時蔵のこんな話あんな話

 持続化給付金が振り込まれるまでは気が気でなかった。というのも4月、5月の仕事はすべて飛んでしまい、1本も仕事がなくなり、銀行通帳の残高が残り少なくなってきたからである。それでも、かろうじて持ちこたえられたのはグッズ販売が出来たお蔭である。
 
 今年の謝楽祭も飛んでしまい、大量に仕入れた物品を何とか生かせないものかと考えた挙句に思い付いたのが、それを販売することであった。目ぼしい手拭いは結構売れた。中には販売価格に上乗せをして、これでビールでも飲んで下さい、などという泣かせるお客さんもいらっしゃった。

 先日、散歩で人形町あたりを散策していたら、以前入ったことのある飲み屋さんの店頭で弁当を販売していた。その店で販売しているのか、あるいは店頭を借りて他の業者が販売しているのかは分からないが、今はそんなことでもしないと営業が成り立たないのだろう。みんな大変なんだ。

 おそらく6月も仕事にはならないだろう。もし、落語会を開いたとしても、果たしてお客さんがお出でになるかどうか分からない。コレラ対策はこれだけやっておけば充分ということはない。お客さんを集めるということは密をあえて作ることである。1日も早くコロナ騒ぎがおさまることを願うばかりである。

 先日、アベノマスクが届いた。かみさんと1枚ずつ使うことにしたが、今まで使っていたマスクに比べるとだいぶ小さい。わざわざ金を払って買おうとは思わないが、小学生が使うにはいいかも知れない。しかし、せっかくいただいたものだから、ありがたく使用させていただくことにした。

 そして、きょうやっと持続化給付金が入金された。ここ毎日のように銀行に通い、記帳をしに行っていたが、久々に通帳に記帳の音が響いた。それでもすぐには信用できず、何かの料金が引き落とされたものかと思い通帳を覗いて、やっと入金が確認された。オンライン申請から22日目である。

 すぐに帰宅し、今までメールで励まして下さったり、慰めて下さった方々にメールを送ったが、みなさん喜んで下さった。落研後輩の九十九里の酒屋のオーナーなどは、あと2回ほど給付を希望したいってな図々しいことを言ってたが、後日「コロナ厄払い給付金散歩」を行ないたいとも言ってきた。結構だねえ、やりましょう。

 これまで、国税、地方税、酒税など様々の税を払ってきたが、真面目に納税して来てホントに良かった。
 持続化給付金と掛けて、不通になっていた新幹線がはるか彼方に見えた時と解く。そのココロはやっとのぞみが見えてきました。

 

 仲間のホームページなどを覗くと持続化給付金がすでに振り込まれたという方があるのだが、アタシは未だ振り込みがない。何か手続きに手違いがあればメールが来るとのことなのだが、それもない。そこでマイナンバーカードを見直してみると、電子証明書の期限というのがあって、実はこれが切れていたのだ。

 今年に入って、役所から封書が届いてその期限切れが近づいているので、手続きをするようにとのこと。どういうことかと問い合わせてみると、各種証明書などをコンビニで電子申請する際などに必要なのだという。しかし、アタシは証明書などは近くの出張所で申請しているし、これからも必要ないと思い手続きしなかったのだ。

 しかし、ここにきて思いもよらず電子申請をすることになり、マイナンバーカードが無効になっていて不都合があったのなら、次に再申請する時に無効とならないために取得しておかなければならないと思い、区役所に申請することにした。この時期だからさぞかし混んでいるんだろうと覚悟して行ってみたが、それほどでもなった。申請書を書き、窓口に呼ばれるまでが20分、それから待つこと35分、ちょうど1時間で申請が済んだ。

 すでに2週間はとうに過ぎているんだが、きょうもメールが来ない。メールが来ないうちは再申請するわけにもいかず、ウーン、どうする。経済産業省の役人さんも死にもの狂いで仕事に取り組んでいるんだろうから、もう少し待ってみようか。そうするしかない。

 外に出かけることが少なく、家にこもることが多くなり、どうしても身体がなまるので散歩に出かける機会が多くなった。一番気に入っているのが、隅田川テラスである。少し長めに歩きたい時は中央区側にして、短めの時は墨田区側を歩くことにしている。

