海外に来ているという認識が半信半疑のまま一晩が過ぎ、早朝に目が覚めた。
ロビーで朝食分としてコーヒーを淹れてもらい、荷造りの準備をした。昼過ぎに近くのスーパーが開店し出すというので少し時間を潰し、必要最低限の備品を買い揃えてきた。
昼前だというのにビールである。昨日の飛行機内で飲んだタイガービールに味を占めてしまい、ロング缶2本と中国産であろう漢字で表記されたものも買った。
さっそく飲んでみようと思ったが、ここはシンガポール。路上で飲食をしたら50万円近い罰金を取られるはずだ。実際に街のいたるところで「○○禁止」の標識は多数見つけられたし、ホテル近くのストリートも午前中はアルコール禁止である、的な標識が書かれていた。さすがにこれはマズいな思い、小走りでホテルに戻り、ロビーで飲むことにした。
街を歩いていて少し感じたことが、シンガポールは意外と汚い。ゴミを捨てたら罰金だから、非常にクリーンな国なんだろうと思っていたけど、よく見るとタバコの吸殻とか普通に落ちているし、臭い。もちろん、公共施設内やデパート、金融業の中心地などは美しく保たれているけれど、下町のほうの住宅街は日本とあまり変わらないと思う。だから、あまり必要以上に罰金取られるかもという不安はいらない。けっこう普通の南国なんだなと気が楽になってきた。
リトルインディアのフットプリンツホステルをチェックアウトした後、近くの定食屋でカレーを食べる。ワンプレート8ドル(約680円)のインド料理は、日本で食べたインド料理の店よりもレベルが高かった。わりと居心地のいいホテルであったのだが、この国は物価が高いので長期の滞在は難しい。そう思ったらマレーシアに無性に行きたくなった。よーし、マレーシアに入国しよう。「地球の歩き方」を開いてマレーシア入国へはバスが最適なようであり、国境を越えてくれる国際バスのターミナルを探すことにした。
地図を見たら幸いにもホテル近くにあるアラブ・ストリート という大通り沿いに、マレーシアのジョホールバルまで走っているバスが出る「クイーン・ストリート・ターミナル」があった。よかったよかった、神様はまだ自分を見捨ててはいなかったようだ。 これは良い旅になりそうな予感がするなと思いながら、中国系のバス会社で切符を買い、一路北へ向かった。ちなみに平均3ドルで国境を越えるバスに乗れるというのだから、いかにマレーシアから出稼ぎで来る人や週末にシンガポールへ行こうとしてる人が多いかということがわかる。
イミグレーションに到着し、出入国の審査を受けた。橋をひとつ渡れば、そこはもうマレーシア。橋の横にはパイプラインが並んでいて、どうやら水をマレーシアからシンガポールへ送り込んでいるらしい。経済的に発展しているとはいえ、ライフラインの大部分をマレーシアに頼らざるをえない状況なのは、どうなんだろう。もしも国交断絶されたときにシンガポールに待ち受けている未来はどんな世界なんだろうと余計なことを考えながら、パスポートの準備をした。よろしく、マレーシア。
国境を越えたという興奮もそこそこに手続きを済ませて繁華街であるジョホールバル駅周辺に行くと、国旗とジョホール州旗がお出迎えしてくれた。町のそこらかしこにイスラム様式の建築物が並び、鮮やかな看板の並んだ商店街があり、これが本当に向かいの海を越えた土地なのか、ほんの1時間前に自分が見ていた光景とはまったく違う世界が現れた。 ここはもう、イスラム教の世界なのだ。5年前に歩いたトルコと同じイスラム国家。
この国を味わうためにも、まずは宿探しである。町の中心部にある中国系の旅館、HOTEL.JBにチェックインした。ところが、である。シングルルームは満員だというのでツインの部屋を案内された。部屋の中を見てみたら天井にファンが回っているものの、ネジが少し錆びついているみたいでキィキィと音を立てていた。しかも回転の反動でいまにも外れそうなほどの傷みを見せており、これは少し不安になった。あげくに部屋の壁にヤモリが出てきたことが決定打となり、ここに泊まることはやめた。
これは少し困ったなーと思いながらもセブンイレブンがあったので入ろうかと思ったら、すぐ横に新しくできたらしいホテルがあった。ダメ元で部屋の値段を聞いてみたら、エアコンもフリーWiFiも使えて清潔な部屋があるというではないか。しかも値段はさっき泊まろうとした旅館より安い。悩むまでもなくチェックインを決めた。そして、このホテルがジョホールバルの拠点となり、この街に沈没していく決め手となったのであった。
しかしまぁ、すぐにこういう幸運に恵まれていたあたりが、目に見えない何か大きなものが「この旅をうまくやりなさいよ」と言ってくれているような気がしたな。
