主演キーファー・サザーランド、エリシャ・カスバート、デニス・ヘイスバート、サラ・ウインター、サンダー・バークレー、カルロス・バーナード、レイコ・エイルスワース
監督ジョン・カサー、イアン・トイントン
脚本ジョエル・サーナウ、ロバート・コクラン、ハワード・ゴードン
製作2002年〜2003年、アメリカ20世紀FOX
理想のアメリカ
ロスに核爆弾が持ち込まれているという情報を爆発予定日当日に得たアメリカ政府と情報関係者の一日を迫真的に描いた作品。
愛する妻を事件に巻き込んで死なせてしまって以来、CTUを離れて廃人のような生活をしていたジャック・バウアー(キーファー・サザーランド)のもとに、大統領デイビッド・パーマー(デニス・ヘイスバート)から協力要請の電話が入る。バウアーは一人娘のキム(エリシャ・カスバート)とロスを脱出しようとするが、国家の緊急事態を放置することはできず、再び任務に戻ることに。持ち込まれた核と中東のテロ組織「第二の波」の関連が浮かび上がり、バウアーは潜入捜査に向かう…。
9・11テロから着想されている。簡単にいえば、ブッシュ政権のアメリカのパラレルワールドが描かれていると思えばいい。中東に戦争を惹き起こして原油価格を値上がりさせようと、石油業者がアメリカへのテロ攻撃を自作自演する。彼らはアメリカへのテロ計画に中東某国が関与しているという証拠を捏造するのだが、バウアーの使命はその真相を究明することだ。謀略は軍産複合体や復興ビジネスまで含めた国家規模の公共事業としての戦争をやろうと企てられたものではなく、一部の石油業者の仕業と矮小化されている。大統領をはじめ、ほとんどの政治家は謀略に加担しているわけではなく、真相を知っているのはごく一部ということになっている。だから、大統領以下良心を持った人々は何とか戦えるのだが、仮に政権全体が謀略に関わっていたとすれば、戦争は容易に惹き起こされただろう。
パーマーは開戦に徹底して慎重な大統領として描かれている。テロに屈してはならないし、戦う時に臆病であってはならないが、戦争は最後の手段であるべきであり、ましてや証拠が偽造されたものである可能性がある場合、その真相解明に全力を尽くすべきだというのだ。そして、パーマー大統領は混乱の中で最後まで(中東系も含めた)市民の自由と権利を守ろうと務める。それがアメリカの理念だからだ。
シーズン2は、CTUスタッフのキャラがシーズン1以上に立っている。なかでも、CTUロス支局支部長のジョージ・メイソン(サンダー・バークレー)、メイソンの後を受けてCTUを背負うことになるトニー・アルメイダ(カルロス・バーナード)、情報分析官のミシェル・デスラー(レイコ・エイルスワース)の三人が滅茶苦茶カッコよかった。一貫して自分の使命と良心に忠実に動いたミシェルは素晴らしい女性なのだが、何となく親しみ深い雰囲気だと思っていたら、この女優さん、日本人の血が入っていて名前はレイコというのだった。その他、アメリカを危機に陥れるテロリストとバウアーの協力者という対極的な立場に分かれるワーナー姉妹ケイト(サラ・ウインター)とマリー(ローラ・ハリス)もよかった。マリー可愛い。
キムがちょろちょろし過ぎとか、突っ込みどころはなくはないが、シーズン1以上に高邁な理想を謳い上げ、現実への批判をこめた思想性の高さに打たれる。大統領が黒人であることはいうまでもなく、徹底的に有色人種や多様なエスニックの人物が登場し、活躍するのも、このシリーズの特徴だ。
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24 Twenty four キーファー・サザーランド エリシャ・カスバート デニス・ヘイスバート