 中央区側は佃のビル街の近くまで歩くと往復で1万歩になり、墨田区側だと8000歩になる。しかし、これからの季節、暑くなると日陰になる中央区側の方が楽である。花壇があったり、犬が遊ぶスペースがあったりで、犬の散歩やアスリートがその中を駆け抜けていく。

 そして、ここにきてテレワークやら、アタシらみたいに仕事がない人が増えたせいか、釣り人が増えた。ほとんどは釣るとすぐにリリースしてしまうので、何が釣れるのかは分からない。ところが、先日はちょうど釣り上げた場面に出っくわした。

 25センチくらいの形のいい魚なのだが、どうやらスズキらしい。ボラかハゼしか釣れないだろうと思っていたから驚きだった。こんなのが釣れるのなら、たとえ遊びとしても面白いだろう。家にこもることが多くなったが、皆それぞれに楽しみを見つけて遊んでいるようだ。

 落語会をやらせてもらっている料理屋のおかみさんからマスクが2枚届いた。布の手製のマスクなのだが、その柄を見たら、なんとアタシの手拭いなのだ。薄めの緑色の陰蔦を吉原つなぎのようにあしらって、端っこの消し札に林家時蔵と名前が書いてあるというもの。

 この手拭いは以前から使っている柄のままなのだが、型紙が傷んで2度ばかり作り直ししてもらっている。前回、そろそろ柄を変えようかと思って連絡したら、手拭い屋さんが気を利かして型紙を新しくしましたから、と言われてデザインを変える機会を逃してしまった。

 このマスクは洗って何度も使えるので、当分は間に合う。アベノマスクは未だに届かないが、まだ全体の10パーセントも配られていないとのことだ。もうアタシはいらないので、医療機関の方にでも回してもらいたい。しかし、使い勝手が悪いらしいから、果たして使ってもらえるかどうか、、、。

 このところ、やたらと落語協会からメールが来る。きょうは今月いっぱい寄席はすべて休席にするというメールがあった。そして先日、持続化給付金の個人事業主向けの案内があった。それによると、経済産業省のサイトに詳しく載っているというので覗いてみたが、どーもよく分からない。

 とりあえず、関係するところをプリントアウトしてみたら、20枚以上になってしまった。そして、何度も読み返してみたのだが、アタシにはむずかしくて手に負えない。要するによく分からないということがようやく分かったのだ。仕方がないので、パソコンと手続きに詳しい強力な助っ人に頼むことにした。

 時間をつくってくれて家に来てもらい、その操作を脇で見ていたが、その手際の良さに驚いた。なんでこんなことが分かるのか不思議で仕方がない。IT関係の仕事をしているならともかく、アタシが用意した資料を基にすべての作業を終えてくれた。

 アタシがやっていたら3日かかっても出来ないだろう。これで後日、アタシの銀行口座に現金が振り込まれるはずだという。いくら振り込まれるか分からないが、そうなったら、助っ人を引き連れてどこかに繰り出してみたい。しかし、このコロナ騒ぎがおさまらないことにはどうしようもない。困った世の中になったもんだ。

 

 

 9月の謝楽祭が中止になったため、噺家グッズを販売するとお知らせしたところ、注文が入った。現在のところ、手拭い11本、扇子2本、真打口上書1といったところ。ここまでの注文が入るとは思っていなかったので、ありがたい限り。まだまだ、たくさんありますので、どうぞメールでお問い合せ下さい。

 そして、謝楽祭は中止になったけれども、アタシはまだあきらめていません。秋頃にでもコロナ騒ぎが収まって、また行なえる場所があれば「ちんちろりんの店」を出したいと思っています。仲間を何人か誘ってやろうと思っていますので、それにふさわしい場所があれば提供して頂けますと助かります。

 すべての仕事がなくなり、外にも出かけられないという状態が毎日続いている。仲間も皆同じだろう。そして外に出るにはマスクをしなければならない。我が家にはまだアベノマスクは届いていない。世間ではマスクが足りないと騒いでいる。

