12月17日(金)くもり

最低気温5℃最高気温6℃
サルたち来苑時間9:00

最近のサルたち公苑滞在状況
13日(月)9:00〜16:00
14日(火)9:00〜16:00
15日(水)9:00〜16:00
16日(木)9:00〜16:00

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13日に雪が降りましたが、「降った」というだけで公苑はうっすらと白く染まる程度。

その雪はすぐに消えてしまい、また冬の景色というよりは秋の景色に戻りました。

サルたちの発情も、雪が降った時くらいは多少勢いが衰えたかもしれませんが、現在は先週同様「ラストスパート」という雰囲気で、追いかけるオスと逃げるメスの喧騒の様子は続いています。

週末、本日17日(金)の夜から雪となる予報。それも、まとまった雪が降る…との事です。

来週も雪予報が多く、積もっていく雪になりそうです。

いよいよ本格的な冬の到来…と身構えつつも、これまで似た予報があっても、なかなか本格的な冬になりません。

雪は降れば除雪の作業に追われ、雪の量が多ければ多いほど大変になります。ホンネを言うと、“ほどほどに”降ってくれるくらいが丁度いいんですが…

しかし、ここ何年かは暖冬でシーズン通して少量の雪になってしまう事が多く、自然の不調和のしわ寄せが気になります。

気が付けば12月も後半なので、さすがにそろそろ本格的な冬になってくれて良い頃ですが。

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「今年の秋」
今、このブログを見てくださっている皆様。

皆様の、このブログ“ふぃーるどのーと”歴はどれくらいでしょう?

何かのきっかけで、「今日から見てる」という方もいらっしゃるかもしれません。

もし、“今日から見ている”とか、“今月になってから見始めている”という、新規ふぃーるどのーと参加者の方がいらっしゃったら、ここから先のお話の参考に今年の8月くらいからのブログの情報を見ていただくと良いかなと思います。

ブログの中身全てでなくとも、“サルたちの公苑滞在状況”をざっと見ていただくだけでも、お分かりいただけると思います。

秋のシーズンは「実りの秋」となりサルたちの食べる物が山の中で多くなります。そして、秋は「恋の季節」発情のシーズンでもあります。

サルたちは通常の行動範囲よりも、範囲を広めて活発に動きます。その結果、公苑に来ない事もあるシーズンです。

今年の秋は、早くから活発に動き、サルたち不在が8月中からあり、9月10月ととても遠いポイントまでサルたちは動いて、公苑不在も増ました。

10月は公苑に来てくれたのは1/3となりました。

公苑に来なかった日でも、山の中でサルたちを探す我々スタッフは、サルたちに出会う事は出来ました。しかし、「出会ってもその場から動かなかった」という結果になっています。

10月24日〜31日、サルたちは公苑不在でした。この間は、スタッフも山の中でもサルたちに出会う事が少なかった期間です。特に28日〜31日はまったく手がかりがありませんでした。

そして、11月1日にようやくサルたち見つけ、少しずつ公苑に向かい15:00に到着。

それ以降、山の食べ物が終わりに差し掛かり、サルたちの動きが安定しました。その後もサルの不在はありましたが“長期不在”となる事はなく、日を追うごとに落ち着きを取り戻していきました。

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「トケイ95-05♂」
久しぶりのサルたちとの遭遇となった11月1日。

ある変化がありました。

どうも1位オスであるトアミ00が、2位オスであるトケイ95-05に対して“避けている”傾向がありました。

様子を見てると、彼らの中で“順位の入れ替わり”があったようです。

一般的に、1位オス(いわゆるボス)は特権があり、群れのサルたちはボスに支配され、メスたちはボスのものであり、群れのコザルはボスの子供である…

というイメージが付きまといます。

確かにニホンザルは、上下の関係があります。その中で、一番強いものが、文字通り1番。1位です。

しかし、実際のサルたちのボスは、一般的に言われている「ボス像」と随分違う物です。

そもそも、サルたちの順位はヒト側がサルたちの様子を見て、社会性を知る為に順位を付けています。

DよりもCの方が強そうだ。CよりもBの方が強そうだ。BよりはAの方が強そうだ。Aより上はなさそうだ。ではAが1位、Bが2位、Cが3位、Dが4位…と、

だからCが「おれは今、3位だ」と認識しているモノでもありません。

オスはいずれ群れから出て行くのが基本です(離群と言います)

