ライズ社の決算月は5月です。法人税の申告は決算日の2月後です。7月までに仕訳を入力して決算書を作成しなければなりません。その後に法人税や消費税、地方税などの申告書を作成して税務署に提出です。
取引件数は少ないようなのですが、現預金に多額の動きがあるようです。分かっているのは現金と預金の残高だけです。経理経験のある人ならあせるところですが、三浦課長は泰然自若です。
私「この多額の仮払金はどういう内容ですか?いっけんあたりの金額が大きいですね。仮払精算書を見せてください。」
仮払精算書とは誰が、いつ、いくら、仮払金を出金してそれを何のために、いくら使って、そのお金を誰に渡して、返金はいくらか明細が書いてある書類です。今の現金出納帳は、例えば仮払金出金100万円、そのうち戻ってきたお金について仮払金入金30万円と記載されているだけです。差額の70万円が何のために使われたか、調べないと経理処理できません。
三浦課長「当社は毎日、高額の商品を現金買取で仕入するので仮払金が発生するんですよ。現金残高はきっちり合ってます。仮払精算書はこうしてしっかり保管してあります。」
いただいた仮払精算書をざっとめくってみます。ある伝票で手が止まりました。仮払出金50万円、支払金額30万円、返金額0円、残高0円と記載されています。仮払出金が50万円で支払金額が30万円ですから、差引20万円の返金がないとおかしいわけです。添付されている領収書も30万円です。三浦課長に、この伝票はおかしくないですか?と聞きます。
三浦課長「あ〜、先生この伝票は大阪の伝票ですよ。大阪の責任者はよく分かっていませんからね〜。あっ、この社員、もう退社してますよ!」
郷原会長が怒ったときの顔が頭に浮かびます。私に怒ることはないのですが、部下にはものすごい剣幕と迫力で怒鳴ります。この事実関係をどう報告するか・・・・。考えるだけで嫌になってきます。
(このブログは毎週木曜日に更新予定です。)