 アタシのマスクは3月にあった和ライブの会で鳴り物師の笛の先生から頂いたものが手許にある。そして、きょう又、会報と一緒に送られてきた。誠にありがたいことである。通販でも販売されているが、以前よりはだいぶ高い。高いけれどもしないわけにいかないから、始末に悪い。

 そういえば先日、近くのスーパーに買い物に行った際、マスクをするのを忘れてしまった。どうせ近くだから、いいやと思っていたら、レジの所で店員さんがアタシが話しかけるたんびに後ろに後ずさりする。初めはどうしたのかと思っていたのだが、アタシがマスクをしていなかったからである。これは気を付けないといけない。

 落語協会からメールがあって、今年の夏の総寄合、圓朝忌、謝楽祭はすべて中止になった。いやあ、参った。今年も謝楽祭に向けて、すでに準備を始めていて扇子、手拭い、その他グッズなどを仕入れ、今年必要な数だけはすべて揃えていたからだ。今さら中止はつらい。

 そうしたら、謝楽祭の常連のお客さんから、今年は中止するとの話は本当ですかと問い合わせがあった。その旨返事をすると、早速グッズの注文が入った。2020年落語協会新真打の3点セット(扇子、手拭い、真打昇進の口上書き)、神田伯山の3点セット、柳亭小痴楽の3点セットである。

 早速、屋根裏部屋に上がり探したところ、小痴楽は手拭いと扇子のみだったが、あとは全部揃っていた。おそらくお買い上げとなるだろう。この常連さんは今年の芸協まつり、謝楽祭が中止となり、それに加えて大阪の彦八まつりも中止になったら、今年はどこに行けばいいのかと途方に暮れていた。

 そんなわけで今年は謝楽祭が中止となったため、芸人のグッズを通信販売することにしました。8代目黒門町の桂文楽師匠の手拭い(その他、若手からベテランまでいろいろ)や、扇子、浴衣、風呂敷、真打昇進披露口上書、新宿末廣亭ポスター、両国寄席チケット、特価扇子(1000円)、特価手拭い(200円、400円)などございます。ご希望の方はメールでお問い合せ下さい。

 月に1回、近所の病院の整形外科に通っている。ヒアルロン酸の注射を右膝にしてもらっているのである。アタシは過去に両膝とも半月板の損傷で手術を受けており、ハナは右膝の方が調子が良かったのだが、いつからかそちらの方が具合が悪くなり、ここ何年も注射をしてもらっている。

 最近はコロナウイルスの影響で、外来でも受付で簡単な検査があり、今月は検温に加えて簡単な問診があった。主に体調に関するものであるが、身体がだるいことはないかとか、熱が出たことはないかとか、食べ物の臭いを感じないことはないかとか、そんな質問である。

 いつも通り、受付で保険証と診察券の確認があり、機械に診察券を通して受付票をもらって3階の整形外科の窓口に差し出す。ところが、この日は待合室がガラガラである。いつもの4分の1といったところ。そのため、いつもは3、40分待つのは当たり前だが、15分程で呼ばれた。こんなことは初めてである。

 ドクターもコロナの所為で外来の少ないことを話題にしていたが、こんな所にまで影響があるとは思わなかった。注射が済み、次回の予約をしてから階下へ降り、会計を機械で済ませて30分ほどで済んでしまった。あまりにも早く帰宅したので家族も驚いていた。

 テレビを見れば新型コロナウイルスのことばかりであるが、力士やアナウンサーやタレントが感染をしたことが伝えられるが、こういう時に噺家はまず感染しない。何故だかは分からないが、こういう騒動に巻き込まれることがないのだ。もし、1人でも感染したら、仲間うちで大騒ぎになるだろう。

 

 午後に落語協会から電話があり、緊急事態宣言がなされた場合、寄席の興行を5月6日まで休席にするとのこと。そして、夜になり安倍総理からその宣言が発せられ、落語協会の決定通りとなった。毎年5月の上席の昼席は浅草演芸ホールで木久扇のトリとなっていて、一門が総出演することになっている。

