世界各国がポスト・コロナに移行しているなか、ゼロコロナを目指す彼の国と、第7波の勢いが止まらない某国だけが、世界の潮流とは異なる濁流に飲み込まれ悪戦苦闘を強いられている。彼の国は、新型コロナ発祥地でロックダウンによる押さえ込みに成功し、某国は、ファクターXのおかげか、死亡者数を桁違いの少なさに抑え、共にちょっと前まで「世界の優等生」ともてはやされていた。その両国が、いつの間にか優等生から劣等生に、そしてガラパゴス国家へと様変わり。一体、何が起こったのだろうか。
彼の国=中国は、世界中のひんしゅくを買いながらもゼロコロナ政策に固執している。いつまで続けるのか。先行きを占うと、コロナの動静もさることながら、今秋開催の、5年に一度の中国共産党大会が、より重要な要素になるとの見方がある。異例の3期目を目指す習近平にとって、大会開催前に看板政策のゼロコロナを見直すのは難しい。大会を乗り切り、権力基盤を確立したならば、さまざまな理由づけをして路線変更に踏み切るだろうとのヨミである。万一、政権交代が起こったら、誰が国家主席になっても、もちろんすぐに政策転換となる。
問題は某国=日本だ。感染者急伸の「波」が来るたびに、やれ医療崩壊だ、やれPCR・抗原検査だ、人流抑制だと大騒ぎするばかり。武漢株の日本上陸からすでに2年半余りが経ち、未知の新型コロナウイルスは、変異が続いているとは言え、未知が既知に、新型が旧型になったと言い換えられよう。にもかかわらず、「未知との遭遇」にあたふた・オタオタする状況は少しも変わっていない。一体なぜなのか…。その答えは「学びがない」に尽きるだろう。
「新型コロナの発症リスクを高める食品は、甘いもの、油脂類(トランス脂肪酸等)、乳製品、小麦製品、添加物-の五つ」、「逆に、免疫機能を高め発症リスクを抑えるのは植物繊維、発酵食品、オメガ3脂肪酸(青魚やナッツ類に含有)など」、「入浴時に湯船につかることが、コロナの感染・発症リスクを下げる可能性がある」…。これらの知見は、ITベンチャー、シグナルトーク(東京)が、全国1,500人を対象に食生活等を調査し、AI(人工知能)を用いたデータ解析により導き出した。
同社は10年ほど前から「健康と食」の相関を明らかにして健康増進を支援する事業に取り組んでいる。コロナ禍の広がりを踏まえ、新型コロナ感染リスクに照準を合わせた調査分析を実施し成果をとりまとめた。同社の栢(かや)孝文社長は「新型コロナ発症した人 しなかった人」(幻冬舎)を今春、著し、知見の数々を披露。同書のなかで「世界中で発表された新型コロナに関する論文や厚労省の食品成分データ等の解析とAIによる学習を進め、発症リスクを左右している可能性がある食品のリスト化に成功した」と記している。
日本では新型コロナウイルスが2類相当に分類され、感染者の全数把握が義務付けられていることなどから、コロナ関連の膨大な情報が収集・蓄積されている。AIやデータサイエンスが長足に進歩した今日、それら無数のデータを多面的・多層的に解析すれば、ウイルスの正体(毒性と感染力の関係性、今後の変異予測等)やmRNAワクチンの功罪を高精度でつかめるはず。一民間企業でかなりの成果を上げている試みを国・政府レベルで出来ないわけがない。多くの学びと気づきを得て、ウィズコロナ・ポストコロナ時代にふさわしい処方箋を書き上げることが急がれる。
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これがNTT(ないしその系列)や富士通、日立、NEC、あるいは産総研あたりの発表だったらマスメディアが大きく取り上げたでしょう。
統一教会にからむ政治と宗教の問題、霊感商法や反社組織の問題もそうですが、マスメディアの怠慢というか意識低下、権力志向が気になります。