広報強化のガイドブログ「経済記者OBの目」

——あなたの会社の危機管理は大丈夫?
——正しいメディア対応についてアドバイスします。

 企業のグローバル経営が進む中で、企業広報の重要性は一段と高まっています。マスメディア向け情報伝達手段はインターネット社会の進展とともに大きな変化を見せています。雇用のトラブル、食品メーカーの異物混入、データの偽装等々、企業をめぐる不祥事も後を絶ちません。とりわけ、個人情報の流出、不正アクセスなど、ネット社会に根ざした事件が目立ちます。
このブログは、広報ソリューション懇話会を運営する経済記者OBが交替で毎週月曜日に発信しているもので、企業の広報担当者に役立つマスメディア対策について、最近の報道内容や過去の経験などを取り上げながら、分かりやすくアドバイスしています。
 当懇話会では、企業の不祥事や緊急事態の発生を想定した「模擬記者会見」の実施や、広報業務に関する悩み・困りごとを解決するための「広報よろず相談室」を設けています。
【協賛】
株式会社ファンケル戸田建設株式会社株式会社ニシウオマーケティングセコム株式会社
株式会社ぐるなびANAYKK AP株式会社
「現役記者に聞く」セミナー第2回目開催案内
・テーマ=「社会部記者から見た企業広報の在り方」
・講師=東京新聞社会部記者 望月衣塑子氏
・日時=10月18日(木曜日)午後2時から同4時まで

詳しくは広報ソリューション懇話会HPを。電話でのお問い合わせは(TEL03-6260-9855)へ

いま日経・編集局内で飛び交う合言葉は「ディーエフ」

和泉田 守  この8月上旬、日本経済新聞社に同期入社した仲間が久しぶりに集まった懇親会があった。我々が入社したのは昭和48年(1973年)。その年の秋に第1次石油危機が勃発。日本経済は長らく続いた高度成長期から一転、戦後初のゼロ成長に見舞われるなど大混乱となった年だ。

 懇談会の顔触れはすでに日経を去り第2の人生を歩いている人間がほとんどだったが、今も仕事の関係で大手町の東京本社編集局に定期的に顔を出している一人が、最近の編集局の様子をひとしきり話してくれた。その中で皆の耳目を集めたのが「ディーエフ」という言葉だった。何でも「編集局ではこれが合言葉のように頻繁に飛び交っている」というのだ。

 「ディーエフ」というのはDigital First(ディジタルファースト)の頭文字をとったものだ。日経では今、グループ経営改革の要として、これからの日経の柱をデジタル事業に据えており、具体的には2020年に日経グループのデジタル売上高比率を40%に高める目標を掲げているという。

 日経新聞を購読している立場からこの戦略を垣間見ることができるのが、日経の記事をパソコンやスマートフォンに発信している日経電子版で昨年の秋から始まった「イブニングスクープ」。翌日朝刊向けの独自ニュースを前日の夕方にいち早くネットで流してしまう。私もこれが始まってしばらくの間、実際にはどの程度のニュースをネット先行で出しているのか関心を持って翌日の朝刊をチェックしていたが、1面アタマ記事も少なくなく、しかも個別企業のストレートニュース,特ダネも結構ある。現場の記者の立場からは前日のネットで流れた日経の記事を見て他社が追いかけてきて朝刊ではせっかくの特ダネが同着になってしまうことに不満や抵抗があるはずである。

 岡田・日経社長も実際に社内報で、「せっかくの特ダネを電子版に載せるのはもったいない」「電子版のトップより朝刊1面に14版(注:日経の最終版)で特ダネを叩き込む方が格好いい」という意識が現場にはまだ根強くあることを認めている。同時に「スクープを電子版に載せたら価値が下がる、あるいは読者に評価されないということはあり得ない。むしろ逆である」と言い切っており、電子版のニュースも編集局長賞など積極的に評価していく考えを明らかにしている。

 このようなデジタルファースト戦略が可能になってきたのも、2018年6月時点で日本経済新聞の302万購読者数に占める有料の電子版会員数が60万にまで成長してきた背景があるからこそと考えられる。日経のデジタル戦略については今後も機会を見て取り上げていきたいと思う。


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AI技術はメディア界に定着するか

江口務 人工知能(AI)技術の進化が目覚しい。自動車をはじめとする車両の自動運転、音声認識技術を駆使した「AI家電」、社員採用時の「AI面接官」、医師不在でも対応可能な「AI診療」、物騒なところでは、敵を無人で攻撃できる「AI兵器」。各分野でAIの活用が広がりつつある。

 むろん、メディア界も例外ではない。米国のAP通信やワシントン・ポスト紙ではすでにAIが記事を作成。中国の新華社通信もAI技術を駆使し、わずか10秒でニュース動画を作り上げるシステムを構築している。筆者がかつて在籍していた中部経済新聞も1昨年、創刊70周年の記念企画としてAIが執筆した特別記事を紙面に掲載した。国内の専門企業の協力を得て、創刊から今日に至る社の歩みや今後の意気込みなどを約650字でつづった記事で、初の実験としてはなかなか多くの成果が得られたと聞いている。

 メディアがAI技術を使う最大の目的は、記事の執筆・編集作業の効率化にある。いかに早く、正確に作業を進めるかはメディアにとって究極の課題。これまではIT技術の進化に支えられて効率化を進めてきたが、今後は記事や番組制作など中枢分野に至るまで完全自動化するのが狙いだ。目下、AI技術で可能と見られているのは、新聞でいえば定型化しやすい決算記事や人事異動、訃報記事。さらに新商品情報、催し紹介記事などだ。新聞社にとってはこれらが自動化されるだけでも多大なメリットがあろう。

 しかし、現実的にはメディア界におけるAIの利用は、データ収集や分析などが大半を占め、多くの場合は記事・番組制作の1歩手前の段階にとどまっている。その原因はAIの情報判断能力にある。AIがひとつの情報を認識する際、それが事実なのか、あるいは単なる意見や見方なのか、それらを判断する能力はまだ十分ではないからだ。すなわち、推測や憶測が事実として伝えられかねない、というリスクを現状では拭いきれない。さらにAIが作る記事は多様性に欠けるという指摘もある。ひとつの事象を取り上げる際、人間の記者ならそれぞれにパーソナリティを発揮し、視点を変えた記事が出てくるが、AIだと画一的な見方しかできず、深みのある記事は期待しにくい。おそらく評論や解説記事はAIには苦手にちがいない。AIが人間の記者に取って代わるには乗り越えねばならない壁がまだまだたくさんありそうだ。

 ところで、企業の広報業務もいずれAI技術の恩恵に浴することになるだろう。プレスリリースの作成はもちろん、音声認識技術などによって記者からの質問にも直接音声で素早く答えられるようになるだろう。大量の情報を蓄積し、状況に応じて最良の方策を瞬時に導き出すAIの進歩を見守りたい。


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