5月31日(金)

最低気温 最高気温
サルたち来苑時間

サルたち公苑滞在状況
26日(日)8:50〜17:00
27日(月)11:30〜17:00
28日(火)12:20〜17:00
29日(水)12:10〜17:00
30日(木)8:40〜17:00

【この期間のサルたちの様子】
遅刻が続きます。

前回ブログでは「行動範囲が狭くなった」とお伝えしましたが、今週に入ってからまた行動範囲が広くなっています。

遠くからやって来るので、公苑にやって来るのもお昼近くになっています。

公苑に来てくれてからは落ち着いて過ごしてくれるので、早退はありません。

IMG_1732








「赤ちゃんを世話するオス。オスの子供ではない」
ニホンザルには、ボスという群れのリーダーがいる。

群れのサルたちはボスに従い、ボスの主張に対して反対はしない・出来ない…など、ボスのイメージというのを多くの人の中でこう捉えられている事があるのではないでしょうか。

こういった一般的なイメージのニホンザルのボスとは、ニホンザル研究の始まった頃の考え方で、いわば「ニホンザルの考え方ver.1」といったモノで、ニホンザルの研究が進むにつれて考え方も変化しているのですが、一般的にはver.1の状態からアップデートされていない…といった所でしょう。

また、ボスという言葉・イメージが、他の動物のボスや人間のボスなどと混同され、実像と異なるイメージを持たれてしまう事もあります。

その一つが「ボスのハーレム」でしょう。

ニホンザルの群れの中のメスは、ボスのもの…とイメージされる。

ところが、そんなことはありません。

オスもメスも色々な異性と交尾をするので、サルたちの中で「決まった相手とのみ交わる」という、いわゆる結婚・夫婦といった関係性は存在しません。

決まった相手がいないので、サルたちの親子は「産んだ」という事実のあるお母さんしかいません。

とはいえ、ボスをはじめとした立場関係の強い高順位オスは群れの中心でメスたちと長い時間一緒にいる。なんだかんだ言ってメスとの交尾の機会もそれだけ多いだろう。それにボスや上位のオスたちは下位のオスがメスにちょっかい出すのを邪魔できる。

なんだかんだいっても遺伝子を残しているんじゃないか。

…と思わないでもない。

ところが、人間と同じようなDNA鑑定を行ったある親子調査では、群れを形成するサルたちの中でボスや高順位のオスの遺伝子を宿した子というのは少ないという結果もある。

ボスがモテるわけでもないというのは見ていても感じることだが、DNA検査という科学的な視点からもそういうことがいえる根拠の一つである。

ボスや上位陣オスとメスたちは交尾をしないわけではなく、妊娠に関わる期間になると、上位オスから離れて下位オスや群れの外のハナレオスと積極的に交尾している様子があり、「日常的に近くにいるオス=近親関係である可能性が高いオス」を避けて「普段関わりのない下位オスや群れの外のオス=近親関係の可能性が低いオス」との子供を宿し、近親間での交配によるリスクを避けているのではないかと考えられる。

*だから、正確にはボスや上位陣が「モテない」訳ではなく、「子孫を残すための交尾になっていない」というのが正解かもしれませんが。

この近しいオスを避けるメスの行動は、自意識なのか無意識なのかは、たまたま「そういう結果が出た」だけなのか、現状ではサルのみぞ知るところでしょうが、サルたちの行動をよく見ている私は思い当たる節も多い。

メスは、近親間の交尾を避けようとしている。そして、オスも近親間の交尾を続けていけば血が濃くなってしまうことを避けて産まれた群を離れる。

群れから出たオスは、他の群れに移籍しそこでメスたちと交尾をする事もある。単独で暮らし、発情期になるとどこかの群れのメスをちょっかい出すこともある。そこで自分のDNAを残していく。

だから群れから出ていったオスたちは、別の場所での新たなメスとの出会いで「見たことないオスだわ。ステキ」と、新天地で「前よりもモテるぞ?」と感じているかもしれない。

群れにも、群れごとの社会性が変わるので、一つの結果だけで「すべてのニホンザルに当てはまる」とはいえないので、「ボスは意外とモテない」だけが事実ではなくて「ボスがモテる」という群れもあるかもしれない。

けれども、「とにかくボスなら無条件でモテる」というイメージで固まっているものではない事は知っていただきたい。