2007年02月17日

在宅療養支援診療所

読者諸兄姉は平成18年度から始まった、
「在宅療養支援診療所」
という制度をご存知だろうか。
ど真ん中の医療ではなく、終末期・回復期医療を在宅で行うことを主眼においた制度であり、居宅での死を看取るためにできたと言っても過言ではない。
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 朝日本社の調査によると、現在、全国の支援診療所は9720ヶ所で、一般診療所約9万8千ヶ所のほぼ1割が届出をしているという。最も多いところから大阪1288、東京1053、福岡626、兵庫576、神奈川498などで、最も少ないところから富山28、高知30、山梨31、福井39、沖縄44などである。医療の必要性が急激に高まる75歳以上の人口を支援診療所数で割ると、数の上で整備が最も進んでいる大阪は517人に1ヶ所あるのに対し、富山では4925人に1ヶ所という約10倍の開きがあるという。弁護士の場合と同様に、極端に都市部に偏在し、各都道府県内でも都市部に偏る傾向が見られ、富山でも北海道でも3割以上が県庁所在地にあり、都市部以外では在宅医療が難しい実情を示している。一方で、支援診療所の届出はしたが、24時間の往診は不可能だと、内実が伴わない現状を明かす医師も少なくないという。

 この支援診療所制度は、厚生労働省が年々膨らむ医療費の抑制策として、入院日数の短縮と在宅医療の推進を打ち出し、慢性的な病気で長く入院している高齢者が多い「療養病床」を削減して、現在の38万床を12年度までに15万床にする計画でスタートしたものだ。「療養病床」から自宅や老人保健施設、有料老人ホームなどを受け皿として、必要な医療が受けられるようにするものだ。しかし、現状を見ると、先ず受け皿が不足し、医師や看護師などのスタッフが足らず、24時間対応など実施が困難であり、支援診療所の届出をしても実際の対応が難しく、医療現場は困惑しているようである。つまり、支援診療所の看板を出しても、現実には看板どおりの医療サービスを提供できない場合も多く発生しており、どうやら想定どおりの運営ができないようなのだ。むろん、「診療報酬」は、支援診療所の場合、大体が一般診療所の倍額近くとなっていて、特にターミナルケア(看取り)加算額は10倍近く診療報酬が手厚くなっているのだが、制度の発足に応じて取り合えず支援診療所の届出をしてみても、実際にやってみると条件が厳しすぎて、結果、支援診療所としての診療報酬は請求してないという声も少なくないという。

 死亡場所と死亡者数の割合を示すグラフを見ると、自宅で最後を迎える人は、60年ごろまでは7割以上いたのに、その後は減少の一途を辿り76年に医療機関と逆転し、04年に自宅で死去した人はわずか12.4%となった。04年の厚生労働省の調査で、一般の人に「終末期をどこで過ごしたいか」と尋ねたところ、6割の人が「できるだけ自宅で療養したい」と答えたが、「最後まで自宅で」と希望する人は1割に止まったという。その理由としては、「介護してくれる家族に負担がかかる」ことを心配し、「症状が急変した時の対応に不安がある」ということだという。96年に全国で亡くなった人は年間約90万人だったが、03年に100万人を突破し、団塊世代の高齢化により亡くなる人は今後も増え続け、そのピークの38年には170万人に達すると見られている。何とか支援診療所の運営を軌道に乗せるか、別個の手段を早急に案出しないと、ますます医療現場の混乱が増すに違いない。医療制度、社会保険制度、医療施設、高齢者介護システムなどの総合的かつ抜本的な改革案を打ち出さないと、医療や介護の現場はますます困難な状況に陥る心配がある。今こそ、行政当局の知恵と能力の発揮が必要な時局である。民間に依存するだけでは、根本的な解決はありえないこと、当然である。
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この制度自体がどうかはともかく、これからの「超」成長分野であることは間違いない。我々の会社はこの分野に対し、ICTをベースとした事業戦略で「仕掛ける」つもりである。


creek_dainagon at 09:11│Comments(0)

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