2007年09月13日

Angela Aki FC Special Event

「Surrender」の旋律がまだ頭の中でヘヴィ・ローテートしている。

アンジェラ・アキにとって初めてとなるファンクラブ・イベントが9月8日開催された。
9月19日にリリースされるセカンドアルバム「TODAY」の先行視聴をおこなうイベントだ。彼女の意向により、あえて小さ目の開場で3回の入れ替え制にするという。ファンへの優しい気遣いには、頭の下がる思いがする。
MY HOME 1MY HOME 2













当日は綱渡りのようなきわどいスケジュールだった。午前中は通常どおり仕事がある。イベントの開場時刻は午後5時30分、場所はアクセスの悪い六本木だから、東京で下車すると間に合わない。13時42分の新幹線で行くと、品川着が16時59分だから、タクシーをとばせば何とか間に合うはずだ。そのプランでゆくことにした。

会場に着くと、2回目が終わって余韻を楽しんでいる人たちと、これから3回目の入場を待つ人たちとで、結構な混雑になっている。中でも何か異彩なオーラを放っている一団を発見。見慣れた顔がたくさん見える。この日のために全国から集まったアンジェラーたちとの久し振りの再会を喜び、当日夜のオフ会での歓談を約束する。

地下にしつらえられた会場は、15列 X 32席。ということは、1回あたり480人で、これが3回あるから、全部で1400人くらいのファンが招待されたことになる。会費はたったの1500円だから、設営費などを考えればペイするには程遠く、ほとんどファンへのサービスということだろう。
開演まで少し時間があるので、物販をのぞいていみるが、購買意欲をそそるようなブツはなく、今回も見送る。ごめん、アンジー。

そうこうするうちに開演時刻となり、マリンブルーの34番Tシャツを着たアンジーが登場した。
いきなり「サクラ色」を弾き始める。途中から「たしかに」につなげ、エンディングでなんと椅子ジャ〜ンプ!
待望のセカンドアルバムが完成し、早く聴いてもらいたくて仕方がないという気持ちが、ひしひしと伝わってくる。
知っている人は知っていると思うが、彼女はハワイのハイスクール時代、バスケ部と跳び込み部とに所属していたのだ。椅子ジャンプを見て、そのことを思い出した。

アンジーの挨拶の後、進行役の船守さんが登場。ラジオの声から想像するより、ずっと若いし小柄なことに驚く。もうちょっと大柄なオバチャンを想像していた。ぶっちゃけ、ここでかなり引いてしまった。なぜなら、船守さんが進行役だと、アンジーと合わせて(オバチャン・トーク)2 になってしまうではないか。今日は井戸端会議ではないぞ。
せっかく東京まで来たんだから、進行役はクリス・ぺプラーかマッピーにしてほしかったなあ・・・ と、声にならないボヤキを入れる。

セカンドアルバムの曲を聴きながら、アンジーと船守さんとがトークを展開してゆく。

TODAY
アルバムタイトル曲にもかかわらず、実は最後につくった曲であることを明かしてくれる。
サビの「♪トゥ トゥ トゥ トゥ トゥ トゥデイ〜♪」のところが耳に残る明るい曲。バックコーラスには妹さんやヴォイストレーナーの先生が参加されているらしい。
間奏にワウで入ってくる西川さんのギターが滅茶苦茶カッコいい! このワウがツボだった。こういうギターの入れ方を心待ちにしてたんだよ、アンジー! 

愛のうた
予期せず倖田來未のタイトルとカブッてしまったことを気にする。こういうタイトルはありがちだから、仕方ないだろう。いっそ全曲に英語のタイトルをつけとけばいいのに、と私はいつも思うのだが、どうかな? 6分を超える長尺曲らしい。きれいなだけの愛の歌ではなくて、ドロドロした愛憎劇の歌のようだ。
ストリングスが使われているが、意識的に低い音を集めて面白い効果を出している。こういうストリングスの使い方なら大歓迎だ。アンジーはストリングスを人の声の替わりとして使っているのではないだろうか? 低い音のストリングスがアンジーの歌に豊潤な香りを付け、そこにウッドベースが絡んできて、とてもクールに仕上がっている。

