地獄谷野猿公苑 ふぃーるどのーと

お猿の温泉でお馴染み、長野県は地獄谷野猿公苑のニホンザルの生活や季節の動植物の話題など、毎日を猿と共にする公苑スタッフの日記です。

赤ちゃんたちの成長

7月12日(金)あめ☔️時々くもり☁️

最低気温20℃最高気温21℃
サルたち公苑来苑時間10:00

最近のサルたち公苑滞在状況
3日(水)9:00〜17:00
4日(木)8:30〜17:00
5日(金)11:35〜17:00
6日(土)8:30〜17:00
7日(日)9:10〜17:00
8日(月)9:00〜17:00
9日(火)9:40〜17:00
10日(水)8:30〜17:00
11日(木)終日サルたち不在…数頭のサルは公苑に来ていた

【7/3~7/12までのサルたちの様子】
遅い梅雨入り後、なかなか雨は降らず。

暑さも本格的になり、標高800mほどある公苑でも30℃近くまで気温が上昇する日が多くなりました。

今週に入ってから梅雨らしいような雨続きの天気。

激しい雨が長時間降り続けていた事もあり、11日はサルたち公苑に来ませんでした。

かわりに、群れの一員であるメスが公苑に来ました。

そのメスは、4月後半の新芽の季節の頃から食べ物に夢中なのか群れと離れて行動していました。

元々群れの端っこの方で過ごしているタイプのメスでしたが、新芽が出始めると500m〜1kmくらい群れから離れてお目当ての食べ物を食べていました。

日を追うごとにこのメスは群れからどんどん離れて行動するようになり、現在はほぼ別行動をしている状態。

公苑のサルたちが苑内にいる時は姿を見せず、公苑のサルたちがいない時に姿を見かけます。

4月〜5月の頃は、そのメスとその子供たち4〜5頭で小さなグループになって行動を共にしていました。

ところが6月後半くらいからは、子供たちは公苑の群れと合流し戻ってきましたが、そのメスだけは群れに戻らず別行動を続けています。

このまま群れから出ていってしまうのでしょうか。動向が気になります。

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「赤ちゃんたちの成長」
赤ちゃんたちは順調に成長し、元気に遊ぶようになりました。

歯が生えてきて撒かれたエサを食べたりもしますが、まだまだおっぱい中心の食生活。

エサを食べ始めてもすぐにお腹がいっぱいになってしまうのか、食べる事を早々にやめてしまいます。

赤ちゃんは食べる事にすぐ満足してしまう。

でも、お母さんはそういう訳にはいきません。

しばらくは、一生懸命になってエサを食べているので、赤ちゃんはヒマになります。

そうするとヒマに任せて遊び始めます。

画像は、こんな時の風景。

赤ちゃんが二本足で立って(おおよそ30センチほど)手の届く範囲で届くような背の低い木の枝先や、垂れ下がったヒモ状の物に掴まって遊びます。

低い安全な高さのところで遊び、木登りの為のスキルを習得していくのでしょう。

画像の「ロープに手(前足)でぶら下がる」は現在の赤ちゃんたち、生後1ヶ月〜2ヶ月ほどの子たちがよく見せるワザ。

片手だけや足(後足)でもできます。

さすが、サルだなと感心しますが、このワザは赤ん坊や2〜3歳のちびっ子ができ、5歳以降のワカモノ以降は見かけなくなり、10歳以上のオトナでやっているモノを見ません。

やはり、身体の軽く柔らかい内にできる芸当なのかもしれませんね。

双子は稀

7月7日(水)

最低気温 最高気温
サルたち来苑時間

最近のサルたち公苑滞在状況
6月29日(土)サルたち終日不在
  30日(日)8:50〜17:00
7月 1日(月)サルたち終日不在
  2日(火)8:50〜17:00
  3日(水)8:30〜17:00
  4日(木)8:50〜17:00
  5日(金)11:30〜17:00
  6日(土)8:30〜17:00

