2008年05月

2008年05月26日

また1歳から・・・

昨日は地元 常安寺で 『栃尾茶会』 が行われた。
例年、5月の第2日曜と決まっていたのですが、諸々の事情で 今年は第4日曜に変更された。
この日は毎年様々な行事が重なる日で茶会を主催する側としては あまり良い日とは言えない。
おまけに昨日は あいにくの雨模様、着物でのお客様も少し少ないようだった。

でも、悪いことばかりではない。
お客様の数が少ない分、来ていただいた方には ゆっくりと時間を過していただけた。
とかく大寄せの茶会というと 席入りの順番を決める整理札をもらい待つ、待つ・・
とにかく ひたすら待つのです。
(お茶を始めたばかりの頃、「待つのも お勉強」 と言われました)

用意した茶席券も いつもの年の半分くらい・・ということで、席にもゆったり入っていただくように
したので、お客様の声も 少し耳の遠い先生にも ちゃんと聞こえ、亭主を務める先生の声も良く届き 会話が弾み、お席も盛り上がりました。
先生101歳お軸の説明茶会の準備をした 5月24日は先生のお誕生日。 
今年で101歳です。
弟子一同で相談して 準備が終わった後に お祝いをしようとケーキを用意していました。  お席の準備が終わり 先生にそのことを告げると・・ 
『誰の?』 という返事 

「すっかり忘れてました・・
いやいや祝ってくれて ありがとうございます」 と丁寧な挨拶をされて、ちょっと大きめのケーキもペロリ! 
皆が揃ったところで、お道具の説明を改めてされました。
特に お床の軸の説明には力が入っていました。(磯野霊山の筆による鐘馗さま)
この軸は とても大きくて(長い) 普通の茶室では掛からないのだそうです。
(確かに、先生のお宅では長さがイッパイ イッパイで下に着いてました)
だから お寺を使わせてもらう この茶会に・・  
そして どうしても5月でなければならなかった・・というのです。 

先生の頭の中は お茶のことでいっぱいです。
いつも 次の茶会、その次の茶事、来年使う道具・・と頭を巡らし楽しそうです。
101歳は また1つからの始まりなのだそうです。 とても清々しいお顔で そうおっしゃいました。
先生の若さの秘訣は その新鮮な気持なのだと思います。

茶会が終わった時間は いつもより早かったので 皆ゆったり片付けをしていると先生は早く帰り
たい様子。  お疲れなのかなぁ〜? と思ったら 相撲の千秋楽が気になっていたようです。
茶会も良くできたし、相撲の結びにも間に合って・・ ご満悦でした 


鐘馗(しょうき)
唐の開元年中、玄宗の夢に出てきた魔を鐘馗が祓い、夢から覚めた時には病も治っていた・・
というところから、わが国では 鐘馗を魔除けの神として (特に家を継ぐ男の子には) 厄が着かぬよう 5月のぼりに描いたり、5月人形にして飾った。
黒い烏帽子に長靴、右手には宝剣を持ち・・というスタイルが定番のようだが、こんなコミカルな
虎に跨った鐘馗さまは 霊山でなければ描けない(描かない)だろう。

2008年05月20日

待つ犬

5月に入って、本当にいろんなことがあり、仕事も忙しく・・
我が家の住人 左助はずっと待っていた。
やはり不貞寝呼んだ?不貞寝






 遊んでもらえないから不貞寝  →  『えっ 呼んだ? 遊ぶ?』  →   やっぱり不貞寝

ここでも待つ仕事場には入ってはいけないことになっているので、左助は 
入り口付近でずっと待っている。
いつも・・ってわけではないけれど、私が出掛ける日が続くと 
過敏になっているのがわかる

箪笥を梱包する毛布を用意しておくと・・  
  毛布 = 出掛ける(納品) と覚えてしまったようで、
毛布の上に陣取って少々抵抗する。
私の 『どいて』 という声の感じで  なのか、 なのか? 聞き分けて反応してくる。
優しく言っていると 「少し遊んでもらえる」 と思うのか? 
毛布にじゃれてくる。  厳しく言えば すぐに退く。 
待つ犬
左助はもうすぐ5歳・・  
この家でのルールはちゃんと解っている。
でも、不安だったり 不満だったりすることが続くと 怒られるのを覚悟でルールを 破ることがある。 そんな時の対応はホントに難しい、ただ怒るわけにはいかない。
逆に 私自身の態度を反省させられることの方が多い・・
面倒くさいと すぐに 『お仕事』 と誤魔化してしまうのだ。
(そんな時は 左助の目を 真っ直ぐに見られません

