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対談企画第一弾

クリムゾン ×  ときど  後編
プロゲーマの脳内とは!? またプロゲーマーの考える"ゲーム業界の未来"とは?

wajun100
前回から引き続き、 漫画家クリムゾンプロゲーマーの「ときど氏」
によるゲーム対談の後編です!

今回はときど氏がどのようなスタンスでゲームと向き合っているのか、
またプロゲーマのゲームの攻略、ときど式の発想の元とは?
そして二人のゲーム業界への想いなど、さらに深く語り合っています。

プロゲーマーの脳内
~プロゲーマーがどのような思考でゲームをしているのか~

ときど2


__普通のゲーマーからみて、プロは何が違うんだというのは気になるところだと思います。
なにか他の人と違うことをしていたりするのでしょうか?


ときど氏:
ゲームをしているときは 相手が何をしているのか ということを考えるのに 思考を割きたいんですよ。

クリムゾン氏:
相手のクセとか、そういうことですか?

ときど氏:
そうです。だからそれ以外のことは もう手が勝手にやってくれるくらいにしたいんですよ。(練習で)手が勝手に動くところまでやって、本番では相手の思考を読むんですね。

クリムゾン氏:
プロゲーマーは その相手を読む部分が優れているんでしょうか?

ときど氏:
たぶんそこまで煮詰まってはなくて、やっぱりまずはシステム面で動かせるか という所をまず問われるところで。
他のプロと上級者差が出るのはその部分。

クリムゾン氏:
では反復練習が大切だと

ときど氏:
そうですね。練習です。

クリムゾン氏:ではこの記事を読んでいるプレーヤーの方はとにかく基本練習せよということですね。

ときど氏:
はい。でもそれには時間がかかるんで大変ですよね。僕らプロは時間があるのでそこに練習の時間をさけます。

クリムゾン氏:
「読み」にかんしては 自分の「理論」はあるんですか?

ときど氏:
プレイ中は考えながらはやってなくて…。

クリムゾン氏:
実際は感覚的な部分?

ときど氏:
そうですね。_DSC8395
僕の読みはわかりやすい部分かもしれませんが(笑
こっち駄目だったから こっちやってみようみたいな。
でもそれってゲームでは結構有効で、自分が気づいても相手が気づかないことって結構多いんですよ。
相手が気が付かないうちにワンパターンになる部分を見つけて、それに対して崩す側が気づけば攻撃が通るんですね。
そこはやっぱり知識が大切なので、座学にも時間を割かなければいけないです。

クリムゾン氏:あとは 最後の方まで流れを考えながら試合を組み当てたりしますか?
最初にこれをやっておけば、最後にこれが通るみたいな。

ときど氏:
ああ、それはあります。 最後の最後まで取っておきたいなというのはありますね。

クリムゾン氏:
囲碁みたいに布石をうつんですね。

ときど氏:
そうですね。 お互いにわかってると「これ絶対布石なんだろうな」と感じることもありますね。 
 そうなってくると 知識では差がつかなくなってくるので、難しくなってきますし面白い所でもありますよね。
 たぶん、その辺りは他の分野のプロの方と結構近いのかもしれないですね。

クリムゾン氏:ときどさんの ストリートファイター4の戦い方で”ときど式”(※1)というのが 有名ですが、あれはどのような思考で生まれたんですか?

ときど氏:あれはなんだろう…。 
僕は 最初 ストリートファイター4というゲームをやり始めたとき、最初全然勝てなくて。
これ変なキャラ選んだかなと思ったんですが(笑)
いまから考えると はじめた時期が稼働してから結構経ってたんで、レベルもあがってたし。そこをいきなり僕がやって勝てるかという おこがましい話だったなと思いますが、

それで家庭用でずっと研究してたら お、これ起き責めがループするぞ強いな とおもって家庭用でやってて。
2~3週間たってゲームセンターで やったらもうパーフェクトとか量産するわけですよ。
当時新しい連携だったので、対処法が知られてないわけですから。
それで次の日、コメントとかみたら 「ときど式やばい」とか書かれてて。 面白いなと思いましたね。

クリムゾン氏:
そこにたどり着くまで どういうトライをするんですか?

ときど氏:
僕からすれば やってれば気づくでしょ っていうところなんですよ。
僕はもともと研究者だったので、まあもともとゲームが先でそういうことをしていたわけですが、そういう気質はあると思います。

クリムゾン氏:
やっぱり理論的にやっているからでしょうか?

ときど氏:
そうですね、システム的にこうなってこうだから って考えます。 だから早いのかもしれませんね。

_ストリートファイター4で 「豪鬼」を選んだ理由って何かあるんですか?