【6/29〜7/6までのサルたちの様子】
ヤマザクラの実(サクランボ)は終わり、めぼしい食べ物は旬を終えたようですが、ここ最近はサルたち不在が2度発生。

特にこれといって理由があった訳ではなく、サルたち不在の日は強く激しい雨が降っていたので、それが原因かと思われます。

日に日に公苑に来る時間も早くなり、一度公苑に来てくれれば夕方までジッとしてくれています。

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「ニホンザルの双子は稀」
お母さんのお腹に収まる2つの赤ちゃん。

片っ方はよその子。双子ではありません。

ニホンザルは、基本的に一度のお産で一頭の赤ちゃんを産みます。

双子が産まれる事はありますが、極めて稀。

子育ての負担が大きく、与えるおっぱいの量も追いつかない…と、2頭を育てる事が大変難しいのです。

仮に双子が産まれても、片方が死んでしまうか両方死んでしまうかの結果になってしまい、2頭とも生き残れないことがほとんど。

だからそもそも双子を産まない…ということで、双子を出産するケースは極めて稀です。

野猿公苑は、今年で60周年を迎えますが、この歴史の中でも双子は一度きり。その時も片方はおっぱいが足らず栄養不足で死んでしまったと聞きます。

ただ、様々なアクシデントが絡み合った結果に「双子もどき」になるケースは時々発生します。

同じシーズン、同じようなタイミングで出産した母親同士。

何かの拍子に他所の子を自分の子と勘違いをしてしまって保護してしまい、後で自分の子も合わさって2頭を抱えてしまう…そんなケースです。

この双子もどきも、ホンモノの双子同様の「子育ての負担の大きさ」ゆえに育たないケースが多いです。

何年か前にこの双子もどきが発生しましたが、この時は無事に育てることができました。

*双子も双子もどきも、動物園などの飼育下では発生確率が高いのか、報告をよく聞きます。野生下に比べ負担も軽いのか双子も双子もどきも育つことができるようです。

画像のお母さんと赤ちゃん2頭は偶然。

赤ちゃんたちが元気に遊ぶようになったので、友達にくっついて行ったら、相手のお母さんのお腹の中に到着してしまった瞬間です。

夏突入

6月28日(金)

最低気温15℃最高気温18℃
サルたち公苑来苑時間10:15

最近のサルたち公苑滞在状況
21日(金)9:20〜17:00
22日(土)8:30〜17:00
23日(日)…終日サルたち不在
24日(月)9:20〜17:00
25日(火)10:30〜17:00
26日(水)8:40〜17:00
27日(木)8:50〜17:00

【6/21〜6/27までのサルたちの様子】
関東甲信は21日に梅雨入りしたものの、梅雨らしい雨はほとんど降りません。

ただ、23日はかなり激しい雨が長時間降っていて、その為かサルたちが公苑に一日いないという結果になりました。

それ以外の日は、遅刻は相変わらずするものの、早退がなくなりました。

先週まで、公苑に来てから午後になってソワソワする様子もありましたが、この1週間は一度公苑に来るとジッとして過ごすような雰囲気です。

先週までは、サルたちのフンの中にサクランボの種が入っていましたが、最近は見かけなくなりました。

実際、山の中のサクランボは生りも小さく、実が黒くなって干からびて落ちてしまって旬が終わった実を多く見かけます。

本来であれば、サクランボの季節は7月10日前後までですが、雨不足や猛暑も絡んで早めにシーズンが終わるのかもしれません。

サクランボが終われば、春〜初夏の食べ物のシーズンも終わり。

お盆過ぎるくらいまでは、安定して公苑にいてくれるようになります。


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「最後になるかな?」
昨日27日に出産しているお母さんがいました。

