(中篇からの続き)




そして1800年代から1920年代にわたるまで、時代はずっと「金本位制」という固定相場制でした。

アメリカは共和党政権下での関税引上げ政策を長く続けてきたことで――言い換えれば、保護貿易国を続けてきたことで――、いつの間にか金準備(現代でいうなら外貨準備)を築き上げていました。

ゴールドラッシュという「ラッキー」もありました。

1913年の時点の金準備は、イギリスが1.6億ドル、フランスが6.7億ドルだったのに対し、アメリカは13億ドルもあったのです(「ゴールド」、p303)。

さらに、遠くの戦争(第一次世界大戦)という「ラッキー」も発生します。

第一次世界大戦ではヨーロッパ各国――特にイギリス――に戦費を貸し付け、巨大な債権残高を築き上げました。

そして債権国の座に就いたことで、金融緩和も金融引締めもできるという「自由度」を確保したことが、アメリカの経済政策をラクにしたのです。








1920年代のアメリカは、これといった被害の無かった第一次世界大戦での戦勝国として、すさまじい経済発展をしました。ダウ平均株価も上昇の一途を続け、FRBは1929年頃にかけて連続的に利上げをすることができました。

利上げの甲斐あって1929年に株価が急落して世界恐慌に突入したあとは、こんどは逆にFRBは(というか、当時のルーズベルト政権は)金融緩和に転じることができました。

このように、1920年代から1930年代にかけて自由度を確保した金融政策を遂行できたことが、アメリカを単独の超大国の座へと導くことになりました。






このように、アメリカでは

■共和党→関税引上げor法人税減税で経済成長促進
■民主党→金融緩和で不況脱出


という、二大政党制によるバランスのとれた政策転換ができるのです。

不況になったら選挙で民主党に政権交代、好況になって経済成長を考える余裕がでてきたら共和党に政権交代、というように、その時々で政権交代をすることができるのです。

二大政党制を構成するだけあって、どちらの政党も強力な政策ツールをもっているのです。







話はそれますが、こう考えると実はいまの自民党清和会の政策は不思議な政策です。

なんと、同一政党の同一派閥が、法人税減税と金融緩和の両方を政策として採用しているのです(仕掛け人の山本幸三氏は清和会ではなく宏池会ですが)

たとえば失業者問題を考えましょう。

インフレ率を高める金融緩和は、失業率を押し下げます(このことをフィリップス曲線といいます)。

自民党清和会は親ビジネスですから、他派閥や他党は戦略上対抗軸の弱者対策として先に金融緩和を打ち出すべきだったのです。

しかしノーベル経済学賞ゼロ人国家のお花畑脳味噌では、そんなことを考えることはできませんでした。

とにかく「ハンターイ」「ハンターイ」していれば、それで満足だったのです。

その結果、法人税減税と金融緩和という二大政策を両方とも自民党清和会にとられてしまったのです。

「り…りょうほーですかあああ~」

いまは若者(=高失業率層)が保守化して自民党支持に転じていると言われますが、それは自民党清和会が――アメリカ民主党顔負けの――弱者(失業者)対策たる金融緩和も政策として採用したからなのです。

他派閥や他党の支持者の皆さん、ここ、わかります? 

無理か・・・笑








さらに、トランプ大統領が「国境調整税創設」や「法人税減税」といった政策を打ち出すのも、実は自然なことだということがわかります。

なにも知らない日本人は「トランプ大統領の保護貿易主義ガー!」とか叫びますが、実は保護貿易こそが共和党の根幹政策だからです。