広報強化のガイドブログ「経済記者OBの目」

——あなたの会社の危機管理は大丈夫?
——正しいメディア対応についてアドバイスします。

 企業のグローバル経営が進む中で、企業広報の重要性は一段と高まっています。マスメディア向け情報伝達手段はインターネット社会の進展とともに大きな変化を見せています。雇用のトラブル、食品メーカーの異物混入、データの偽装等々、企業をめぐる不祥事も後を絶ちません。とりわけ、個人情報の流出、不正アクセスなど、ネット社会に根ざした事件が目立ちます。
このブログは、広報ソリューション懇話会を運営する経済記者OBが交替で毎週月曜日に発信しているもので、企業の広報担当者に役立つマスメディア対策について、最近の報道内容や過去の経験などを取り上げながら、分かりやすくアドバイスしています。
 当懇話会では、企業の不祥事や緊急事態の発生を想定した「模擬記者会見」の実施や、広報業務に関する悩み・困りごとを解決するための「広報よろず相談室」を設けています。
【協賛】
株式会社ファンケル戸田建設株式会社株式会社ニシウオマーケティングセコム株式会社
株式会社ぐるなびANAYKK AP株式会社

相次ぐ企業不祥事と企業広報の役割

和泉田 守  日産自動車が今月、新車の出荷前の完成検査で新たな不正が見つかり約15万台のリコール(回収・修理)を国土交通省に届けるとの発表を行った。ブレーキなど安全性に直結する機能の検査で不正が発覚したものだ。カルロス・ゴーン元会長の逮捕で日仏だけでなく国際的にも波紋を広げている日産だが、およそ1年前の秋には無資格者による完成検査問題が表面化し大きなニュースとなった。コンプライアンス(法令順守)への意識の低さが一向に改まらない点に批判が高まりそうである。

 それにしてもこの1,2年ほど企業不祥事のニュースが途切れることが無い。試しに製造業の品質不正に絞ってネットや新聞のデータベースを検索してみても、日産のほか神戸製鋼所、スバル、三菱マテリアル、東レ、三菱自動車、東洋ゴム、タカタ、KYB・・・と数多くの企業が登場する。

 かつて新聞社で企業ニュースの取材を担当していたころは、こんなにも次々と不祥事が発覚しニュースになるようなことはあまり無かったような気がする。それだけに報道に接するたびに「いったい今なぜ」という思いが膨らむばかりだったが最近、「なるほどそういう事情も背景にあるのか」と疑問の一端にこたえてくれるような新聞記事にお目にかかった。11月11日の日経新聞朝刊1面の“「衰える工場」品質不正招く―海外優先 現場にしわ寄せ”との見出しのついたアタマ記事だ。

 品質検査不正を起こしたスバルや日産などの調査報告書を読み解き記者が分析したもので、内容を要約すると、日本の製造業が国際化の進展に伴って、国内工場への投資が後回しになり設備が老朽化、人的にも技術スタッフの海外シフトで国内技術者が不足。「品質」を強みとしていた国内での生産体制の優位が崩れてしまったなかで、決められた生産コストや納期を守るために現場の判断で不正に手を染めるケースが増えてきたことが背景にある、としている。その上で、こうした現実を経営陣が真摯に受け止めず解決を現場任せにし、正確な情報が上に伝わっていかないコミュニケーションの目詰まりを起こしていることに目をつぶり不正に追い込んだ経営の責任は重いと批判している。

 このところインターナルコミュニケーション(社内広報)に取り組む企業が増えていると言われている。経済広報センターでは社内広報の意義として①企業理念やビジョンの浸透・維持②経営情報の共有、企業目標の認識・実行③職場間の相互理解④企業の活性化・意識改革・モチベーションの向上⑤社内の風土・文化の醸成⑥企業と社会の信頼関係構築への啓発――などを挙げている。例えば普段はあまり接する機会がない経営トップと社員が交流することにより、経営トップにとっては現場の声を聞く機会となり、社員にとっては経営トップが描いているビジョンや会社に対する考え方などを知ることができる。インターナルコミュニケーションの重要性は誰もが理解しているところと思うが、果たして“絵に描いた餅”になっていないか、どの企業もこの際しっかり点検する必要があるのではないか。


pr-konwakai02
経済記者OBの目を配信する
「広報ソリューション懇話会」
ホームページはこちらから≫

四半期決算開示の行方

江口務 四半期決算発表の是非論が再び浮上してきた。きっかけはトランプ米大統領の発言。自身のツイッターで「米企業の決算開示を四半期(3ヵ月)ごとから半年ごとに改めるべきだ」と表明、これを受けて米証券取引委員会(SEC)が見直しの検討に入ったからだ。理由は、経営者が短期的な利益を重視しがちになり、長期戦略がおろそかになるからだという。

 四半期決算開示は、企業業績の変化を投資家がいち早く把握できるようにと1970年に米国でスタート。日本でも徐々に追随の動きが広まり、2009年からは金融商品取引法ですべての上場企業に対し開示が義務づけられた。ただ、四半期開示は書類作成に膨大な時間と経費がかかることから、企業はことあるごとに見直しを求めてきた。先ごろのトランプ大統領の表明も米国の有力企業経営者からの提言を受けたものであり、日本の経団連も「義務化廃止」を訴えている。

 四半期開示の最大の利点は企業経営の透明性が確保できること。機関投資家に限らず、個人投資家も同時に詳細な経営情報を手にすることができ、的確な投資判断が下せるようになった。しかし、その半面、企業にとっては負担が増大。短期間で決算数字をまとめなければならないことから、正確性という点でもリスクを負わなければならなくなった。また、四半期開示が義務付けられたことで企業の持続的成長より短期の利益の方が優先されるようになったとの指摘も出ている。このところ日本ではデータ改ざんなどの企業不祥事が相次いでいるが、これも四半期開示義務の弊害ではないかとの声が上がっている。こうしたことからトランプ発言を機に、日本企業の間でも制度見直しへの期待が高まりつつあった。

 ところがつい最近、この動きに水をさすような事件が起きた。世界中が驚いたカルロス・ゴーン日産自動車会長の不正事件である。ゴーン前会長の逮捕容疑は金融商品取引法違反(有価証券報告書虚偽記載)だが、ほかにも投資資金の流用、会社経費の私的支出など多くの不正があったとされている。捜査でこうした事実が明らかになれば、経営の透明性を求める声はこれまでに増して強まることが予想される。決算開示についても「発表の回数が減れば透明性の後退につながる」との声が投資家などから上がってこよう。

 「義務化見直し」へと傾きつつあった四半期開示をめぐる議論はこの先、どこに向かうのか。業務上、決算発表に深い関わりを持つ企業の広報担当者もその行方を注視しているに違いない。


pr-konwakai02
経済記者OBの目を配信する
「広報ソリューション懇話会」
ホームページはこちらから≫
記事検索
プロフィール

corporate_pr

QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