その前の出産が16日頃。

間隔がだいぶ空いたので、そろそろ赤ちゃんシーズンも終了かと思った矢先でした。

お母さんはかなり幼く、5歳での出産。

ニホンザルは5歳から出産が可能ですが、それは人間でいうところの10代前半。

画像を見ていただくと判りますが、まだまだお母さんも幼くあどけなさを残しています。

赤ちゃんに対する扱い方もよくわかっていないようで、奇妙な怪し方をしている時があります。

不器用さが垣間見えるお母さんではありますが、どんな生き物でも最初から何でも完璧に出来ることはありません。

誰だって、初めは「素人」で「下手」。いきなり上手に出来るわけはないのです。

少しずつ経験を積んで、赤ちゃんと一緒にお母さんも成長していきます。

出産シーズン最後の頃は初産や経験浅いお母さんの出産か、逆に群れの長老クラスの年配の出産が多いように思います。

いよいよ夏ですね。

植物こらむ 最終回

6月20日(木)はれ時々くもり

最低気温11℃ 最高気温26℃
サルたち来苑時間 9:10

最近のサルたち公苑滞在状況
5日(水)10:00〜17:00 6日(木)10:20〜17:00 7日(金)10:00〜17:00 8日(土)8:30〜17:00
9日(日)9:45〜17:00 10日(月)9:40〜17:00 11日(火)8:50〜17:00 12日(水)9:30〜15:20
13日(木)10:45〜17:00 14日(金)9:10〜14:30 15日(土)9:30〜17:00 16日(日)9:55〜17:00
17日(月)9:15〜17:00 18日(火)11:15〜17:00 19日(水)…終日サル不在 

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【6/5~6/20までのサルたちの様子】
これまで遅刻が多めだったサルたちですが、12日あたりから早退もするようになってきました。

この時期の目当てであるサクランボを求めて、閉苑時間を待たずに山へ帰ってしまいます。

暑さも厳しくなり、公苑でも30℃越えの気温まで上昇します。

暑さのために山の木陰側へ涼みに移動して、そのうちにサクランボの魅了もあってそのまま山へ帰ってしまう…という事もあり、暑さもサル早退の一因です。

野猿公苑での観察は、野外での行動が主です。

苑内観察スペースには建物等がないので、日差しを遮る屋根のようなモノはありません。

直射日光を浴びやすいので、日傘や帽子など日差しよけの対策をしましょう。

苑内での食事は、ルール上お断りしていますが、飲み物に関しては自由です。

積極的に水分補給をしていただき、熱中症に気をつけて観察をお楽しみください。

公苑には、給水機とミネラルウォーターの販売はございます。自販機や水以外の飲料の販売はないので、事前にドリンクをご用意ください。





植物こらむ  最終回

皆さま、ご無沙汰しております。こらむ担当です。

2019年からブログのスペースをお借りして、植物を紹介して参りましたが、今回で最終回とさせていただくことになりました。

最近は忙しさにかまけて、なかなか更新ができていませんでしたが、その中でもブログ担当の方を始め、情報提供者、先立達、一度でもこらむを読んでくださった方、ご来苑いただいた際にお声をかけてくださった方など、いろんな方に支えていただいた5年間だったと思います。
皆さま、ありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。


それでは、最後にご紹介するのはこちらです。
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キリ(桐)
キリ科キリ属
開花時期:5〜6月ごろ


別名をキリノキと言うように、樹木のキリです。

名前の由来は、切るとすぐに芽を出すことから、切る→キリ。
ちなみに、「キリがない」とは「終わりがない」、「キリの良いところ」とは「区切りのよいところ」と言う意味ですが、どちらのキリも「終わり」や「最後」の意味から由来した言葉なのだそうです。


花は5〜10センチほどの長細い鐘状をしています。キリの花自体が、他の山々の花が終わる頃に咲くため、薄ピンク色の花が新緑に綺麗に映え、上を向いて歩いているとよく目につきます。


材質としてのキリは、熱伝導率が低く断熱性が高い、燃えにくい、湿気による狂いがない、軽いなどの特徴があります。そのため、衣服のタンスや、金庫の中材、楽器(琴)などに幅広く使用されています。古いものほど防火性が高まるようで、桐の家具などは使えば使うほど良いものになると言われているようです。

かつての日本では、こども(主に女の子)が生まれたら、庭にキリの木を植える習慣があったそうです。子どもの成長と共に大きくなるキリを、その子が嫁に行く時にタンス(嫁入り道具のひとつ)にして持たせてあげる。そのため、現代でも街中や人家の近くによく見かける気がします。