これもケンカで負けたから…とか、1位になれないから群れから出てく…と思われがちですが、あくまで本人の自由で出て行く感覚です。

*オスの離群について、はっきりとした事は言われていませんが、「同じ群れに居ついているうと血が濃くなっていくのでそれを避ける為に出て行く」と言われます。

だからいずれ、群れからいなくなるので、「順位に執着している」という事もないのです。

2番、3番がいずれボスになるのを虎視眈々と狙っている。そして、機を見て争いをけしかけ、勝ったものがボスになる…いわゆるボス争いは基本的にありません。

地獄谷野猿公苑が開苑して50年以上になりますが、ボスの入れ替わりは「1位の離群」で2位だったものが自然と順位を繰り上げる形が主です。

但し、何かの拍子でケンカして「結果として順位が入れ替わる」という事はあるでしょう。今回のトケイ95-05とトアミ00の1位の入れ替わりは、そうだと言って良いでしょう。

1位となっているトケイ95-05は「オレはボスだ」と威張っている風でもないですし、メスたちも「あれが次のボスだから従おう」とおべっか使っている訳でもありません。

また、2位となったトアミ00に「こいつは2位になったから今までよりあてにならない」と見限っている風でもありません。

トアミ00とトケイ95-05が衝突しそうな時、トアミ00が「トラブルを避ける為に退く」という事をしている。それだけなのです。

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「トアミ00♂」
サルたちは、家系的に強さが決まっています。「それは腕力に物を言わす」というものではなく、社会的な強さといってよいでしょう。

強い家系の子供にチョッカイ出す…すると、子供は母親に助けを求める。母親が飛んでくる。だから必要以上に手出ししないでおこう…という感覚が、強い家系の子の立場を自然強くしていきます。

ボスが強いからボスになるのではなく、ボスのお母さんが強いから皆引き下がるのであって、それがボスになるキッカケになっていくのです。

他のサルたちとの争いに勝ち、順位を上げる…のではなく、弱い家系が強い家系との争い・トラブルを避ける為に退く。

いわば、弱い立場が退いてくれる事によって、無用な争いを避ける事が出来ます。いわゆる「空気を読む」という事をサルたちはしています。

サルたちは小さなケンカを良くしますが、ケガに繋がるような大喧嘩になる前にどちらかが「空気を読む」事で終結します。小さなケンカの内に終われるのです。

ところが、発情期はいつもよりも勢い余る時期。

いつもなら退く場面も、熱くなってしまいます。ケンカが激しくなった末に、順位の入れ代りが結果的に起こりうるのです。

今シーズンの秋は、いつも以上に活発でした。それは、8月〜11月のサルたちの状況が示しています。

サルたちの中でもいつもよりパニックが起きたシーズンだったでしょう。

そういう混乱状況の中だったので、「退くに退かぬ」戦いが起き、順位の入れ替えという結果に至ったのでしょう。

今から10年程前に、1位オスだったトケイ89というサルがいました。彼はある時小さなケガをしました。

そのケガ自体は軽傷といえるほどの小ささでしたが、そこから感染症を患ったのか、徐々に弱り、最後は公苑から動く事が出来ず死んでしまいました。

徐々に徐々に弱り動きが鈍るトケイ89。ボス争いというのがあるのなら、この時ほどチャンスはなかったはずです。

しかし、結局どのオスも、何もしませんでした。

ボスというのは、一般的に言われる程特別な物ではありません。

2位になったからトアミ00は情けない奴なのか。ダメなやつなのか。そうではないのです。


…話を続けていきたいところですが、チョット長い話になり、まだまだお話したいので、次回に続けましょう。

長丁場のお話、お付き合いいただけると幸いです。