【シニア記者が注目した不祥事・トピックス 3/15~ 血縁より結縁、亡き後は墓友と墓じまいと新しい墓の形の広がり】

ゆいま~る合葬墓那須(CN協会のHPより)
日経新聞の3月15日付け夕刊の1面トップに「私の亡き後は墓友と―墓じまい増え、血縁より結縁」という見出しで共同墓の記事が掲載された。その事例の1つとして一般社団法人コミュニティネットワーク協会(CN協会)が全国3か所に共同墓地「ゆいま~る合葬墓」を開設していることが紹介された。
筆者は、CN協会の近山恵子さんとは10年ほど前から付き合いがある。2017年には栃木県那須町で廃校になった小学校跡地に高齢者向け住宅を整備する「那須まちづくり株式会社」を設立し代表取締役も務める。共同墓地の話は聞いたことがなかったが、ついの住み家となる高齢者向け住宅で暮らす入居者の関係が深まるなかで「共同墓がほしいね」という流れになって実現したようだ。

2021年9月に発刊した雑誌「Oil(老いる)」の表紙となった近山恵子さんと千葉の著書「実家のたたみ方」の表紙
筆者は2014年4月に「実家のたたみ方」という本を出版したが、第1章のタイトルが「あなたは実家を継ぎますか?」だった。実家には、土地や建物だけでなく、先祖伝来の「お墓」も含まれる。本では「お墓の引っ越し(改葬)」の手順も紹介したが、自分の後に実家を継ぐ人がいなければ「お墓」を管理する人もいなくなる。人口減少が急激に進む日本において「お墓」は「家族」のあり方を考える重要なテーマだろう。
■高齢者向け住宅の新設を後押しした「サ高住」制度
CN協会の存在を知ったのは、2010年に開業した高齢者向け住宅「ゆいま~る那須」が、日本建築事務所協会連合会(日事連)が優れた建築物を表彰する「日事連建築賞」を受賞し、2013年頃に筆者が建築賞の受賞作品として取材したのがキッカケだった。当時は、CN協会と連携しながら建築家の高橋英輿氏(現・CN協会顧問)が立ち上げた株式会社コミュニティネットで、高齢者向け住宅「ゆいま~る」シリーズの開発を進めていた。
高齢者住宅支援事業者協会事務局長を務めるタムラプランニング&オペレーティング代表取締役の田村明孝氏によると、高齢者施設は特別養護老人ホームなどの「施設系」と、食事や外出など出来るだけ普段の生活を送りながら必要なケアサービスを提供する「住宅系」の2つに大きく分かれる。さらに介護サービスが包括ケアか、個別ケアか、自立者向けかで14タイプに分かれており、要介護度などに応じて、どの住宅施設を選ぶのかが決まる。
2000年に介護保険制度が始まった当初は国が計画を策定して「施設系」の整備が進められたが、民間事業者による「住宅系」の整備も促進しようと「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」を改正し、2011年10月に「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」制度が導入された。
筆者も不動産流通研究所が2011年1月に発刊したムック本「これが『サービス付き高齢者向け住宅』だ!」の執筆に参加するなど同分野を詳しく取材する機会があった。損保ジャパン、ベネッセ、学研などの大手企業が積極的にサ高住の開発にも乗り出すなかで、「ゆいま~る」シリーズは他とは異なるユニークな手法で開発を行っていた。
■仲間づくりと地域プロデューサーがコミュニティを創成
CN協会は神戸市が発祥で、東京へと活動を広げ、1999年に法人化した。当初は高齢者福祉のための人材育成や高齢者向け住宅の情報発信などに取り組んできたが、2000年代後半からは医療・福祉法人やコミュニティネットなどと協力して高齢者施設の開発に乗り出した。
CN協会では、高齢者の暮らしに関するセミナーや講座を定期的に開催し、協会の理念に賛同する人たちを集めて仲間づくりを行っている。同時にまちづくりやコミュニティ創成に取り組もうという人材を集めて「地域プロデューサー」を養成する事業を展開してきた。
ある地域で高齢者向け住宅のプロジェクトを立ち上げる場合、建物が完成してから入居者を募集するのではなく、CN協会を通じて、そこに住みたいと希望する仲間を集めて、彼らも当初からプロジェクトに参加してもらう。現地には地域プロデューサーが乗り込んで自治体や地元の医療福祉法人など地域社会と交流・連携しながら開発を進めていく。建物が完成した時には、プロジェクトを通じて入居希望者には仲間意識が醸成され、地域社会とも交流関係が築かれているというわけだ。集合住宅(マンション)を入居希望者が共同で建設する「コーポラティブハウス」に近い手法と言える。
筆者も、CN協会のイベントに参加し、地域プロデューサー養成講座も受講したが、とにかく手間もかかるし時間もかかる手法である。しかし、ついの住み家として入居する高齢者にとっては、CN協会を通じて事前に知り合った人たちと安心して暮らし始めることができる。そうした手法で全国13か所に「ゆいま~る」シリーズの名称で高齢者向け住宅を整備してきた。共同墓も「ゆいま~る」のある神戸、東京多摩エリアの八王子、そして那須の3か所にCN協会が建立して運営している。
筆者が代表幹事を務める日本不動産ジャーナリスト会議(REJA)では、コミュニティネット社長だった高橋英輿氏を招き、2015年1月に「1000か所の拠点づくりを目指して」と題して講演してもらった。高橋さんとしては「ゆいま~る」シリーズを全国各地、さらに海外を含めて1000か所に拡大したいという夢を持っていた。
■CN協会が自ら多摩ニュータウンでも共生型まちづくりに取り組む
CN協会とコミュニティネットが共同で「ゆいま~る」シリーズを展開し始めた頃、2014年に発売された本「地方消滅」が取り上げた「消滅可能性都市」が注目を集めた。2015年には民間団体「日本創成会議」が東京圏の高齢化問題に対応するため「東京圏高齢化危機回避戦略」を打ち出すと、内閣府の地方創生本部が「日本版CCRC有識者会議」を立ち上げた。
CCRCとは、米国で広がった「Continuing Care Retirement Community(継続介護付きリタイアメントコミュニティ)」のことで、 仕事を退職した高齢者が健康なうちから移住し、介護や医療ケアが必要になっても終身暮らせる生活共同体である。日本でも、東京圏で急増する高齢者の受け皿となる高齢者施設を地方圏に整備する日本版CCRC構想の議論が盛り上がったわけだ。。
当時、日本でCCRCに近いコミュニティ重視の高齢者施設の開発を全国規模で手掛けていたのは、筆者が知る限りではコミュニティネットぐらいだった。同社の取り組みが注目されるようになり、高橋さんも事業拡大に意欲を見せていたので、2015年12月に地域ヘルスケア産業支援ファンドと資本提携し、資本金を5000万円から3億187万円へと増強。16年6月に日本版CCRC構想に積極的に取り組んでいた三菱総合研究所、7月にあいおいニッセイ同和損害保険と資本提携した。
しかし、これを契機にコミュニティネットの経営権は高橋さんから徐々に離れ、社長を退任することになる。その辺の詳しい事情は聞いてはいないが、コミュニティネットでは、2020年以降「ゆいま~る」シリーズの新規開発は行っておらず、現在は「和気ハウス」などのブランドで高齢者施設の開発を進めている。事実上、大手企業に乗っ取られてしまったようだ。