野猿公苑専用駐車から見て東側の一角に生えています。花の時期には、木の下に花が落ちているのでわかりやすいかと思います。

「最後」に関係のある、季節の植物をご紹介しました。


公苑周辺には、ご紹介しきれなかった植物がまだまだ沢山生息しています。スマートフォン向けアプリ「Biome」では、過去にご紹介した植物を季節ごとに調べる&ご自身で追加することができます。ぜひご活用いただき、ぜひ今後も植物観察もお楽しみいただければと思います。

それではみなさま、お元気で!ありがとうございました。


ニホンザルの自己認識

6月6日(木)くもり

最低気温10℃最高気温21℃
サルたち来苑時間10:15

最近のサルたち公苑滞在状況
1日(土)12:00〜17:00
2日(日)9:50〜17:00
3日(月)9:00〜17:00
4日(火)9:20〜17:00
5日(水)10:10〜17:00

【6/1〜6/4までのサルたちの様子】
標高の高いところでも、新芽は育ち、ほとんどが若葉へと変化しました。

新芽、若葉のころはサルたちも懸命にそれを食しますが、葉が成長して硬くなってくると好んで食べる物ではなくなっていきます。

山の中では、若葉で柔らかい葉と成長して硬くなってしまった葉と混在している状況なのでしょう。

サルたちは遠いところへ行ったり、近いところで過ごしたり…と、行動範囲が定まらない雰囲気です。

もう、そろそろ新芽・若葉・若草の旬は終わり、これからサクラの実の旬です。

駐車場の辺りではサクラの実が道端に落ちているのを見かけますが、実が小さいうちに落ちてしまっていてとても「食べる」というレベルの物ではありませんでした。

雨不足(それでいて短時間に雨量の多い激しい雨)だったり、異常な暑さが続いたりで、ここ数年は山で見かけるサクランボの実りは良くありません。

今年はどうなるのでしょうか。

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「自己認識」
ギリシャ神話に登場する少年ナルシスはとても美しい少年。

彼がある時水面を覗こむと、なんと美しい少年がいた。

それはもちろん水面に映ったナルシス自身なのだが、ナルシスくんは見た事もない美しい少年に一目で恋をしてしまった。

そして、ナルシスくんはその水面から離れられなくなってしまい、そのまま痩せ細って死んでしまったとも、水面の自分にくちづけをしようとして水の中に落ちてしまって命を落としたとも言われている。

いわゆるナルシストの元となったお話。

現代人の私は、そんな話を聞くと「え?水面に映った自分を自分と気付かないことある?」と思ってしまうが、そこは神話。

まあ大抵は、私たち人間は水面や鏡に映った自分を「自分だ」と認識できる。

仮に、大人になるまで鏡という物を知らず、水面を見た事もないというような生活をしていて、大人になって突然に鏡や水面を見て自分が映ったなら流石に「これはなんだ?」と不思議に思うかもしれないけれど、ある程度鏡や水面に映った世界を見ていれば、「なるほど。向こうの世界はこちらの世界の映し返しだ。すると、この人は自分ではないか」と理解することはできるのではないでしょうか。

鏡に映った世界を、こちら側の世界の映し返しだと理解し、鏡の中の人物が自己だと認識できる。

人間にとっては、それほど難しいことではありません。

では、ニホンザルではどうでしょう。

鏡を使った自己認識テストがある。

数日間ほど鏡に慣れされた後、匂い等の視覚情報以外のヒントにならない染料をおでこにつける。

自分の視覚からでは見えないおでこのマークは、鏡を見て「鏡の中の人物が自分である」と認識できたなら「おでこに何かついている」とおでこのマークに何かしらのアクションがある…といった方法で自己認識についてのテストをする実験。

この実験テストでは、霊長類の中でチンパンジーは「おでこについたマークを触る・擦る」といった行動を行い「鏡の中の相手を自己認識できている」という結果になったようです。