ロビーで朝食分としてコーヒーを淹れてもらい、荷造りの準備をした。昼過ぎに近くのスーパーが開店し出すというので少し時間を潰し、必要最低限の備品を買い揃えてきた。
昼前だというのにビールである。昨日の飛行機内で飲んだタイガービールに味を占めてしまい、ロング缶2本と中国産であろう漢字で表記されたものも買った。
さっそく飲んでみようと思ったが、ここはシンガポール。路上で飲食をしたら50万円近い罰金を取られるはずだ。実際に街のいたるところで「○○禁止」の標識は多数見つけられたし、ホテル近くのストリートも午前中はアルコール禁止である、的な標識が書かれていた。さすがにこれはマズいな思い、小走りでホテルに戻り、ロビーで飲むことにした。
街を歩いていて少し感じたことが、シンガポールは意外と汚い。ゴミを捨てたら罰金だから、非常にクリーンな国なんだろうと思っていたけど、よく見るとタバコの吸殻とか普通に落ちているし、臭い。もちろん、公共施設内やデパート、金融業の中心地などは美しく保たれているけれど、下町のほうの住宅街は日本とあまり変わらないと思う。だから、あまり必要以上に罰金取られるかもという不安はいらない。けっこう普通の南国なんだなと気が楽になってきた。
リトルインディアのフットプリンツホステルをチェックアウトした後、近くの定食屋でカレーを食べる。ワンプレート8ドル(約680円)のインド料理は、日本で食べたインド料理の店よりもレベルが高かった。わりと居心地のいいホテルであったのだが、この国は物価が高いので長期の滞在は難しい。そう思ったらマレーシアに無性に行きたくなった。よーし、マレーシアに入国しよう。「地球の歩き方」を開いてマレーシア入国へはバスが最適なようであり、国境を越えてくれる国際バスのターミナルを探すことにした。
地図を見たら幸いにもホテル近くにあるアラブ・ストリート という大通り沿いに、マレーシアのジョホールバルまで走っているバスが出る「クイーン・ストリート・ターミナル」があった。よかったよかった、神様はまだ自分を見捨ててはいなかったようだ。 これは良い旅になりそうな予感がするなと思いながら、中国系のバス会社で切符を買い、一路北へ向かった。ちなみに平均3ドルで国境を越えるバスに乗れるというのだから、いかにマレーシアから出稼ぎで来る人や週末にシンガポールへ行こうとしてる人が多いかということがわかる。
イミグレーションに到着し、出入国の審査を受けた。橋をひとつ渡れば、そこはもうマレーシア。橋の横にはパイプラインが並んでいて、どうやら水をマレーシアからシンガポールへ送り込んでいるらしい。経済的に発展しているとはいえ、ライフラインの大部分をマレーシアに頼らざるをえない状況なのは、どうなんだろう。もしも国交断絶されたときにシンガポールに待ち受けている未来はどんな世界なんだろうと余計なことを考えながら、パスポートの準備をした。よろしく、マレーシア。
国境を越えたという興奮もそこそこに手続きを済ませて繁華街であるジョホールバル駅周辺に行くと、国旗とジョホール州旗がお出迎えしてくれた。町のそこらかしこにイスラム様式の建築物が並び、鮮やかな看板の並んだ商店街があり、これが本当に向かいの海を越えた土地なのか、ほんの1時間前に自分が見ていた光景とはまったく違う世界が現れた。 ここはもう、イスラム教の世界なのだ。5年前に歩いたトルコと同じイスラム国家。
この国を味わうためにも、まずは宿探しである。町の中心部にある中国系の旅館、HOTEL.JBにチェックインした。ところが、である。シングルルームは満員だというのでツインの部屋を案内された。部屋の中を見てみたら天井にファンが回っているものの、ネジが少し錆びついているみたいでキィキィと音を立てていた。しかも回転の反動でいまにも外れそうなほどの傷みを見せており、これは少し不安になった。あげくに部屋の壁にヤモリが出てきたことが決定打となり、ここに泊まることはやめた。
これは少し困ったなーと思いながらもセブンイレブンがあったので入ろうかと思ったら、すぐ横に新しくできたらしいホテルがあった。ダメ元で部屋の値段を聞いてみたら、エアコンもフリーWiFiも使えて清潔な部屋があるというではないか。しかも値段はさっき泊まろうとした旅館より安い。悩むまでもなくチェックインを決めた。そして、このホテルがジョホールバルの拠点となり、この街に沈没していく決め手となったのであった。
しかしまぁ、すぐにこういう幸運に恵まれていたあたりが、目に見えない何か大きなものが「この旅をうまくやりなさいよ」と言ってくれているような気がしたな。