ときど氏:
あれは ウメハラさん(※2)に 進められたのが大きいです。
その時に言われたのが とりあえずサガットは強いぞと、あと豪鬼可能性あるぞと。

クリムゾン氏:
ストリートファイター4は今ままでいくつかバージョンアップしてます。
その中でもキャラクターを変更せずに使い続けるのはどうしてなんですか?

ときど氏:
そうですね。一番最初のキャラクターに使った時間をまた使うのかっていう想いはありますね。
あとずっと豪鬼つかってきたんで、経験でしか分からないことも、豪鬼だったら相当あるんですよ。
攻めやすいポイントとか。そういうところは 僕よりゲーム上手い人が豪鬼使っても分からないんで。
ゲームが上手い人が そういう経験が少ない故に 勝てないっていう状況を僕は目の当たりにしてきましたし。
それだったら この経験をいかせるなら 豪鬼じゃないかなという感じです。
豪鬼じゃないとできないことって結構あるんで。


※1ストリートファイター4のテクニック
コンボから起き攻めをループさせるセットプレイ

※2ときど氏と同じく海外メーカーと契約しているプロゲーマー
多くの2D対戦格闘ゲーム大会を制している


プロゲーマーの能力


_DSC8252

_普段、プロゲーマーとして ゲーム以外でどのようなトレーニングをしているのですか?


ときど氏:
まあ ジムに通ってます。毎日いくようにしてますね。今も結構筋肉痛です。

クリムゾン氏:
体を鍛えることで ゲームをプレイするとき やっぱり違いますか?

ときど氏:
違いますね。体力がないと駄目なんだな って感じてます。
特に海外遠征などして、体調崩しちゃうとどうしようもないので。
健康管理っていう面でも必要ですね

クリムゾン氏:
やっぱり肩こりとかも少なかったりするんですか?
ときど氏:そう言われるとないですね。 クリムゾンさんは職業柄 肩こりになるんじゃないですか?

クリムゾン氏:
私も運動は定期的にジムに行ったり競技スポーツをしたりするようにしていますので肩こりはないです。 ゲームをやるにもマンガを描くにも 関係ないようで実は筋肉のケアは大事ということですかね。 

ときど氏:
そうですね。 ゲームだけずっとやってろというと厳しいのかなって。
僕は結構大丈夫な方なんですけど、例えば1日15時間ゲームをやることも全然できるんで。
でも他のことで リフレッシュしたほうが 絶対に良いですね。


クリムゾン氏:
じゃあ食事とかも 気を使っているんでしょうか?

ときど氏:
まあそうです。

クリムゾン氏:
これを摂取すれば反応速度が上がる 食材っていうのがあるのではないのですか?

ときど氏:
あれば積極的にとっていきたいですね。あるんでしょうけどね。
あと健康ドリンクとかは 大会前とかに結構とりますけどね。

クリムゾン氏:
個人的にはやっぱりにんにくが最強なんじゃないかと思っています。(笑)

ときど氏:
にんにく好きです。

クリムゾン氏:ゲームを上手くなりたければ、運動などの健康管理もしなきゃ駄目だぞということですね。

ときど氏:
うん、そういうことを本当に考えた方がいいと思うんですね。食事は大切です

クリムゾン氏:
ゲームをやっているというと家に閉じこもっている というイメージがまだ日本ではありますけど、やっぱりなんでもバランスよくやっていくのが一番ですよね。


__ときどさんは、他のプロゲーマーの方より 新作をプレイしているイメージがあるのですが

ときど氏:
ゲームっていうのは 毎回新作が出るので そこは他のプロとは違うところですね。
そこに関するスタートダッシュというか。年々盛り上がればあがるほど どんどん新しいものがでてくるので 
それを押さえておく力も必要ですね。

クリムゾン氏:
やっぱり覚えるのが早かったりするんですか?

ときど氏:
周りの協力です。なんだかんだで全くの新しいゲームが出るというのは少なくて、
続編であったり、似たシステムで出る場合が多いので そのゲームをやられている方にコンタクトをとって教えてもらったりする場合が多いですね。 凄い毎回助けてもらってます。

クリムゾン氏:
なるほど。 またそれとは別に新しいゲームでも 今まで使ってきた経験をつかえるんでしょうか?

ときど氏:
はい。根っこはかわりません。やっぱり格闘ゲームって言うのは 
有利、不利がめまぐるしく変わっていくっていうのは 
かわらないので。

クリムゾン氏:
人との駆け引き という部分は同じなんですね。

ときど氏:
はい。

_カプコンだと最近 ストクロが発売されましたね。
結構やられてますか?