残念ながら、こういったテストの中でニホンザルは自己認識はできていないのではないかと言われている。

ただし、訓練をすると「鏡に映った自分の頭上にある物を掴む」という事ができ、鏡の中の世界は自分側の世界の映し返しなのだと理解できる事があるようだ。

鏡を使ったミラーテストでの自己認識は、その研究方法・結果に否定的な意見もあり、これを以て自己認識ができているという確実性はなく、あくまで「自己認識ができているのではないか?」というヒントの一例に過ぎません。

また、鳥類や魚類でもミラーテストに成功しているし、逆にゴリラでもミラーテストは失敗しているので、知能が高いからミラーテストで自己認識が可能という訳ではないようです。

公苑では、温泉を覗き込むサルたちを時折見かけ、自分の顔を見ているのかしら?サルたちは映っている自分を自分と分かっているのかしら?と、疑問に思われる方もいらっしゃるので、今日はこんな話をいたしました。

産まれたコザルの父親はボス?

5月31日(金)

最低気温 最高気温
サルたち来苑時間

サルたち公苑滞在状況
26日(日)8:50〜17:00
27日(月)11:30〜17:00
28日(火)12:20〜17:00
29日(水)12:10〜17:00
30日(木)8:40〜17:00

【この期間のサルたちの様子】
遅刻が続きます。

前回ブログでは「行動範囲が狭くなった」とお伝えしましたが、今週に入ってからまた行動範囲が広くなっています。

遠くからやって来るので、公苑にやって来るのもお昼近くになっています。

公苑に来てくれてからは落ち着いて過ごしてくれるので、早退はありません。

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「赤ちゃんを世話するオス。オスの子供ではない」
ニホンザルには、ボスという群れのリーダーがいる。

群れのサルたちはボスに従い、ボスの主張に対して反対はしない・出来ない…など、ボスのイメージというのを多くの人の中でこう捉えられている事があるのではないでしょうか。

こういった一般的なイメージのニホンザルのボスとは、ニホンザル研究の始まった頃の考え方で、いわば「ニホンザルの考え方ver.1」といったモノで、ニホンザルの研究が進むにつれて考え方も変化しているのですが、一般的にはver.1の状態からアップデートされていない…といった所でしょう。

また、ボスという言葉・イメージが、他の動物のボスや人間のボスなどと混同され、実像と異なるイメージを持たれてしまう事もあります。

その一つが「ボスのハーレム」でしょう。

ニホンザルの群れの中のメスは、ボスのもの…とイメージされる。

ところが、そんなことはありません。

オスもメスも色々な異性と交尾をするので、サルたちの中で「決まった相手とのみ交わる」という、いわゆる結婚・夫婦といった関係性は存在しません。

決まった相手がいないので、サルたちの親子は「産んだ」という事実のあるお母さんしかいません。

とはいえ、ボスをはじめとした立場関係の強い高順位オスは群れの中心でメスたちと長い時間一緒にいる。なんだかんだ言ってメスとの交尾の機会もそれだけ多いだろう。それにボスや上位のオスたちは下位のオスがメスにちょっかい出すのを邪魔できる。

なんだかんだいっても遺伝子を残しているんじゃないか。

…と思わないでもない。

ところが、人間と同じようなDNA鑑定を行ったある親子調査では、群れを形成するサルたちの中でボスや高順位のオスの遺伝子を宿した子というのは少ないという結果もある。

ボスがモテるわけでもないというのは見ていても感じることだが、DNA検査という科学的な視点からもそういうことがいえる根拠の一つである。

ボスや上位陣オスとメスたちは交尾をしないわけではなく、妊娠に関わる期間になると、上位オスから離れて下位オスや群れの外のハナレオスと積極的に交尾している様子があり、「日常的に近くにいるオス=近親関係である可能性が高いオス」を避けて「普段関わりのない下位オスや群れの外のオス=近親関係の可能性が低いオス」との子供を宿し、近親間での交配によるリスクを避けているのではないかと考えられる。

*だから、正確にはボスや上位陣が「モテない」訳ではなく、「子孫を残すための交尾になっていない」というのが正解かもしれませんが。

この近しいオスを避けるメスの行動は、自意識なのか無意識なのかは、たまたま「そういう結果が出た」だけなのか、現状ではサルのみぞ知るところでしょうが、サルたちの行動をよく見ている私は思い当たる節も多い。

