも不動産流通市場の変革をめざして様々な企業が新規参入したが、仲介大手の牙城は揺るがない状況が続いている。

 国交省住宅局では、住生活基本計画に基づいて新たに「住宅の維持保全・流通に関する制度検討会」を立ち上げ、26年10月8日に第1回会議を開催した。検討会では、住宅の品質・性能の維持保全及び維持保全等に関する情報の保存を促すための住宅市場の枠組みや、既存住宅の買主が安心して取引できる環境の整備に係る方策が議論され、27年3月に報告書を取りまとめる予定だ。


 検討会の下には「維持保全評価・既存評価」「履歴情報」「瑕疵担保履行制度・消費者保護」の3つのワーキンググループを設置。新築着工戸数の減少や住宅価格の上昇が進むなかで、国民が過度な負担なく希望する住生活を実現するための市場環境を整備する。

 大和ハウスでは、27年4月に住宅ストック事業の新体制をスタートさせる予定だが、今後は検討会の議論もにらみながら事業基盤の整備を進めていくものと思われる。



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