 アタシも藤兵衛、正雀と共に出演することになっているが、果たしてどのようなことになるのだろうか。初席、夏の盆興行と並んで5月の連休は寄席の書き入れ時である。それだけに残念であるが、ことがことだけに仕方がない。このところキャンセルやら、中止の話ばかりである。

 そんな中メールがあり、また中止になるものと思われた6月の東洋大学の文化講演会は中止ではなく、11月に延期となった。こんなありがたいことはない。それというのもこのイベントは大変人気があるとかで、4月1日から募集をかけたところ、5日までに100名以上の応募があったという。

 それならばというので中止でなく、延期となったようだ。早速、当日の出演者の皆に連絡を入れた。このところキャンセルばかりの連絡にがっかりしていた連中も大変喜んでくれた。尤も、その頃に新型コロナウイルスの騒ぎがおさまっているいうのが前提である。ぜひともそうなっていてほしいものである。
 

 かつてアタシがテレビの仕事をしていた頃、志村けんさんの「バカ殿」に呼ばれたことがあった。今から10年以上前のことであったが、正月の特番で朝早くに祖師ヶ谷大蔵のスタジオに向かった。この番組がどのように収録され、また志村さんがどんな人なのかと大変興味があった。

 アタシは呉服屋の主人の役で用意された着物に着替えたが、あまり粋な着方をしないようにと注意された。出番までの間、ずっと志村さんの芝居を見ていたが、すでにセリフも動きもすべて頭に入っているようで、NGなどもなくスムースに順調に進んでいた。

 端から見ているとゲストと共にコントを楽しそうに演じていたが、驚いたのは大変なヘビースモーカーだということ。コントの切れ間のほんの2、3分の間にもADやマネージャーが灰皿を持って来てたばこを指し出す。1時間の間に何回もだ。当時は1日に3箱ほどを吸っていたようだ。

 4年ほど前に肺炎を患って入院し、それを機会に煙草を止めたそうだが、長年にわたって煙草を吸っていると、肺の機能は元通りにはならないようだ。それにしても、あんなに面白く楽しいコントを演じていたあの志村さんが新型コロナに勝てずに亡くなるなんて夢にも思わなかった。

 人柄は見ていただけでは分からないだろうが、とてもシャイで真面目な方のような印象だった。コントはちょっとした間の狂いがあっても笑いが取れない。個人的にはひとみばあさんや芸者が大好きだったが、あの姿がもう見られないというのはどうにも残念でならない。長い間ご苦労様でした。どうぞ、ごゆっくりお休みください。

 池袋演芸場の新作落語台本まつりが終わった。28、29日の土日は落語協会の判断で、すべての寄席は休席となった。そして楽日の30日だけは行なわれることになった。その日はアタシのトリの担当日で「隣の男」を演じることになっていた。

 決まったことなので出かけて行ったが、果たしてお客さんは来てくれるのか。入りが良くないのは覚悟して行ったが、それでも立派にツバナレ(10人以上のお客さん)している。こんな外出自粛の日でもお出で下さる方がいらっしゃる、頭の下がる思いだ。

 楽日のトリということで気合を入れてしゃべったが、少し気負い過ぎて空回り気味だった。それでもお客さんは最後までお付き合い下さった。来年はこんな新型コロナ騒ぎのない中、平穏な世の中での新作落語台本まつりになって欲しいと思う。

 今年2回目の独演会が無事終わった。いや無事とは言えないかも知れない。新型コロナウイルス騒ぎの中で行なったわけなのだが、一番気になるのは果たしてお客さんが来るかどうかということ。実際に行なうかどうかとの問い合わせが前日から何件かあった。

 少しでもお客さんの不安を解消しようと、会場に早めに行って二つ目と前座と一緒に椅子の間隔を空けた並べ方に変更した。ここはパイプ椅子なので、その辺の融通は効く。だが、どの位の数を並べていいのかさっぱり見当がつかない。結局、40強並べることにした。

 開場前にお客さんが待っていたので早めに開けたのだが、その後が全く続かない。お出でになったのは問い合わせのあった方ばかり。いつもの常連さんや何があっても、この方はお出でになるであろうという方はほぼ全滅の状態。新型コロナウイルスにはかなわなかった。

