2005年10月05日
ジャケ買い
≪ 波長の合わなかった書物群 ≫
「ジャケ買い」って好きだ。
思わぬ「アタリ」に出会えた時にはささやかな幸運を感じる。
アタリかもしれない。ハズレかもしれない。
そんなドキドキ感もまた楽しい。
だが当然、「ハズレ」が多いのが世の常であり、それらの処分に頭が痛い。
貧乏性という自分の質もあるが、「金を出して買ったからにはとりあえず読まなくてはいけない」という余計な義務感に駆られる。
今回は最近読んだ「ハズレ」の一部を紹介する。
誤解のないように断っておくが、「つまらない本」というより
「オレの波長に合わなかった本」だということを強調しておく。
帝都物語 荒俣宏 角川書店
作者だが「トリビアの泉で左端に座っているオジさん」と言った方がわかりやすいだろうか?余計わからんですか、それはスマンかった。
この作品は、オレが小学生くらいの時に映画化されており、おぼろげながら「かなり面白かった」と記憶されていた為、表紙絵が田島昭宇だったこともあり衝動買い決行。
感想だが、文章が硬い。この一言に尽きる。
セリフが説明的過ぎ・不自然かつクドイ。
かなり早い段階で「荒俣作品は読み手を選ぶ」と結論。
つまりオレには合わんかった。
脳男 首藤瓜於 講談社
連続爆破事件の犯人として捕らえられた男、鈴木一郎。取調べをしていくうちにその男の異常(特殊)性が明らかになっていく。
タイトルである「脳男」の正体が最大の見所。
作品としては面白い部類に入り、今回紹介した中では及第点をつけられる作品なのだが、残念なことに前半部分は展開が速くグイグイ読める反面、中盤あたりから魅力が失速していく感が否めない。
ラスト・・のアレは意外性なさ過ぎ。
症例A 多島斗志之 角川書店
精神病院を舞台にした精神医療系の物語。
精神病院の臨床がどの様なものか、そして「治す」ということは何を意味するのか、そして主軸となる「境界例」「解離性同一性障害(多重人格)」という専門用語のわかり易い説明などが緻密に書かれている。
読み終わった頃には知識量が増えたことが実感できるハズ。
シビアに批評すると「小説としてはつまらないが、専門書としては有意義な本」といったところ(それって作品としてどうだろう?)。
F 坂入慎一 メディアワークス
久しぶりにジュニアノベルを読んでみたら案の定「ハズレ」。
何というか某新伝綺小説にインスパイヤ(←皮肉)されたのだろうという感想しか持てず、読みきるまで苦痛を伴った。
いいトコ探しをするならば、「諦める」という言葉は「悟る」と同義語であり、「投げ出す」という意味ではないらしい、とあとがきに書いてあったことぐらい。うん、作品と関係ないね。
・・・金返せ。
以上のことから面白味に欠ける結論を一つ。
「ジャケ買いは自己責任で」