メスは、近親間の交尾を避けようとしている。そして、オスも近親間の交尾を続けていけば血が濃くなってしまうことを避けて産まれた群を離れる。

群れから出たオスは、他の群れに移籍しそこでメスたちと交尾をする事もある。単独で暮らし、発情期になるとどこかの群れのメスをちょっかい出すこともある。そこで自分のDNAを残していく。

だから群れから出ていったオスたちは、別の場所での新たなメスとの出会いで「見たことないオスだわ。ステキ」と、新天地で「前よりもモテるぞ?」と感じているかもしれない。

群れにも、群れごとの社会性が変わるので、一つの結果だけで「すべてのニホンザルに当てはまる」とはいえないので、「ボスは意外とモテない」だけが事実ではなくて「ボスがモテる」という群れもあるかもしれない。

けれども、「とにかくボスなら無条件でモテる」というイメージで固まっているものではない事は知っていただきたい。

別行動

5月25日(土)

最低気温 最高気温
サルたち来苑時間9:40(一部のサルたちは8:30に公苑到着)

最近のサルたち公苑滞在状況
19日(日)12:30〜17:00
20日(月)8:30〜17:00
21日(火)9:55〜17:00
22日(水)9:00〜17:00
23日(木)8:35〜17:00
24日(金)12:15〜17:00(一部のサルたちは8:30に公苑到着)

【19日〜24日までのサルたちの様子】
サルたちの遅刻が続きます。

先週まで、

「木々の芽吹きが遅れてやってくる標高の高いところ」

を目指して、山の奥へ奥へと行動範囲を広めていたサルたちですが、今週になってから行動範囲は狭くなりました。

標高の低いところの多くの木々の芽・葉・若草はサルたちが好む食べ頃の旬を過ぎてしまいましたが、他の食べ物よりも旬がずれている食べ物が旬の頃合いになっているようです。

「先週まで頻繁に山の奥にいた。今週もきっと山奥、公苑から遠く離れた場所にいるに違いない」

と、山奥へ入っていくものの、実はもっと公苑に近くにいた…といった具合に、サル探しが空振りした1週間でした。

公苑の近くでハリエンジュ(ニセアカシア)が花を咲かせています。

ハリエンジュの花はサルたちの好物。

こういった遅い旬の食べ物の影響で、広がった行動範囲が一旦狭まるような時もあります。

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「別行動」
サルたちの公苑滞在状況のなかで(群れの一部のサルたち到着)と記しています。

これは、文字通りなのですが、野猿公苑にやって来るサルたちの群れの一部6〜7頭ほどが公苑に来ているということです。

ニホンザルの群れは、サルたち全体なるべくまとまって行動をとります。

群れの中の一部が群とはあまりにかけ離れた所で別行動という事は基本的にはなく、公苑にサルたちがいるときは群れ全体「約200頭全ている」か「全くいない」のどちらかです。

ですが、やはり春〜初夏や秋のシーズンなど、食べ物が豊富な時期は群れとしてのまとまりがやや薄くなって、別行動気味になるサルたちはいます。

別行動が多くなってそのまま群れから出てしまうパターンもあります。

なので、群れのサルが群れから出ていく「離群」は春〜初夏や秋のシーズンに発生しがち。

ただ、ある期間別行動のような状況でも、また群れと一緒に行動することがほとんどです。

出産期ピーク

5月18日(土)晴れ

最低気温11℃ 最高気温22℃
サルたち来苑時間8:30

最近のサルたち公苑滞在状況
4日(土)8:30〜17:00 5日(日)10:30〜17:00 6日(月)8:40〜17:00  7日(火)11:50〜17:00
8日(水)14:20〜17:00 9日(木)12:25〜17:00 10日(金)8:55〜17:00 11日(土)10:00〜17:00
12日(日)10:50〜17:00 13日(月)8:30〜17:00 14日(火)8:30〜17:00 15日(水)12:15〜17:00
16日(木)8:30〜17:00 17日(金)10:30〜17:00