モラルの葬式
アナログ盤ならばB面の1曲目、という位置づけの曲と説明する。
村石さんのドラムが凄い。現代音楽風なストリングスとの絡みは、まるで武満 徹の作品のようだ。
途中でPater Nosterと言うのは、ラテン語で「我らの父よ」という意味らしい。カソリックで、学生時代はクワイアにも属していたアンジーならではのフレーズだ。
しかしこれ、ライブで演奏できるんだろうか?と思いながら聴いていたら、船守さんが同じことを訊いてくれた。アンジー、「いやいや、ライブではできません。」と答えるが、何とかしようと思っているんじゃないだろうか?

3曲を紹介したところで、アンジーがアルバム製作を終えた現在の心境について語る。

今回は、本来の仕事、自分のやりたかったことをさせてもらったと思っている。自分はミュージシャンであり、音楽を創っている人だから、こういう仕事をすることが自分の本分だと思う。というようなことを熱く語るアンジーの言葉を聞きながら、いろいろと要らぬ心配をしていた私たちは、それがまったくの取り越し苦労であったことを悟り、ホッと胸をなでおろしたのだった。

ここでせっかくいい雰囲気になったのに、この次のアンジーに対するQ&Aコーナーが、それを台無しにしてしまった。思い出したくもないので、詳細は省略する。

苦痛この上なかったQ&Aコーナーがやっと終了し、アンジーはいったん奥へ。
ステージ中央のスクリーンで、「Surrender」のメイキング・ビデオと「Again」のミュージック・ビデオを鑑賞する。

Surrender
アルバムの中でこの曲だけが英語詞で書かれている。情熱大陸にも出演していたアンジーの親友ペイジとその娘さんのために書いた曲。9月7日の記事でも触れたが、この英語詞がとてもいい。この曲をもとに映画を撮って、サウンドトラックをアンジーが担当したら、どれだけ素晴らしい作品になるだろう。アルバム製作に奮闘するアンジーを追ったメイキング・ビデオを見ながら、思わず目頭が熱くなってしまった。この1曲だけのためにアルバムを買ったっていい、心からそう思えるほどの名曲だと思う。
ジョン・レノンの息子ジュリアンにポールが贈った「Hey Jude」が、今ではそんなエピソードとは関係なく全世界で愛聴されているように、この曲もいずれそうなることを願ってやまない。

(「Hey Jude」は、ジョンがヨーコと結婚する前の妻シンシアと別れることになった時、哀しそうにしていたジュリアンを慰めるためにポールがつくったとされている。Judeというのは、もちろんジュリアンの愛称。)

Again
毎朝あのシチュエーションで聴かされているのが苦痛で仕方ないのだが、こうして曲だけで聴いてみると、ポップないい曲である。ミュージック・ビデオもよくできているのだが、どうしてもお天気おねえさんの顔が浮かんできてしまうのは困ったものだ。

再びアンジーが登場。ピアノに向かう。

One Melody
かなり良い曲だったという印象があるが、その前の「Surrender」のインパクトが強すぎて、ほとんど憶えていない。すまぬ・・・

最後に、「Home」か「This Love」のどちらかを唄おうと思うが、自分では決められないので、会場のみんなに決めてほしい、というアンジーからの提案がある。二択で挙手の多い方を唄うというのだ。
私は迷うことなく「Home」の方に手を挙げたが、結局「This Love」に決定した。おそらくこの曲でブレークした頃にファンになった人がかなり多いのだろう。

今回のイベントで、アンジーのやりたかったこと、進みたい方向が理解できた。そして、彼女が卓越したプロデュース能力、アレンジ能力を持っていることも充分わかった。先行シングルのプロモーションに疑問を持ち、セカンドアルバムの行く末を案じていた我々ファンは、晴れ晴れとした気持ちでオフ会に突入したのだった。
9月19日がとても楽しみだ。

crazy_about_angela at 22:44│Comments(16)TrackBack(0)Angela Aki | Angela Aki ; Live Report