 落語協会主催の黒門亭の興行も4月はすべて休むことになり、また寄席の興行も続けられるかどうか分からない。この騒ぎがおさまるのはいつのことになるんだろう。仕事が次から次へと飛んでしまい、仲間はみなそのことを心配している。
 独演会の入りと掛けて納税期と解く そのココロはシンコクだねー。 これは、笑えませんよ。

 毎月行なわれている松丘亭寄席は今月も行なわれた。いつもは大広間を使っての落語会であるが、この日は本堂を使っての会となった。先月と同様玄関にアルコール消毒液とマスクが用意され、手の消毒とマスクの着用が義務付けられた。

 こんな非常事態なのでおそらくお客さんも少なかろうと思っていたが、さにあらず、お客さんの数は普段と変わらなかった。ただ椅子の並べ方を工夫して間隔を60センチほど空けて設置されていて、いつも通り午後6時の梵鐘が鳴り終わると同時に前座が高座に上がった。

 午後8時頃に終わり、いつもならお客さんと広間で打ち上げが行なわれるところだが、この日はなし。出演者は常連さんと駅近くの中華料理店に行き、打ち上げを行なった。その後、スナックに向かいカラオケとなるところだが、さすがにこの夜は遠慮することになり、いつもよりも早いお開きとなった。

 また本日、落語協会から電話があり、この28日、29日の土、日の両日は東京都の要請により、3軒の寄席を休席することになったとの連絡を受けた。そして、31日の余一ゴルフコンペもこのような社会情勢を考慮して中止することになってしまった。

 池袋演芸場恒例の新作落語台本まつりが始まった。これは毎年、落語協会が募集している新作台本の中から優秀な作品を選んで、それを落語協会会員が演ずるものである。今年も3月下席の10日間、トリは日替わりで勤める。アタシは楽日のトリを勤めることになっている。

 そして、本日3日目の出番があり、池袋演芸場に行って来た。平日なので果たしてお客さんが来るのかと心配したが、浅い出番であったにもかかわらず30名以上の方が席を埋めていた。またお客さんのウケもよく、気持ちよく務めさせていただいた。

 前日の日曜と初日の土曜日の入りも8割ほどの席が埋まっていたという。どうやら新型コロナウイルスの影響は寄席に限ってはなさそうな感じである。しかし、楽屋にはウイルスに対する対策についてという張り紙があって、注意を喚起している。主なものを抜粋すると次のようなものである。

 楽屋入りの際には手洗いをすること。こまめに喚起をすること。楽屋での飲み物は紙コップで提供すること。楽屋での食事、打ち上げの禁止。楽屋内へのお客さんの立ち入り禁止。お客さんとの握手、記念撮影の禁止。体調の悪い時は寄席を休むこと。ウイルス検査陽性となったら、事務局に早急に連絡すること。といった按配である。

 落語協会主催の黒門亭の会議があった。このところの新型コロナウイルスの影響で、黒門亭も中止に追い込まれている。しかし、来月の顔付けをしないわけにはいかないので、今月も会議が行なわれた。話し合いの結果、来月の顔付けはすでに中止になったメンバーを優先して、出来れば中止になったメンバーのままとすることになった。

 それはそうと、世間ではすれ違う人みながマスクをしているのだが、噺家はマスクをしていない。どうしてだろう。仲間を信用しきっているのか、それとも自分だけは大丈夫だと思っているのだろうか。もっとも、高座ではマスクをしたまましゃべる者は誰もいない。従って、マスクをするのが面倒なのだろうか。

 先日も今年9月に行なわれる謝楽祭の初会合があったが、マスクをしている者は一人だけであった。女流なのだが、彼女はもともとひどい花粉症なので、年が明けるとまもなくマスクをするのが常である。したがって、そのマスクもおそらく花粉症対策なのだろう。

 そういえば、事務員もマスクをしていない。部外者はあまり出入りがない事務所だけれども、やはり、皆を信用しているのだろうか。どういう理由なのか未だに分からない。落語界は新型コロナウィルスなど何とも思っていないのだろうか。コロナウィルスにめげず、きょうも寄席は休まず営業を続けている。