「那須まちづくり広場」

「ひろばの家・那須」
実働部隊を失い、CN協会では自ら開発プロジェクトを動かしていくことになる。CN協会の近山さんが社長を務める那須まちづくり株式会社では、那須町の旧朝日小学校跡地に多世代交流+介護+福祉のコミュニティ「那須まちづくり広場」を2022年12月にオープン。校庭だった敷地にサ高住「ひろばの家・那須」を建設。2024年4月には2期工事が終わって総戸数が82戸となった。
多摩ニュータウンでも共生のまちづくりに取り組んでおり、2022年には大型スーパー跡地に交流拠点「コミュニティプレイスまつまる」をオープン。23年にも交流拠点「コミュニティプレイスあたご」、就労支援継続B型事業所「共生サロン・まつまる」、高齢者デイサービス「デイルーム・愛宕」を新設しており、将来的には高齢者住宅や会員制介護ベッドなどの設置も計画している。
長々とCN協会の活動を紹介したのは、高齢者向け住宅で暮らした人たちが最後に共同墓をつくることになった背景を理解してもらうには必要だと思ったからだ。ついの住まいで暮らした仲間たちは家族に近い存在であり、亡くなった後に同じ墓に入りたいと思う人が出てくるのも当然だろう。
■急増する近親者のいない高齢者単独世帯の「お墓」をどうするか?
日本の年間死亡者数は2021年に125万人だったが、2030年には165万人に達すると予想されている。2024年の出生数は72万人と過去最少を記録しているので、今後は毎年、100万人近い人口が減少していくことになる。
2023年12月にREJA研修会で講演した前出の田村さんによると、165万人が亡くなる場所は、病院が89万人、介護保険施設が9万人、自宅が20万人で、残りの47万人のほとんどが高齢者住宅で亡くなると想定されている。死亡者の約3割の人が、高齢者住宅の入居者やスタッフたちに見守られながら亡くなることになる。