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この記事へのコメント

1. Posted by cocodoco   2007年09月14日 02:19
お久しぶりです。Surrenderは世界に出して恥ずかしくない音楽になっているようですね、これまで漏れ伝わってくる情報から 私にはこの曲が一番聴きたい曲でした。そしてkenさんのこの記事により、いっそう期待が高まります、斉藤ネコさんも「J-POP」ではない「洋楽」だと書いてましたね。
斉藤ネコさんの言う「洋楽」という響きは私のような世代には特別な響きなのです。それこそグローバルスタンダードに成り得る音楽ということであります。
最近、久しぶりに聞いた[These Words]中「We Dance]「Magic」の2曲が気にいってます(コーラス部分は除く)。




2. Posted by ぱぱあ   2007年09月14日 03:03
kenさん先日はお疲れ様でした〜。
イベントすごい有意義でした。
アルバムもちょっと不安だったんですが、あのイベントでの内容を見る限りは心配は全くなさそうで。
めちゃ楽しみになりましたよ。

3. Posted by むて   2007年09月14日 09:24
Kenさん こんばんは。

当日は忙しいスケジュールの中での上京お疲れ様でした。
久々にお会いできて嬉しかったです。

Q&A Kenさんもノーコメントですか(笑)
ぼぉんさんも同様でしたね。
僕が参加した1回目の内容と近からず遠からずだと思うのでお気持ちわからなくもないですが(苦笑)
もうちょっと音楽にまつわる質問が多かったらよかったのになと思いました。
4. Posted by mista-bone   2007年09月14日 22:37
Kenさん、こんばんは。

まずはGRATEFUL DEADのTシャツに思い切り反応する私(笑)。凄くクールなデザイン、私も欲しくなりました。

それはさておき、"Surrender"は、まさに"息を呑むような"美しさといっても差し支えない名曲に仕上がっていると思います。試聴会で聴きながら、自分の身体が強張り、震えそうになるのが分かりました。

さて、"モラルの葬式"の完全再現、どうなることでしょう(笑)。
5. Posted by Ken   2007年09月14日 22:58
*cocodocoさん

そうです、「Surrender」は世界のどこに出しても通用すると思います。
齋藤ネコさんのお墨付きなんですね。
この詞を読んで、アンジーの作詞能力の高さに驚嘆しました。
もう日本語にこだわる必要はないでしょう。
6. Posted by Ken   2007年09月14日 23:02
*ぱぱあ さん

相変わらずの「人間ランドマーク」ぶり、さすがでしたね。
今回のイベントのおかげで、みんなが晴れ晴れした表情になったのがわかりました。
それにしても、旭川まで彼女を追いかけるとは、恐れ入ります。
7. Posted by Ken   2007年09月14日 23:07
*むて さん

久々にお会いできて、嬉しかったです。
オフ会の副幹事役、本当にお疲れさまでした。
Q&Aコーナーね、「・・・・・」ていう感じでした。
あのイベントで味噌汁の事なんか聞いて、何になる?
やっぱり音楽に関することだけを訊いてほしかったです。
8. Posted by Ken   2007年09月14日 23:14
*mista-boneさん

グレイトフル・デッドTシャツ、気に入ってるんです。
ビンテージ洋楽を好きな人がいたら、「おっ!」という感じで近づいてきて、必ず何か言ってくれます。
洋楽好きかどうかを判断する「踏み絵」みたいなものですよ。
「モラルの葬式」、あのサポートメンバーなら、きっとライブで再現できますよ。
どうなるか、楽しみですね。
9. Posted by とみー   2007年09月15日 00:33
先日は朝早くまでお疲れ様でした(笑)。
私もQ&Aは飛ばして、その分弾き語りをやって欲しかったクチです。
でもソニーは10〜20代の女性をターゲットにしてるのか、こういったQ&A企画や女性モノっぽいグッズのデザインの方向性などは避けられないでしょうね。
マスに対して売っていく以上、仕方のないことですが。
セカンドアルバムの発売後、どんな層のリスナーがついてくるのか、そしてマーケティング戦略になっていくのかが興味のあるところです。
10. Posted by Ken   2007年09月15日 01:48
*とみー さん

