企業不祥事によるネット炎上が、しばらく鳴りをひそめていたと思ったら、お正月明け早々の去る1月17日、北京からの時事電が、日本のホテルが中国のネットやメディアで“炎上”状態になっているというニュースを、ネットに伝えてきた。
「日本のホテルがなぜ中国で?」と疑問に思い、調べてみると、東京のアパホテルに宿泊した旅行客の米国人と中国人のコンビが、客室に置いてあった南京虐殺を否定する、アパホテルグループ代表の元谷外志雄氏(ペンネームは藤誠志)執筆の社会時評を読んでショックを受け、中国のSNS「微博」に動画で投稿して告発したという次第である。動画は2日間で6800万回再生され、「アパホテルには泊まらない」などのコメント投稿数は2万9000件以上にのぼった。
中国共産党の機関紙「人民日報」国際版の「Global Times」もこの問題を報道、報道を受けて、中国の旅行会社・黄光グループは、アパホテルの予約受付を停止したため、アパホテルの公式サイトは一時アクセス不能の状態に陥ったという。
アパホテルの客室に置かれていたのは、「本当の日本の歴史 理論近現代史学」というタイトルの、元谷氏の月刊誌のエッセイをまとめた冊子である。日本語のほか、英語訳もつけられており、宿泊客に広く元谷氏の考えを知ってもらおうという意図である。
アパホテルグループは問題発生後、ホームページで「客室設置の書籍について」と題する 同グループの見解を掲載した。それによると「この書籍は特定の国や国民を批判することが目的ではなく、あくまで事実に基づき本当の歴史を知ることを目的としている」とし、「異なる立場の方から批判されたことによって、本書籍の客室からの撤去は考えておりません」と述べている。
今回の炎上問題は、南京虐殺に対するホテルグループ代表の見解、信条を述べた書籍に端を発している。経営者であれ、人々が見解や信条を述べることは全く自由であることは論をまたない。ただ、見解の分かれる問題について、それをビジネスの場に持ち込むことに首をかしげざるを得ないのである。
広報の立場からこの問題を見ると、社内での議論はともかくとして、経営トップの判断には従わざるを得ないだろう。むしろ、書籍設置の是非よりは、ネット炎上が、こうした形で、よりグローバル化するという点に注意を払いたい。
企業のグローバル化は、海外での事業はもちろんのこと、近年、増加するインバウンド(訪日外国人)向けの関連事業などを通じてより進展すると思われる。日本人では問題にならないことも、外国人には異なった受け止め方をされることもあり得よう。商品、サービス、言葉、態度などで、企業の信用を失墜させることのないよう、広報マンは気配り、目配りを徹底したい。
経済記者OBの目を配信する
「広報ソリューション懇話会」
ホームページはこちらから≫
「日本のホテルがなぜ中国で?」と疑問に思い、調べてみると、東京のアパホテルに宿泊した旅行客の米国人と中国人のコンビが、客室に置いてあった南京虐殺を否定する、アパホテルグループ代表の元谷外志雄氏(ペンネームは藤誠志)執筆の社会時評を読んでショックを受け、中国のSNS「微博」に動画で投稿して告発したという次第である。動画は2日間で6800万回再生され、「アパホテルには泊まらない」などのコメント投稿数は2万9000件以上にのぼった。
中国共産党の機関紙「人民日報」国際版の「Global Times」もこの問題を報道、報道を受けて、中国の旅行会社・黄光グループは、アパホテルの予約受付を停止したため、アパホテルの公式サイトは一時アクセス不能の状態に陥ったという。
アパホテルの客室に置かれていたのは、「本当の日本の歴史 理論近現代史学」というタイトルの、元谷氏の月刊誌のエッセイをまとめた冊子である。日本語のほか、英語訳もつけられており、宿泊客に広く元谷氏の考えを知ってもらおうという意図である。
アパホテルグループは問題発生後、ホームページで「客室設置の書籍について」と題する 同グループの見解を掲載した。それによると「この書籍は特定の国や国民を批判することが目的ではなく、あくまで事実に基づき本当の歴史を知ることを目的としている」とし、「異なる立場の方から批判されたことによって、本書籍の客室からの撤去は考えておりません」と述べている。
今回の炎上問題は、南京虐殺に対するホテルグループ代表の見解、信条を述べた書籍に端を発している。経営者であれ、人々が見解や信条を述べることは全く自由であることは論をまたない。ただ、見解の分かれる問題について、それをビジネスの場に持ち込むことに首をかしげざるを得ないのである。
広報の立場からこの問題を見ると、社内での議論はともかくとして、経営トップの判断には従わざるを得ないだろう。むしろ、書籍設置の是非よりは、ネット炎上が、こうした形で、よりグローバル化するという点に注意を払いたい。
企業のグローバル化は、海外での事業はもちろんのこと、近年、増加するインバウンド(訪日外国人)向けの関連事業などを通じてより進展すると思われる。日本人では問題にならないことも、外国人には異なった受け止め方をされることもあり得よう。商品、サービス、言葉、態度などで、企業の信用を失墜させることのないよう、広報マンは気配り、目配りを徹底したい。
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