追い討ち考察:下着ドロ(BlogPet)

2005年09月24日

再生の物語

≪ 『Gift』 原作:飯田譲治 ≫

「趣味:読書」を公言している者としてたまにはオススメな本を紹介してみる。

GIFT『Gift ギフト』 飯田譲治・梓河人 角川書店

「飯田譲治」から連想されるものは超能力・猟奇などのダークなイメージが強いだろう。だが、彼の本領は実のところ「ファンタジー」なのかもしれない。

この物語は記憶喪失の男が過去と向き合い新たな自分に目覚めていく「再生の物語」だ。そう書いてしまうと結構ありがちな作品だが、この主人公「早坂由紀夫」の事情は複雑だったりする。

【ストーリー】
厚生省官僚の岸和田が共犯者の腰越奈緒美と共に研究開発費を横領。
額にしてなんと”51億円”!!
だが、逃亡寸前に岸和田は奈緒美を残して失踪してしまう。

待ち合わせの億ションに残されていたものは、血だらけでクローゼットに押し込められていた若い男のみ。奈緒美は唯一の手がかりと思われる男を保護するが、男には一切の記憶がなかった。

もちろん岸和田のことも51億のことも何一つわからない。
しかも発見時、「全裸」で身元を示すものは一切持っていなかった・・・。



≪彼の特徴≫
・足が速い(「はやくいく」から「早坂由紀夫」という仮の名前)
・生活能力ゼロ(コーヒー入れられない、靴ヒモ結べない)
・「届ける」という行為に異常な執着を持っていること

「何かを確実に届けなくてはいけない」
それが記憶を失う以前にあっただろ唯一の衝動だった。

奈緒美の元で由紀夫は「届け屋」という仕事を開始。特殊な「届け物」を人から人へと届けていく中で過去の断辺を取り戻していく。

だが、過去の自分は自堕落で暴力が好きで人を傷付ける事をなんとも思わない最低な男だった。記憶を取り戻すことは同時に「由紀夫」という自分が死に最低な自分に戻るということ。

その事実を次第に恐れていく・・。

51億の行方は?

「早坂由紀夫」は消えてしまうのか?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
以上が簡単なあらまし。
この物語は97年にフジTV系でドラマで放映されており、実際はドラマこそが原作だったりする。
キャストは、主演:木村拓哉で、室井滋 、篠原涼子 、忌野清志郎、倍賞美津子となかなかスゴイ顔ぶれだ。
ゲスト出演者も岸辺一徳、桃井かおり、北村総一朗、宇崎竜童、葉月里緒菜、緒形拳と豪華なラインナップ!


血まみれで全裸のキムタクでお腹いっぱいになれるという方は必見!

・・・一体、何のマニアだ?

 

本題(小説版)に戻る。

「人間はコレと決まったもの以外になれないと勝手に選択の自由を放棄してしまうが、人間は幾らでも違った自分を選択できる(意訳)」
冒頭でそう述べられていた。

「最高の自分を探し出す」、それこそが「ギフト」の主題だ。

記憶喪失になり、「早坂由紀夫」として生き、様々な人々と出会い、かつての自分と全く違う自分になっていく主人公。
記憶がよみがえった時、彼がどの様な選択をするかというのも見所の一つだ。

彼はどのような「最高の自分」の自分を選択するのだろうか?


チープな表現で申し訳ないが「自分探し」のヒントに一度読んでみてはいかがだろう。



crackstar at 13:16│Comments(0)TrackBack(0)推奨本 | 推奨本

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
追い討ち考察:下着ドロ(BlogPet)