 

 今年もお江戸両国亭で「和ライブ」の催しがあった。去年と同じような企画で、長唄と落語の「あたま山」の共演でアタシが落語で演じるわけである。去年は馬楽師匠が出演の予定であったのだが、公演の直前に亡くなったので、アタシが代演を務めることになったのである。

 去年も鳴り物入りで演じたのだが、去年は長唄の師匠方が出囃子から鳴り物まで演奏して下さった。そして、今年は間に入った方の意向で落語芸術協会所属のお囃子さんが演奏して下さることになった。しかし、内容は同じでも今年は客席の状況がまるっきり違う。

 新型コロナウイルスの影響で公演の中止が相次いでいて、この公演も中止になるのではないかと危惧していたのだが、主催者の方から連絡があり、もし、無観客公演になったとしても、ビデオで録画してユーチューブで流すので、予定通り開演するとのこと。いやあ、ありがたい。

 そんなわけで、どの位お客さんが来るのか予想がつかず、20名もお出でになればいいと思っていたのだが、30名以上がお見えになったのはありがたい限り。しかし、高座から客席の様子を見ると、皆さんが残らずマスクをしていて妙な光景だ。だが、これは仕方がない。

 そして、熱心なお客さんからはお手製のマスクを数枚頂戴した。とにかく店では売っていないので、これもありがたい。いつまでこんな状況が続くのかは分からないが、早く通常の客席に戻って、いつも通りの雰囲気で演じられるようになってほしいものである。

 新型コロナウイルスの所為で仕事のキャンセルが続いている。先日も落語協会の事務所に寄った時に、深川落語倶楽部の会員のS師匠と二つ目の女流のKがいたのだが、キャンセルや延期ばかりで今月は仕事にならないとのこと。忙しいSが事務所に長居すること自体がそれを物語っている。

 アタシもこの日は山梨での仕事があり、楽しみにしていたのだが、なくなってしまい、見る予定のなかったあんこが出演するテレビ番組を見ることになってしまった。知り合いの中にはビデオに録るから番組名を教えてくれと言われていたが、思った通り、ビデオに録るほどの番組ではなかった。

 山梨の仕事を楽しみにしていたのは、相方が浅草の芸者さんだったからである。2人で90分やることになっていたので、アタシが落語30分を2席やり、その間に芸者さんが挟まって、三味線を弾き、立ち上がって踊りでも踊るような段取りを考えていたのだが、誠に残念である。

 それ以上に行き帰りの車中で隣り合わせとなり、いろんな話が出来たであろうことが出来なくなってしまったことである。今後はあんことの親子会などがあるが、これもキャンセルしてくるお客さんがすでに出ている。果たしてどうなるか、先が見えないだけに大いに不安である。

 歯科治療が終わった。奥歯の根が折れてどうにも痛くて駆け込んだのだが、今回は近所の歯科医でなく落語協会の賛助会員だった先生の所に通った。今回通った回数は4回。近所の歯科医では1回の診療が15分か20分で終わって、また来週ということが多いのだが、ここは違う。

 長い時は1時間以上にわたる時もある。その間、口を開けっぱなしで辛い時もあるのだが、回数が少ない方がはるかにありがたい。そのため、ここの歯科医にかかる仲間も多い。事実、今回も帰りがけに真打のB師匠に逢った。そういえば、以前にはこんなことがあった。

 アタシが治療を受けている時のこと。歯科助手の方が「先生、今電話があり、Iさんがきょうは来られないそうです」という。先生が「ふーん、急に仕事でも入ったのかな?」と言う。あとで分かったことだが、このIさんというのはアタシの同期のS師匠であった。

 そのため、アタシは先生に「我々の仕事はそんなに急に入ることはないですよ」と言ったのだが、後日、寄席でご当人に逢って、その理由を訊いてみたら、果たして「ああ、あの日はね、前の夜に呑みすぎて気持ち悪くて、口を開けるとゲェ〜とやりそうだったんで休んだんだよ」とのこと。やはり、仕事じゃあなかった。まあ、噺家らしいといえば、それまでなんだが。


 

 

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