主演高倉健、田中裕子、奈良岡朋子、小澤征悦監督降旗康男
脚本竹山洋・降旗康男
製作2001年、日本
護国の蛍
戦死した朝鮮人特攻隊員と、戦後に生き残った彼の周囲の人々の人生を描いた作品。
鹿児島県知覧で漁師をしている山岡秀治(高倉健)は、妻知子(田中裕子)と暮らしていた。昭和が終わり、平成に改まったある日、山岡と同じく特攻隊の生き残りで青森に暮らしていた戦友藤枝(井川比佐志)が自殺したとの報せが届いた。藤枝の死に対して、殉死ではないかという推測もされる。それからしばらくして、山岡はかつて特攻隊員から知覧の母と呼ばれていた富屋食堂の山本富子(奈良岡朋子)から、年老いた自分に代わって特攻で散華した金山少尉、朝鮮名キム・ソンジェ(小澤征悦)の遺品を韓国の遺族に届けて欲しいと依頼される。実は金山は妻知子の婚約者だった。腎臓を患い、透析を続けている知子の余命が長くて一年半だと宣告された山岡は、自分の中の戦争と戦後を整理するために、知子と韓国へ渡ることを決意する…。
日本軍には朝鮮人(当時は日本人)がおり、特攻隊員もいた。純粋に朝鮮のためと思って戦った者もいただろうし、中には大日本帝国のために戦おうとした者もいただろうが、後者であっても朝鮮のためという思いは含まれている。しかし、日本が負け、朝鮮半島は独立したために、日本軍にいた朝鮮人、特に戦死者は非常に複雑な立場になってしまった(生き残った人々は新生韓国の担い手になり、韓国軍の創立メンバーになった人も多い)。
金山は朝鮮を思って特攻に志願した。これは心情としてはよくわかることである。生き残った戦友の山岡や藤枝、婚約者だった知子、韓国の金山の遺族、それぞれにもまた、様々な思いがあるだろう。難しいテーマを扱った作品だが、歴史を生きた人々の姿を特定の政治色に偏ることなく丁寧に描いた佳作になっていると思う。
(☆☆☆)
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