世帯構成の推移と見通し
どこで亡くなっても実家を継いでくれる家族がいれば、先祖伝来の墓に入ることになるのだろうが、家族の形態も様変わりしつつある。日本の世帯総数は2030年の5773万世帯をピークに減少に転じ、「単独」世帯の割合は2020年の38.0%から2050年に44.3%に上昇。うち65歳以上の高齢者「単独」世帯は13.2%から20.6%へ上昇する。さらに高齢単独世帯に占める未婚者の割合が2050年には男性が59.7%、女性が30.2%となり、近親者がいない高齢単独世帯が急増する見通しだ。
近親者のいない高齢者が亡くなった後に入る「お墓」はどうするのか―。知らない人たちと一緒に入る納骨堂や永代供養墓か、ついの住み家で過ごした仲間が眠る共同墓か、それとも墓には入らずに海などへの散骨か。
90歳となる筆者の母は、子どもが遠くに住んで墓参りが大変だったり、結婚せずに子どもがいなかったりする親類縁者に「うちの墓は納骨室が広いから、一緒に入ったら」とよく勧めている。もちろん、お墓には「千葉家」という文字が刻まれているが、そのうちに「千葉」以外の姓も墓碑銘に刻まれるようになるかもしれない。
今後、世帯総数の減少が進み、未婚者の割合も増えていけば、実家を継ぐ人は間違いなく減っていく。継ぐ人が絶えれば、姓も減って、家族単位のお墓は維持するのが難しくなる。そうしたなかで、「女は三界に家無し」と言われてきた女性は、どの「お墓」に入るのを選ぶだろうか。日経の記事で書いたように、何かの縁で親しくなった「墓友」と一緒に「お墓」に入る人が増えていくように思える。「同姓婚でなければ家族としての一体感を保てない」とか「同性婚は認められない」とか、家族制度やあり方について異なる意見があることは承知しているが、急速に人口減少が進むなかで、人々が孤立せずに支え合って暮らせる社会をどう構築していくかが重要だろう。

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ゆいま~る合葬墓那須(CN協会のHPより)
日経新聞の3月15日付け夕刊の1面トップに「私の亡き後は墓友と―墓じまい増え、血縁より結縁」という見出しで共同墓の記事が掲載された。その事例の1つとして一般社団法人コミュニティネットワーク協会(CN協会)が全国3か所に共同墓地「ゆいま~る合葬墓」を開設していることが紹介された。 筆者は、CN協会の近山恵子さんとは10年ほど前から付き合いがある。2017年には栃木県那須町で廃校になった小学校跡地に高齢者向け住宅を整備する「那須まちづくり株式会社」を設立し代表取締役も務める。共同墓地の話は聞いたことがなかったが、ついの住み家となる高齢者向け住宅で暮らす入居者の関係が深まるなかで「共同墓がほしいね」という流れになって実現したようだ。