オフ会幹事役お疲れさまでした。
年甲斐もなくはしゃいでしまいました。
とっても楽しかったです。
この先、どういう風に売ってゆくつもりか、
あるいは勝手に売れてゆくか、見守りましょう。
今度は厚木で。
11. Posted by bix   2007年09月17日 23:42
先日は、お会い出来て光栄でした。
Surrender素晴らしいですね。
>この1曲だけのためにアルバムを買ったっていい、心からそう思えるほどの名曲だと思う。
同感です!!
試聴会前は、僕の見込みは間違いだったのか・・・と不安になっていたのですが、早く聞きたくてたまりません。

また、お会い出来る日を楽しみにしています!
12. Posted by Ken   2007年09月18日 00:08
*bixさん

私もずっとお会いしたいと思っていましたので、それがやっと叶って嬉しかったです。
9月19日が楽しみですね。
またどこかのライブ会場でお会いしましょう。
13. Posted by でかのすけ   2010年09月05日 22:27
5 Kenさま
笑わせすぎ!で→好きっ♪
貴重な「井戸端会議ライブ」のセットリストと感想、ありがたいです!
(オマケの…アンジーピアノジャンプや売り戦狙いのくだらないとのQ&Aまで…)
私も「TODAY」には、生意気ですけど…。ん? こんなんアリ?って感じてた曲あったのです。
あー、スッキリした積もりのつもりです………(苦笑+汗アセ)
14. Posted by でかのすけ   2010年09月05日 22:34
自分フォローf^_^;

スミマセン!
相変わらずの…文章下手です…ね。
このカキコのひと!
おじゃましましたぁ〜ぅ。
15. Posted by Ken   2010年09月06日 11:59
>でかのすけ さま

いつもアンジーは喋りすぎです。
音楽を聴きに行っているファンは失望します。
16. Posted by でかのすけ   2010年09月06日 19:45
5 Kenさま♪(*^_^*)♪
ありがとう!
お返事下さいまして…。

“アンジーは、喋り過ぎ”ですか(^O^)

ほほう?
私は本当に相手に伝えたい事は、隠してしまいます。
余談や、前置き等の不必要な事は、弾丸の如く喋り捲る+上に、早口です。
よって→凄く人とのコミュニケーションへたくそです。

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Contents
自分がこれまでに行ったアンジェラ・アキさんのライブレポートです
(インストア・ライブを除く)

管理者:Ken

My Treasures
アンジェラがこれまでにカバーしてきた名曲のオリジナルアナログ盤を集めてみました。

A Whiter Shade Of Pale










サードシングルに収録されているカバー曲。オリジナルがヒットしたのは1967年。以来、実に様々なアーティストにカバーされている。1988年には日産シルビアのCMにも使われた。原曲のイントロはハモンドオルガンで、バッハのカンタータ、あるいはG線上のアリアのコード進行をモチーフにしたと言われている。関連記事

Will You Dance











1977年、つまりアンジェラの生まれた年にリリースされ、その年のTBSドラマ「岸辺のアルバム」のテーマに使われた曲。オリジナルには『Will You Dance?』とクエスチョン・マークが最後に付いている。

A Song For You











オリジナルのリリースは1970年。この曲も実に多くのアーティストにカバーされていて、1988年にはアサヒビールのキャンペーンソングにもなった。彼はジョー・コッカーなどのプロデュースをする傍ら、ソングライターとしても才能を発揮していて、この曲以外にも、カーペンターズがカバーした『Superstar』や、ジョージ・ベンソンなどがカバーした『This Masquerade』を書いている。

We're All Alone











スティーブ・ミラー・バンドのギタリストであったボズが、前作の「Slow Dancer」からAORに路線変更し、1976年にリリースしたアルバム「Silk Degrees」に収録されている。今でこそ彼の代表曲となっているが、当時アメリカではシングル・カットされておらず、1977年にリタ・クーリッジがカバーし、全米7位になってはじめて注目されるようになった。この曲がこんなに有名になったのは、リタのおかげなのだ。