ときど氏:
最近 かなりやりこんでます。一応ケンとルーファスでやろうかと思っています。

クリムゾン氏:
スト4に比べて簡単ですか

ときど氏:
簡単ですね。ランチシステム(※3)もありますし、大分楽しみやすくなっていると思います。

クリムゾン氏:
4人対戦とかもありますよね。

ときど氏:
それが一番面白いです。
ペアプレイバトルっていうのがあって一つのキャラを一人が動かすっていうのは ホントに面白いですね。

クリムゾン氏:
私もプレイしました。実力の差があるときは 4人同時のジャンブルバトルがオススメですよね。

ときど氏:
そうですね。台湾のイベントでは 彼氏が彼女を守るっていうのをやってました。
彼氏が前で頑張って、後ろで待ってるトロを守るっていう。

クリムゾン氏:
いいですね

ときど氏:
あれは面白いシステムですね。今まで1対1の繰り返しだったのが ちゃんと二人でまわしていかなきゃ いけないっていう。
そこをもっと押していけるんじゃないかなって思います。

※3「ストリートファイター×鉄拳」のシステム。
通称ストクロは2対2で戦うゲームで、ランチアタックなど簡単でお手軽で派手なコンボが決められる


ゲームと勉強

__ときどさんとクリムゾンさんはどちらも高学歴とお聞きしてますが勉強とゲームについてどう思いますか?_DSC8149


クリムゾン氏:ときどさんも理系ということで、やはり数学が得意だったんですが

ときど氏:
まあ理系でしたからね。国語は駄目でしたが、物理化学数学英語は。

クリムゾン氏:最近の格闘ゲームだと こまかいフレームとかダメージのデータが公表されてますよね。 
 ときどさんもそういう数字をみるのがやっぱり好きなんですか?

ときど氏:
昔は好きでしたね。ホントにずっとみてました。
 今は変わちゃったりもするので ピンポイントで押さえる程度ですね。

クリムゾン氏:
数学とかは 方程式さえ覚えておけば なんとかなるみたいな感じでした?

ときど氏:
僕は割と記憶派でしたね。問題のパターンを覚えて解くタイプですね。

クリムゾン氏:
まさにときど式ですね。

ときど氏:
ですね(笑) まあ受験勉強はそこまで新しい物はでなかったので。
ゲームと勉強だったら 8時間8時間やって6時間睡眠しても 他に2時間ありますから。

クリムゾン氏:
ゲームをしても勉強できなくなることはない ということですよね。

ときど氏:
勉強さえしてれば 受験は大丈夫ですよ。

クリムゾン氏:
最近 「ゲームが勉強の役に立つのではないか」 という説がよくありますよね。
ゲームを全くやらない人に比べて、1日1~2時間くらいやっている学生の方が偏差値が高いというデーターもでたみたいで。
ゲームをすることが脳に何か役に立っているっぽいですね。
ゲームをすることで 与えられた困難をいかに効率よく達成するかを鍛えられるとか聞いたこともあります。

ときど氏:
ゲームには色んな良い面もあると思うんですよね。
短時間でストレス解消にもなるし、やっていても疲れないし。

クリムゾン氏:
ときどさんは受験のときってゲームと勉強の割合ってどの位だったんですか?

ときど氏:
結構やってましたよ。参考にはならないかもしれないですが(笑)。 1:2~3くらいではやってましたよ。クリムゾンさんは受験勉強はどうでしたか?

クリムゾン氏:
高校受験のときは 一週間前になるまではやはり3~4時間くらいはゲームをやっていたと思います。ただ大学受験は推薦入学だったのでいわゆる受験勉強はやってないですね。 
推薦が決まった秋から3月末までものすごい数のゲームをクリアしました。
その勉強が今一番役に立っていますね。(笑)



世界に誇る日本のゲーム文化について

_海外と日本のゲーム自体の反応の違いなどお伺いできたらと思います。_DSC8137
ときどさんはつい先日海外のイベントにいってらっしゃってましたね。
海外と日本のゲームイベントの違いってあるんでしょうか?