2021年9月に発刊した雑誌「Oil(老いる)」の表紙となった近山恵子さんと千葉の著書「実家のたたみ方」の表紙
筆者は2014年4月に「実家のたたみ方」という本を出版したが、第1章のタイトルが「あなたは実家を継ぎますか?」だった。実家には、土地や建物だけでなく、先祖伝来の「お墓」も含まれる。本では「お墓の引っ越し(改葬)」の手順も紹介したが、自分の後に実家を継ぐ人がいなければ「お墓」を管理する人もいなくなる。人口減少が急激に進む日本において「お墓」は「家族」のあり方を考える重要なテーマだろう。
■高齢者向け住宅の新設を後押しした「サ高住」制度
CN協会の存在を知ったのは、2010年に開業した高齢者向け住宅「ゆいま~る那須」が、日本建築事務所協会連合会(日事連)が優れた建築物を表彰する「日事連建築賞」を受賞し、2013年頃に筆者が建築賞の受賞作品として取材したのがキッカケだった。当時は、CN協会と連携しながら建築家の高橋英輿氏(現・CN協会顧問)が立ち上げた株式会社コミュニティネットで、高齢者向け住宅「ゆいま~る」シリーズの開発を進めていた。
高齢者住宅支援事業者協会事務局長を務めるタムラプランニング&オペレーティング代表取締役の田村明孝氏によると、高齢者施設は特別養護老人ホームなどの「施設系」と、食事や外出など出来るだけ普段の生活を送りながら必要なケアサービスを提供する「住宅系」の2つに大きく分かれる。さらに介護サービスが包括ケアか、個別ケアか、自立者向けかで14タイプに分かれており、要介護度などに応じて、どの住宅施設を選ぶのかが決まる。
2000年に介護保険制度が始まった当初は国が計画を策定して「施設系」の整備が進められたが、民間事業者による「住宅系」の整備も促進しようと「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」を改正し、2011年10月に「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」制度が導入された。
筆者も不動産流通研究所が2011年1月に発刊したムック本「これが『サービス付き高齢者向け住宅』だ!」の執筆に参加するなど同分野を詳しく取材する機会があった。損保ジャパン、ベネッセ、学研などの大手企業が積極的にサ高住の開発にも乗り出すなかで、「ゆいま~る」シリーズは他とは異なるユニークな手法で開発を行っていた。
■仲間づくりと地域プロデューサーがコミュニティを創成
CN協会は神戸市が発祥で、東京へと活動を広げ、1999年に法人化した。当初は高齢者福祉のための人材育成や高齢者向け住宅の情報発信などに取り組んできたが、2000年代後半からは医療・福祉法人やコミュニティネットなどと協力して高齢者施設の開発に乗り出した。
CN協会では、高齢者の暮らしに関するセミナーや講座を定期的に開催し、協会の理念に賛同する人たちを集めて仲間づくりを行っている。同時にまちづくりやコミュニティ創成に取り組もうという人材を集めて「地域プロデューサー」を養成する事業を展開してきた。
ある地域で高齢者向け住宅のプロジェクトを立ち上げる場合、建物が完成してから入居者を募集するのではなく、CN協会を通じて、そこに住みたいと希望する仲間を集めて、彼らも当初からプロジェクトに参加してもらう。現地には地域プロデューサーが乗り込んで自治体や地元の医療福祉法人など地域社会と交流・連携しながら開発を進めていく。建物が完成した時には、プロジェクトを通じて入居希望者には仲間意識が醸成され、地域社会とも交流関係が築かれているというわけだ。集合住宅(マンション)を入居希望者が共同で建設する「コーポラティブハウス」に近い手法と言える。
筆者も、CN協会のイベントに参加し、地域プロデューサー養成講座も受講したが、とにかく手間もかかるし時間もかかる手法である。しかし、ついの住み家として入居する高齢者にとっては、CN協会を通じて事前に知り合った人たちと安心して暮らし始めることができる。そうした手法で全国13か所に「ゆいま~る」シリーズの名称で高齢者向け住宅を整備してきた。共同墓も「ゆいま~る」のある神戸、東京多摩エリアの八王子、そして那須の3か所にCN協会が建立して運営している。
筆者が代表幹事を務める日本不動産ジャーナリスト会議(REJA)では、コミュニティネット社長だった高橋英輿氏を招き、2015年1月に「1000か所の拠点づくりを目指して」と題して講演してもらった。高橋さんとしては「ゆいま~る」シリーズを全国各地、さらに海外を含めて1000か所に拡大したいという夢を持っていた。
■CN協会が自ら多摩ニュータウンでも共生型まちづくりに取り組む
CN協会とコミュニティネットが共同で「ゆいま~る」シリーズを展開し始めた頃、2014年に発売された本「地方消滅」が取り上げた「消滅可能性都市」が注目を集めた。2015年には民間団体「日本創成会議」が東京圏の高齢化問題に対応するため「東京圏高齢化危機回避戦略」を打ち出すと、内閣府の地方創生本部が「日本版CCRC有識者会議」を立ち上げた。
CCRCとは、米国で広がった「Continuing Care Retirement Community(継続介護付きリタイアメントコミュニティ)」のことで、 仕事を退職した高齢者が健康なうちから移住し、介護や医療ケアが必要になっても終身暮らせる生活共同体である。日本でも、東京圏で急増する高齢者の受け皿となる高齢者施設を地方圏に整備する日本版CCRC構想の議論が盛り上がったわけだ。。
当時、日本でCCRCに近いコミュニティ重視の高齢者施設の開発を全国規模で手掛けていたのは、筆者が知る限りではコミュニティネットぐらいだった。同社の取り組みが注目されるようになり、高橋さんも事業拡大に意欲を見せていたので、2015年12月に地域ヘルスケア産業支援ファンドと資本提携し、資本金を5000万円から3億187万円へと増強。16年6月に日本版CCRC構想に積極的に取り組んでいた三菱総合研究所、7月にあいおいニッセイ同和損害保険と資本提携した。
しかし、これを契機にコミュニティネットの経営権は高橋さんから徐々に離れ、社長を退任することになる。その辺の詳しい事情は聞いてはいないが、コミュニティネットでは、2020年以降「ゆいま~る」シリーズの新規開発は行っておらず、現在は「和気ハウス」などのブランドで高齢者施設の開発を進めている。事実上、大手企業に乗っ取られてしまったようだ。