【5/4〜5/18までのサルたちの様子】
前回ブログから大分と間を空けてしまいました。

GW中は開苑時間の8:30くらいには公苑に来てくれていたサルたち。

GWの終わりと共に、遅刻が増えてきました。

山へサルたちを探しに行く時も、日を追う毎にサルたちの痕跡が山の奥へ奥へと続いる様子を見て、サルたちの行動範囲が広がっているんだなという雰囲気を感じます。

サルたちの「食」の跡…食痕を見るに、最近はタケノコ(厳密にはチシマザサの芽なのでササノコ)を食べているようです。

タケノコはまだ出始めで、旬の頃はもう少し先。

タケノコは、公苑から離れた標高の高いところにしか無いので、これから旬を迎えると、遅刻の確率が更に高くなりそうです。


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「出産ピーク期」
4月24日から始まった出産。

GWが終わるまでは、2〜3日に一頭産まれるようなペースでしたが、この1週間ほどはペースが上がって、毎日のように赤ちゃんを確認し、1日に複数の出産があったり…と出産の最盛期に入りました。

現在は20頭とチョットの赤ちゃんを確認しています。

一気に赤ちゃんの出産が増えたので、私も把握しきれている自信がなありませんが…。

今シーズン第一号の赤ちゃんは、もう3週間経過しているので、足腰が強くなって少し歩くようになりました。

お母さんから1~2mくらい離れることもありますが、赤ちゃんがあまり遠くに行ってしまうとお母さんも心配なので足を掴んで「行っちゃダメ」と止めます。

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「いろいろな赤ちゃんの成長の様子が見れる」
ニンゲンの赤ちゃんは、お母さんのお腹から出てくる時に狭い産道を通ってくるので、圧迫されて鬱血したような状態で産まれます。

鬱血したような状態であるため、身体中が赤く、出産後に血の巡りが落ち着いて肌色になります。

生まれた時は赤い…これが「赤ちゃん」の語源です。

サルたちも産後間も無くは、ヒト同様の状態になるので、生まれた直後は顔が赤く、1〜2日程で血の気が引いて肌色になります。

出産期の真ん中のこの時期は、生まれたばかりの赤ちゃんや、チョット成長して歩けるようになった赤ちゃん。元気いっぱいで他のサルたちにイタズラする赤ちゃんなど、いろいろな姿が楽しめます。

GW後半突入

5月3日(金)晴れ

最低気温 最高気温
サルたち来苑時間10:30

最近のサルたち来苑時間
4月24日(水)9:10〜17:00
 25日(木)9:25〜17:00
 26日(金)9:20〜17:00
 27日(土)8:30〜17:00
 28日(日)11:20〜17:00
 29日(月)8:30〜17:00
 30日(火)8:55〜17:00
5月1日(水)8:30〜14:10(サルたち山へ動き出す)〜16:00(サルたち全ていなくなる)
 2日(木)9:40〜17:00

【4/24〜5/2までのサルたちの動き】
山の植物の成長も進み、サルたちの食べる物がこれまでより更に増えました。

標高の高い所も木々が芽吹き、夕方に公苑から山へ移動してから遠いところで夜〜朝を過ごすので、遅刻の頻度が増えてきました。

5/1は、日中にムササビが公苑に登場し、ムササビそのものはすぐにいなくなったのですが、一度パニックになったサルたちは行動が不安定になりました。

天候も悪く、雨が降っていたので、山側の林で雨を避けたい気持ちも手伝って午後の早い時間に山へ帰ってしまいました。

このふぃーるどのーとでも度々話題としていますが、サルたちは何故かムササビやモモンガを大変嫌がります。

原因は不明ですが、低空飛行で木々を飛び交うのがフクロウなどの猛禽類のようで恐怖なのかもしれません。

上空高く飛ぶ鷹・鷲は普段あまり気にしませんが、高度が低くなると警戒するので、やはりムササビ・モモンガも低く飛ぶ猛禽類の類として勘違いして警戒しているのかもしれません。

