プロの技 400
テレビで宮大工のスペシャリストのドキュメント番組を観た。
大工仲間は、そのスペシャリストを大工の限界を超えた男と評した。
例えば、木材を買いに行く場合、いきなり店にはいかない。
まずは、その材木が植えられている山に行き、どのような環境で
育てられているか、どのような管理をされているかを確認する。
スペシャリストは言う。「材木はいろいろなものを見てこれを理解し
結果、すべてを知り尽くさなければプロとは言えない。そして、どの
材木をどこに使うかである。」と話していた。まさに、「適材適所」で
ある。さらには、「歴史的建造物はその建物全体が歴史的に素晴
らしいものということではなく、それを構成する材木一本一本が素晴
らしいものなのである。何百年も持ちこたえさせた当時の大工の腕
前が素晴らしいものなのである。」と言った。
☆ ☆ ☆
若い人が段取りを間違える。そこでは厳しく叱り、自分なりの教え
を説く。その若い大工は、「叱られたということは自分の仕事を見て
くれたということ。大変うれしく励みになります。」と言い、スペシャリ
ストが100年先までも頑強な材木と組み立てを教えていることに気
が付く。スペシャリストは、「私は人に教えられるものはない。ただ、
自分がやってきたことを話すだけ。」とあくまでも謙虚だ。
☆ ☆ ☆
テレビは、そのスペシャリストのこれまで行ってきた歴史的建造物の
修復状況を紹介した。どれも大工の棟梁クラスが目を見張るものであ
った。極めた男の性格は温厚で、言葉や後姿にはオーラがあった。
私たちの現場でも若い人たちが汗を流している。一人前にする教え方
や幹部自ら背中を見せることで成長させていかなければならない。
また、強い組織を創るには、「適材適所」が必要であることもここで勉強
になるのではと思う。