仕事の時は待たせなくてはいけない。  でも こちらの都合ばかりに付き合わせていて 気が向いた時だけ構ってやるのでは ただ飼っている・・という状態になってしまう気がする。
 と暮らすことは 本当に教えられることが多いなぁ・・ と 痛感している今日この頃です。




2008年05月17日

ふたつに分けて使う

Befer今回の再生は 三つ重ねの箪笥(総桐)を二つに分けて、別々の場所で使うため、それぞれ別の仕上げをする・・というもの。
最近、こういう使い方のお客様が本当に増えてきたし、
私もそのように提案することが多い。

今は、広いリビングにソファ、そして低めの家具。 
寝室には造り付けのクローゼットにベッド。
このサイズの箪笥を そのまま置くのは無理があります 

今回のお客様もリビングに隣接した和室に 上の一段をサイドボードのように使い、下の二段は納戸に入れて お母様の着物を収納する ということでした。
     ●まずは下の2段●
削りっ放しお盆の印「扉の中のお盆がキツイ」 というお客様の指摘があったので引いてみると、なるほどスンナリ出てこない。同じサイズに作ってあるお盆にも実は入れる段が違うと引き難くなります(そのくらいピッタリサイズに仕上げてあるのです)
キツイところを削るのは簡単ですが、私は順番を直して
鋲を打ってしまいます。

これなら入れ間違えることはありませんよね。
納戸に入れてしまうのであれば、塗装はせずに削りっ放しで良いという話にまとまり、
金具も今まで付いていたものを再加工(錆落し+塗装)して使うことにしました。

      ● 上の段 ●
上台完成打合わせの時 「テレビなんかのせられませんよねぇ・・?」 と聞かれたので、補強の意味も兼ねて天板の上に厚めの板を重ねて留めました。 
引き戸にも 中のお茶道具が見えるようにガラスを入れ、
塗装は他の家具と色を揃えたオイル仕上げです。
    画像をクリック  
裏板には お母様の形見の紬を貼ってありますので、拡大してご覧ください。




2008年05月05日

一息つきました・・・

世間様はGW真っ只中・・  五月晴れの気持の良い天候が続き、スポーツにレジャーにお楽しみのこととお喜び申し上げます。

私は?  といえば・・・
相変わらず 『春までに・・・』 の箪笥の製作に追われております。

昨日(4日)は 気温30℃を超える中、ちょと急ぎのお客様の納品日。  
4月中の仕事が押してしまい、取り掛かりも遅くなったのですが、なんとかギリギリ間に合わせ 
遅めの昼食を食べていると・・   ピシッ  かなり大きな音がしました。
クルマに積むだけになった箪笥のところへ飛んでいき、梱包をといてみると、またしても 
(以前にもこんな記事を載せたっけ) 背板が割れていました

急激な気温上昇と乾燥に 古い箪笥の板(特に背板は薄いので)はついていけず割れてしまうことが多いのです。  「古モノは5月の風にあてるな」 と修行時代にも良く言われました。
ぐちゃぐちゃ納品は3時の約束・・ ここからは戦争のようでした。
割れた場所が悪い上に 今回修理した際 しっかり糊と木釘で
とめ直したので、簡単に外すことができず イライラ・・   
変に急ぐと動きがいつもと違ってきて、使った道具をその辺に置いてしまう → 次に使う時に探しまわる → 結局、時間はかかる という悪循環。   作業場を見事に散らかし、大急ぎで 
お客さまのお宅へ向かいました。  
休みということもあって国道は渋滞・・ さらに遅れてしまったけど、板が割れた時点で電話を入れておいたので、お客様は 『大丈夫ですよ〜』 と寛大・・  2時間遅れの納品になりました。

スッキリ今回は 箪笥をお預かりしたお宅が別の場所だったので お客様のお宅に伺うのは初めて。
お部屋の雰囲気はお聞きしていたのですが なんともピッタリと合い、お客様も気に入ってくれた様子でホッとしました。 
でも、まだ頭はテンパッていたんですね・・   
お客様のお部屋に納まった箪笥を  撮影したのに、保存したつもりが 消去してしまったようです。  トホホ・・・
                      (あ〜〜〜 なんでこう いつもバッタバタなんだろう?)

今日は朝から 作業場の掃除をして 次の箪笥を運び入れました。
ちゃんと片付けると 気持も落ち着いて、良い仕事ができる(気がします)