「那須まちづくり広場」

「ひろばの家・那須」
実働部隊を失い、CN協会では自ら開発プロジェクトを動かしていくことになる。CN協会の近山さんが社長を務める那須まちづくり株式会社では、那須町の旧朝日小学校跡地に多世代交流+介護+福祉のコミュニティ「那須まちづくり広場」を2022年12月にオープン。校庭だった敷地にサ高住「ひろばの家・那須」を建設。2024年4月には2期工事が終わって総戸数が82戸となった。
多摩ニュータウンでも共生のまちづくりに取り組んでおり、2022年には大型スーパー跡地に交流拠点「コミュニティプレイスまつまる」をオープン。23年にも交流拠点「コミュニティプレイスあたご」、就労支援継続B型事業所「共生サロン・まつまる」、高齢者デイサービス「デイルーム・愛宕」を新設しており、将来的には高齢者住宅や会員制介護ベッドなどの設置も計画している。
長々とCN協会の活動を紹介したのは、高齢者向け住宅で暮らした人たちが最後に共同墓をつくることになった背景を理解してもらうには必要だと思ったからだ。ついの住まいで暮らした仲間たちは家族に近い存在であり、亡くなった後に同じ墓に入りたいと思う人が出てくるのも当然だろう。
■急増する近親者のいない高齢者単独世帯の「お墓」をどうするか?
日本の年間死亡者数は2021年に125万人だったが、2030年には165万人に達すると予想されている。2024年の出生数は72万人と過去最少を記録しているので、今後は毎年、100万人近い人口が減少していくことになる。
2023年12月にREJA研修会で講演した前出の田村さんによると、165万人が亡くなる場所は、病院が89万人、介護保険施設が9万人、自宅が20万人で、残りの47万人のほとんどが高齢者住宅で亡くなると想定されている。死亡者の約3割の人が、高齢者住宅の入居者やスタッフたちに見守られながら亡くなることになる。

世帯構成の推移と見通し
どこで亡くなっても実家を継いでくれる家族がいれば、先祖伝来の墓に入ることになるのだろうが、家族の形態も様変わりしつつある。日本の世帯総数は2030年の5773万世帯をピークに減少に転じ、「単独」世帯の割合は2020年の38.0%から2050年に44.3%に上昇。うち65歳以上の高齢者「単独」世帯は13.2%から20.6%へ上昇する。さらに高齢単独世帯に占める未婚者の割合が2050年には男性が59.7%、女性が30.2%となり、近親者がいない高齢単独世帯が急増する見通しだ。
近親者のいない高齢者が亡くなった後に入る「お墓」はどうするのか―。知らない人たちと一緒に入る納骨堂や永代供養墓か、ついの住み家で過ごした仲間が眠る共同墓か、それとも墓には入らずに海などへの散骨か。
90歳となる筆者の母は、子どもが遠くに住んで墓参りが大変だったり、結婚せずに子どもがいなかったりする親類縁者に「うちの墓は納骨室が広いから、一緒に入ったら」とよく勧めている。もちろん、お墓には「千葉家」という文字が刻まれているが、そのうちに「千葉」以外の姓も墓碑銘に刻まれるようになるかもしれない。
今後、世帯総数の減少が進み、未婚者の割合も増えていけば、実家を継ぐ人は間違いなく減っていく。継ぐ人が絶えれば、姓も減って、家族単位のお墓は維持するのが難しくなる。そうしたなかで、「女は三界に家無し」と言われてきた女性は、どの「お墓」に入るのを選ぶだろうか。日経の記事で書いたように、何かの縁で親しくなった「墓友」と一緒に「お墓」に入る人が増えていくように思える。「同姓婚でなければ家族としての一体感を保てない」とか「同性婚は認められない」とか、家族制度やあり方について異なる意見があることは承知しているが、急速に人口減少が進むなかで、人々が孤立せずに支え合って暮らせる社会をどう構築していくかが重要だろう。

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