ときど氏:
そうですね。 まず参加者の盛り上げ方の違いはあるかもしれないです。
海外だとオーディエンスがイベントを盛り上げようとする意識が強いですね。
日本だと、それは運営側の仕事だっていう人も少なくないですから。

クリムゾン氏:
確かに 日本人は恥ずかしがり屋なのかもしれませんね。

ときど氏:
そうですね。日本の方は恥ずかしいっていうのがあるんでしょう。
それは日本にいるだけじゃ気が付かないことで。最近海外の方もまわらさせて頂いてるので、それは感じます。
以前は アメリカだけだったのですが、アジアの方も最近は行くので分かるんですが、
やっぱりそういうのは日本だけなんです。
恥ずかしいのは日本独特のものなのかなという。
まわりくどく考えずに楽しめばいいと思います。

クリムゾン氏:日本でも なにかきっかけがあれば 盛り上がってくれそうですよね。

ときど氏:
はい。だから楽しもうとしている側が 自分らでイベントを開いちゃえばいいじゃんっていう意識なんですよね。
海外では有志がやってた小さなコミュニティがどんどん大きくなったというケースもあるので。


_そういえば、ときどさんが所属するTOPANGAさんが 今度チャリティカップ(※3)を開かれるんですよね?

ときど氏:
はい。 是非皆さん ご視聴、また足を運んで頂ければと。
他のプロのプレイヤーもたくさん出て頂けると言うことなんで 是非。

クリムゾン氏:
じゃあ 今後独自イベントも色々やられるんですか

ときど氏:
そうですね。色々考えてます。

クリムゾン氏:ときどさんは 自ら動画配信などされてますが、反響はどうでしょう?例えば 認知度があがってきているとか。

ときど氏:
そうですね。 昔に比べれば 認知度は全然ちがいますね。
やっぱり続けることに意義もあると思いますし、新しいゲームの紹介にもなりますし。
でも一番は僕らの楽しい姿を見てくれればというのがありますね。

クリムゾン氏:
それが一番いいですよね。 そういう姿をみることで プレイヤーの裾も広がっていますし。

ときど氏:
そうですね。実際ホント楽しいので その辺を知ってもらいたいなっていうのはありますね。


クリムゾン氏:
個人的には実際の格闘技番組みたいに、煽りPVみたいのがもっと増えていったら面白いのではないかと思いますがどうでしょうか?

ときど氏:
そうですね。 そういうのはあります。
(ゲームからではなかったとしても)その”人”に興味をもってもらえれば あとに繋がっていくと思うんで

実際、この前のTOPANGAリーグではそういうPVをつくりました。
こういうスパ4みたいな プレイヤーも多くて面白いタイトルの時に プレイヤーが盛り上げないと。
いつも面白いタイトルがでるとはかぎらないので、ソフト以外にプレイヤーという人の部分でも支えていけたら良いと思ってます。


クリムゾン氏:
そうですよね。ゲームが上手い人が日本ではもっと尊敬されてもいいですよね。
あと制作者側である、ゲームクリエーターももっと日本で尊敬されてもいいと思います。
海外ではゲームクリエーターというと勲章をもらったり、世界に影響力がある100人に 「宮本 茂」さんが選ばれたりしてます。
これからもっとゲームという分野が認められる様になれば良いと思ってます。

ときど氏:
その通りですね。 それは常々思ってますね。
 言ってるだけじゃ駄目で、どんどん自分らで動いていけない と思ってます。



※4 
4月8日に行われた スーパーストリートファイター4の大会。
ときど氏の所属するTOPANGA主催で行われた。

_ときどさんにとって"ゲーム"とは?


ときど氏:
今 単純な意見をいってしまうと「仕事」ですよね。
もっと面白いことがいえれば良いんですが(笑)

クリムゾン氏:
いやいや 深いですよ。
 ゲームは「ただの子供の遊び」ではなく「仕事」足りうる価値のあるものである ということですよね。

ときど氏:
色んな人が関わっているんだなと最近ホントに認識してます。
クリエーターさんメーカーさんはそれで飯をくってるわけで、そういう側面を最近感じますね。

クリムゾン氏:
ゲームをプレイすることを「仕事」と言い切ってくれる人が増えていけば 
 ますますゲーム業界の地位や価値が高まると思います。


ときど氏:
今はそういうプレイヤーは少ないですね。 
もちろん楽しいからやっているという部分もありますが、
仕事として捉えているからこそ色々な格闘ゲームに手を出しているという部分もあります。


クリムゾン氏:
プロ意識がとても高くて恐れ入ります。
 ときどさんのこの言葉の重さ、きっとみなさんご理解頂けると思います。

ときど氏:
ではプロとして ゲームとは あえて「仕事」と言わせて頂きます


_本日はありがとうございました

ときど1


wajun100
以上、漫画家とプロゲーマーによる素晴らしいゲーム談義でした!
ときどさん、貴重なご意見ありがとうございました。



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