サルたちは、ムササビ・モモンガを見つけると興奮し、追いかけます。

運悪くムササビたちが追いつかれてしまうとサルたちの攻撃にあいます。

サルたちの攻撃も、元々は「倒すため」ではないので、攻撃は何だか腰が引けたようになっているので、受ける一撃のダメージはそれほど強くないようにも思えます。

ただ、多くのサルたちに囲まれて変わる変わる攻撃されるので、ダメージが蓄積すると死んでしまうケースもあります。

仮に、ムササビ・モモンガが死んでしまったとしても、サルたちの興奮は冷めません。

死んでしまった死体をそのまま攻撃を続けたり、サルたち同士でのケンカに繋がり、発生したパニックが違うパニックに変わってしまいます。

春になり、活動的になるのは人だけでなく、動物たちも同じです。

山の中では、動物たちの不意の衝突も起こりやすくなるシーズンです。

春は食べ物以外でも、サルたちの動きがソワソワとしやすいシーズンなのです。

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「GW後半」
GW後半突入です。

この後半の連休でお出かけする人の方が多いようで、GW前半よりも多くのお客様に来苑いただきました。

先週に第一号の赤ちゃんが産まれて、順調に出産が続き、皆さん赤ちゃんの可愛らしい姿を楽しんでいただいております。

サルたちの動きが不安定になってきましたが、多くのお客様に楽しんでいただけるよう、せめてGWの間だけでももう少し落ち着いて欲しいところです。

出産スタート

4月24日(水)

最低気温12℃ 最高気温14℃
サルたち来苑時間9:20

最近のサルたち公苑滞在状況
15日(月)8:30〜17:00
16日(火)8:30〜17:00
17日(水)8:30〜17:00
18日(木)11:10〜17:00
19日(金)8:30〜17:00
20日(土)9:00〜17:00
21日(日)8:30〜17:00
22日(月)8:50〜17:00
23日(火)8:40〜17:00


【4/15〜4/23までのサルたちの様子】
4月も中盤から後半。

地獄谷よりも標高の高いところの雪もすっかりなくなったので、サルたちの動ける範囲が広がっています。

木々の芽吹きもあちこちで始まっているので、いろんな場所で木の芽や草を食べているようで、開苑時間に公苑に来ていない「遅刻」が増えてきています。

山での食べ物も美味しいのでしょう。公苑で与えるエサの食いつきが少し悪くなりました。

これにより、日中に山へ上がってしまいそうになっても、なかなか公苑に引き戻すコントロールがしづらくなっています。

現状では、閉苑時間前に早めに山へ帰ってしまう「早退」はありませんが、これからは早退も起きやすくなるのかなぁ…と心配なところ。

今週末からGW。

昨年コロナウイルスの位置付けが5類となったのがGW明けの5月8日でしたから、今年はコロナの影響の全くないGWとなります。

せっかくのGWですから、この期間だけでもサルたちの動きが安定して、公苑で落ち着いて過ごしてくれる事を願うばかりです。

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「出産スタート」
出産スタートです。

今朝、産まれたばかりの赤ちゃんを発見し、第一号の出産を確認しました。

赤ちゃんは毛が濡れ、お母さんの毛も血の色が残っていて、産まれて間もないという様子がわかります。

昨晩遅く〜今朝早朝に出産したのでしょう。

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「2頭出産」
産まれたばかりの赤ちゃんの発見をしてから、しばらくするともう一頭赤ちゃんが産まれているのを確認しました。

画像からもお分かりいただけるように、赤ちゃんの毛も乾いていて、お母さんの様子も平常通りという感じなので、気がつきませんでした。

第一発見の赤ちゃんよりも、時間は経過しているようなので本当の第1号赤ちゃんはこちらのようです。

ただ、このお母さんは昨日見かけた際は赤ちゃんを持っていなかったので、こちらの赤ちゃんは昨日夕方〜夜早い時間に出産した模様。

いよいよ、赤ちゃんシーズン到来です。今週末からGWですし、多くのお客様に来苑いただき、可愛らしい姿を楽しんでいただきたいですね。
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